FAIRY EMBLEM   作:jyosui

82 / 125
70章 小僧

悪魔の心臓の襲撃が判明し、敵の先遣隊を撃破後信号弾を撃ったリューク。

 

「私はガジルをキャンプまで連れて行くね。」

「………俺は、まだ。」

「そう言う事は言わない。今は休んで。」

 

負傷したガジルはレビィに連れられキャンプへ撤退。

 

「メストとウェンディを探したいところだが………まずはお前だ。お前達の目的を聞こう。」

 

ウェンディに呼ばれ来たエルザとジュビア、そしてリュークとフェルトは意識を取り戻したヨマズに迫った。

 

「フン、誰が貴様等なんぞに………」

 

ゴッ、と言うエルザのゲンコツ。そしてリュークの大筒の空撃ち。それでヨマズの心を変えた。

 

「ゼレフ………伝説の黒魔導士、ゼレフだ。」

「ゼレフ、だと………!?」

「いかにも。そのゼレフが、この島にいる。」

 

"史上最悪の黒魔導士"として語られ、未だ多くの黒魔導士や闇ギルドの崇敬を集める伝説の黒魔導士、ゼレフ。

 

「それが生きていたのだよ。400年間、ずーっとな。尤も………マスターハデスは今のゼレフを"眠っている"と言っておられたがな。そしてゼレフが目覚めた時、この世界は完全なる闇へと染まる。」

「そのゼレフを手に入れるのが目的か。」

「いかにも。」

「バカな事を………ここは妖精の尻尾の聖地、妖精の加護に包まれた島で狼藉は許さんぞ。」

「直に到着するマスターハデス直属部隊、煉獄の七眷属を甘く見ない方がいい。」

 

ヨマズはニヤリと笑った。

 

「時魔導士ウルティア、ラスティローズ、拙者達のボスカプリコ様、華院=ヒカル、ザンクロウ、メルディ………そしてもう1人は、既にこの島に。」

「「「!!」」」

「フフフ………貴様等に勝ちなど、万に1つも………」

 

ここで、リュークはヨマズを斬り捨てた。

 

「聞きたい事は聞けた。フェルト、一度エルザについてくれ。」

「ホホッ!!」

「お前はどうするつもりだ、リューク。」

「俺か?」

 

リュークは"竜石"を取り出した。

 

「本隊を叩く。この島に、入れさせるものか。」

 

そう言い、リュークは"竜石"に魔力を籠めた。

 

==========

 

天狼島沖合の海上。悪魔の心臓の本隊が乗る巨大な飛行艇は天狼島に向かって航行していた。だが、天狼島を目前にしてその行く手を阻むものがあった。

 

「あれは何だ?」

「巨人………」

 

飛行艇の行く手を阻むのは一体の巨人。煉獄の七眷属を始めとした悪魔の心臓の魔導士達は驚きを隠さない中、唯一マスターであるハデスはニタリと笑った。

 

「マカロフ………」

「消えろ。ここから先へは行かせんぞ。」

 

巨人化して天狼島の浜辺で待ち構えたマカロフは、飛行艇に拳を振りかざした。

 

「フヌゥ!!」

「!!」

「右舷大破!!」

「強化装甲がいとも簡単に!!」

「次が来るぞ!!」

 

右ストレートで右舷を破壊したマカロフ。続けて左ストレートを繰り出したが飛行艇は速度を上げてそれを回避。

 

「魔導収束砲"ジュピター"、撃てーい!!」

 

マスターハデスの号令で放たれたのは、幽鬼の支配者が使い妖精の尻尾を苦しめた魔導収束砲"ジュピター"。しかしマカロフはそれを片腕で防ぎ切った。

 

「ほう。」

「かあっ!!」

 

反撃で海ごと蹴り上げたマカロフ。すると飛行艇は一撃で大破した。

 

「ウルティア。」

「は。"時のアーク・レストア"。」

 

