FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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ついに50話ですか………ここまで長かったような、そうでも無いような。毎度読んでいただける皆様に感謝です。

今回はアニオリで行くのですが、ここでリュークの隠していた(隠れていたか?)設定を開示するためにだいぶ改変します。


41章 目覚めの刻

ウェンディとシャルルが妖精の尻尾に加入してから数日が経った。女子寮への入寮や諸手続きが終わり、彼女達は本格的に妖精の尻尾の魔導士としての活動を始めていたのだった。

 

「ふわ〜ぁっ。おはよう、ルーシィ。」

「おはよう。相変わらずねリューク。待ち切れなくてナツとウェンディもう行っちゃったわよ。」

「行った、って何の話?」

 

いつも通りの寝坊助を発揮し、「おはよう」か「こんにちは」で挨拶を迷う時間帯にギルドに来たリューク。

 

「何でも西の荒れ地の近くに、"竜に会った事のある人"が滞在してるらしいの。」

「へぇ、竜に………」

め「それで、リュークも連れてくってナツが言ってたんだけどいつになっても来ないから待ちきれなくなっちゃって………」

「なるほど。いつもなら叩き起こされてただろうけど、ウェンディが止めてくれたかな?」

「よく分かってるじゃない。そう言えば、リュークも竜に会った事があるんだっけ?」

「まぁ、そうだね。それがきっかけでナツと意気投合して妖精の尻尾に誘われた訳だし。」

「へぇー………それで、その竜ってどんな感じだったの?」

 

ルーシィの質問に、リュークは少し困った顔を見せた。

 

「どう、と問われると、人間とあまり変わらないよ、と答えるしか無いかな。」

「人間と変わらない?」

「同じ人間の女性でも、ルーシィとエルザは全然違うだろ?それと同じで竜にも性格や個性、好みがあったし………種族が違うって事以外はそんな大きな差は感じなかったかな。」

「そこが一番おおきいんじゃないの………?」

 

と呆れ気味に言ったルーシィ。

 

「(………でも本人にとってはあまり関係無いのかもね。"自称・得体の知れない化け物"のリュークにとっては。)」

 

六魔将軍との戦いの最中、リュークが人ならざる何かだと知ってしまったルーシィ。だが、ルーシィのリュークへの印象や対応は特に変わらなかった。

 

「(それにしても………頭が切れるけど寝坊助でのんびり屋で、ちょっとお節介焼きのお人好しな人間、そこはやっぱり変わらないよね。)」

「………ルーシィ、何かあった?」

「いや、何でもないわ。それよりどうするの、追いかける?」

「………いや、ナツとウェンディから帰って来て話を聞いてからでもいいかな。別に俺はナツ達と違ってその竜を探してる訳じゃ無いし。」

「そう。………見つかるといいね。ナツ達の育てのドラゴン。」

「そうだね。」

 

==========

 

しかし、夕方になってもナツとウェンディ、そしてハッピーとシャルルは帰って来なかった。

 

「遅いわね………」

「近頃妙な奴等の目撃情報があるってエルザが言ってたばかりでこれはな………」

「それだけ話が弾んでるのかしら?」

「だとしても、ウェンディに過保護なシャルルが許すとは思えない。」

「まさか、誰かに襲われてる?エルザもさっき変なのと戦ったって言ってるし………」

 

エルザがさっき戦った変なの。それは獣の雰囲気を放ちながらもエルザと同じ換装魔法を使用した、フードを被った謎の存在だと言う。それがマグノリアに出没したという情報があったばかりのこの状況は心配せざるを得なかった。

 

「ナツがいるから大丈夫だとは思うけど………ちょっと迎えに行こうか。マスター。」

「何じゃ?」

「まず俺とルーシィで様子を見てきます。何かあったらフェルトを飛ばしますので、その場合は援軍お願いします。」

「承知した。」

「行こうか、ルーシィ。」

「うん。」

 

==========

 

程なくしてナツとウェンディが来た西の荒れ地に到着したリューク、フェルトとルーシィ。すると目の前にエルザの言っていた特徴と合致するフードの人型が現れた。。

 

「うわっ!?」

「無関係じゃなかったか………!!星炎け(かがやけ)、始まりの紋章士(エムブレム)!!」

 

紋章士マルスを顕現し"レイピア"を構えたリューク。すると、目の前の人型も剣を出し同じように構えた。

 

