タイトルはアニメフェアリーテイルの最初のOP"Snow Fairy"の歌い出し、
"Fairy, where are you going"
の意訳です。
X784年、港町ハルジオン。漁業と貿易で栄えるこの港町のはずれの岬で、リュークは眠そうに釣り糸を垂らしていた。
「ふぁ〜あっ。………しかし今日は釣れないな。」
「ホー………。」
釣りという行為そのものが好きなだけで釣果はそこまでこだわらないリュークではあるが、釣れないどころか食いつきすらしないまま何時間も過ぎれば面白く無くなるのは当然の帰結である。
「………今日はダメな日だな。もうすぐ昼だし、切り上げよう。」
「ホーッ。」
釣り道具を片付けたリュークはフェルトを頭に乗せ岬を後にし、あくびを噛み殺しながら街へと向かった。
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「ふぅ、ごちそうさま。」
「ホー、ホーッ。」
ハルジオンの街に入ったリュークとフェルトはまず腹ごしらえをするべく、街のレストランに入った。リュークは海鮮パスタを、フェルトは焼き鶏を食べ終えたものの、マグノリアに帰るにはまだ早いとリュークは思い、どう時間を潰そうかと思っていたら店内が騒がしくなったことに気がついた。
「ん?」
「ホ、ホホーッ!!」
「………何かと思ったら。」
騒がしさの正体に気づいたリュークはやれやれとため息をついてから席を立ち上がり、その方向へと歩き出した。
「誰かと思ったらやっぱり君達か。ナツにハッピー。」
「むごっ、いふふがっ!?」
「飲み込んでから喋れ。」
「リュークだ。こんなところでどうしたの?」
「こっちのセリフだが………」
ズラッと並んだ料理に片っ端から平らげていたナツとハッピーに声をかけたリューク。そんなリュークがふと横を見ると、ナツの食べっぷりとリュークのいきなりの登場にきょとんとした金髪の少女がナツとハッピーと相席している事に気づいた。
「えっ、と………?」
「ナツ、この子は誰?」
「むぐっ………よく知らね。」
「あい。」
「ええ………」
「ホ………」
よく知らない少女と相席して飯を食べているナツとハッピーに呆れたリュークだが、少女からすれば自分は自分で怪しい事に気づいた彼は自己紹介をした。
「ああ、いきなりでごめん。俺はリュークで頭の上のこいつはフェルト。ナツとハッピーの………仕事仲間だ。」
「仕事仲間なのね………あたしはルーシィ。」
「ルーシィ……………」
「………な、何かあったかしら?」
一瞬、リュークは考える仕草を取ったがルーシィに声をかけられすぐに首を振った。
「いや、なんでもない………それよりも、このナツとご飯を食べていた経緯を教えてくれないかな?迷惑をかけたとなると仲間として謝らないといけないから………」
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「………なるほど。"
「そうなの………って、この話ナツとハッピーにはしたわよね?」
「………聞いてなかったな、これは。」
「「あい。」」
ルーシィから事情を聞いたリューク。
「しかし、"魅了"の魔法ってたしか禁止になってたよね………?」
「そうなのよ!!あの"火竜"、同じ魔導士として軽蔑するわ!!」
「ルーシィも魔導士なんだ。」
「そうなの、まだギルドには入って無いんだけどね。あ、ギルドってのはね………!!」
ここからルーシィの言葉は止まらなかった。
「世界中に色んな魔導士ギルドがあるんだけどね、あたしが入りたいところはすっごい魔導士がたっくさん集まる所なの!!どーーっしても入りたいんだけど面接とか厳しいんだろうなぁ………でも、絶対にそこのギルドに入るんだ。………ってごめんね、いきなり分かんない話をしちゃって。」
「お、おう………」
「よくしゃべるね。」
「あっ、そう言えばナツとハッピーは誰か探してたって言ってたけど………」
それに対してリュークが答えを当てた。
「"火竜"がいると聞いて来たものの目的と違った、ってところか?」
「ああ、でも全くの別人でがっかりだ、せっかくイグニールだと思ったのによ。」
