今回はそこら周りの回です。
ハデスとの戦いに苦戦していたリューク達の前に現れた、元妖精の尻尾S級魔導士ラクサスの登場。
「こやつ、マカロフの血族か。」
ラクサスにマカロフの面影を見たハデス。だがそれを無視してラクサスは背後にいるかつての仲間に話しかけた。
「何故お前がここに………」
「先代の墓参りだよ。これでも"元"妖精の尻尾だからな。しかし、俺は初代の墓参りに来たつもりだったのになァ。」
ラクサスはハデスを見据えた。
「2代目さんがおられるとは………せっかくだから、墓を作っておがんでやるとするか。」
そしてラクサスはハデスを怒気のはらんだ表情で睨み付けた。
「やれやれ、小僧の親族にこんな思い上がった者がいたとは。」
「……………」
「……………」
暫しの睨み合い。そして少しの間を置いて、ラクサスが雷の速度でハデスに蹴りかかった。
「ぬぅ!!」
「おらぁっ!!」
最初から雷の滅竜魔法を使い、ハデスのスピードを凌駕して猛攻を仕掛け続けた。
「むん。」
ハデスは鎖を放つがラクサスはそれを軽く避けた。だがハデスはそれも織り込み済み、彼の狙いはラクサスの後ろにあった地球儀だった。
「ふん!!」
そして地球儀をぶん回したがその地球儀はラクサスの前で砕けた。
「!!」
『
「何のつもりだ?」
『邪魔はしねぇ。俺も好き勝手やるから好きにしろ、ラクサス。』
「そうか、よっ!!」
紋章士ルフレの方と"エンゲージ"したリュークは賢者に"クラスチェンジ"し、"トロン"の魔道書を手にラクサスの援護を買って出た。
「フン。」
「ぐっ!!」
魔法で突撃するラクサスを突き飛ばしたハデスは巨大な魔法陣をラクサスの周りに展開しようとした。
『させるかよ!!"神器錬成、系譜の魔道"!!』
"トロン"から紋章士リーフの世界の魔道書………エドラスの紋章士、紋章士ラインハルトの魔道書、"ダイムサンダ"による連撃を繰り出したリューク。だがハデスはすぐに対応して"ダイムサンダ"の高速連撃をかわしていた。
「ラクサスとやらよりも遅い………それで援護のつもりか?」
『ふぅ………だったら!!』
とリュークはもう一冊の魔道書を出して続けて"神器錬成"をした。
『"神器錬成、聖戦の魔道"………これが俺の魔道の真髄!!食らうがいい、"トールハンマー"!!』
"ダイムサンダ"に加え"トールハンマー"を出したリューク。"ダイムサンダ"の素早い連撃と、"トールハンマー"の特大の一撃を同時に繰り出すと戦場である飛行艇に大小の雷が無数に降り注がせた。
「出鱈目に撃って何かになると思っているのか?」
『当然だ!!当たれば良し、当たらなくても良しだ!!』
無作為に落とされた雷は飛行艇の床を焼き、破壊しているがハデスには中々当たらなかった。だがリュークにとってはそれで良かった。
「………こちそう、さん!!」
攻撃の外れた雷はラクサスが掴み、食らって更に強化。その上その雷はハデスの逃げ場も制限していた。
「"レイジングボルト"!!」
「ぬぐ………っ!!」
「"雷竜の………っ!?」
リュークの雷で追い詰め、猛攻をかけたラクサス。だがハデスに突撃したラクサスの前に、再び巨大な魔法陣を展開。
「"天照百式"。」
「崩拳"ッッッ!!」
"天照百式"の直撃を受けたラクサス。だがそれに構わずラクサスはハデスを殴り抜けた。
「滅竜奥義………"鳴御雷"!!」
『これが、俺の有する雷の最大火力………"フリージの烈雷"!!』
ラクサスによる雷の滅竜奥義、そしてリュークの"トールハンマー"と"ダイムサンダ"による限界を超えた渾身の雷を叩き込んだ。だがそれでも、ハデスは2人を睨み付けながら立ち上がった。
