FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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昨日から恒例のFE総選挙が始まりましたが、もう9回目か………
それまでに色々とありましたが、
・584位から5位というとんでもないゴボウ抜きを達成したラインハルト
・モブなのにカルト的人気で1位を取る門番さん
・ぽっと出の章ボスだけどほぼおっぱいで1位とったグルヴェイグ
などと色々とドラマがありましたが、今年はどうなる事やら


39章 咎

六魔将軍のマスター、ゼロの置き土産である闇の大波と相対したリューク。後ろに倒れているナツ達がいる以上避ける事も逃げる事もできず、彼は自分の有する最大火力の光魔法で真正面から受け切った。その結果、リュークは後ろにいるナツ達を守り切る事に成功するも彼自身はその場でうつ伏せに倒れた。

 

『くっ、そ………!!』

 

紋章士ミカヤを"エンゲージ"したまま倒れたリュークだが、ゼロの攻撃によるダメージそのものは軽微なものだった。では何故倒れたのか。

 

『魔力が、馬鹿みたいに流れ出てる………!!調子に乗って、魔力を使い過ぎた………!!』

 

それはリュークが懐にしまう水晶のような宝石を用いた身体強化のデメリットである魔力の余計な消費が祟り、魔力不足に陥っていたからである。

 

『やっぱり、お姉ちゃんの言う、通り………制御の、練習をして、おくんだった………!!』

 

身体が思うように動かなくなる中何とか体勢を変えて座り込んだリューク。だが、彼はまだそこで休む訳にはいかなかった。

 

『もう少し、動けこの身体………!!まだ、倒れる前に、やることがある………!!』

 

ナツ達を守れた、というのは正確では無い。ゼロの攻撃を受け重症を受けているのは変わらず、リュークのしたのはトドメを刺されないようにしただけである。

 

『今、傷を治す………"大いなる………』

『(待って、使ったらダメ!!)』

 

"エンゲージ"中である紋章士ミカヤのエンゲージ技、"大いなる癒しの手"を使おうとしたリュークだが紋章士ミカヤから待ったがかかった。

 

『何故………!?ナツ達の、力は、まだ必要………ここで全快にしないと………!!』

『(今"大いなる癒しの手"を使えば今度はあなたが命を落としかねない。使用は認められないわ。)』

『だが………!!』

『("エンゲージ"を保っている今ですら危険な状態なの。理解して。)』

『………分かった………"クラスチェンジ"、ハイプリースト。』

 

ハイプリーストに"クラスチェンジ"したリュークは1本の杖を出し、残った魔力を振り絞って使った。

 

『"リザーブ"………!!』

 

範囲内の味方を全員回復させる"リザーブ"の杖を使ったリューク。それを使ってナツ達の傷を癒した直後、魔力切れとなったリュークは"エンゲージ"も"クラスチェンジ"も解除されその場にへたり込んだ。

 

「くそぉっ………!!まだ戦いは終わってないぞ、動けってんだこの野郎………!!」

 

言う事を聞かない身体を叩き起こそうともがくリューク。だが魔力は切れ、普段頼りにしているフェルトの"視覚共有"も届かない状態では何が起きているかを理解する術が無かった。

 

「早くしないと、"ニルヴァーナ"が………!!」

 

その時、遠くで爆発音がして古代都市が大きく揺れた。そしてその直後、"念話"による声が届いた。

 

《皆、聞こえるかい!?無事なら返事をしてくれ!!》

「この声、ヒビキか………!!」

 

外の状況は、"ニルヴァーナ"が化猫の宿に向けて発射された瞬間にヒビキ達、青い天馬のトライメンズや蛇姫の鱗のリオン、シェリーが力を合わせて撃墜された魔導爆撃艇クリスティーナを再起動させ、砲撃によって"ニルヴァーナ"の軌道を変えたのだった。だが彼らの魔力も限界を迎えており、ヒビキはクリスティーナからのこれ以上の援護は不可能だと告げた。

 

《最後にこれだけ!!"古文書(アーカイブ)"の中から"ニルヴァーナ"の止め方を見つけた!!それは"ニルヴァーナ"の六本足の付け根にある魔水晶(ラクリマ)、計6つの"同時破壊"だ!!》

 

それと共にリュークを含めた連合軍の全魔導士にタイマーが浮かび上がった。

 

