盾だったり武器だったり、封印アイテムや旗印だったり、秘宝や血による王位継承者の証だったり………だからこそ、その単語が出ると「うおおおタイトル回収キタァーーー!!」ってアガるんですよね。
ん?本作のは何だって?そりゃあ、元がエンゲージなので"あれ"ですよ。
ソラネルの里中心部の建物、その地下に広がる空間に、リューク達は来ていた。理由は1つ、この里に押し掛け騒動を引き起こした元凶を断つ為に他ならない。
「ここにいたか、薄汚いコソドロ風情が。」
騒動の元凶、タナトスは片腕を消し飛ばされながらもソラネルの里を漁り、僅かに残っていた金目のものを奪い回っていた。
「おやおや、家族との再会はもう良かったので?」
「ああ。そのお礼に、最後の慈悲をくれてやる………その片腕のように、命まで消し飛ばされる前に全てを置いて直ちにここを去れ。」
「ええ。期待に反して大した物も無かったですし、すぐに去りますとも………ただしその2つの指輪、"炎の紋章"はいただきますが。」
「「………!!」」
「全て、私の操る死者が見ていましたから。ですが"炎の紋章"だけで無く、そのような名剣やサークレットまで隠し持っていたとは………」
「死しても神竜王の一族だ、俺の家族はお前ごときに譲る程落ちぶれていなかったって訳だ。」
「なるほど、それは後学としておきましょう………なら、あなたからいただきましょう!!」
そう言って魔法を繰り出したタナトス。その魔法は先程リュークを闇に呑み込んだ魔法、"涅槃の儀"だった。
「………!!」
「どれだけ取り繕おうとも、私への怒り、憎しみは消えまい………今度は先程のようには行きませんよ。」
「………ああ、そうだな。先程のようには、いかないな。」
するとリュークはタナトスからの魔法を跳ね飛ばした。
「何だと!?」
「2度も同じ手は食らわん。家族に顔向けできないような情けない真似さらしてたまるか。」
怒りが消えた訳では無い。だが、その怒りを超える強い想いでタナトスの魔法を跳ね飛ばしたのだ。
「ちっ………!!」
「………今更死者を何人召喚しようが、無駄だ。」
タナトスは何人もの死者を呼び出しリュークに襲いかからせたが、リュークは"絆剣リベラシオン"を引き抜き、一振りで纏めて斬り捨てた。
「母さんの幻影兵と比べたら大した事無い。今更お前も、お前の魔法も、生ける屍も、恐るるに足らん。」
「ぐ………!!」
「年貢の納め時だ。死んで、あの世でお前が愚弄した者へ謝罪して回れ。」
ついた血を払い、刃を向けながらタナトスとの距離を詰めたリューク。
「ぐぐ………かくなる上は………!!」
追い詰められたタナトス。だが、ここで彼は奥の手に出た。
「これを使う時が来たか………!!」
懐からあるものを取り出したタナトス。それはリュークが持っているものと同じ"竜石"だった。
「"竜石"………!?」
「まさか、アイズの………!!」
「ほほう………これが竜の力、素晴らしい………!!」
"竜石"に魔力を籠めたタナトス。すると竜の力が彼の全身に駆け巡り、力を何倍も増幅させた。
「これならば、負の感情など無くとも………!!」
「またあの魔法か………!!」
「もう遅い!!」
リュークが駆け込み斬り捨てる前にタナトスは"竜石"で増幅した力で再び"涅槃の儀"を放った。だがその闇の魔力はリュークのすぐ横を通り過ぎた。
「!!」
「同じ手は食らわん………ならばその言葉、そっくりお返ししましょう………」
「!!ルーシィ!!」
闇の魔力が飛んだ先にはルーシィ。自分に飛んで来るかも、と言う予測はしていたものの、それでも避けきれず当たってしまった。
「ぐうっ………!!」
