書いてる途中は死ぬほど不安になりながらも、自分の限界を出した上で、満を持して出しますので暖かい目で見守りながら読んでいただけたらと思います。
ソラネルの里でタナトスが起こした騒動が終結した。
「気づけば夕方か………」
「朝から戦い詰めでこの時間まで………どうりでお腹がもうペコペコね………」
「ホー………」
夕日の眩しさに目を細めながらくたびれた声で話すリューク、ルーシィ、フェルト。
「ご飯の準備をしなければいけないのはそうだけど………」
リュークはため息をついた。彼の前にはタナトスの略奪や彼との戦闘で荒れた遺跡が広がっていた。
「あのクソッタレのせいで、せっかく綺麗にした里がぐちゃぐちゃ。さらにアイズの"竜石"を返したいところだが居場所が分からないし………やる事が山積みだ。10日以内には帰るとマスターと約束したものの、果たして間に合うか………」
「ここまで来たら最後まで、あたしも手伝うわよ。立つ鳥跡を濁さずとも言うし………」
「………助かる。」
すると、ルーシィは思い出したかのように声をあげた。
「あっ。」
「今度はどうした?」
「これ、返さなきゃ。」
ルーシィは指に嵌めていた指輪、"炎の紋章"の片割れを外してリュークに差し出した。
「………?」
「………何で不思議そうな顔をしてるの?」
「いや、てっきりヴェイルを戦力にするに当たってそのまま持っているものだと………」
「だって、この指輪はホイホイと他人に渡すものじゃ無いでしょ?」
ルーシィは続けた。
「成り行きで受け取って使ったけど、どう見てもペアリングだし"約束の指輪"なんて名前まであったら気づくわよ………これは本来、心に決めた相手に渡すものじゃない?」
「……………」
「………これは、あんたがこの先、一生を添い遂げる"人生のパートナー"を見つけた時に渡すものでしょ?」
「………そう、だね。」
「じゃああたしが持ち出すのも違うわ。ヴェイルに関しては自分の指輪に移せば解決するし………だから、これはあんたと一緒に人生を歩んでくれる人に渡さなきゃ。」
「……………。」
一度"炎の紋章"の指輪を返却して貰ったリューク。しかし一瞬考え込むと1人納得した顔で頷いた。
「………そうか。薄々もしや、とは思ったけど………そうか。」
するとリュークは受け取った"炎の紋章"を再びルーシィに差し出した。
「………うん。やっぱり、この指輪は君が持っていてくれないか。」
「え?………ちょっとあんた、あたしの話聞いていた?これはあんたが最も信頼して、心に決めた………あんたが一番愛する、人生のパートナーに渡すべきものだって言ったわよね?」
「言ったね。」
「じゃあ何で………」
リュークは軽く咳払いをするとルーシィの目を真っ直ぐ見てハッキリと言った。
「それが、俺の気持ちだからです。ルーシィ。これからも共に生きる、パートナーになって、くれないでしょうか。」
「 」
ボフン、と言う爆発音が聞こえた気がした。発生源らしいルーシィを見ると、一瞬で顔を真っ赤にしていた。
「………うん、言ったら気持ちが軽くなった。そう言う事だったらしい。」
「………ち、ちちちちょっと、い、いきなり何を言ってるのあんたは!?じじじ、冗談にしてはわ、笑えないわよ!?」
「それでいいよ………いきなりで申し訳ないけど、俺は本気だから。」
「 」
唐突な告白に、口をパクパクさせながら動揺するルーシィ。
「………い、いつから………?」
「………さぁ?」
「さぁ!?」
「本当に分からないんだ。」
頭をかきながらリュークは話を続けた。
「初めて会った時から君は目が離せなかった。と言っても最初は、見覚えのある顔だなー、とか、幼子や犬みたいに目離したらいなくなっちゃいそうだなー、って気持ちだったけど。」
「………何よそれ。あたしは子供かペットみたいな扱いだったって事?」
「………それだよ。」
「はい?」
「ルーシィは本当にコロコロ表情が変わる。すぐ怒ったりむくれたり、すぐ泣いて悲しんだり………そして何よりも、小さな事で目一杯喜んで、はしゃいで、楽しんで、笑っている。そこまでキラキラされたら目も離せなくなるよ。」
「……………」
「後は………六魔との戦いから今日までの事が決め手かな。色々とボロ出して、死にかけて、情けない所を見せて、ついには200年隠してた正体もバレた訳たけど………君は幻滅するどころか「自分を頼れ」と言わんばかりだった。」