《"ニルヴァーナ"の再装填時間の直前に合わせた。頼むよ!!》

 

だがそこに、"念話"が何者かにジャックされた。

 

《無駄な事を………俺はゼロ。六魔将軍のマスターゼロだ。さて、聞くがいい、光の魔導士よ!!俺はこれより全てのものを破壊する!!》

 

そしてゼロは続けた。

 

《手始めに仲間を数人………滅竜魔導士に氷の造形魔導士、星霊魔導士………ついでにネコだ。それに、今頃"青燎"もくたばっているだろう。》

「勝手に殺すな、この野郎………!!」

《テメェらは魔水晶を同時に破壊すると言っていたが………俺は今その魔水晶のどれか1つの前にいる!!俺がいる限り同時に壊す事は不可能だ!!》

 

それだけ言い残し、ゼロは"念話"を切った。そしてその直後、シャルルの焦る声が聞こえた。

 

《待って………6人も動ける魔導士がいないわ!!》

 

シャルルの声に応じ、エルザが点呼を取った。

 

《こっちは2人だ!!他に動ける者は!?》

「俺は生きてる………!!動いてやる………!!」

《私が、この一夜がいるでは無いか。》

《これで3人!!》

「な………!?」

《ホーッ!!》

《フェルトか!!あと2人!!》

「俺もいるって、言ってるだろ………!!」

 

ここでリュークは気づいた。自分には"念話"を返すだけの魔力すら残っていない事に。

 

「ふざけるな………ふざけるなよ!!届け!!俺の声よ届け!!」

《残り2人………僕達の、声を………!!》

「聞こえている!!届けーーー!!」

 

いくら叫んでも届かないリュークの声。だが、その時。

 

「聞こえてる!!」

「ナツ………!!」

 

息を切らしながらナツが叫び、"念話"を通じて皆に届いた。続けてグレイ、ルーシィ、ハッピーの順に"念話"に答えた。

 

「6個の魔水晶を、同時に壊す………」

「運が良い奴はゼロも殴れる………でしょ?」

「あと18分、急がなきゃ………シャルルとウェンディのギルドを、守るんだ。」

 

魔水晶を壊せる魔導士が揃ったのを確認して、ヒビキは最後の指示を送った。

 

《各自、僕が送った地図の魔水晶に番号をつけた………各員、バラけるように決めて………》

「1だ!!」

「2」

「3に行く!!………ゼロがいませんように。」

《私は4に行こう!!ここから一番近いと香り(パルファム)が教えている!!》

《教えているのは地図だ。私は5に行く。》

《俺は………》

《お前は6だ。》

「(今の声………)」

 

振り分けが決まった瞬間、ヒビキからの"念話"が切れた。

 

「念話が切れた………」

「ヒビキも限界だったんだ………」

「とにかくちゃんと6人いるみたいだ。急ごう!!」

 

ハッピーの言葉にナツ、グレイ、ルーシィが頷き立ち上がった。

 

「うっ、ぐぐ………!!」

 

そんな中、リュークは何とか"リザーブ"の杖を支えに立ち上がるもそれが精一杯だった。

 

「皆、すまない………!!俺、は………っ!!」

 

だがナツの返答は感謝だった。

 

「ありがとな、リューク。おかげで、あいつをぶっ飛ばす力が戻った。」

「………!!」

「気は失っていたが、お前が俺達を守ってくれた事は分かる。」

「っ、だが………!!」

「じゃあ、あたしと来てくれる?正直、ゼロと出くわすと1人じゃ無理だから………!!」

 

ルーシィがリュークに肩を貸し、それぞれが担当する魔水晶へと向かったのだった。

 

==========

 

「すまない、ルーシィ………」

「困った時は、お互い様よ………何度も、助けて貰ってるし、今だって………」

「今………?」

「………見栄を張ってる場合じゃないのに………「できない」って言えなかった………魔力が残ってないのは、あたしもなの。」

「!!」

「それでもウェンディのギルドを守りたい、うつむいていたくない、最後まで諦めたくない………!!」

「………だが、俺がいた所で。」

「どうしてもあと一歩分、背中を押す力が欲しい………信頼する仲間が、その一歩分を作ってくれるって、示したのはあんた達よ………!!だから、来て貰うわよ………!!」

「………」

 

肩を支え合いながら3番の魔水晶へ向かうリュークとルーシィ。するとふと、ルーシィがある事に気づいた。

 