「ルーシィ!!」
「うぐ、っ。あ、ああっ………!!」
「おやおや、その距離で余所見ですか?」
「ちいっ………!!」
闇に覆われ、苦しむルーシィ。助けに行こうにもタナトスの追撃があり、リュークはルーシィともタナトスとも距離を取らざるを得なくなった。
「だい、じょうぶ………!!」
「………!!」
「あたしと、"この人"を、信じて………!!」
「………分かった。」
「うぐ………受け取って!!」
苦しみながらも、ルーシィは腰に提げている星霊の鍵と首飾りにしている紋章士の指輪を外すと、迷い無くリュークへ投げた。
「………確かに、受け取った!!」
「ありがと………うっ、アアアッッッ!!」
鍵と指輪を受け取ったのを確認してニコリと笑ったルーシィ。その次の瞬間、闇が彼女を完全に呑み込んだ。その闇はすぐに晴れたが、出て来たルーシィは赤黒いオーラを纏い、虚ろな目でリュークを見た。
「……………」
「さてどうしますかな?どのようにして解決するのか、それとも殺してしまうか、はたまた殺されてしまうのか。私はせいぜいそれを眺めて………」
と、タナトスは再び逃走を計った。だが逃走経路が突然炎上し、その道は絶たれた。リュークが紋章士カミラの"竜脈"で巻き起こした炎である。
「これ以上逃がすかよ。」
「ぐぐっ………!!」
「ついでに言うと、"想定内"だ。」
「何………!?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「俺か、ルーシィか。また闇に呑まれる可能性がある。どちらがそうなったとしても、その時は………お願いできますか?」
『………うん。私に任せて。相手が闇なら………私が、打ち勝ってみせる!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「………後はルーシィと、その紋章士を信じるだけ。」
「……………」
闇に呑まれたルーシィが鞭を手に取り、リュークに狙いを定めようとしたその時。リュークは深く息を吸い込み、よく通る声で言い放った。
「
「!?今更、何を………」
一瞬、目を閉じたリューク。だがすぐに目を見開くと、決意に満ちた目線をルーシィに向けた。
「"邪竜"の、
==========
「……………」
闇に呑まれ、意識を奥深くに封印されたルーシィは何もいない空間に1人漂っていた。
「………何も無い場所に、ひとりぼっち。」
身体はまともに動かせず、何も無いこの場所を見回す事しかできない。
「………。ううん、大丈夫。」
心細くて、心苦しくて、押し潰されそうになったルーシィ。だが、ルーシィは精一杯に歯を食いしばり、自分を鼓舞した。
「こんな所で、負ける訳にはいかないの………!!」
拳を握り締め、力を籠めるルーシィ。それでも身体は動かないが、諦めなかった。そんな時、ルーシィの前に1人の存在が現れた。
『………強いのね、あなたは。』
それは自分の足に達する程の、白と黒の長い髪に、白い羽毛を想起するドレスと冠を身に着けた、幼い少女だった。
「………だって、負けられないもの。あれだけ託されて、リュークを置いていけない、生きて連れて帰らないと。」
『………ねぇ、あなたには………ルーシィには、夢がある?』
「あるわ。立派な小説家になる事、そして………リュークや、妖精の尻尾の皆と、一緒に旅をして、一緒に戦って、一緒に泣き笑いして………一緒に生きていきたい。」
『素敵な夢だね………その夢を叶えるの、私にも手伝わせてくれない?』
「ありがとう。是非、力を貸して。」
『任せて!!………お姉ちゃんが私を信じて、救ってくれたように………今度は私が、あなたを救ってみせる!!』