リュークはため息をついた。
「それで思い知らされたよ。どこまで行っても、俺は寂しがりやで、誰かに甘えたいまま変わってなかったって………そして、君になら寄りかかってもいいのかなって思ってしまった。」
「………。」
「後は君から「指輪を返す」と言われてモヤッとしたのがトドメだ。その瞬間、俺の抱いていた気持ちに名前がついてしまった。んで返して貰って欲しくないから今ここでの告白になった訳だ………あーあ、何から何まで後手後手で俺の負けだよ。これが、"惚れた弱み"って奴か………」
顔を赤くして、肩をすくめ大げさにうなだれたリューク。それを見たルーシィはいつの間にかクスクスと笑っていた。
「………ちょっと意外だったわ。あんたはもっと、しっかりと場面や段取りを整えてそう言う事をする人だと思ってた。」
「そりゃあできるならそうしたいさ。こんな、失敗したら赤っ恥だけかいてこの先地獄のように気まずくなるような分の悪い博打みたいな事したくなかったよ………だがしょうがないだろ、これが俺の限界だ。」
「……………。」
「………俺の想いは以上だよ。返事は今くれなくてもいい、100年くらいなら気長に待てるから、それまでに考えてくれたら嬉しいかな。」
「くすっ、100年後のあたしは確実にお墓の中よ?あんたと同じにしないでよ。」
少し間を置いてから、ルーシィは再び話し始めた。
「さっき、あんたが闇から解放された時の言葉覚えてる?「"戦友"でも"相棒"でも"女王陛下"でも、何とでも呼ぶよ」………って。」
「言ったね。」
するとルーシィは気恥ずかしそうに、左手をリュークの前に差し出した。
「じゃあ、あたしの事を"人生のパートナー"だと呼んでください。」
「!!」
「あなたの告白、喜んでお受け致します。その証を、私にくださいませ。」
「………言葉を絶する程の感謝を、貴女に。」
そう言うと、リュークは"約束の指輪"をルーシィの左手の薬指にはめた。そしてリュークは換装魔法でヒモを出すと自分が元々使っていた紋章士の指輪を通してルーシィのように首飾りにし、もう片方の"約束の指輪"を改めて自分の左手薬指にはめた。
「………。」
「………。」
「「………えへへっ。」」
その後互いに見合うと、2人は赤面しながら恥ずかしそうに、にへらと笑い合った。
「不意討ちでビックリしちゃったけど………何度も命を助けられて、憧れて、背中を追いかけた人の隣に立てたと思うと、やっぱりとても嬉しい。あたしこそ、ありがとう。」
「………。」
「あたしはただの人間の女の子で、どう頑張ってもあんたと一緒に老いて、一緒に天寿を全うする事はできない。でも、「あたしが死んだら、あたしの事を忘れて新しい人を見つけて」、って言ってもできないでしょ?」
「………難しいだろうね。こんな滅んだ里に定期的に未練がましく帰って来るような奴には。」
「でもさ………あたしと出会ってから、楽しい?」
「………そりゃあ楽しいさ。妖精の尻尾に入ってからの4年、君と会ってからの1年は、俺の200年の寂寥を吹き飛ばす程満ち足りてるよ。」
「だったら40年で2000年分、60年で3000年分………うん、流石に3000年も経てばおじいちゃんになるはず。」
「何だよその適当な計算は………」
「大丈夫、あたしに任せて!!」
するとルーシィは夕日を背にリュークへ向かい合い、赤面しながらも満面の笑みで言い放った。
「あんたはあたしに、たっくさんの大切なものと、それを守る為の力をくれた!!だからあたしはあんたに、何千年分もの想い出をあげる!!だから………これからも、よろしくね!!」
「……………!!」
それは夕日だったのか、ルーシィの笑顔だったのか。どちらかはリューク本人しか分からない事だが、彼の人生において最も"眩しい"と感じた瞬間となった。
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その2日後の朝。
「………さて、準備できた?」
「うん。」
次の日に丸1日かけて、騒動で荒れた里を綺麗にした2人。その翌日に支度を済ませ帰ろうとしていた。
「じゃあ最後に、母さん達に挨拶だけさせてくれ。」
「いいよ。………あたしも挨拶させて貰おうかな。」
まだ夢の中のフェルトを掴んでカバンの中に突っ込んだリュークとルーシィは、出立する前に里の墓地へと向かった。