「"火竜"って見た目じゃなかったもんね。」
「"火竜"って見た目は人としてどうなのよ………」
ルーシィが呆れた口調で相槌を打つと、ナツからは衝撃の答えが返って来た。
「イグニールは人じゃねぇぞ。本物の竜だ。」
「ほ、ほんもの………!?」
「………あのなぁ、ナツ。」
「本物の竜が街の中にいるはずないでしょー!!」
「………!!」
「オイイ!!今気づいたって顔すんなーー!!」
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「変な奴だったな。」
「あい。」
「多分向こうも同じ事思ってるよ………」
しばらくして、ルーシィはお金を置いて先にレストランを出て、リューク、フェルト、ナツ、ハッピーの二人と二匹が席に残っていた。
「しかしアイツの情報ウソだったじゃねぇか!!」
「また探し直しだね、ナツ。」
そんな中、リュークは少し考え込んだ顔をしていた。
「……………。」
「ホー?」
「どうかしたの、リューク?」
「………何か引っかかったんだよ、彼女を見て。」
「………なぁハッピー、これってあれか?」
「あい、一目惚れだね。」
ニヨニヨしながらリュークに言い寄るハッピー。だがリュークはため息をつきながらそれをあしらうと席を立ち上がった。
「………そんな単純な話なら楽だったんだがな。少し海風に当たって来る、帰るなら俺達の事は気にせず先に帰ってくれ。」
そう言ってリュークは支払いを済ませ、レストランを後にした。
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「……………」
レストランを出たリュークは夕日を背に埠頭で再び釣り糸を垂らしていた。
「ホーッ、ホーッ!!」
「……………あっ。」
しかし考え事に夢中だったリュークは魚が引っかかった事に気づくのが遅れ、逃がしてしまったのだった。すると、一人の紋章士がリュークの横に顕現した。
『さっきの彼女が気になった?』
「………彼女を見て、何故か"懐かしさ"を感じたんです。」
『………なるほどね。』
「あなたは気づいていたのですか?」
『ええ、他の皆もよ。でも、リュークが"その程度しか"感じてないなら答える訳にはいかないわ。』
「"その程度しか"って………」
そうしていると、リュークの後ろで二人組の女性が話しているのが聞こえた。
「あの船だってー!!」
「あれが火竜様の船………一緒に乗りたかったなぁー。」
「(火竜………さっきナツやルーシィが言ってた"魅了"使いの魔導士の事か。)」
沖に浮かぶ船を指差し話していた二人組の女性と、その話に耳を傾けたリューク。しかし、その女性達の直後の話にリュークは耳を疑う事になる。
「いーなー、あの"
「は?」
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その船上パーティの一室にて。主催者の火竜の目の前には、屈強で邪悪な表情を浮かべる男達によって取り押さえられているルーシィの姿があった。
「ようこそ我が奴隷船へ。」
「奴隷船……!?ちょっと、妖精の尻尾に入れてくれるって約束は!?」
「そんなもの、君を商品にする為の方便さ。」
自らをルーシィが憧れる魔導士ギルド、妖精の尻尾の魔導士と名乗り、船上パーティへと彼女を招待した火竜。しかしそれはルーシィや、"魅了"の魔法で連れて来た女性を奴隷として隣国に売り捌くための真っ赤なウソだった。
「もっと穏便に済ませるつもりだったけど、"魅了"も効かないのなら仕方ない………お前達、そいつを抑えておけ。」
「ちょっと、離してよ………!!」
「暴れるんじゃねぇ。」
「ぐっ………!!」
拘束を振りほどこうともがくも火竜の手下の男達に力で抑えつけられたルーシィ。そんな中で火竜は奴隷の烙印を焼き付ける為の焼きゴテを用意していた。
「さて、ちょっと痛いけどガマンしてね………暴れるともっと痛いから。」
「……………!!」
焼きゴテを手にする火竜に、ルーシィは涙を流しながら睨みつけていた。
「(魔法を悪用して、人を騙して、やることが奴隷商………これが妖精の尻尾の魔導士なの!?)」