==========
リュークが呪文を唱えた瞬間。ルーシィがここに来る前に身に着けた指輪………"約束の指輪"、別名"炎の紋章"の1つに嵌る白と黒の宝石が輝きを放ち、白と黒の炎のように揺らめき煌めいた。そしてその輝きが収まったかと思うと、ルーシィの傍らに1人の、赤い炎のようなオーラを纏う紋章士が現れた。
『……………』
「んんん?もしや、血迷いましたかな?」
「………は?」
「紋章士言えど、所詮は小娘。あんな小娘ごときで、強化された我が"涅槃の儀"を破れますかな?」
「聞いていなかったのか?………あの紋章士はただの小娘なんかじゃない。闇の一族に生まれながら、その闇に打ち克った、"優しき邪竜"だ!!」
すると、ルーシィの傍らの紋章士は闇の魔法弾を真上に打ち上げた。すると魔法弾は一定の地点から自由落下し、自分とルーシィの頭上で炸裂させた。炸裂した闇の魔法弾はルーシィとその紋章士に降り注ぎ、包みこんだ。そして間もなく、2人を包んでいた闇が青い炎によって霧散した。
「何だと………!?」
「敢えてこう言おう………どうだ、"炎の紋章"の力、その片割れは!!」
霧散した闇から現れたルーシィと紋章士の少女。共に纏っていた赤黒いオーラは消え、代わりに紋章士の少女は青い炎のようなオーラを纏っていた。
「あんたのおかげで無事元に戻れた………誰も傷つけずに済んだ。ありがとう………ヴェイル。」
『お礼はいらないよ、これはあなたの強さで跳ね返したんだから。』
「それでも言わせて………そして、力を貸して。」
『分かったわ。なら私の力………存分に使って!!』
新たに顕現した紋章士。かつて、邪竜の末子でありながら、姉である神竜と共に世界を救った"優しき邪竜"、ヴェイル。
「小癪な………だがこの力は何度も打ち破れまい!!」
そんな紋章士ヴェイルを顕現したルーシィに向かって"涅槃の儀"を撃ち、ルーシィを支配下に置こうとしたタナトス。
「そんなもの………」
『効かないわ!!』
だがルーシィは紋章士ヴェイルの力で片手に闇の魔力を纏わせると、その腕で続けて飛んで来た闇の魔力の塊を打ち消した。
『何度撃って来ても無駄よ。あなたの魔法は、私達には届かない。』
紋章士としてのヴェイルの強み、それは"対魔法"に特化した能力。紋章士ヴェイルのスキルの1つ、"魔封じ"は相手の魔法攻撃を軽減する事に加え、相手や相手からの魔法による効果を打ち消すものである。
「………ならば、物量で押し潰してくれよう!!我が"
"竜石"で力を増幅し、無数のゾンビを繰り出したタナトス。
『ルーシィ!!』
「うん、頼りにしてるわ………"エムブレム・エンゲージ"!!」
対してルーシィは紋章士ヴェイルと"エンゲージ"。エンゲージ武器の闇色の魔道書を出すと応戦した。
『もう………何も奪わせない!!"オヴスキュリテ"!!』
ゾンビ達の足下に闇が渦巻くと、そこから闇の奔流が打ち上がりゾンビ達を吹き飛ばした。
『まだまだっ!!』
続けて"オヴスキュリテ"を放ったルーシィ。だがタナトスの召喚したゾンビは多く、少なくない数のゾンビが彼女に迫った。
『こんなもの………弱いあたしは、もういない!!』
それでもルーシィは怯まなかった。武器を"オヴスキュリテ"の魔道書から、魔力の籠もった短剣"ミゼリコルデ"に切り替えると身軽な身のこなしでゾンビを次々と斬り裂いた。
『やあっ!!そらあっ、たあっ!!』
更に"ミゼリコルデ"を投擲してもう1人仕留めると、"ミゼリコルデ"が戻って来るまでの数秒で手足に闇魔法を纏い肉弾戦で数人倒した。
『はぁ、はぁ………っ!!』