「………リューク?」

「………何だ?」

「歯、どうしたの………?」

「歯?何がって………!?」

 

ルーシィに指摘されて歯を触ったリューク。するとある事実が発覚し、リュークは慌てて口を閉じた。

 

「今のは、牙………?」

「………力を制御できてないのが、こんな所にも出たか。」

 

だがもう遅かった。身体強化によって制御が効かなくなった結果、リュークの歯は人の歯から彼の"本来の姿"に起因する牙に変質していたのを、ルーシィは気づいてしまった。そしてリュークは盛大にため息をついた。

 

「今回の俺はいいとこ無しだな………無様に倒れた結果ウェンディに正体を見抜かれるわ、焦って久しぶりに力を解放したらボロを出して君にも見つかるわ………」

「リューク、あんた………」

「………怖いか?今自分に肩を貸してくれる奴が得体のしれない化け物だったって判明して。」

 

声色を低くして告げたリューク。だが、帰ってきたのはプッ、という吹き出し笑いだった。

 

「怖い訳無いじゃない。」

「今ここで君を食ってしまうかもしれないのに?」

「………そのセリフを聞いて確信したわ。あんたは全く変わらないって、あたしのよく知るリュークね。」

「………後悔しても知らないよ。」

「する訳無いじゃない。自称得体の知れない化け物(あんた)竜の子(ナツ)に誘われて、あたしはいくつものかけがえの無いものに出会えて、毎日が楽しいんだもの。」

「……………。」

「………それに、幽鬼の支配者に攫われそうになった時、「最後まで味方になってくれる」って言ってくれた。なら、あたしもそれに応えないと。」

「………いいのか?それで短い人生を棒に振っても?」

「………時々ジジくさい事言うのも"そう言う事"だったのね。あんた本当は何歳よ?」

「………今はマスターより歳上、とだけ。………ありがとね、ルーシィ。」

「ううん。ただ、あたしからはこれ以上聞かないからいつか本当の事を教えてよ。」

「必ず。」

 

そう話していると、2人は3番の魔水晶のある部屋に到着した。

 

「さて、到着したけど………」

「あと5分、でも、魔力が………」

 

破壊のタイミングまで残り5分。だが2人揃って魔力は底をついている状態、自分達の身長よりも大きい魔水晶を壊す力は残っていない。

 

「でも、最後まで………!!」

「あきらめる訳にはいかない………!!」

 

すると、背後から声がした。

 

「「時にはその想いが力になるんだよ。」」

「この声は………?」

「「君の想いは僕達を動かした。」」

「ジェミニ!?」

「何でここに………!?」

 

エンジェルの星霊であるはずのジェミニの登場。リュークがルーシィを庇おうと無理矢理前に出る、その前にジェミニはルーシィに変身した。

 

「僕達が君の意志になる。5分後にこれを壊せばいいんだね?」

「………!!」

 

さらに援軍はもう一羽。

 

「ホーッ!!」

「フェルト!!」

 

リュークの前に降りたフェルトはシャドーボクシングをするかのように翼を羽ばたかせ、風の刃を出した。

 

「………よし、フェルト。ジェミニと共に、壊してくれるか?」

「ホッ!!」

「僕達に任せて!!」

 

戦う力の残っていないリュークとルーシィの代わりに構えたフェルトとジェミニ。

 

「破壊のタイミングまであと10秒!!5、4、3………今!!」

 

そしてリュークの掛け声と共にフェルトは"シェイバー"を放ち、ジェミニはタウロスを召喚。風の刃と斧の一振りで3番魔水晶は破壊された。

 

それと同時に2番をグレイが、4番を一夜が、5番をエルザが、6番をウェンディが破壊。そして1番………ナツの可能性に賭け力を貸したジェラールによって強化されたナツが滅竜奥義にてゼロを魔水晶に叩き付けてゼロもろとも破壊。

 

6つの魔水晶は同時に破壊され、古代都市"ニルヴァーナ"はついに停止したのだった。

 

「「やったぁっ!!」」

「ホーッ!!」

 

停止に喜び抱き合うルーシィと、ルーシィに変身したジェミニ。その横で喜び飛ぶフェルト。だが、リュークだけは顔に綻びが無かった。

 

「ルーシィ。」

「何?」

「………最後にひとっ走り、行けそうか?」

「ひとっ走り………?って、うわあっ!?」

 