そして、吐き捨てるように呟いた。
「何が妖精の尻尾よ………最低の魔導士じゃない。」
そう呟いた間にも火竜の焼きゴテがルーシィに迫ったその時だった。
「全くもってその通りだな。」
「え………?」
第三者の声がした次の瞬間。突風が吹き荒ぶと火竜の焼きゴテを三等分に切り裂いた。
「何ッ!?」
「火竜さん!?」
屋内で吹くはずの無い突風に戸惑う火竜とその取り巻きの男達。それにより拘束が弱まった事に気づいたルーシィは声のした方向を見た。
「今の………」
「こっちだ!!」
そこには左手に"エルウインド"の魔道書を手にしたリュークが右手を伸ばしていた。
「リューク!?何であんたが………」
「話は後だ!!」
有無を言わせないリュークの言葉にルーシィは弱まった拘束を振り解き走り出した。
「待て、逃がすか!!」
「きゃっ……!!」
「
逃げようとしたルーシィの足を、男の一人が掴んだ。しかしリュークが呪文を唱えると青い炎のようなオーラが巻き起こり、そこから矢が寸分の狂い無く放たれ男に命中。痛みで男はルーシィを放し、ルーシィは逃げ切った。
「ありがとうございます、リン!!」
『お安い御用よ。あなたは大丈夫?』
「星霊………に、似てるけど違う?ううん、とにかくありがとう。」
リュークが顕現した紋章士、緑のポニーテールが特徴の少女リンの一射によってルーシィはリュークの所へたどり着いたが、状況はまだ予断を許さない状況だった。
「くそっ、何者だね!?」
「それはこちらのセリフだ、"妖精の尻尾の火竜"とやら。」
「何………?」
しかし、ここでさらなる乱入者が天井を突き破って来たのだった。
「ふぅ………」
「ナツまで!?」
「………うっぷ、やっぱダメだ。」
しかしその乱入者、ナツは直ぐ様船酔いを起こしその場にダウンしたのだった。
「もう、何が何なの………?」
乱入者続きに場が混乱していたが、その中で最初に声を出したのはリュークだった。
「ハッピー、いるな!!」
「あい!!」
リュークがハッピーを呼ぶとハッピーは背中に翼を広げて天井から入って来た。
「ルーシィを連れて離脱!!」
「あいさー!!ルーシィ、行くよ!!」
「わっ!!」
「リンは一度交代!!」
『了解!!』
リュークの矢継ぎ早の指示によって味方が次々と動き出すがそれを黙って見ている敵では無かった。
「逃がすかぁっ!!」
「させるか!!」
火竜がルーシィを抱えたハッピー目掛けて炎の魔法を放ったが、ルーシィ達の前に青い炎の奔流が現れ火竜の炎を防いだ。
「何だと!?」
「
青い炎は鎧姿に斧を担いだ青年、紋章士ヘクトルとなり、船酔いでダウンしているナツを担いで回り込んだリュークと共にハッピーとルーシィへの道を塞いだ。
「ちっ、そいつらは後回しだ!!通報される前にさっきの女を猫もろとも始末しろ!!」
「はいっ!!」
火竜の命令でハッピーとルーシィを逃がすまいと銃を手に追いかけようとした手下達。
「おい。」
「!?」
『お前達の相手は俺達だと………』
「『言ったはずだが?』」
「……………!!」
だが、船上の戦いに長けた海賊に"クラスチェンジ"したリュークと紋章士ヘクトルはそれぞれ二本の"トマホーク"と"ヴォルフバイル"を地面に振り下ろし、"角の睨み"による威圧感の籠もった睥睨で行く手を阻んだ。
『………敵の数は?』
「合わせて30くらい………ですがここにいない敵のほとんどは寝ています。」
『ならこいつらを止めれば大体カタはつくって訳だ。』
「ええ。ナツが動けるまではこれで行きます。」
「うぷ………」
『任せな!!』
リュークと紋章士ヘクトルが得物を持ち上げ構えた、その時。
「ぐっ!?」
『何っ………!?』
「ぅぉ…………っ…………」
「今度は何だ!?」
「「「ぬおおっ!?」」」
突然船が大きく揺れたかと思うと猛スピードで動き出し、数秒の内に陸地へ乗り上げたのだった。
『大丈夫か、リューク!?』
「ええ、大丈夫です。………ルーシィか、やるね、あの子も。」
フェルトの視覚共有を通じて、外に出たルーシィが自らの持つ
「揺れが………止まった。」
『おっ、復活か。という事はお役御免か?』
「………ええ。ありがとうございました。」