航行不可能な損壊を受けた飛行艇。しかし煉獄の七眷属の1人、ガルナ島や楽園の塔で暗躍していたウルティアが彼女の魔法"時のアーク"で飛行艇を元通りにした。だが次の瞬間、再び飛行艇の右舷に大穴が空いた。

 

「右舷、再び大破!!」

「何ですって!?」

「マカロフの攻撃ではない………どこからだ?」

「それが………見えません!!」

「何?」

「左舷方向に魔力反応はありますが、そこには何もありません!!」

 

不可視の奇襲に飛行艇の中では動揺が広がり始めた。だが不可視の奇襲を仕掛けた者はその動揺が収まる前に追撃を仕掛けた。

 

「魔力反応、左舷方向から消失!!」

「今度はどこから………!?」

「………真上か!!」

『奥義………"双神・竜星剣"!!』

 

その不可視の魔力反応は真上から急降下すると飛行艇を貫き大穴を形成、多くの悪魔の心臓の魔導士がその大穴から落下した。

 

「………この、魔力は。」

「ハデス様。」

「カプリコ、残る者を全員あの島へ連れて行け。私はマカロフを片付けよう。」

「了解。お気をつけて。」

 

煉獄の七眷属の1人、山羊頭の男カプリコが手を叩くと他の七眷属を含めた悪魔の心臓の魔導士が無数の小さな玉に収まり、カプリコはそれを抱えて魔導グライダーに乗って船外へと脱出した。

 

『"双神の………』

「!!」

『鉤爪"!!』

 

不可視の魔力反応、即ち"神霧の楼閣"で姿を隠していたリュークは船外に飛び出たカプリコに向けて爪を振り下ろして攻撃。

 

「ぐふっ………!!」

 

大ダメージを受けたカプリコ。だがすんでのところで留まったカプリコはその場を離れ、小さくした悪魔の心臓の魔導士を空からばら撒いた。

 

『チッ………!!』

「良い、リューク。ワシが1人たりとも逃がさん。」

 

するとマカロフがある構えを取った。

 

「妖精の尻尾、審判のしきたりにより、貴様等に三つ数える程の猶予を与える。」

「………術者が敵と認識した者を全て討つ超魔法、"妖精の法律(フェアリーロウ)"か。」

「一つ。二つ………三つ。そこまで。」

 

そして"妖精の法律"を発動しようとしたその瞬間、マスターハデスがマカロフの前に現れた。

 

「"悪魔の法律(グリモアロウ)"。」

「………!?」

「この魔法は抑止力、無闇に解き放ってはならん。それでも互いに引かぬなら、最悪の結末になるぞ。」

 

マスターハデスの姿を見たマカロフは驚愕の表情を見せ、"妖精の法律"を解いた。

 

「そ、そんな………まさか………!!」

 

マスターハデスの顔を、マカロフは知っていた。それは何故か。

 

「久しいな、"小僧"。」

「マスター………プレヒト………!?」

 

プレヒト・ゲイボルグ。妖精の尻尾2代目マスターにして、48年前マカロフにマスターの座を譲った先代マスターその人であったからだ。

 

「な、なぜあなたが………?」

 

答える代わりに、マスターハデスは魔法の鎖をマカロフに打ち込み島に叩き付けた。巨人化が解かれるも着地したマカロフは迎撃体制に入ると立ち上がり、目の前に現れたマスターハデスと向き合った。

 

「なぜあなたが闇ギルドに。」

「表と裏とは何だろうな、善と悪だけで物事は計れんぞ。」

「善でも悪でも、妖精の尻尾の精神は変わらぬはず。」

「言うようになったな、あの小僧が。」

「小僧はよせ、もうあんたは家族じゃない………だが、あんたとはやりたくない。今すぐ出て行ってくれんか。」

「私も心は痛むよ………妖精の尻尾をこの手で潰さねばならん日が来るとは。」

「ギルドはやらせんぞ!!」

 

