FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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お気に入りが100件突破しました!!いつも読んでいただきありがとうございます!!
始めて間もなく1年というタイミングで大台に乗せていただき感謝の極みです!!これからも頑張りますのでよろしくお願いします!!

さて今回からオリジナル展開に入ります!!ここでリュークの過去に迫ろうと思います。


(あと、この作品のタグの中でうやむやになってる奴があるのでそろそろ踏み込ませれたらな………とも思いつつ。)


56章 夢の跡地

エドラスでの冒険から数日が経ち、年の瀬が近づいても毎日騒がしい妖精の尻尾のギルド。だがこの時の騒がしさはいつもと違う、"忙しなさ"から来るものだった。

 

「ただいまァ!!」

「お帰り、グレイ。服は?」

「それどころじゃねぇ!!次の仕事だ!!」

 

上裸のグレイは仕事から帰って来たかと思うとUターンして次の仕事へ。

 

「姉ちゃん、俺はこの仕事に行ってくる!!」

「仕事仕事ー!!」

「おい、その仕事は俺が先に………!!」

「知るか!!」

「この時ばかりはチーム解散だ!!」

 

クエストを受注して貰うべく、バーカウンターにいるミラに殺到する魔導士達。

 

「な、何事なの………?」

「毎年この時期はこうなのよ。その内分かるわ。」

 

これは年末の妖精の尻尾では定番の光景だが、ギルドに入って半年くらいのルーシィにとっては初めての事で圧倒されていた。

 

「………カナの言葉も、これに関係あるのかな?」

 

昨晩、自分の部屋に遊びに来たカナから、

 

「ギルドを辞めたいと思うんだ。」

 

と理由も無く打ち明けられたルーシィ。そのカナの言葉と、仕事に対して目の色を変えている仲間に戸惑いを見せていたが、それはそれとしてルーシィには悩みがあった。

 

「って、あたしもそろそろ家賃が危ないんだった!!でも皆1人で仕事行っちゃうし………」

「そうね………この時期はシャドウ・ギアの3人みたいにチームを組んでる魔導士も1人で動くわ。」

「皆に同行したいって言っても断られるし………エルザはエルザで何か忙しそうだし………ウェンディとシャルルはリサーナと仕事に出ちゃったし………」

「リュークもいないものね。」

「………もう慣れちゃいましたし、確かにリュークとが一番やりやすいのは事実ですけど、どうして毎回あたしにリュークの話振る時は満面の笑みなんですか?」

「だって"お似合い"じゃない。」

「同じ魔法を使うだけなのに………それならアルザックとビスカだってそうじゃないの。」

「「!?」」

 

思わぬ飛び火を食らい、驚きながら顔を赤らめるアルザックとビスカを尻目に、ミラは答えた。

 

「でも最近よく聞くわよ?ルーシィが夜中にリュークの家に入り浸っているって。」

「それは鍛錬に付き合って貰ってるだけで………」

「エルザからは前以上に息が合ってるって聞いたわよ?もう言葉が無くても通じ合ってるようだって。」

「大袈裟な………でも思い返せば、戦ってる最中のお小言は減ったかも。後は………リュークの方が合わせてくれる時が増えた、かも?」

「………これ、もしかしたらリュークの方かもしれないわね。」

「?」

「何でもないわ。でも、そのリュークはしばらくギルドに来ないのよね。」

「そうなんですか?」

「そう、今実家に帰ってるのよ。」

「実家に?あれ、でも確か………」

「………綺麗にしておきたいんだって。」

「そっか………」

 

その後少し雑談してから、ルーシィは仕事に行こうとした。

 

「じゃあ、今回はあたし1人で行くしか無いか………って、あんなまっさらなクエストボード初めて見たわ。」

 

しかしギルドの魔導士が片っ端から仕事を持っていった為クエストボードはほぼまっさらな状態になっており、仕事がほとんど残っていなかった。

 

「………どうしよう。仕事が無い。」

「安心してルーシィ、ここに今から補充する依頼があるわ。この中でルーシィが好きそうな依頼は………」

 

ミラはルーシィの目の前で、新たに届いた依頼の中からルーシィの好みそうなものを探した。

 