ここまで健闘しているルーシィ。だがタナトスの召喚はルーシィの対応力を越えており、徐々に押されていた。
『くうっ、次々と………!!』
その時、ルーシィが一息ついた隙をついて複数のゾンビがルーシィに迫った。
『しま、っ………!!』
だが、隙を見せたルーシィにゾンビの爪は届かなかった。
「"クラスチェンジ"、神竜ノ王。」
それは"絆剣リベラシオン"を手にしたリュークだった。彼がルーシィの前に割り込み迫ったゾンビを斬り捨てたのだ。
「俺を忘れて貰うのは困るね。さて………!!」
リュークはもう1つの"炎の紋章"を掲げた。
「
一息つき、リュークは一層声を張り高らかに告げた。
「
その呪文を聞き届け、"炎の紋章"の青と赤の宝石が目も開けられない程の輝きを放った。その輝きは一瞬で、輝きが晴れると青と赤の宝石からは輝きの残滓が炎のように揺らめいていた。だがそれと共に、リュークの横に1人の紋章士が青い炎のようなオーラを纏い立っていた。
『………ついに呼ばれる日が来たのですね。それも、時空を超えた自分の子孫に。』
それはリュークと雰囲気の似た女性。青と赤の2色に分かれた長髪をたなびかせ、青と赤の瞳で真っ直ぐ見据えてからリュークと同じ"リベラシオン"を引き抜いた。
「俺に力を………大切な"絆"を繋いで、離さない為の力を、貸してください………神竜王様!!」
"絆剣リベラシオン"を構え直したリューク。それを聞き、その紋章士はクスリと笑ってから彼と同じ構えを取った。
『ふふっ、あなたも"同じ"神竜王ではありませんか。私の事はどうかリュール、紋章士リュールと呼んでください。』
「………はい!!よろしくお願いします、リュール!!」
そう言うとリュークは新たに顕現した紋章士、紋章士リュールと共にゾンビの群れに突貫。
「もう、眠れ………!!」
『おやすみなさい………!!』
全く同じ剣戟で次々とゾンビを斬り捨てて行くリュークと紋章士リュール。
『全く同じ動き………』
『(お姉ちゃんの剣術に、格闘術………こうして世界を渡って、受け継がれたんだ………)』
二振りの"リベラシオン"と格闘術で次々とゾンビを蹴散らしていたリュークと紋章士リュール。だがそれでも埒が明かないので、次の手に出た。
『さぁ、私と"エンゲージ"してください!!』
「はい!!」
するとリュークと紋章士リュールは互いに手を出し握手を交わした。
「今こそ!!」
『心を、1つに!!』
「『"エムブレム・エンゲージ"!!』」
そして手を離してから互いの"リベラシオン"を重ね合わせると、リュークは紋章士リュールと"エンゲージ"した。
『馴染む………よし!!』
髪と目が青一色になったリュークは、先程以上の速さで迫るゾンビの群れを斬り、突き飛ばし、片付けていた。
『あたし達も、負けてられない!!』
そこにルーシィも突っ込み、"オヴスキュリテ"と"ミゼリコルデ"を駆使して更にゾンビを討ち倒した。
「ぐっ、ぐぐ………ならば我が"屍人魔法"の奥義!!」
すると、先程よりも強いアンデッドが何体も召喚された。
「私の有する死体の中でも最高峰………"
強力なアンデッドが向かって来たが、今更リュークとルーシィが狼狽えるものでは無かった。
『神竜として………!!』
『邪竜の力、だからこそ………!!』
リュークは"絆剣リベラシオン"を、ルーシィは"ミゼリコルデ"を手に正面の敵に迫ると宙返りをしながら斬り掛かり、これを一撃で撃破。
『"神竜破"!!』
『"邪竜破"!!』
そしてそれぞれが桃色と紫色のレーザーを掌から放ち、残るアンデッドは一撃にして一掃された。これが紋章士リュールと紋章士ヴェイルのエンゲージ技である。