そう言い、マカロフは素早く印を結び大魔法を放とうとした。だがマスターハデスはそれよりも早くに大魔法の魔法陣を完成させていた。

 

「(天照二十八式魔法陣!?この一瞬で………!?)」

「私には勝てんよ。」

 

マカロフよりも先に放たれた大魔法。

 

「ぬぅ………はあっ!!」

「ふん。」

 

大魔法を跳ね除けたマカロフ。だがマスターハデスは魔法の鎖でマカロフを拘束し右へ左へと薙ぎ払った。

 

「私は魔法と踊る、自由自在に。」

「がはっ………!!」

 

地面に叩きつけられたマカロフはすぐに立ち上がるが、その頃には更に大きな魔法陣が彼を囲んでいた。

 

「最大防御魔法、"三柱神"!!」

「"天照百式"。」

 

瞬間襲った、島全体をも揺らす特大魔法。

 

「………ふぅー、ふぅー………!!」

「流石私の見込んだ男。48年ギルドを支えただけの事はある。」

 

大ダメージを負いながらもマスターハデスの攻撃を受け切ったマカロフ。しかしその時、持病の発作が起き、胸を抑えて苦しみ出した。

 

「うぐ、あ………」

「ん?どこか悪いのか、マカロフ。」

「はぁ、はぁ、はぁ………!!」

「互いに老いたな。」

「うぐ………な、なぜだ。」

「ん?」

「あなたは立派なマスターだった。ワシらに"和"を解き、正しき道へと導いた。それが一体………何があったと言うのじゃ。」

 

マスターハデスはマカロフを地面に叩き付けてから答えた。

 

「ぐああっ!!」

「かつて"魔法"は闇の中で生まれた。その力は虐げられ恐れられて来た………やがて"魔法"は日常化し、人々の文化とも言える時代となった。だが"魔法"の根源を辿りゼレフに行き着いた時………私は見た。"魔導の真髄"と言うものを。」

「………!!」

「眠れ。妖精の尻尾の歴史は終わる。」

 

言い終え、マカロフに背を向けたマスターハデス。その隙を見てマカロフは起き上がり突撃するがマスターハデスは振り返ると指に魔力を溜め、光線を放とうとした。

 

「"双神の撃鉄"!!」

「!?」

 

だがそこに姿を現したリュークが乱入し、ハデスを殴り飛ばした。

 

「リューク!!いかん、この人は………」

「………久しぶりだな、"小僧"。」

「!?」

「……………!?」

 

ムクリと起き上がったマスターハデスに、リュークは向き合った。

 

「100年前から懲りてないらしいな。」

「貴様は………!!」

「覚えているようで何よりだ、いつぞやの"トレジャーハンター"。」

「トレジャー、ハンター………?リューク、どういう事じゃ!?」

 

首を傾げるマカロフに、リュークはマスターハデスを睨みつけながら話し始めた。

 

「100年以上前の話です。どこぞのバカが、"俺の里に秘宝が眠る"などと吹聴して、トレジャーハンター共が里を荒らしに来た。何を言おうが話を聞かない連中に業を煮やした俺は、ブチギレた末に竜になって焼き払ったんですが………唯一逃げ延びた3人組の1人が、こいつです。」

 

リュークはため息をつくと"絆剣リベラシオン"を引き抜きマスターハデスに向けた。

 

「………で、今度は俺の仲間と、俺の"親父"を傷つけるか、"墓荒らし"。あの時、貴様を仲間もろとも逃さず焼き払っておけば良かったな。」

「………その"墓荒らし"が逃げ延びた後に設立したギルドに身を置くとは滑稽なものよ。」

「全くだ………だから、その"汚点"を………ここで叩き斬る!!」

 

ダッと走り出したリューク。

 

「あの時と同じと思うな。」

 

マスターハデスは魔力の鎖を放ったがリュークはそれをヒラリとかわし更に接近。

 

「(練度はともかく………こう言う武器の戦いは、慣れてるんだよ!!)」

 

「せぇやぁっ!!」

「ふん。」

「!!」

 

