「"ダイムサンダ"!!」
『退いていただこう!!』
「ふぅ………当たらん!!」
エドリュークと紋章士ラインハルトの繰り出す"ダイムサンダ"による絶え間ない雷撃。だがリュークは"霧のブレス"で姿をくらましながら雷撃をかわし、距離を詰めていた。
「"点"で当たらぬのなら"面"だ、これで近寄れまい!!」
「
"ダイムサンダ"により雷の壁を生成してリュークの接近を阻止したエドリューク。それに対してリュークは紋章士ロイを顕現し、シンクロスキルの"踏み込み"で雷の壁を強引に突破。
「"神竜の双刃"!!」
「ちっ………!!」
「さっきまではしつこく追っていたのに、今更逃げるとは不公平じゃあないか!?"神竜の咆哮"!!」
「むんっ!!」
リュークの口から放たれたブレスに、エドリュークと紋章士ラインハルトの雷が激突し土煙をあげた。
「
「!!」
「"神霧の細波"!!」
今度は紋章士リンを顕現して速さを上げながら接近、"マスターソード"に切り替えたエドリュークに対してリュークは"倭刀"に霧を纏わせ連続斬りを繰り出した。すると紋章士リンのスキル、"速さの吸収"でどんどん速くなり、やがては紋章士ラインハルト由来の手数の多さを凌駕する速さに達した。
「ぐぬ………っ!!」
「"神竜斬"!!」
そして"マスターソード"を弾き飛ばしたリュークは"倭刀"に"神竜のブレス"と"霧のブレス"、2つの力を同時に纏わせ袈裟懸けに振り下ろした。
「………!!」
「………やっぱり持ってたか、"女神の加護"。」
ボロボロに刃毀れした"倭刀"を見て顔をしかめたリューク。だが顔をしかめたのは紋章士ゼルギウスに切り替えていたエドリュークも同じだった。
「………ただの武器で"女神の加護"にダメージを………貴様、何者だ!?」
「おや、見ていなかったのかい?さっきここで暴れた白いドラゴン………それが俺、神竜の末裔、リューク・ソラネルだよ。」
「ドラゴン、だと………!?」
先程の竜化したリュークの姿を見ていなかったエドリュークは信じられないと言う顔をした。それを見てリュークはほくそ笑んだ。
「ようやくその偉そうな笑みが消えたね。」
するとリュークは"竜石"を出した。
「でも信じていないみたいだ………なら見せてあげるよ。」
そう言いリュークはその場で竜化。
「な………!!」
『竜鱗族………!!』
驚いたのはエドリュークや紋章士ゼルギウスだけでは無かった。
『(やはり、マムクートだったか………!!)』
『(カムイと同じ、竜の血が濃くて竜化できる者か!!)』
紋章士カミュや紋章士リョウマのような、竜族と会った事のある紋章士も驚きを見せる一方、リュークは翼を広げながらエドリュークを見下ろした。
『改めてすまなかったな、エドラスの俺。だがここからは逃げも隠れもしない………さぁ、かかってこい。』
「………ならば貴様を倒し、あの滅竜魔導士と同様に、その魔力をエドラスに捧げて貰う!!」
エドリューク紋章士ゼルギウスと共に"エタルド"をリュークに向かって振り下ろし、衝撃波を飛ばした。
『ふん!!』
だがリュークはそれを爪で弾くと、再びブレスの構えを取った。
『"神竜の霹靂"!!』
今度放たれたブレスは普段のレーザーのようなブレスでは無く、リュークの口元から少し離れたところで枝分かれし、無数の桃色の雷光となって降り注いだ。
「むぐ………つああっ!!」
降り注ぐブレスを振り払ったエドリュークは飛び上がり、紋章士ゼルギウスと共に2振りの"エタルド"を振り下ろしたがリュークは衝撃波を弾いた爪で受け止めると爪を振り下ろし地面に叩き付けた。そして間髪入れずリュークはそれを追って急降下すると尻尾を振り下ろした。
『"スマッシュテイル"!!』
思いっ切り振り下ろした尻尾の一撃は地面を容易く砕いた。だがエドリュークと紋章士ゼルギウスは"エタルド"で受け止めていた。
『ちっ、纏わせないと"女神の加護"は貫けないか。』
「ぬぐ、ぐぐっ………!!」
『だったら、こうだ!!』
巨体に似合わぬ身のこなしで体勢を変えたリュークは爪に桃色の魔力を纏わせた。
『"神竜の撃鉄"!!』
「ぐっ………ごはっ!?」