『リューク、これは………』

「はい。恐らくは換装を使う、というよりは魔法のコピーですね。」

 

突撃して剣を繰り出す人型。

 

「"クラスチェンジ"、剣士。遅い!!」

 

だがリュークは"クラスチェンジ"で相手のスピードを上回り、人型の剣を流してから乱れ突きで吹き飛ばした。するとその影響でフードが取れ、人型の正体が露わになった。

 

「何あれ、トカゲ………?」

「リザードマンって奴か?でも何だ………?」

『何だろう、生気を感じない………』

「造られしものって言う事ですか………!!」

 

だが分析をする余裕は無く、同じようなリザードマンが次々と現れた。

 

「………!!ルーシィ、タウロスだ!!そして君は槍を持て!!」

「分かった!!開け、金牛宮の扉、タウロス!!そして、凍晶け(いてつけ)、氷華の紋章士(エムブレム)!!」

「MOーーーッ!!」

「「"エムブレム・エンゲージ"!!」」

 

ルーシィはタウロスと紋章士フィヨルムを召喚、さらにリュークと同時に"エンゲージ"を行い"レイプト"の槍を構えた。すると次々と現れたリザードマンはリュークの剣、ルーシィの槍、タウロスの斧のいずれかを出して構えた。

 

『ルーシィは剣の敵を、タウロスは槍の敵を!!そして俺は、斧の敵を狙え!!』

『分かったわ!!』

「MOっ、承知しました!!」

 

武器の相性を利用し、有利な敵に集中する事でリザードマンを次々と倒すリューク達。だが倒せどもリザードマンは次々と現れキリが無かった。

 

『っっ………!!フェルト!!』

「ホーッ!!」

『フェルトを狙おうって、そうはいかないわ!!』

 

打ち合わせ通りフェルトに援軍要請を出したリューク。リザードマンの中にそんなフェルトを狙おうとした者がいたがルーシィが"護り手"で割り込んで阻止し、フェルトを無事マグノリアへ向かわせた。

 

『次はどう一掃するかだけど………!!』

 

その時、突如としてリューク達の目の前に巨大な物体が現れた。

 

『なっ………!?』

「MO、これは………!?」

『ドラゴン………?』

 

現れたのは、胸部に赤い宝石のようなものが埋め込まれたドラゴンのような物体。すると、そこからテンションの高い女性の声が聞こえた。

 

《ハイハイハイ!!隠匿魔法解除!!各魔水晶(ラクリマ)起動準備!!感度良好!!》

『何あれ………?』

『さあ。格好からして、このリザードマンの親玉みたいだけど、本物のドラゴンじゃない。』

『つまり!?』

『このリザードマンを造った元凶の乗る、兵器って事だ!!』

 

リュークが兵器と断じたドラゴンから再び声がした。

 

《では、火竜(サラマンダー)以外の不純物は、とっとと出ていけー!!》

 

その声と共にドラゴンの腹部が開き、中から1人の少女と2匹のネコが出て来た。

 

『あれは!!ウェンディ!?』

『ハッピーとシャルルもだ!!』

 

魔導二輪を出して全速力でウェンディ、ハッピー、シャルルを回収したリュークは直ぐ様ルーシィの横までとんぼ返り。

 

『一体何があった!?』

「ナツが捕まっちゃったんだよ!!グレイがダフネって奴と手を組んでナツを捕まえて………!!」

『はい!?それでナツは!?』

 

その答えは目の前のドラゴンから聞こえてきた。

 

《ハイハイハイ、準備が整ったところで火竜の魔力吸収、開始………ドラゴノイド、起動!!》

 

するとドラゴノイドと呼ばれたドラゴンの胸部の赤い宝石が光り出し、ドラゴノイドは動き始めた。

 

『何やってるんだ、ナツもグレイも!!』

 

ルーシィの所まで戻り、今度は"ファルシオン"を構えたリューク。するとドラゴノイドがリューク達の方を向いた。

 

《見て見てぇ、これ私が開発した人工ドラゴン、名付けてドラゴノイド!!火竜の魔力を糧に、今ここに堂々とお披露目ってわけ!!》

『はい!?』

『人工ドラゴン………?開発………?』

『ってそれにリューク、上!!』

 

ルーシィが指差したのはドラゴノイドの頭。その上には、グレイが氷の弓矢を構えて立っていた。

 

『グレイ!!あんた何のつもりよ!?』

『ナツを売って味方に弓を向けるとは大した度胸だな。』

「味方?悪いが俺は自分の意志でこうしている。邪魔するならお前らでも射つ。」

 