そのまま射程圏内に入り"絆剣リベラシオン"を振り抜くリューク。だがマスターハデスはそれを軽くかわし鎖を巻きつけた。

 

「"竜神化"!!」

「何………?」

 

それをリュークは"竜石"の力で擬似的なドラゴンフォースを引き起こし、能力を飛躍的に上げて鎖を引きちぎると縮地の如く一瞬で距離を詰めた。

 

「"神霧の崩拳"!!」

「ぬぉ………!?」

「"神竜の咆哮"!!」

 

濃密な霧を纏った拳はマスターハデスの鳩尾にクリーンヒットして突き飛ばし、続けて桃色のレーザーを撃ち込んだ。

 

「………!!」

 

だが手応えはあまり感じず、構え直そうとした時、先程マカロフの周りに放たれた特大魔法の魔法陣がリュークを囲んだ。

 

「"天照百式"。」

 

再び放たれた、地を揺らす程の特大魔法。

 

「"神霧の竜鱗"。」

「なんと………!!」

 

だがリュークは濃密な霧の盾を十重に二十重に、鱗状に重ねてマスターハデスの特大魔法を防ぎ切った。

 

夢観よ(ゆめみよ)、竜姫の紋章士(エムブレム)………奥義!!」

 

"絆剣リベラシオン"に神竜と神霧の力、そして紋章士チキの力を乗せたリュークは目にも留まらぬ速さで切り込んだ。

 

「"神竜王の星辰"!!」

「ぐおおおっ!?」

 

竜の力を剣と、それを操る手足に集めて繰り出された斬り、突き、払いの連続攻撃。

 

「これで、終わりだ!!」

 

最後に突きを繰り出し、"神竜の撃鉄"の要領で竜の波動を撃ち出してマスターハデスを吹き飛ばし岩盤に叩き付けた。

 

「……………」

「リューク………うっ、ぐ!!」

「マスター、まだ安静に。」

 

"絆剣リベラシオン"を構えたままマカロフを気遣うリューク。

 

「………ほう。これが、竜族の力と言うものか。」

「!!」

「無傷、じゃと………!?」

 

半ば一方的に攻撃を叩き込まれたはずのマスターハデス。しかし、起き上がった彼はまるで無傷で、埃を払いながら近づいて来た。

 

「しかし、竜族の力でも我が"魔導の真髄"を貫く事はできぬか。」

「………!!」

「で………それで終わりか?」

「どうだろうな………"神器錬成、始まりの魔道"!!」

 

左手に持った"トロン"の魔道書に"神器錬成"を行ったリュークは右手の"絆剣リベラシオン"を照準代わりにマスターハデスへ突き付けた。

 

「"スターライト"!!」

 

"スターライト"の書から放たれた星の輝きはマスターハデスを飲み込み大爆発を起こした。

 

「………ほほう。常闇を祓う星の光………そのような魔法まで持っていたか。だが………む?」

 

"スターライト"による星々の爆発を以てしてもマスターハデスは無傷だった。だがマスターハデスは攻撃の構えを解いた。リュークもマカロフも目の前から消えていたからである。

 

「今は私を倒せぬ、そう判断した瞬間に負傷者(マカロフ)を連れて撤退するか。竜族の力を持ちながら"将"としての目を持つか………100年前の私が敵わぬ相手だったのも無理は無い。」

 

再び埃を払ったマスターハデス。

 

「だが貴様が見逃したおかげで、私は"魔道の真髄"に辿り着いた。そして、竜族をも凌駕する大魔道を得た。貴様も、マカロフも、他のマカロフの子も、全て私が育てた失われた魔法(ロストマジック)の使い手を前には為す術は万に一つも無い。」

 

そう言い残し、マスターハデスは飛行艇が停泊した浜辺へと歩き出した。

 

==========

 

マスターハデスの前から撤退していたリュークはマカロフを抱え森の中を走っていた。

 