次の瞬間、"ニルヴァーナ"の床が、否"ニルヴァーナ"そのものが音を立てて崩れ始めた。

 

「走れ!!下敷きになったら元も子もない!!」

「ひえええっ!!」

「ホホーッ!!」

 

だがフェルトはともかく、満身創痍のリュークとルーシィには逃げ切れるかが微妙だった。このままでは瓦礫の下敷きになる、その時に再度ジェミニが動いた。

 

「「ピーリッ、ピーリッ!!」」

 

ルーシィからグレイに変身したジェミニは、造形魔法のポーズを取ると氷のスライダーを形成。リュークとルーシィを突き飛ばしてから続けて滑り降りたのだった。

 

「おわあああっ!!」

「ひゃあああっ!!」

 

氷のスライダーを滑り降り、2人は何とか安全な場所まで避難し仲間と合流した。

 

==========

 

「全員無事で何よりだね。」

「皆、本当によくやった。」

「これにて作戦終了ですな。」

 

妖精の尻尾の皆にウェンディ、シャルル、ジュラ、一夜、味方となったホットアイが無事と勝利を喜ぶ中、視線は沈黙を続けるジェラールに向いた。

 

「誰だあれ?」

「天馬のホスト?」

「そうか、グレイとルーシィは見てないから知らないのか。」

「どういう事よ?」

「あれがジェラールだよ。フェルトの"視覚共有"でいる事は知ってたけど………」

「あれが!?」

「ウソ!?」

 

楽園の塔で戦った因縁の相手が何故ここに!?という表情をしたグレイとルーシィに、エルザとウェンディが補足した。

 

「………だが、私達の知るジェラールではない。」

「記憶を失ってるらしいの。」

「そう言われてもよぉ………」

「大丈夫だよ、本当はいい人だから。」

 

尚沈黙を貫くジェラール。そこにエルザが近づいた。

 

「とりあえず力を貸してくれた事は感謝する。で、どうするつもりだ?」

「………分からない。」

 

まだ記憶の戻っていないジェラールはうつむき、曖昧に答えた。

 

「………怖いんだ、記憶が戻るのが。」

 

続けてそう呟いたジェラール。するとエルザはジェラールの隣に立つと微笑んだ。

 

「私がついている。」

「………!?」

「たとえ再び憎しみ合う事になろうが、今のお前は放っておけない。私は………」

 

だがエルザの言葉の続きは見えない壁に激突した一夜によって遮られた。

 

「メェーン!?」

「どうした!?」

「何かにぶつかった………!!」

「床に、文字が………」

「"術式"!?一体誰が………!?」

 

"術式"によって閉じ込められた一同。"術式"を張った者はすぐに現れ、一同の前に整列した。

 

「手荒な事をするつもりはありません。私は新生評議員第四強行検束部隊隊長、ラハールと申します。」

 

"エーテリオン"の件で一度崩壊した評議員だが、その後急速に再建、発足していたのだった。

 

「オイラ達何も悪い事していないよ!!」

「お、おう!!」

「存じ上げております。我々の目的は六魔将軍の捕縛………そこにいるコードネーム・ホットアイをこちらに渡してください。」

「「!!」」

 

六魔将軍の一員であるホットアイの引き渡しはおかしな事ではない。だが彼が最早悪人ではない事を知っているジュラはそれを止めようとした。

 

「ま、待ってくれ!!彼は………」

「いいのデスネ、ジュラ。」

「リチャード殿………」

「善意に目覚めても過去の悪行は消えませんデス。私は一からやり直します。」

 

ホットアイの決断を尊重したジュラ。そんなジュラはホットアイの"願い"を叶えようとした。

 

「ならばワシがリチャード殿の弟を探そう。弟の名を教えてくれ。」

「本当デスか!?名前はウォーリー。ウォーリー・ブキャナン。」

 

その名を聞き、妖精の尻尾の魔導士が一斉に反応した。

 

「ウォーリーだと!?その男なら知っている。」

「何と!?」

「私の友だ。今は元気に大陸中を旅している。」

 

弟を探すためにあらゆる手を使い、悪事に手を染め続けたホットアイことリチャード。だがその弟が元気でいる事実を知り、彼の目から涙が止まらなくなった。

 