「な、ぁ………っ!?私の、奥義が………!?」
自らの奥義が容易く破られ、呆然とするタナトス。リュークとルーシィはここで"エンゲージ"が解除されたが更にタナトスとの距離を縮め、追い詰めていた。
「返すよ、ルーシィ。」
「ありがとう。さて………いい加減、観念しなさい!!」
「……………!!」
リュークはルーシィに星霊の鍵と紋章士の指輪を返し、ルーシィは受け取った星霊の鍵をタナトスに向けた。
「こんな事が………あり得ん。私は、更なる力を得るはずなのに………!!」
だがタナトスは降伏するつもりは無かった。
「まだ最強の力を手に入れていない………こんなはずでは、こんな終わり方、あるはずが無い!!」
タナトスは起死回生の一撃に期待し、更に"竜石"に魔力を注ぎ込んだ。
「この世界で最強種であるはずの竜族の力をようやく得たのだ!!私はこんな所で敗死するはずなど………!!」
残っていた魔力を全て注ぎ込む勢いで"竜石"に魔力を流し込むタナトス。すると、それに応じてか"竜石"が光りだした。だがその光はリュークが竜化する時の光と異なり、どこか玉虫色の気味悪さすら感じる光だった。
「………やっぱり、そうなったか!!」
「リューク?」
「下がれ!!」
「えっ、うわちょっと!?」
気味悪さの正体に気付いたリュークはルーシィの手を取り、急いでタナトスとの距離を取った。
「これが、竜族の隠された力か!!これで私は………ぐ!?」
すると玉虫色の光はどす黒いヘドロのように変質し、タナトスの腕を呑み込んだ。
「な、何だこれは!?こんなもの、聞いていない………!!」
どす黒いヘドロを払おうとするタナトス。しかし片腕を失っては引き剥がす行為すら取れず、他に振り払おうとする行為を模索している内にどす黒いヘドロはタナトスをみるみる内に呑み込みつつあった。
「な、何が起きて………!?」
「………身に余る力に手を染めた"報い"だ。」
「"報い"?」
「………滅茶苦茶な言い方をすれば、"竜石"とは"人を竜に変えてしまう"道具だ。だけど人が何も無しに竜へと変われると思うか?」
「………ううん。」
「俺達竜族はそれを受け入れる"器"があるから問題無く使用できる。滅竜魔導士のように、何らかの竜の因子か、血か、遺伝子か、
「………身体が受け入れられず、行き場の無い魔力が暴走する。」
「そう。それが、今のあいつだ。」
気づけばタナトスはどす黒いヘドロによって全身が包まれ、顔以外は肥大化し人としての原型を留めていなかった。
「ぐがあっ………何だ、これは………!!なぜ、こんな、こ………グガぁぁぁッッッ!?」
「………身に余る力を求め、簒奪しようとした報いだ。甘んじて受け入れろ、クソ野郎。」
「いやだ、私は、こんな………ギャアァァァグギャぁぁぁッッッ………!!」
間もなくどす黒いヘドロはタナトスの顔をも呑み込んだ。するとその身体は更に肥大化し、やがて人とも竜とも言えない、巨大な醜い異形の怪物へと成り果てた。
「グオオオォォォ!!」
「はぁ………喧しい事この上無いが、あの腐りきった言葉を聞かなくても良くなるだけ、マシか。それに、アイズが生きてる事も分かったし。」
「えっ!?そうなの!?」
「"竜石"は持ち主が死んだら砕け散って使えなくなる。使えるって事は、そう言う事だ。」
「そうなんだ………良かったわ。」
「ありがとう。………じゃあ、後はこの醜い化物を討伐するだけだ。」
リュークは"竜石"を使い、続けて"エンゲージ"を使えるようにした。そしてルーシィは再び"エンゲージ"できるまでの間、星霊で援護しようとした、その時だった。
『少し、いいですか?』