「リューク………ぐうっ!!」

「手荒な運び方で申し訳ありませんが、もう少し辛抱してください。クソッ………魔導二輪があればなんて思いたくは無いんだが!!」

「何故、すぐに撤退した………?」

「あの時点でのマスターハデスを倒す手段が無かったからです。」

 

リュークは続けた。

 

「何のカラクリかは分からないですけど、今のマスターハデスは"無敵"、一切の攻撃が効かない状態でした。魔法か、加護か、道具か、あるいは煉獄の七眷属との生体リンクか………いくつか可能性は考えられますが、それをあそこで試す時間は無かったので。」

「………リューク………お主の判断は正しい。」

「マスター?」

「ワシらに勝ち目は無い。皆を連れて………」

「お断りします。」

「何故じ………ゴホッ、ゴホッ!!」

「ここにいる誰に言っても納得しないとは思いますが………俺個人の理由なら、あなたのようになりたくなったからです。」

「ワシのように………?」

「最後まで仲間を導き、最後まで仲間を守る。そして、その為に最後まで戦場に立つ………あなたがマスターとしてそうあろうとするように、俺は"将"として、"王"として、そうありたい。だから俺はこの試験を真っ向から受ける決意もしたし、撤退する時の俺の居場所は殿(しんがり)のただ一つです。」

「何をバカな事を………」

「バカで構いません。ですが、ここで逃げたら誰よりも俺自身が許せなくなる。俺自身にも、仲間にも………そして、母さんや兄さん姉さんに顔向けできなくなる。」

「………お主。」

「とにかく、まだ誰も諦めて無いと思いますし、まだ勝機はあります。自分が選んだ魔導士とそのパートナーを信じてください。」

「……………。」

 

そうしてしばらく走っていると、ナツがリュークの目の前に落ちて来た。

 

「ぐあっ!?」

「ナツ!!大丈夫か!?」

「う、うぐ………あの野郎。久しぶりだ、火を"熱い"なんて思ったのは………ん、リュークに………じっちゃん!?」

 

ナツは、リュークが抱えているマカロフが傷を負っているのを見て駆け寄った。

 

「じっちゃん!!ヒデェ怪我………誰にやられたんだ!?」

 

リュークやマカロフが答える前に、その答えは告げられた。

 

「ウヒヒ………マスターハデスにやられたんだろ?そうだよなぁ、マカロフ………」

「お前………!!」

「ナツ、こいつは?」

「炎の滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)、とか言ってた………」

「神殺しの炎………!!」

「その通り。俺っちは竜の炎をも食らい、焼き尽くす神殺し、炎の滅神魔導士だ。」

 

狂気をはらんだ笑みを浮かべながら近づいて来たのは煉獄の七眷属の1人、ザンクロウ。それを牽制するように、リュークはマカロフを一度地面に寝かせると前に出て"絆剣リベラシオン"を構えた。

 

「その魔力、さっき飛行艇に穴を開けた奴だな………」

「よく気づいたね。」

「ウヒヒ………どちらにしても、神を前にして罰当たりばかりの連中だなぁ!?」

「………ただの人の分際で神を名乗るその不遜さとどちらが罰当たりだろうね。」

「アァ!?」

 

"絆剣リベラシオン"を構えながらチラとナツを見たリューク。するとナツは脂汗をかきながら恐怖の表情を見せていた。

 

「………ナツ?」

「(恐怖………あのナツが!?)」

「大丈夫か、ナツ?」

「どうした滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)、全身から脂汗が出てるってよ。」

「これが、恐怖………?」

「そうだ!!それが恐怖だ!!絶対なる者を前にした人は恐れ戦き止まる事しかできねぇ!!」

 

ブルブル震えるナツに、ニヤニヤと笑うザンクロウ。

 

「………違う。」

「ア?」

「これは確かに恐怖だけど………ギルダーツの言ってた恐怖とは違う。」

 

するとナツは震えを止め、怒りの炎を上げた。

 