グレイとの睨み合いになる中、空気を読まずにドラゴノイドの中からこれを操縦する女性、ダフネの声がした。

 

《はいはい、こうして私の成果が身を結んでドラゴノイドが完成したってわけ。お前達はそれを祝福すればいいんじゃない?》

『訳の分からない事を言わないで!!ナツを返して!!』

《それはできない相談ね。このドラゴノイドの動力源は火竜、ナツ・ドラグニル。そのナツの魔力を使い尽くすまでは返してあげなーい。》

 

魔力を使い果たす。それは魔導士にとっては"死"そのもの。

 

『そんな………!!』

「早くナツさんを助けないと!!」

「邪魔するつもりならやってみろよ。もっとも、お前らじゃ無理だろうけどよ。」

『……………』

 

睨み合うルーシィ達とグレイ。すると、シャルルが何かを思い出して発言した。

 

「そう言えば!!ドラゴンマニアが高じて人工的にドラゴンを造り出そうとする危ない魔導士がいるって噂を聞いたことがあるわ………!!」

『……………』

「まさか、あなたなの!?」

 

ウェンディの言葉にドラゴノイドの操縦席からダフネが拡声器越しに答えた。

 

《その失礼な噂はこう変わる。「天才科学者ダフネが、人工ドラゴンの発明に成功した」とね。》

 

すると、しばらく沈黙していたリュークが口を開いた。

 

『………それのどこがドラゴンだ?』

《え?聞こえなかったけど、何て?》

『そんな"ガラクタ"の"なりそこない"のどこがドラゴンだと聞いているんだ!!』

『!?』

 

頭脳派ではあるが、同時に暖かく笑い熱く怒る熱血派であると捉えていたルーシィ。だがそんなルーシィのイメージとは真逆の、凍りつくような冷たい声色で怒りを露わにするリュークの見たこと無い姿に、ルーシィは身震いした。

 

《ガラクタ!?このダフネの自信作である人工ドラゴン、ドラゴノイドがガラクタだって!?よくもそんな口が聞けたね!?》

『よくもそんな口が、とは俺のセリフだ………。そんな生命も、魂も、心も宿っていないガラクタごときをドラゴンだなんて呼ぶな、恥ずかしい。』

《知った口をきくじゃない!!"ドラゴンはいない"!!》

『………あ?』

 

さらに青筋の浮かぶリュークに気づかないままダフネは続けた。

 

《"あれは全滅した"、"デカいトカゲだ"、"目の錯覚だ"、"嘘つき"、"嘘つき"………私はドラゴンをこの目で見た、だけどそれを皆は嘲笑って、無視して………ドラゴンの存在を、力強さを、神々しさを、否定され続けて来た………!!》

 

一瞬感情的に言い捨てたダフネだが、すぐに元のテンションの高い話し方に戻った。

 

《ハイハイハイ、だから私はドラゴンの存在を証明するためにドラゴンを"造った"!!そして始めに笑った奴等を実験台にして消してやった!!そして改良を重ねて今………滅竜魔導士の力という最後のピースを得て念願のドラゴノイドはここに完成した!!》

『……………』

《そして私は、ドラゴノイドの力を以てドラゴンの力を………皆が皆して否定して来た力を示して………》

 

『もう喋るなクソ外道がッッッ!!』

 

地鳴りを錯覚する程の怒鳴り声。その一声で場が静まり返ったところでリュークは続けた。

 

『もうたくさんだ。黙ってりゃ好き勝手言いやがって………もう口を開くな。………これ以上、竜の誇りを穢すな。』

 

そう言い放ち、紋章士マルスとの"エンゲージ"を解除しながらドラゴノイドに向かって歩き始めたリューク。するとウェンディが呼び止めようと声をあげた。

 

「リュークさん!!」

「……………」

「リュークさん、まさか………!!」

 

それに対して、リュークは振り返ってニコリと笑った。

 

「ウェンディ。………今まで秘密にしてくれてありがとう。」

「いいんですか!?今まで隠して来たのに………!?」

「………ルーシィにも何となくバレたし、そろそろ潮時だ。後は自分で何とかするよ。」

 

そう言い残すと再び険しい表情に戻り、リュークは再度前を向き歩き出し、そして指輪を掲げた。

 

「………夢観よ(ゆめみよ)、竜姫の紋章士(エムブレム)。」

 