「リュール?」
「何かあったの?」
紋章士リュールが、リュークとルーシィの肩を持って止めたのだ。
『時間をかけてはここが壊されかねません。速攻で、全力で叩きましょう。』
「そうしたいですが、ルーシィが再び"エンゲージ"できるまで時間がかかります。」
『心配いりません、それを解決する"奥の手"を私は持っています。そして、私を顕現できた"2人"ならば、使えると確信しています。』
「「………。」」
一瞬見合ったリュークとルーシィ。そして小さく頷くと、同時に紋章士リュールを見つめた。「どうすればいい?」と問いかけるように。その答えとして、紋章士リュールは2人の前に両手を差し出した。
『私の手を取ってください。』
2人は迷い無く紋章士リュールの手を取り、しっかりと握った。
『それじゃあ、いきますよ………"エムブレム・エタニティ"。』
すると紋章士リュールを中心として、光がリュークとルーシィを包んだ。その光が消えるとリュークは先程と同じ"エンゲージ"した姿に、そしてルーシィも紋章士リュールと"エンゲージ"し、髪色が青色と桃色のグラデーションに変わった。
『『………!!』』
神竜と邪竜、そして紋章士の指輪を巡る戦いの中で一度命を落としたリュール。しかし仲間の絆と奮戦、そして"紋章の奇跡"の末、彼女は"肉体を持つ紋章士"として生まれ変わり、最後には邪竜を討ち倒し平和をもたらした。その名残で紋章士リュールは持ち主と、その側にいる"一定以上の絆を結んでいる味方"1人との2人と"エンゲージ"できる。
『………今度こそ、終わらせよう。』
『うん。ここで、全ての力をぶつける!!』
するとルーシィは星霊の鍵を出した。
『開け、獅子宮の扉、ロキ!!』
「任せてくれ!!」
「ホッホーッ!!」
紋章士リュールと"エンゲージ"した2人にロキ、そしてゾンビの残党を片付けたフェルトも加わりソラネルの里最後の戦いが始まった。
「グギャァァァッ!!」
「"
異形の怪物が片腕を振り下ろすも、まずはロキが光を纏った拳で受け止めた。
「ぐ………"獅子光耀"!!」
「グギャ………!!」
押し潰されそうになりながらも踏ん張ったロキは全身から眩い光を放ち目眩ましを計った。それで怪物の動きが少し止まった隙にリュークとルーシィは同時に動いた。
『はあああっ!!』
"絆剣リベラシオン"で斬り掛かったリューク。
「グギャア!!………ガァァァッッッ!!」
『……………!!』
反撃で巨大な尻尾で薙ぎ払おうとした怪物。それを見るとリュークは"絆剣リベラシオン"を天高く投げ、半身で構えた。
『"双神の撃鉄"!!』
掌打で尻尾を受け止めると続く衝撃波で跳ね返したリューク。
『ここ………だあっ!!』
更に、リュークが天高く投げた"絆剣リベラシオン"は大ジャンプをしていたルーシィがキャッチし、回転斬りで追撃。
「ギャアァァァ!!」
『効いてる………!!』
「気を抜くな、ルーシィ!!」
「グ………グオオオッッッ!!」
着地したルーシィを狙って片腕をぶん回した怪物。
「ホーッ!!」
「ギャッッッ!?」
だがフェルトが飛び込み至近距離から無数の風の刃を怪物の目に叩き込んだ事で狙いが逸れた。
『全くどこまで行っても危なっかしい………!!』
『今のあんたに言われても説得力無いわよ!!』
『そりゃあどうも!!』
"絆剣リベラシオン"をルーシィから受け取ったリューク。
「グルルル………!!」
『気を抜くなよ!!』
「ガアアア!!」
接近戦は分が悪いと感じたのか、怪物は口を大きく開くと光線を放って来た。
『"双神の咆哮"!!』
対してリュークは霧の纏ったレーザーを口から放ち相殺。すると怪物の周りに星のような光が瞬き始めた。