「この震えは、じっちゃんをこんな目に遭わせた敵を………俺以外の誰かに始末されちまう事への恐怖!!」

 

そしてナツは炎をあげながら吼えた。

 

「てめぇも、マスターハデスも、必ず俺の手で倒す!!俺は、お前達を絶対に許さねぇ!!」

 

するとナツはリュークの方を見た。

 

「リューク!!」

「何だ!?」

「こいつは俺が倒す!!じっちゃんも任せろ!!お前は他の皆を助けろ!!」

「………任せていいんだな?」

「当然だ!!任せろ!!」

「了解した!!」

 

リュークはマカロフの前でしゃがむと杖を出して回復魔法をかけながらフェルトを呼んだ。

 

「フェルト!!」

「ホホーッ!!」

「ウェンディを探してここまで案内して!!」

「ホホッ!!」

 

フェルトに指示を出したリュークはその場を後にした。

 

「(とは言えどうする………!?あのレベルの魔導士があと6人に、攻撃の効かないマスターハデス、後は伏兵の可能性………マスターにはああ言ったが、流石に、分が悪い!!)」

 

弱っていたマカロフに向かって調子の良い事を言ったが、状況がそれ程楽観的では無いと断じていたリュークは走りながら思考を巡らせていた。

 

「(何よりも全員が分散しているのがマズい!!試験で散り散りになってるから連携もクソも無い!!どうやれば………どうやれば、俺は皆を、勝利に導ける!?)」

 

やがて足を止め、目を閉じて考え込んだリューク。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「眠り続ける私を守ってくれたのは母であった、先代の神竜王とその"気"による"加護"でした。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その時、リュークはカッと目を見開いた。

 

「………なるほど、その手があるか。」

 

リュークは己の左手と、その薬指に嵌る"炎の紋章"を少し見つめると、ギュッと拳を握った。

 

「やるしか無い………いや、やってやる。今、この場所で………俺は、"神竜王"になって見せる。」

 

そう1人でつぶやくと、リュークは再び走り出した。

 

 

続く




・リュークとマスターハデスの因縁

100年以上前、誰かが流した「秘宝が眠っている」と言う噂でソラネルの里にトレジャーハンターが殺到、その中には所属していたトレジャーハンターギルドの仲間に誘われてプレヒト(後のハデス)もいた。
里や墓を荒らす連中に完全にブチギレたリュークは竜化して里に訪れたトレジャーハンターを片っ端から攻撃、速攻で逃げたプレヒトら3人組以外は全員始末。「化物によって皆殺しになる」と言う噂とともにソラネルの里には人が近づかなくなり噂もほぼ風化したのだった。
そしてリュークはこの時を最後に竜化を100年間封印する事になった。尚、プレヒトが組んでた3人組の残り2名はあの2人です。またその話も出ると思います。

・即撤退を決めたリューク

リューク「ふん!!」
ハデス「ぬるい。」NO DAMAGE
リューク「せやっ!!」
ハデス「児戯か。」NO DAMAGE
リューク「ダメだこりゃ」ソソクサー

FEに限らずRPGでは定番の「ギミック攻略しないとダメージ通らない」系の敵だと察して、しかも手負いのマカロフ抱えたままじゃ探る余裕も無いので逃げの一手でしたね。
ほぼ毎作品こう言うのが出て、紋章士経由でその知識を持っているので速攻気付いた感じです。逃げる直前に"スターライト"ぶつけたのは"スターライト"が暗黒竜や紋章に出る大ボスガーネフの"マフー"の加護ブチ抜く唯一の手段だったので、「闇魔道の加護ならワンチャンブチ抜けない?」で放ってます。
特にヒーローズだと相手の大体がが神話の神様級で無法な加護持って来るから毎度どうやってその加護引っ剥がすかが話の流れになりますね。その結果、影薄いと散々言われたアルフォンスが歴代ロードの中でもだいぶ頭脳派と言うか策士寄りの個性でキャラ立ってきましたね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。