鋭く繰り出された爪と、続けて放たれた衝撃波。だが人型で放った時よりも威力が高く、重い一撃はエドリュークを壁まで簡単に吹き飛ばした。
「ぐう………貴様、今まで手を抜いていたな………!?」
『そりゃあそうでしょう。竜の力を人里で暮らして使えると思ってたのか?』
「人里どころか王都で使っておいて何を今更!?」
『逆に聞くが………人様の街襲っておいて怒らないとでも思ったか?報復が無いとでも思ったのか?』
「………!!」
『それに、やはり戦狂いの"演技"が雑になってるぞ?普段ならここから色々話を聞き出すところだが………生憎と遊んでいる暇はもう無い。』
空へと飛び上がったリュークは"神竜のブレス"と"神霧のブレス"を"同時に"繰り出した。
『"双神のブレス"!!』
"力加減"を忘れたリュークのブレス。いくらリュークが種族の中では若く、小さい方だとしてもれっきとした"竜族"、それが全力を出して人1人と紋章士ができるのは被害を最小限に抑えるのが精一杯である。だがリュークの攻撃はこれでは終わらない。
『奥義………"双神・竜星剣"!!』
2つの力を纏ったリュークは急降下。一切減速せずに最高速度でエドリュークのところ目掛けて、桃色の軌跡を描く一筋の流星のように突撃。辺り一帯を一撃にして更地に変えた。
『ってて………っと、邪魔者はとりあえずいなくなった。なら、次は………!!』
再び翼を広げ、飛び立ったリューク。そこにフェルトも合流した。
「ホーッ!!」
『フェルト!!あの浮遊島か!?』
「ホホッ、ホーッ!!」
『そっちか、分かった!!』
フェルトを頭に乗せ、マグノリアの皆の魔水晶が置かれた浮遊島へと飛ぶリューク。すると、王城の方から竜の頭のついた巨大な魔法の鎖が放たれ、リュークが目指していた浮遊島に接続された。
『っ!!この魔力、ナツとウェンディから取り出した魔力か!!と言う事は、フェルトの集めた情報と集めると………!!』
リュークが更に見回すと、一際大きい浮遊島を見つけた。
『あれがエクスタリア………エクシードの住まう場所。あそこに、皆をぶつけようって算段だな!!』
「ホッ!!」
『こんな鎖………!!"エターナルクロー"!!』
爪を振りかざし、鎖を断とうとしたリューク。だがその鎖、ナツとウェンディから抽出した魔力でできた"竜鎖砲"の鎖は簡単に砕けなかった。
『………チッ、時間がかかる!!ぶつからないように押し返した方が早い!!』
鎖の破壊を早々に切り替えたリュークは鎖の繋がれた巨大魔水晶の置かれた浮遊島とエクスタリアの間に入った。
『
『任せなァ!!』
『『"止水雷轟の構え"!!』』
鎖に引っ張られ、エクシードの住まうエクスタリアへ近づく巨大魔水晶の浮遊島。それを止めるべく、リュークは紋章士ヘクトルと共に守りを固めながら巨大魔水晶の浮遊島に激突。
『『ッッッ………オオオッ!!』』
一瞬押されたリュークだが、紋章士ヘクトルの力も借り拮抗状態に戻した。
『思ったよりも、向こうの力が強いな!!』
『そんなの関係無いです………!!何が何でも、ぶつけさせて………たまるものか!!』
「ホーッ!!」
すると、リュークの横から1頭の
『誰だか知らねぇが………』
『助かる!!』
チラと隣のレギオンを見ると、そこにはリュークの知らない搭乗者の他に、見知った顔が4人いた。
「ダメだ、まだまだ押し返せねぇ!!」
「私達も魔力を解放するんだ!!」
「お願い、止まってぇ!!」
「うおおおっ!!」
『ナツ、ルーシィ、エルザ、グレイか………よし、手を貸してくれ!!』
力と魔力を合わせ、浮遊島を押し返そうとするリューク達。だが"竜鎖砲"の力も上がり、ゆっくりとだが浮遊島も加速を始め再び押し返されていた。
『『負けるものかぁぁぁッ!!』』
再び吼えたリュークと紋章士ヘクトル。だが拮抗状態に持っていくのがせいぜいで押し返すにはまだ至っていなかった。
「ナツー!!」
「ハッピー!!」
「オイラ………あのさ………」
「ア?良く分かんねぇけど………手伝え、相棒!!」
「あいさ!!」
すると浮遊島にいたハッピーも合流、続けて浮遊島の上でパンサーリリーと戦闘していたガジルも戦いを切り上げ合流した。
「ひとまず休戦だ。」