「これならどうかしら?」

「えーと………古代遺跡に眠る秘宝の調査?」

「こう言うの好きじゃない?報酬も悪くないし。」

「前金30万J(ジュエル)に、見つかった秘宝に応じて追加報酬………!?うん、報酬が高い割にそんなに危険な場所じゃ無いようだし、これにします、ミラさん!!」

「はーい。依頼主にはこちらから連絡しておくから、気を付けて行ってらっしゃい。」

 

ルーシィはミラから勧められた依頼を受ける事にし、支度をしてから遺跡の調査へと向かった。

 

「………あら?」

 

しばらくして、ふとその依頼書を持ち上げたミラは、裏に注意書きが書かれている事に気付いた。そしてそれを読むと、顔が青ざめた。

 

「大変!!」

「ん?どうかしたのか?」

「マスター!!さっきルーシィが受けた依頼なのですが………!!」

 

そこにはこう書かれていた。

 

「"行方不明者多数につき、前金を100万Jに引き上げます"………ですって!!」

「なんじゃと!?場所は………うん?」

「どうかしましたか?」

「その場所は………うむ、大丈夫じゃ。」

「そんなこと………!!」

「何、今のルーシィならちょっとの事ではやられん。何より、今のあやつには"加護"がある。」

「"加護"、ですか………?」

 

==========

 

「………って、軽い気持ちで受けたけど、随分とんでもない所に来ちゃったわね………」

「プーン………」

 

遺跡調査の依頼を受け、早速出発したルーシィ。しかしいざ向うと彼女の予想していた数倍遠く、時間がかかってしまった。遺跡に一番近い村まで馬車で向かい、そこから歩き始めたルーシィだがそこからも遠く、ルーシィの足は疲れて隣を歩くプルーのようにプルプルと震えていた。

 

「どうしよう。まだ午前中だけど、このままだと森の中で一晩過ごす事になっちゃう。それだけは避けたい………となると。」

 

ルーシィは指輪を掲げた。

 

「空から探すのが一番よね。星奏よ(かなでよ)、幻影の紋章士(エムブレム)!!」

 

空から目的地を見つけ出す為、ルーシィは紋章士つばさと紋章士シーダを顕現。

 

『私達に任せて!!行こう、シーダ!!』

『ええ、行くわよつばさ!!』

 

空に飛び上がり周囲を確認した紋章士つばさと紋章士シーダ。間もなく、降下した2人によって結果が言い渡された。

 

『間違い無い、見つけたわ!!』

「本当に!?」

『ええ。ここから真っ直ぐ行った所に川があるの。そこを上流に辿って行くと開けた場所に出るわ。建物らしいものも見えるし、そこで間違い無いわ。』

「ありがとう!!あとちょっとなら………頑張るわよ!!」

『その意気よ!!』

『では生きましょう!!』

 

こうして目的地が目前である事を知ったルーシィは張り切って再び歩き出した。

 

『(………シーダ、少しいいかい?)』

『(どうかしたの、アルム?)』

『(いざと言う時に変われるようにしておいて欲しい。)』

『(この先何かあるのかしら?)』

『(うん………もし、僕達の予想が当たっているならばね。)』

 

==========

 

「着いた………!!」

 

そこからしばらく歩き、ルーシィはついに目的の開けた場所に着いた。

 

「………うん、依頼に付いてた写真とも一致している。ここだ。」

 

到着した場所が合っている事を確認すると大きく息をつきながらその場に座り込んだ。

 

「はぁ〜〜〜つかれたぁぁぁ!!」

『お疲れ様、ルーシィ。』

『随分歩いたから、一休みしましょ。』

「そうね………おなかもペコペコだし、調査はご飯を食べてからにするわ………」

 

その場で座り込んだまま、お弁当を出したルーシィ。遺跡の調査はそれが済んでからになった。

 

==========

 

「ごちそうさま。………よし、疲れも少し取れたし、調査開始よ!!」

 

食事休憩を終えたルーシィは早速調査に乗り出した。

 

「まずは秘宝の前に、遺跡の全体を確認しないと。………また足が疲れるかもしれないけど、歩いて回ろう。」

 