呪文と共に現れた紋章士。それは他の紋章士とは毛色の違う衣装を身に纏い、そして何よりもその紋章士は、ウェンディと同等かそれよりも幼い少女だった。

 

『………リューク、本当にいいの?』

「うん、腹は決まった。仲間の前でこの姿を見せるのも、怖がられたら皆の前から去るのも………決心がついた。後は、あの恥知らずを消すだけ。」

『………分かった。なら私は何も言わないよ。』

「………ただ、最後に"この姿"になってから100年以上も経ってる。だから力を貸して………"お姉ちゃん"。」

 

リュークが"お姉ちゃん"と呼んだ、幼い紋章士は「任せて!!」と言わんばかりに胸を叩いた。

 

『しょうがないなぁ。ならお姉ちゃんに………チキに任せて!!』

「ありがとう。………じゃあ、行くよ。」

 

するとリュークは懐から手のひらサイズの水晶のような宝石を出した。

 

「ダフネとか言ったな………それにグレイと、聞こえてるか知らないけどナツ。」

 

一呼吸置いてからリュークは続けた。

 

「お前達が誰を怒らせたか、誰を貶したか………その身で思い知れ。」

 

リュークはその宝石に魔力を流し込んだ。すると、青白い光がリュークを包んだ。その光は瞬く間に広がり周囲にいる者の視界を奪った。その光はすぐに収まったが、そこにいたはずのリュークは全く違う存在となっていた。

 

「ええっ!?」

「ウソ………!?」

「やっぱり………!!」

「これが、リュークの正体………」

 

それはドラゴノイドよりは小さい、10メートル強程の存在だった。翼、尻尾、爪、牙、鱗………その全てが光に反射する雪のような白銀の輝きを放ち、そこに君臨したのだった。

 

「ま、マジか………!!」

《な………!!》

『……………』

 

敵味方問わず、その場にいた者が息を呑んだ。リュークのいたはずの場所に君臨する、その存在。それは紛う事無き、白き"(ドラゴン)"だった。

 

「リュークが、ドラゴン………」

「………きれい。」

「あい………」

「驚いたわ………」

「おいおい、こいつは聞いてないぞ………!!」

《…………》

「おわっ!?」

 

突如現れたドラゴンを前に思わず呆然と見るだけとなった一同。ただ1人、ダフネはドラゴノイドを動かしドラゴンへと接近。

 

《ハイハイハイ、私は間違っていなかった!!ドラゴンは存在していた、私は間違っていなかった!!私はついに………!!》

 

だが次の瞬間。

 

『ひかえろ。』

 

たったの一言。それだけでドラゴノイドも、その頭の上にいたグレイも立てなくなり跪いた。それに対して白きドラゴンはバサリと羽ばたき見下ろした。

 

『神竜王の(すえ)たる我を前に図が高いぞ、下郎。』

 

その声は確かにリュークのものであった。一言一言が重力魔法のように重くのしかかり、ドラゴノイドもグレイもドラゴンとなったリュークの姿を見る事すらかなわなかった。

 

『我ら竜族への冒涜、仲間への裏切り………これらは嘆くべきものなれど、世の理なれば大目に見よう………だが、不遜にも竜族を"造ろう"などと宣う貴様なら分かるだろう………(ドラゴン)とは、何なのかを。』

 

リュークはドラゴノイドとグレイを睨み付け、地を揺らすかのように吼えた。

 

『不遜にも(われ)仲間(たから)に手をつけたんだ………存在ごと灰となって消える覚悟の一つ二つ、できているのだろうな!!』

 

 

続く




・リュークの正体
はい。最序盤から情報ポロポロ出したり、"竜石"出したり、そもそも滅竜魔法が苦手って言うわ大ダメージ受けてるわの時点で答え言ってたも同然ですが、そうです。

リュークは竜族です。(エンゲージではその呼び方は無いですが)実質マムクートです。

詳しい事はこの先の1か2話程で出しますが、とりあえずは50話と言う節目のところでの開示です。

・"お姉ちゃん"
六魔将軍でもちょっとだけ登場しましたが、リュークが"お姉ちゃん"と呼んだのは原作の紋章士で唯一まだ出してなかったチキでした。もちろん本当の姉弟ではありませんが、どうしてそう呼んでるのかはこれまた次回以降で。

次回は竜化したリューク(言いにくいなw)の戦闘回です。
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