「………母さん、兄さん、姉さん。また来るよ、今度はいっぱいお土産話と一緒に。」
そしてルミナ、レックス、ローナの墓の前にしゃがんだリューク。その横にルーシィもしゃがんだ。
「………あなた達の大切な家族であるリュークと、お付き合いする事になりました、ルーシィです。これから、よろしくお願いします。」
「……………。」
「………リュークの事は、任せてください。あたしが、絶対に寂しい思いなんてさせませんから!!」
「………ありがとう。………それじゃあ、行こうか。」
「うん。」
そして立ち上がると、2人は里を出た。
「しかし魔導二輪が壊れちゃったからなぁ………麓の村まで歩くしか無いか。」
「そうみたいね。あーあ、帰りは楽できると思ったんだけどなぁ………」
「帰りの交通費は出すからそれでチャラにしてくれ。」
「ええー、それじゃあ仕事の報酬が無くなった分の補填にはならないわよ?」
「それは言われても困るな、依頼主が勝手に死んでるんだから。」
「むー………仕方ないなぁ。」
ルーシィは手を差し出した。
「今回だけはこれで許してあげる。」
それを見たリュークは苦笑いしながらその手を握った。
「………えへへっ。」
「これっぽちで満足いただけるとはね。」
「いいのいいの、これにはお金に無い価値があるから。」
「物書きにしては月並み過ぎないか?その言い回し。」
「奇をてらえばいいってものでも無いわ。それに、ベタな表現だからこそ憧れるし刺さるのよ。」
「………それもそうか。」
「………あの時はビックリして言えなかったけど、今なら確信を持って言える………大好きだよ。これからもずーっと、仲良くしてね?」
「………ああ。必ず、約束する。………俺も、大好きだ。」
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「ただいま戻りましたー。」
「あら、お帰りなさい。」
「よーやく戻って来よったか。」
時間をかけてマグノリアに戻ったリューク達はギルドに顔を出すと若手のほとんどが仕事に出ている中でいつもの定位置にいたマカロフとミラに出迎えられた。
「ルーシィと一緒と言う事は、やはりルーシィの依頼にあった遺跡はお主の故郷じゃったか。」
「ええ、しかもその依頼主がとんでもないクソッタレな墓荒らしで………故郷は荒らして行くわルーシィの報酬も飛ぶわの踏んだり蹴ったりでしたよ。」
「じゃが悪い事だけでは無かったようじゃな。迷いが晴れたか自信がついたか、そのサークレットと剣はよく合うではないか。」
「………そう言っていただけると光栄です。」
「うむ。リュークもルーシィもお疲れさん。長旅で疲れたじゃろ、今日は休むといい。」
「ではお言葉に甘えて………ふわぁ。」
あくびを噛み殺しながら帰ろうとしたリューク。
「………あら?」
すると洗った食器を拭いていたミラが何かに気づいた。
「リューク。」
「ん?」
「あなた、指輪変えた?」
「!!」
リュークの指輪が変わっていた事に目ざとく気付いたミラは流れるように視線をルーシィに移した。そしてルーシィも指輪をしている事に気付き思わず声をあげた。
「あら!!」
「!!」
その声に思わず手を隠し頬を赤らめたルーシィ。だが手本のような対応を取ったルーシィをマカロフも見逃す筈が無く、ニヨニヨしながら距離を詰めた。
「んー?もしやお主ら何かあったのか?確かに、特に最近のお主らは随分と親密そうにしておったが………」
「………えーと、その、あのこれはですねー………」
不意討ちでしどろもどろになるルーシィ。助けを求めてリュークの方を見たのだが………
「………!!」
「(ええっ!?)」
リュークはリュークで顔を赤くし、ダラダラと汗を流しながらマカロフとミラに背を向けたまま突っ立っていた。
「(ちょっと、急にどうしたのよ!?)」
「(………何か、急に恥ずかしくなって来た。)」
「(何でよしっかりしてよ!!)」
ヒソヒソ声でギャーギャー言い始めた2人。その反応でマカロフとミラは察した。
「………そうかそうか。2人共、おめでとうさん。我が子が大切に想える存在を見つけられて、親として嬉しく思うぞ。」
「私からもおめでとう。お幸せにね。」
「「……………!!」」
それを見た、ギルドにいた魔導士の反応は様々だった。
「あらやだ奥さん、今の見まして!?」
「前々からとは思ったがついに………!!」
「何で奥様口調なんだ………?」