こうしてルーシィは周囲を歩き回り、遺跡の概容を捉えようとした。その数時間後、彼女は持って来た本を見ながら推理を始めた。

 

「中心部の一番古い石造りの建物………砦?要塞?それとも………お城?を中心に、時代や様式がバラバラの建物がそれを囲うように建てられている………戦争から逃れた王族が、移民と共に造った隠れ里ってところかしら。」

 

読書家故に博識なルーシィは一歩ずつ知識と照らし合わせて分析を進めていた。

 

「南東の墓地を見ると、文字が薄れているのがほとんどだったけど、X300年代のお墓が多く、それ以降がほぼ見当たらなかったから………滅んだのは約400年前。建築様式も400年より後の建物が見当たらなったから、この推測は間違い無いと思う。」

 

だが、現時点で出せるルーシィの推測はここまでだった。

 

「問題は、いつこの隠れ里………と仮定するけど、ができたか。中央の建物を始め、古い建物ほど文献に載っていないような建築様式ばかり………国が違うのかしら。でも、リュークが「ご先祖様は異界出身」なんて言ってたし、そのパターンもあるのかしら。となると、隠された"秘宝"もそう言う可能性もあるのかしら………でも、断定できる程の情報は無いわ。」

 

参考文献を閉じたルーシィは一度空を見上げた。遺跡の見回りと推理で数時間使った事で太陽は西に移動しており、あと数時間もすれば日暮れという時間になっていた。

 

「1個ずつ調べていくしか無いわね………でも、今日中に終わらせる事はできないし、一晩をやり過ごせる場所を探すのが先ね。倒壊や老朽が少ない建物を借りましょう。」

 

安全な寝処を確保する目的もあり、ルーシィは民家の遺構の調査から始めた。

 

==========

 

「あれ?この民家、特に劣化が少ない。もしかしたら、ここなら安心して寝られるかもしれない。………昔住んでた人には申し訳無いけど、長期戦になりそうだしここを拠点として借りようかしら。」

 

民家だったものを数軒調査したルーシィ。すると倒壊や老朽が特に少ない民家を発見し、雨風をしのぐ拠点にするべく中に入ろうとした。

 

「………んんっ!?」

 

扉を開けようとして、その違和感に気付いた。

 

「(この扉、妙に新しくない!?)」

 

木製の、シンプルな扉。だが、400年前に滅んだ遺跡の民家の木製の扉が腐らずに扉の原形を保っているのは明らかな違和感である。

 

「(まさか、誰か住んでいる………!?こんなところに!?)」

 

取手に手をかけようとして止まったルーシィ。少し間を置いて、彼女は扉をノックした。

 

「ごめんください。誰かいますか?」

 

返答は無かった。

 

「………開いてる。ごめんくださーい………」

 

意を決して取手を掴むと戸締まりはされておらず、中に入る事ができた。

 

「(やっぱり………この"生活感"、誰かがこの民家を使っている!!)」

 

他の民家のように塵や埃が舞わず、最近使われた形跡のある道具の数々。誰かが最近使っている形跡にルーシィは気づき、息を飲んだ。

 

「(誰だろう!?同じ依頼を受けた魔導士、それとも、誰もいないのをいい事にここで潜伏してる札付き………!?どちらにしても、ここに留まるのはマズい!!一度外に出て………!!)」

 

先客がいる確信を持ち、引き返そうとしたルーシィ。だがその瞬間、彼女の首筋に冷たい感触が突き付けられた。

 

「動くな。」

「う………っ。」

「振り向くな。」

「ヒッ………!!」

 

低く、敵意剥き出しの男の声から、首筋の冷たい感触の正体が刃物である事を理解し、自分が歓迎されていないと察したルーシィ。

 

「(マズい、ここは………!!)」

「動くなと言ったはずだ、"召喚術士"。」

「!?何でそれを………」

 

すると背後の男はルーシィに突きつけていた刃物を、ルーシィが見えるように首の横に持って来た。それはよく研がれていた銀の剣だった。

 