『リューク、魔力借り受けるわよ………全天88星、光る。』
そしてその光がより明るく煌めき始めた。
『"ウラノ・メトリア"!!』
「!!」
そして星々の輝きは大爆発を起こし大ダメージを与えた。
『ッッッ………好き勝手魔力持って行きやがって………!!』
膝をつきそうになったところを踏み止まったリューク。だが不平不満はそこまでにして、気合を入れ直した。
「グガ………ッ」
『でもあと一息………!!』
"絆剣リベラシオン"を構えたリューク。エンゲージ武器の異形殺しの剣、"オリゴルディア"を出したルーシィ。そしてロキとフェルトは勝負を決めようとした。
「グオアァァァ!!」
再び剛腕を振るった怪物。
「行こうフェルト、僕達の主の道を開こう!!」
「ホーッ!!」
ロキは拳に光を集め、フェルトがそこに風の刃と竜巻を纏わせた。
「"
光と嵐の拳は怪物の剛腕を弾き飛ばし、吹き飛ばした。
「今だ!!決めるんだ!!」
「ホーッ!!」
『………行くよ!!』
『うん!!』
剣を重ねてから飛び出した2人。両腕を失った怪物には防ぐ術が無く、2人は同時に深く斬り込んだ。
『はっ!!』
『やっ!!』
「グギャア!!………グオオオォォォ!!」
『『たあっ!!』』
苦し紛れに尻尾で薙ぎ払おうと反撃を繰り出した怪物。だがリュークとルーシィは跳び上がって避けると青色と桃色の光の軌跡を描きながら怪物の真上に。
『もう、眠りなさい………!!』
そして2人は背中合わせになり、怪物に向けて腕を突き出した。
『『"エンゲージ・ビーム"ッッッ!!』』
2人の手から放たれた、青色と桃色の光線。
「ぐ、グギャ………ギャアアアアァァァッッッ………!!」
それを正面から受けた怪物は断末魔をあげながら光線に呑み込まれていった。そして断末魔が聞こえなくなったタイミングで光線も止んだ。そこにいたはずの怪物は跡形も無く消え、1つの"竜石"のみが取り残されていた。
『『……………』』
しばらく呆然としていたリュークとルーシィ。すると紋章士リュールとの"エンゲージ"が解除され、元の姿に戻ると共に自由落下を始めた。
「う、うわあああっ!?」
「………締まらないなぁ。」
するとリュークは一足先に着地し、ルーシィをキャッチした。
「うおっ!?………っと、セーフ………。」
「………何よ、その反応は。」
「何でも。………しかし。」
ルーシィを降ろしたリュークはその場に大の字で倒れ込んだ。そしてルーシィもすぐに座り込んだ。
「……………疲れた。」
「それはあたしのセリフよ………気づいたらとんでもないものに巻き込まれて。」
「いつもの事じゃないか?とも言いたいけど………ごめんね。」
「ううん、いいの。リュークが………大事な仲間がいなくならないで、良かった。」
「そうだね………ありがとう。おかげで俺は、明日から胸を張って前を歩ける。」
「………どういたしまして。」
続く
改めて紹介を。
・"炎の紋章"
紋章士が1人ずつ宿るペアリング。
本来は"約束の指輪"と言う名前で、神竜王がその伴侶と共に身につけるものだったが、数代前の神竜王の時に紋章士が宿った際、宝石の輝きが炎の揺らめきに似ていた事から、紋章士達の世界に伝わる秘宝の名をあやかって名付けられた。
宿っていた紋章士は、リュークの先祖であり、ソラネルの民の祖でもある"神竜様"こと、エンゲージの原作主人公リュール。それとリュールの妹であり、邪竜でありながらも神竜と共に戦った仲間の1人、ヴェイル。エレオス大陸で生を全うした後、元々紋章士だったリュールに引っ張られてヴェイルも紋章士となり、数代前の神竜王の"約束の指輪"に宿った。