「これが、光を信じる者にだけ与えられる奇跡というものデスか………ありがとう。ありがとう………ありがとう!!」

 

ひとしきり泣いたホットアイはその後抵抗すること無く投降し、評議員によって連行された。だが、ラハールら評議員は"術式"を解く様子は無かった。

 

「もう良いだろ!!何故"術式"を解いてくれん!?」

「評議員への潜入、破壊。それに"エーテリオン"の投下………ホットアイなど比べ物にならない、もっととんでもない悪党がいるからです。」

 

そう言いラハールは1人の男を指差した。

 

「貴様だ、ジェラール!!来い!!抵抗すれば抹殺の許可もおりている!!」

「そんな………!!」

「ちょっと待てよ!!」

「その男は危険だ………二度とこの世に放ってはいけない、絶対にだ!!」

 

一切の抗議を突っぱね、評議員はジェラールを拘束。

 

「ジェラール・フェルナンデス。連邦反逆罪で貴様を逮捕する。」

「そんな!!ジェラールは記憶を失っているんです。何も覚えていないんです!!」

「釈放を認める理由にはなりません。」

「でも………!!」

「いいんだ。もう抵抗する気は無い。」

 

何とか引き留めようとするウェンディをジェラールは諭した。

 

「………君の事は最後まで思い出せなかった。本当にすまない。」

「………このコ、昔あんたに助けられたんだって。」

「そうか………誰かを助けた事があったのは嬉しい事だ。そしてエルザ、色々とありがとう。」

「……………」

 

エルザに感謝の言葉を告げ、ジェラールは背を向け評議員の付き添いで護送車へ連行され始めた。

 

「……………」

 

そしてそのままジェラールは護送車に連れて行かれる、その時だった。

 

「行かせるかぁっ!!」

「!!」

「………!!」

「ナツ!!」

「相手は評議員よ!!」

「あのバカ………!!」

 

即座にナツを抑えようと殺到する評議員。だがナツはそれを振り払いながら叫んだ。

 

「そいつは仲間だぁ!!連れて帰るんだ!!」

「!!」

「ナツさん………」

「よ、よせ………」

「と、取り押さえなさい!!」

 

突然暴れ出したナツに戸惑いながらも、ラハールは制圧を命じ、ナツに評議員の兵士が殺到した。

 

「させるものか!!」

「行け、ナツ!!」

 

だがそこに"松の木"を振り回すリュークとグレイが加勢した。

 

「リューク!!グレイ!!」

「こうなったらナツは止まんねぇ!!大体気に入らねぇんだよ!!"ニルヴァーナ"を防いだ1人に、一言の労いの言葉も無いのかよ!!」

「手柄だけ奪ってはいさよなら………で納得できるものか!!命を張ったのは俺達だ、少しは話を聞いて貰わないと困る!!」

 

それをきっかけに次々と連合軍の一同が参戦。

 

「その者を問答無用で逮捕するのは不当だ!!」

「悔しいけどその人がいなくなるとエルザさんが悲しむ!!」

「もうどうなっても知らないわよ!!」

「あいっ!!」

「お願い、ジェラールを連れてかないで!!」

「……………」

「来い、ジェラール!!」

 

全員が入り乱れる乱闘騒ぎとなった中、ナツがジェラールに叫んだ。

 

「お前はエルザから離れちゃいけねぇ!!ずっと側にいるんだ、エルザのために!!だから来い!!」

「全員捕らえろォォォ!!公務執行妨害及び逃亡幇助だーーー!!」

「「「させるかーーーッッッ!!」」」

 

乱闘が本格的になりそうになった、その時だった。

 

「もういい!!そこまでだ!!」

 

エルザの一声で乱闘はピタリと収まった。

 

「騒がしてすまない。責任は、私が取る………」

 

そしてエルザは声を震わせながら告げた。

 

「ジェラールを………連れて、行け………」

「……………」

 

そのまま再度連行されたジェラール。だが、護送車に入る直前に彼はエルザに振り向いた。

 

「そうだ。"お前"の髪の色だった。」

 

そう言ってジェラールはエルザに微笑んだ。

 

「さよなら、エルザ。」

「………ああ。」

 

そしてジェラールは護送車の中に入り、扉が閉められた。

 

戦いが終わり、迎えた朝焼けは美しく、暖かい緋色に染まっていた。だが、それを喜んで見上げる者はいなかった………

 

 

続く

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