「余計な事を喋るな。俺の質問だけに答えろ。」

「……………!!」

「なんの用事でこんな森の奥まで来た?」

「……………。」

「答えろ。」

「ッ………遺跡調査の、依頼で来ました………。」

「それが、人の家に土足で入り込んだ理由か。」

「………ごめんなさい。ここがあなたの家だと知らなくて。」

「………素直に謝っただけ、他の奴らよりは礼というものを知っているらしい。」

「それは、どうも………ッ!?」

「何度も言わせるな。次余計な事を喋った………らッ!?」

 

突然鳴り響いた、鈍い音。それと共に首に突き付けられた剣が落ちたのを見たルーシィは転回しながら男と距離を取り、鍵と指輪を手に取った。

 

「キャンサー!!サザ!!お願………へぇっ?」

 

身軽で室内戦闘に向いている星霊と紋章士を出そうとしたルーシィ。だが、彼女を脅していた男の正体を見て、彼女は素っ頓狂な声を上げた。

 

「痛ッッッたぁぁぁ………!!何すんだよ、ここからが面白いのに………!!」

『ダメでしょリューク、こんな意地悪して!!』

「先に驚かしてやろうって提案したのはお姉ちゃんの方じゃん………!!」

『限度があるでしょ、限度が!!』

「……………。」

 

自分の命を握っていた男が自分の良く知る人間で、しかも大きなタンコブを押さえながら姉弟漫才をしている様を見て、一言。

 

「えーと………こんなところで何やってるの、リューク?」

 

「ビビって損した」と言わんばかりの呆れ顔で聞いたルーシィ。それに対して、リュークは紋章士チキの竜石パンチ(ツッコミ)で出来た大きなタンコブを抑え、涙目で答えた。

 

「それはこっちのセリフだよ、ルーシィ………何もない俺の実家に何のようだい?」

「実家!?って事はここってまさか………!!」

「ここはソラネルの里………400年前に滅んだ、俺の故郷だよ。」

 

==========

 

「ごめんね、わざわざ泊めてくれるだけじゃなくてご飯まで用意してくれるなんて………」

「さっき驚かしたお詫びだよ。それに、女の子1人を夜の森のど真ん中に追放なんて事はしないよ………はいどうぞ、鋼の味になったものは無いって確認したから安心して召し上がれ。」

「ありがとう!!いただきます!!」

 

その晩。リュークは偶然訪れたルーシィを自分の家に泊める事になり、料理を振る舞っていた。そして食べながら、互いの経緯を共有した。

 

「そっか、定期的にここを綺麗にする為に………」

「さっき言った通り、ここは400年前に滅んだ里だ。生き残りも散り散りになり、最終的には俺と母さんだけ残ったけどその母さんも200年前に亡くなった。もう、ここを綺麗にできる者は俺以外ほぼ残っていないから、人里に降りてからもここの掃除をしに定期的に帰ってたんだ。」

「そうなんだ………じゃあ、秘宝探しなんて言ってズカズカ入って来るのは迷惑だったね。ごめん。」

「君が謝る事は無いよ、君は何もしてないし。こっちこそごめん………実は、侵入者撃退用の罠も仕掛けてたんだけど、引っかからなかった?」

「そんなのあったの?」

 

首をかしげるルーシィの代わりに、紋章士アルムが現れ答えた。

 

『僕がつばさとシーダに頼んで、避けるように進んで貰ったよ。400年前と配置が同じで助かったよ。』

「アルム!?じゃあここがリュークの故郷だって知ってたの!?」

『そりゃあ、ここは僕とリリーナ、フィヨルム、シェズの故郷でもあるからね。………方向音痴のシェズは忘れてたみたいだけど。』

『………言わないでよ、恥ずかしいじゃない。』

 

紋章士アルムと紋章士シェズの会話を見ていたルーシィ。すると彼女は少し身を乗り出した。

 

「ねぇ、リューク。」

「なに?」

「この機会だから教えて。この里の事。紋章士の事。そして………あんたの事。」

 

真っ直ぐリュークの目を見たルーシィ。それにリュークは応えた。

 

「分かった、いいよ。秘宝なんて無い、ただの隠れ里と、そこに生まれた1人の竜の話、それでいいのなら話すよ。じゃあ、何から話そうか。」

 

 

続く




次回はリュークの故郷、ソラネルの里に迫ろうと思います。
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