「逃げる気か!?」
「逃げも隠れもしねぇよ。コイツを止めてから決着をつけて、そんでその後でお前をギルドに連れて帰る………そして、俺のネコになってもらう!!」
「無駄な事を………今更止まらんと言うのに………!!」
無謀な事を行う者の顔だけ見ようと覗き込んだリリー。すると、アースランドの魔導士の中に見知った顔があり驚きの顔を見せた。
「ココ!?なぜお前まで………!?」
ナツ達の乗って来た飛竜の持ち主、ココ。幕僚長補佐という立ち位置でありながら、エドラスの作戦によりリリーが犠牲になる事に反発したココは道中でルーシィに助けられた事もあり、アースランド側につき浮遊島を止めようとしていた。
「リリー、私気づいちゃった。私………永遠の魔力なんていらない。永遠の笑顔がいいんだ!!」
「何てバカな事を………!!早く逃げろココ!!この島は何があっても止まらんぞ!!」
リリーの制止に対して吼えたのがナツだった。
「止めてやる!!身体が砕けようが魂だけで止めてやらぁ!!」
「………!!」
再び浮遊島の勢いが増して押されるリューク達。ついにはエクスタリアの端を削り始めるところまで行っていたがリューク達は諦めていなかった。
「うおおおおおお!!」
「潰されそ………!!」
「うギギ………!!」
「ふんばれ!!」
「何としても止めるんだ!!」
「無駄な事を!!人間の力でどうにかできるものではないと言うのに………!!」
『………だとよ、リューク!!』
『ならちょうどいい………竜が3人4人といて、止められない道理は無い!!
竜の咆哮を轟かせたリューク。
『僕達も!!』
『力を貸すわ!!』
『エリウッド、リン!?………そうかよ、お前そこまで行ったか。よっしゃあ、俺達3人もついてる!!思いっ切り押し込むぞリューク!!』
『よろしくお願いします………エリウッド、リン、ヘクトル!!』
紋章士ヘクトルに加えて紋章士エリウッド、紋章士リンと3人同時に顕現させたリュークはもう一度吼え、3人の紋章士の力を合わせて浮遊島を押した。そして更に。
「シャルル!!」
「私は諦めない!!妖精の尻尾の皆も、エクスタリアも、両方守ってみせる!!」
エクスタリアから、エクシードの説得に向かっていたシャルルも合流。更に、面長のエクシードも続いて来た。
「うあー!!」
「アンタ………」
「ぼきゅも守りたいんだよ………きっと皆も。」
更に面長のエクシード、ナディに続いてエクスタリアのエクシードが大挙して浮遊島を防ぐ為に飛んで来て次々と浮遊島を押し始めた。その中には、シャルルと共にエクシードの説得に向かったウェンディもいた。
「自分達の国は自分達で守るんだ!!」
「危険をおかしてこの国と民を守り続けた女王様の為にも!!」
「ウェンディさん、シャルルさん、さっきはごめんなさい!!」
「今は、これを何とかしよう!!」
「シャゴット!!そんな翼じゃ………!!」
「いいえ、やらなければいけないのです………私達にできる事を!!」
エクスタリアの女王、シャゴットさえも片方しかない翼を懸命に羽ばたかせながら浮遊島を押そうとしていた。
「ああ!!」
「シャゴット!!」
「女王!!」
だが片翼で飛び続けるには限界があり、墜落してしまった。しかしそこに飛び込みシャゴットを救出したのは浮遊島から一部始終を見ていたリリーだった。
「リリー………」
「女王様。」
「ウソをつくのに疲れたかい?」
「ごめんなさい。私………」
「俺もさ。」
大怪我をした人間をエクスタリアに連れてきてしまったが為に"堕天"とされ、エクスタリアから追放されて以来エクスタリアを憎んでいたリリー。だが憎いはずのシャゴットを助けた彼の目からは涙がこぼれ落ちていた。
「どんなに憎もうとも、エクスタリアは俺の国なんだ。」
「リリー………」
「だが、もう手遅れだ………これだけ束になったところで、もう止まらねぇ………クソッ、俺のせいだ!!俺なら人間を止められたと言うのに………!!」
「いいえ。想いはきっと届くわ。」
少しずつ、少しずつエクスタリアを削る浮遊島を、叫びながら踏ん張り、止めようとするアースランドの魔導士達にココとエクシード達。