『はぁ、はぁ………(これでも、まだ足りないか………!!)』
「どうした………?もうヘバッたのか、クソチビ?」
『はぁ………独り善がりのお前と、一緒にするな、クソガキ………!!』
「相変わらずだ………ぐふっ!?」
息の上がるリュークに減らず口を叩くラクサスだが、ガクリと崩れた。
「ラクサス!!」
「さっきの魔法のダメージが………!!」
「しっかりしろよ、ラクサス!!」
膝をついたラクサス。だが彼は笑っていた。
「世界は本当に広いな………こんなバケモンがいるとはな。俺もまだまだだ………」
「何言ってんだラクサス!!」
『弱音とは、らしくねぇなクソガキ………!!ぐっ!?』
檄を飛ばそうとしたナツとリュークだが、2人共消耗しておりすぐに援護を回れなくなっていた。
「やってくれたのう、ラクサスとやら………」
「野郎………!!」
『クソッ………!!』
「うぬはもう、消えよ!!」
ラクサスに対して渾身の魔法を放ったハデス。だがラクサスは避ける素振りを見せず、笑みを浮かべ周りに話しかけた。
「俺はよう、もう妖精の尻尾の人間じゃねぇけどよ………」
「立て、ラクサス!!」
「避けて!!」
「ジジイをやられたら………怒っても良いんだよな?」
その答えはナツとリュークが吼えた。
『「当たり前だッッッ!!」』
するとハデスの魔法が当たる直前、ラクサスは渾身の雷を放った。ハデスでは無く、ナツとリュークにであるが。
『「!!」』
そしてラクサスとハデスの魔法が炸裂、船は大きく揺れた。その結果、ハデスの魔法を食らったラクサスはその場に倒れた。
「………おい。」
『何だ………危ないな、ッ………!!』
「何故、避けた………?」
『今、お前の魔法を食らったら、死ぬからだよ、馬鹿野郎が………!!』
「………何だ、テメェ………滅竜魔導士じゃねぇのかよ………」
「どう勘違いしたら、そうなるんだよ………!?」
「………チッ。」
自分の雷をギリギリで避けたリュークに、息を切らしながらもあからさまに舌打ちしたラクサス。
「こんなんだったら、全部お前に"奢った"んだがな………なぁ、ナツ。」
「………!!」
フラリと立ち上がったナツ。そんなナツはバチバチと"帯電"していた。
「ごちそう、さま………」
「帯電?」
「俺の半分の魔力だ。どっかのクソチビがもう半分を無駄にしやがったが………どうだ?」
「………まさか、雷を、食べちゃったの………?」
楽園の塔で"エーテリオン"を食べた時のように、ラクサスの雷を食べたナツ。だがナツは戸惑いながらラクサスに問いかけた。
「何でだ………俺は、お前より弱ぇのに………」
「強い弱いの、問題じゃねぇだろ………」
ラクサスはナツを見た。
「傷つけられたのは誰だ?ギルドの紋章を刻んだ奴がやらねぇでどうする?」
そしてニヤリと笑い言葉を続けた。
「ギルドの受けた痛みは、ギルドが返せ………100倍返しでな。」
「………ああ。」
ラクサスの言葉に拳を固く握り締めたナツ。すると、ナツは炎と雷を全身に"同時に"纏った。
「炎と雷の、融合………」
『雷炎竜………!!』
「任せろ………100倍返しだ!!」
雷炎竜となったナツは呼吸を整え、吼えた。
「うおおおおおお!!」
「があああ!!」
雷の速度で突撃し、炎の爆発力でハデスを壁に殴り飛ばしたナツ。
「っらぁっ!!」
「んぎぃ、ぐあああ………!!」
「炎の打撃の後に、雷の追加攻撃!!」
「凄い!!」
雷炎竜となったナツはハデスを圧倒していた。
「俺達のギルドを傷つけやがって………!!」