『良いってこった。じゃあ後は任せるぜ、リン。』
『任せなさい、ヘクトル。』
揺れが止まり、ナツが立ち上がったのを見届けると紋章士ヘクトルは紋章士リンと交代してリュークは剣士に"クラスチェンジ"、更にはルーシィも船へと戻って来た。
「リューク、ナツ、大丈……夫?」
リュークとナツの身を案じて戻って来たルーシィだが、火竜やその取り巻きと睨み合う二人を見て一歩後ずさりをしたのだった。
「全く………人の船を荒らしちゃいけないだろ小僧共が、あ?」
「………一つ聞きてぇ事がある。」
「俺からも、さっき聞きそびれた事があったな。」
ガンを飛ばす火竜に対し、ナツとリュークは同時に問いかけた。
「「お前が妖精の尻尾の魔導士か?」」
「だったらどうした!?オイ、さっさとこいつらをつまみ出せ!!」
火竜の命令により、取り巻きの男の一人がナツに襲いかかった。だがナツは着ていた上着を脱ぐと右腕一本でその男をあしらうように殴り飛ばした。
「オレは妖精の尻尾のナツだ。テメェなんて知らねぇ!!」
殴り飛ばしたその時に見えた右肩の紋章。紛れもない妖精の尻尾の紋章が露わになり周りは騒然となった。
「な!!」
「ナツが妖精の尻尾の魔導士!?って事は………」
騒然となる周りを余所に、ナツはリュークに問いかけた。
「リュークはどうだ?知ってるか?」
それに対してリュークは左手の紋章を見せながら薬指の指輪を掲げた。
「いいや、知らないな。………そろそろ決めましょう、リン。」
『ええ、いつでも行けるわ!!』
「お願いします!!」
「『"エムブレム・エンゲージ"!!』」
そしてリンと"エンゲージ"状態となったリュークは"マーニ・カティ"の刀を構えた。
「あの紋章……間違いなく本物だぜ、ボラさん!!」
「おい、その名で呼ぶな!!」
本物の妖精の尻尾の魔導士を前に火竜の一味の狼狽が広がり、火竜の素性をバラしてしまった。
『ボラ………確か度重なる窃盗で
「誰でも関係ねぇ………妖精の尻尾を騙った奴はオレが許さねぇ!!」
「ええい、ゴチャゴチャとうるさい!!」
だがナツが棒立ちである事に気づいた火竜改めボラは"
「ナツ!!」
「大丈夫。よく見て。」
「え………?」
ナツの身を案じて飛び出そうとしたルーシィだったが、ハッピーはそれを止めた。そして止めた理由はすぐに明らかとなった。
「はァ!?」
「………まずい。こんなまずい火は初めてだ。」
炎を咀嚼し、飲み込む。それを繰り返す内にボラの放った炎は信じられない事に全てナツの腹の中へと収まったのだった。
「まぁいいや、ごちそうさまでした。」
「な、何だコイツはーー!?」
「火を…火を食ったぞ!?」
『………何度見ても意味分からないよなぁ。』
「いやリュークも大概だろ。何そのキラキラ。………それよりも、食ったら力が湧いてきた!!行くぞーー!!」
竜の肺は焔を吹き、
竜の鱗は焔を溶かし、
竜の爪は焔を纏う。
「自らの体を竜の体質に変換する太古の失われた魔法。
「滅竜魔導士………凄い、でも、竜が竜退治の魔法を教えるのも変な話ね。」
「!!」
「今気づいたんだ。………でもナツだったんだ、本物の"火竜"は。」
手足に炎を纏い、周囲の取り巻きを蹴散らしたナツ。それを見てリュークも動き出した。
『さて、そろそろこちらも動きますか。』
「あのガキは後だ、まずはコイツから!!」
ナツは手に負えないと感じたボラと残った取り巻きは炎魔法や銃弾を一度に放った。
『遅い。』
だが、その瞬間リュークは"残像"を残してその場から消え、その次の呼吸で残像合わせた5人のリュークが周囲の取り巻きを一掃していた。
『ナツ、ボラは任せる、取り巻きは任せろ!!』
「任せな!!」
簡潔に指示を出すと、リュークは船内から出て来た伏兵に対して"残像"をフル活用した連撃で"攻め立て"、反撃どころか防御する暇すら与えず次々と倒していった。
「くそっ、敵わねぇ………」
「こ、ここは逃げるぞ!!」
『逃がすものか!!』
あまりにも一方的な展開に、一部の取り巻きが逃げようとしたのを見つけたリュークは得物を"ミュルグレ"の弓に変更し、風の矢を5本を一度に番え上空目掛けて放った。