朝っぱらから飲んでいたマカオとワカバは井戸端会議の奥様のような反応を見せてマックスに突っ込まれ、
「「……………!!」」
いわゆる両片想いが続くアルザックとビスカはそれぞれが仕事の合間で休憩していた所で遭遇し、つられて顔を真っ赤にし、
「忘れる前に………!!」
リーダスは即座に筆を取って2人の姿を描き始め、
「ーーーッッッ!!」
「おいジュビア、はしゃぐのやめろ依頼書が濡れる!!」
クエストボードで次の依頼を探していたジュビアは大記録を達成した某投手のように飛び跳ねながら喜びを露わにし、その余波でクエストボード付近はびしょ濡れになっていた。
「………しかしようやくくっついたか。あれだけ親密になっておりながら時間がかかったのう。」
「あはは………やっぱり、そう思いますか………」
「気づいておったら何でさっさと行かなんだ。ルーシィのような器量良し、性格良しの娘なぞモタモタしてたら他の者に取られてたぞ?」
「そうは言われましても、ガキの"好き"程信用ならんものは無いでしょうに………」
「なにィ〜!?まさかワシの10倍生きておいて、自分はガキだとぬかすのか!?」
そう叫ぶとマカロフは酒瓶を取ってグイッと飲んだ後リュークに絡み始めた。
「前言撤回、今日は洗いざらい話すまで帰さんぞ!!」
「マスター、酒臭いですよー………これ以上飲むのは控えた方が………」
「馬鹿者!!貴様の青春話を肴に飲まずしていつ飲むと言うのじゃ!!」
「………ダメだこりゃ。」
そしてルーシィはルーシィで捕まっていた。
「じゃあお酒と一緒にごちそうも用意しないと。ね、ルーシィ?」
「えっと、あたしは………」
「そんな遠慮しないで………どのようにして"神竜様"の心を射止めたのか、
「ヒェッ………」
そのまま捕まったリュークとルーシィは付き合い始めた事を、後から帰って来た仲間へ片っ端から暴露され、一晩かけて根掘り葉掘り問いただされる羽目となった。だが時折からかいや茶々が入ったものの全員によって2人の事は喜ばれ、祝福され、後はいつも以上のお祭り騒ぎとなった。
続く
………と言う訳で、一言で言えば"支援S回"でした。最初からこのタイミングで結ばせるのは決めていましたので、ここまで漕ぎ着けられて良かったのと、大事な場面なので気合入れて書いていきました。
「ファイアーエムブレム」、誰が言い始めたか別名「ときめきエムブレム」を題材にしておいてこれは避けて通りたく無いですからね!!ゲーム総選挙でも血の同窓会を端に置いてフェリクスの告白シーンを地上波に晒してるので世間もそう言う認識でいいですよね(目グルグル)(人の心案件)
一応、夕日を背にしたシーンで風花雪月やエンゲージの1枚絵、というイメージで書いていました。
いやー支援Sのイメージを作り出そうと覚醒からエンゲージまでの支援Sをローテーションして、口から角砂糖を無限に錬成しながら描き進めていました。昨今の物価高の中、砂糖を買う手間が省けたので助かりました()
どの作品もイラスト(ifだとアニメーション)と演出と声優さんの本気が籠もってて良いですよね………因みに私のそれぞれの作品の印象はこう。
覚醒:色んな意味で原点だけど、この時点でそれぞれのキャラの性格とか恋愛感も見える演出で、恋愛ゲームの1枚絵としては完成に持って来ている。これあっての後続ですよ。
if:アニメーションとトドメのASMRによって破壊力バツグン。兄弟やら臣下やらだったところからゼロ距離で女(もしくは男)を叩きつけるものだから脳と耳を破壊する事に特化。
風花雪月:「共に歩んで行こう」な雰囲気が一番強いと感じた。多分ベレトス(特にベレス)の映り率が高いからで、結果フェリクスの壁ドンとかドゥドゥーの共に空を見上げるイラストみたいなのができたと推測。
エンゲージ:エンゲージリング(結婚指輪)がテーマなだけあって告白シーン感が一番あるのはこっちかと。あと当然ながら男女問わず綺麗な手にフォーカス当たるので吉良吉影製造機になってそう(偏見)
………え?今何て?
子供!?
紋章士セリスの時に言ったでしょ、無理があるって!!だから紋章士セリスを子世代代表として出したんだから!!
ifみたいに秘境で子育てとか流石に無理だから!!勘弁しておくれ!!
………と言う訳で支援S回でした。
恋愛描写はこれから頑張ります。
次回から天狼島編入る予定なのでそんな暇無さそうですが………