悪魔の心臓の襲撃によって倒れた者を思い浮かべながら、ナツは一方的にハデスを炎と雷のラッシュで攻め立てていた。
「お前は、消えろォォォ!!」
"火竜の煌炎"の要領で炎と雷を上からぶつけたナツ。だがやられっぱなしではいられないハデスはナツに鎖を放ち両腕を塞いだ。
「はっはーっ!!両腕を………!!」
しかしナツは容易くそれを引きちぎった。
「な!!」
「"雷炎竜の………咆哮"ッッッ!!」
炎と雷の、特大のブレスはハデスをあっという間に呑み込み、その余波で味方をも吹き飛ばす威力だった。そしてそのブレスは壁を貫き、天狼島を貫き、そして天も貫いた。
「ハァ、ハァ、ハァ………!!」
肩で息をするナツの見据える先。そこにはハデスが倒れていた。
「………へっ、やった、ぞ………」
それを見届け、笑ったナツだが魔力消費が激しくフラつき、落ちそうになったが"エンゲージ"が解除されていたリュークがすんでの所で腕を掴んだ。
「た、助かった………もう、完全に魔力がねぇや。」
「おつかれさん。………しかしゾッとするよ。死んでも食らいたくないな、あれは。」
「これで終わったな。」
「はい!!」
戦いが終わったかに思えたその時だった。
「大した若造どもだ。」
「「「!!」」」
「マカロフめ………全く恐ろしいガキどもを育てたものだ。」
「そんな………」
何とナツの雷炎竜の猛攻を受けて尚、ハデスは立ち上がった。
「私がここまでやられたのは何十年ぶりかのう………このまま片付けてやるのは容易いが、楽しませて貰った礼はせねばな。」
立ち上がり、ボロボロになった衣装を直すとハデスは眼帯で隠していた右目を開眼させた。
「悪魔の目、開眼!!」
「………!!」
「うぬらには特別に見せてしんぜよう………"魔道の深淵"と言うものを。ここからは、うぬらの想像を遥かに超える領域。」
隠していた魔力を解放したハデス。そのあまりにも重く、禍々しい魔力。
「バカな………」
「こんなの、あり得ない………」
「こんな魔力、感じた事が………」
「まだ増幅していく………」
「んぐ、ハァ………クソッ、動く力さえ、残ってねぇ………!!」
「今度こそ終わりだ、妖精の尻尾。」
ナツ達を威圧したまま話を続けるハデス。
「魔の道を進むのは、深き闇の底へと沈む事。その先にあるのは、深淵に輝く"一なる魔法"。それにあと少しで辿り着くが、その"あと少し"が深い。」
そして、ハデスは黒魔導士ゼレフを追う目的を語った。
「その"あと少し"を埋めるものこそ、魔力を持つ者のみが生きられる大魔法世界、ゼレフのいる世界。今宵、ゼレフの覚醒と共に世界は変わり、私は"一なる魔法"を手に入れるのだ。」
するとハデスは両手を広げ、魔法の構えを取った。
「ゼレフ書第四章十二節より、裏魔法"
"天罰"を繰り出したハデス。するとハデスの周囲の瓦礫の破片が変化し、無数の禍々しい悪魔の群れが形成された。
「深淵の魔力を以てすれば、土塊から悪魔をも生成できる。悪魔の踊り子にして天の裁判官、これぞ裏魔法。」
一体一体が途轍もない魔力を有する悪魔。それが無数に、いとも容易く生み出される光景は消耗している妖精の尻尾の皆には堪えた。
「(怖い………怖い、怖い!!)」
「(私が、恐怖で震えている………)」
「(何ビビってんだ俺は………!!)」
「(怖くて、もう、ダメ………誰か、あたし達に勇気を………!!)」
その時、前に出たのは白い竜。
「貴様は私の恐怖の対象では無いと言ったはずだ。」
『……………。』
「1人で相手をしようと言うのかね。いくら竜と言えど、1人で悪魔の群れを相手できると思っているのか。」
『できるとも。』