『これで決める、"流星群"!!』
上空に放たれた矢は流星のように急降下すると逃げる敵へと追尾し、撃破したのだった。
『これで終わりかい?』
青き炎を纏い戦場に君臨し、
輝く武器を手に戦場を支配する。
その姿こそ、勝利へ導く青き
「"青燎"………最近一気に名を上げた魔導士って特集を見たけど、リュークの事だったんだ………」
とある事件をきっかけに名が知れ渡る事になったリューク。そんな彼についた異名が"青燎"、彼の顕現する紋章士の纏う蒼炎のような魔力のオーラが名前の由来である。
「ホーッ。」
『おっ、フェルトが降りてきたって事は片付いたかな?』
偵察をしていたフェルトが降りてくる、それはリュークにとっての戦闘終了合図である。それに応じてリュークはリンとの"エンゲージ"状態を解除した。
「ありがとうございます、リン。」
『お安い御用よ。でも………あれ、放っておいて大丈夫?』
「あれ?………あ。」
リンの指さした方向にいるのはナツ。リュークの指示通りボラを撃破していたが、制御が全くされていなかった事で港もめちゃくちゃになっており、港は半壊する程の被害が出てしまったのだった。
「………くそっ、一人で暴れさせるんじゃ無かった。」
「あい。」
「あい、じゃないわよ!!どうすんのこれ!?」
「とりあえず止まれ!!」
惨状に頭を抱えながらリュークは"ドロー"の杖でナツを呼び寄せ、ゲンコツを食らわせた。
「やり過ぎだ毎回毎回!!」
「いでっ………すまん。」
すると、一連の騒ぎを聞きつけた軍隊が大挙してやって来た。
「軍隊!!」
「………マズイな。」
「………ホー。」
「ヤベ、逃げんぞ。」
「あいさー!!」
ここで軍隊に捕まればロクな結果にならない、そう判断したリューク、フェルト、ナツ、ハッピーは即座に逃げの姿勢に入ったがここでナツがルーシィの手を取り引っ張ったのだった。
「きゃっ!?何であたしまで!?」
戸惑うルーシィだが、その戸惑いを吹き飛ばす言葉をナツとリュークが持ち合わせていた。
「だって魔導士ギルド入りたいんだろ?」
「
ナツは何となくで察し、リュークは船内で聞こえたルーシィの会話や態度で察していた。ルーシィが憧れ、どうしても入りたい魔導士ギルド、それが妖精の尻尾であると。
「来いよ。」
ナツのトドメの言葉に、ルーシィは満面の笑みで答えた。
「うん!!」
こうしてリューク、ナツ、ルーシィの三人とフェルト、ハッピーの二匹は一目散にハルジオンの街を出た。
「マズい、軍隊の速度が思いの外速い!!魔導二輪で振り切ろう!!」
「ええーーっ!?」
「うるさい!!ナツが暴れ過ぎなければ逃げる必要も無かったんだ、我慢して貰うぞ!!」
そういうとリュークは換装魔法で魔導二輪を出すとナツを抱えてルーシィを後ろに乗せ、フェルトとハッピーが前に乗ったのを確認すると魔力を全開に流してフルスピードで逃げた。
「しっかり掴まってくれよ!!」
「う、うん………!!」
「うぷ………やっぱり、ダメだ………」
「振り切ったら降ろすからナツはそのままじっとしててくれ。」
「よく抱えながら運転できるわね………」
「大斧ぶん回しながら乗るよりは楽だからね。」
「はやい………たすけて………」
そのまま軍隊を振り切るまで魔導二輪で走ったリューク。その後しばらくして徒歩に切り替えもうしばらく歩いて一行は目的地であるマグノリアに到着した。
「わぁ………」
目を輝かせながら目的の建物を見上げるルーシィ。その建物こそ彼女が憧れ、一員になりたいと想い続けたギルドの建物であった。
「ようこそ、妖精の尻尾へ。」
こうして新たな仲間が妖精の尻尾の門戸を叩いたのであった。
続く
・"
せっかくならリュークの異名をつけよう、と思い作った造語です。紋章士のあの青い炎のようなオーラを異名に持っていきたいなと思って「青」と「炎」をキーワードに色んな漢字を漁った結果、青い燎(ともしび)となりました。我ながら、味方を導くロードっぽい雰囲気の字が探せて良かったです。
"蒼炎"とか"青燐"とか、青い炎めいたワードはFEにありますが、これ使うと特定のキャラ限定となってしまうので使えず頭抱えたり抱えなかったり………