『(まだ、まだ………!!この程度で、竜が全力出して………この程度で良い訳無いだろ!!仮にも神竜なら………こんなもの、跳ね返すんだよ!!)』
再び吼え、力を入れようとしたリューク。
『ーーーーー。』
だが、彼の口から放たれたのは咆哮とはかけ離れたものだった。静かで、しかし一帯によく響く、澄み渡った声。
『(何だ、今の………?)』
「ホー?」
無意識に放たれた声にリューク自身が一瞬戸惑った。
「何よ………今の、聞いた事も無い声は………!?」
『知らない!!』
「そっか。………でも、ありがと。」
『何が!?』
「あの声で、少しだけ………力が湧いてきた。」
『はい?』
それはルーシィだけでは無かった。
「何だか知らねぇが………!!」
「これなら押し返せる!!」
「妖精の尻尾も、エクスタリアも………!!」
「オイラ達で守るんだ!!」
「ホホーッ!!」
そして、特に顕著だったのがこの3人だった。
「凄い………私にも、これだけの力が………!!」
「ギヒッ………今なら、何でもできそうだ!!」
「このまま………止まれェェェ!!」
『今なら………いける!!』
リュークの"一声"はあまりにも大きなきっかけとなった。遂に、魔水晶の浮遊島が押し返され始めた。
「魔水晶が、押し返されていく………」
『あともう一息だ!!』
『これで終わらせるわよ!!』
『最後にもう一回、気合いを入れろ!!』
『よぉし!!このまま、押し返せェェェ!!』
この勢いを逃さず、さらに数メートル浮遊島を押し返したリューク達。すると次の瞬間、浮遊島を眩い光の柱が包みこんだ。
『!!』
光の柱は一瞬で消えた。
『何だったんだ、今の………ぐっ!?』
確認しようと瞬きをしたリューク。だが急に体勢を崩した。すぐに立て直したリュークだが、顕現されていた3人の紋章士の内紋章士エリウッドと紋章士ヘクトルは消えたのだった。
『リューク、あなた今しれっととんでもない事やらかしたわね。紋章士を2人同時顕現した人ですら片手で数えられる程もいなかったのに、3人も顕現するなんて……』
『それよりも………どうなった!?』
浮遊島を見やったリューク。すると、浮遊島に置かれていたはずの、浮遊島より大きかった魔水晶が綺麗さっぱり無くなっていた。リュークも、エクシードに抱えられた人間も戸惑い、魔水晶を探した。
『魔水晶は!?』
「アースランドに帰ったのだ。」
上から聞こえた返答に、見上げたリューク達。その先にいたのは、大きな鳥の上に乗ったミストガンだった。
「全てを元に戻すだけの巨大な"アニマ"の残痕を探し、遅くなった事を詫びよう。そして皆の力が無ければ間に合わなかった、感謝する。」
「ミストガン!!」
「戻した、って………」
ミストガンは頷いた。
「魔水晶はもう一度、"アニマ"を戻りアースランドで元の姿に戻る。全て、終わったのだ。」
『………!!』
アースランドから来た魔導士にとっても、エクシード達にとっても、自分達が仲間と共に生きた街を守れた。その事実に気づいた皆は喜びを爆発させた。
「やった!!」
「俺達、故郷を守れたんだ!!」
皆が喜び合う中、ミストガンはリリーの方を見た。
「リリー。君に助けられた命だ………君の故郷を守れて良かった。」
「ええ、ありがとうございます………王子。」
「王子が帰って来た………!!」
「王子!?」
ミストガン………即ち、エドラスのジェラールがエドラスの王子だと判明した。そのミストガンは、かつて"堕天"と呼ばれる事になったとしても命を助けて貰った命の恩人であるリリーとの再会を噛み締めていた。こうしてリューク達のエドラスの戦いは終わる………かに思えた。
続く
何か終わりっぽい雰囲気出しましたが終わりません。終わる訳がありません。まだ決着つけてないですもの。
・"双神"
"神竜"と"神霧"の力を合わせた攻撃の総称。消費魔力が増える代わりに、"神竜"の高威力と"神霧"の防御貫通を合わせた、より強力な一撃を繰り出す。
竜化した時、並びに神竜格闘術の技はエドラスが終わったタイミングにまとめようと思います。
・???
リュークが無意識に放った"声"。詳細不明、未完成の技だが味方にバフを送る事だけは判明している。