今まで顕現に成功した者がいなかったのは、顕現する条件がいくつかあったからである。
条件1:2人で顕現する
条件2:顕現する2人の間には一定以上の絆が結ばれている
条件3:2人とも紋章士を扱う素質が極めて高い
条件1、2は毎回揃っていたが条件3が中々揃わず顕現には至らなかったが紋章士を十全に扱い、新たな紋章士を引っ張り出せるリュークとルーシィが条件3にも当てはまり、顕現に至った。
次は紋章士ヴェイルです。
◎ヴェイル(上田麗奈)
◯呪文:
◯登場作品:エンゲージ
◯髪色と服の色:白、白地に黒
◯シンクロスキル:
・邪竜の救済
隣接する味方の与ダメージ+3、被ダメージ-5
・竜の時水晶
ターン開始時、一定確率で周囲5マス以内の敵の武器または杖を1つ使用不可能にする(1ターン)
(確率は(自分の魔力+魔防)-(相手の魔力+魔防)。下限は10%、ただし、相手が魔法武器または杖を持っている場合30%)
・魔封じ
被ダメージ2倍
相手のスキルと能力上昇を無効化し、自分の弱体化を解除する。
◯エンゲージスキル:
・異形兵召喚
異形兵を召喚できる「召喚」コマンド使用可能(1戦闘に1回)
(召喚するのは竜騎士(剣、魔法)、魔道士(魔法)、重装騎士(斧)、聖騎士(槍、杖)の4体、レベルは自分と同じ)
◯エンゲージ武器:
・エルサージ(魔法、射程1)
必中の近接魔法
・ミゼリコルデ(短剣、射程1-2)
魔法武器
・オヴスキュリテ(魔法、射程1-2)
威力+魔防の30%
◯エンゲージ技:
・邪竜破
相手の守備と魔防の低い方でダメージ計算を行う強力な魔法攻撃
◯Style Bonus:
・竜族=邪竜の救済
周囲3マスの味方に適用
・魔法=異形兵召喚
異形兵のレベル+2
・隠密=竜の時水晶
スキル発動確率+10%
◯コンセプト:
魔法相手には滅法強く、相手の行動を封じて一方的に攻撃!!
打たれ弱さは"異形兵召喚"で護衛!!
せっかくオリジナル紋章士いっぱい考えたので、リュール以外でエンゲージからも、と思ったところヴェイルが一番しっくり来たので彼女を採用しました。紋章士エーデルガルトのノリでアルフレッド、ディアマンド、アイビー、ミスティラを1つに………と言う案も実はあったのですがスキル思いつかずボツに。
魔法特化にしようと入れたいスキルを大して考えずにブチ込んだらあまりにも無法な強さになってしまったので極端に打たれ弱くしてバランス取ろうと思いました。
そしてここでご報告を。
"弾切れ"です。
投稿始めてからオリジナル紋章士考えるのたのしーーー!!!!って勢いでここまでエドラスの紋章士合わせると20組以上出しましたが、流石に出し切りました………
「おいここまで出しておいてこのキャラを紋章士にしねーのかよ!?」と言う意見もあるかもしれません。私自身そう思いますが、私の実力ではここらへんで………
・紋章士リュール
そして満を持して登場、エンゲージの"炎の紋章"担当、絆炎の紋章士こと"神竜様"リュールちゃんです。スキルとしては原作と変わりませんが、1人で"エンゲージ"するのと、一定以上の絆(メタい事言うと支援C以上)の味方との2人で"エンゲージ+"を選べる感じです。ダサいダサい言われて、一周回って皆大好きなエンゲージビームもブチ込めて私は満足です。
また、直接のご先祖様なのでリュークと紋章士リュールの相性はハチャメチャに良いです。全能力+5か+10くらいするレベルです。
オリジナル展開は次回で終わる予定です。ちょっと次回は終わり方にはこだわりたいので時間かかるやもしれませんが気長に待っていただけたらと思います。