「ならば望み通り、貴様から片付けるとしよう!!」
ハデスは1人立ちはだかるリュークに向けて印を結んだ。
「踊れ、土塊の悪魔よ!!我が人生唯一の瑕疵よ、1人で絶望に呑まれ散るがいい!!」
津波の如く、猛然と迫る悪魔の群れ。だがリュークは一歩たりとも退かなかった。
『1人で、絶望に呑まれる、か………』
それどころかリュークは不敵に笑った。
『それはできない相談だ。』
「何………?」
『何故なら………』
その瞬間、リュークを覆い潰さんとした悪魔の群れは一瞬にして霧散した。
『俺は最初から、1人じゃない!!』
桃色の波動と霧を纏った爪で薙ぎ払ったリューク。だがリュークが斬り裂いた悪魔はほんの一部。残りを斬り払ったのは常にリュークの力となり、共に戦った異界の英雄達の写し身、紋章士だった。
『俺達は、最初から強かった訳じゃない。………強大な敵を前に何度も足が竦み、心が挫け、諦めそうになった。』
『大切なものを失って、守れなくて、自分の無力さを思い知らされて何度も泣いたわ………1人のままだったら、そのまま押し潰されていたと思う。』
『でも、大切な仲間達が背中を押してくれたから、僕達は何度だって立ち上がれた。そんな仲間達を守りたいから、失いたくないから、僕達は戦い続けた。その戦いが後の人達にも語り継がれ、やがて僕達は紋章士となった………僕達と同じように、負けられない戦いに身を投じる人の力になる為に。』
紋章士ヴェロニカの力か、はたまた召喚魔法の使い手であるルーシィの影響か、召喚された紋章士アイク、紋章士リン、紋章士マルスはそれぞれの剣を手に、リュークの背後にいる者に語りかけた。
『………俺が故郷を失って、家族を失ってから数百年。俺がここまで心が折れずに来れたのは、俺と同じ………いや、俺以上の悲しみや苦しみを乗り越えて来た
ハデスの力で再度生み出された土塊の悪魔の群れ。だがリュークが深呼吸の後に放たれたブレス………悪魔の心臓との戦いが始まってから今まで魔法を使い続け、いくら竜の力を以てしても底が見えている状態ながら、彼の一撃は今までよりも強く、悪魔の群れを塵に変えた。
「!!」
『今度は、俺の番だ………!!』
そしてリュークは後ろを振り向いた。
『俺が道を開く!!俺が背中を押す!!俺が導いて見せる!!だから………皆!!俺に力を、貸してくれ!!』
割れんばかりの轟き。敵を威圧する脅嚇では無く、味方を奮い立たせる激励。それに最初に応じたのは魔力を使い切ったはずのナツだった。
「恐怖は"悪"では無い、それは"己の弱さを知る"と言う事。」
ナツの言葉は一次試験でギルダーツからかけられた言葉。
「弱さを知れば、人は強くも優しくもなれる。」
フラつきながら再び立ち上がったナツ。
「俺達は自分の弱さを知った………だったら次はどうする?リュークがやってて、俺達がまだやってない事は何だ?」
そして今度はナツが吼えた。
「強くなれ!!立ち向かうんだ!!1人じゃ怖くてどうしようも無くても、俺達はこんなに近くにいる………すぐ近くに仲間がいるんだ!!俺達は1人じゃねぇんだ!!」
その言葉に、他の皆も次々と立ち上がった。
「(仲間がいれば………)」
「(恐怖は無い。)」
「(たとえもう魔力が無くても………)」
「(私達は最後まで諦めんぞ!!)」
「(それが、妖精の尻尾………!!)」
立ち上がった妖精の尻尾の魔導士達。
『その咆哮、確かに受け取った!!』
すると、ナツの背後に紋章士ロイが現れた。続けてグレイ、エルザ、ウェンディ、ルーシィの背後にそれぞれ紋章士フィヨルム、紋章士リーフ、紋章士カムイ、紋章士リュールが背中に手を当てた。
『足りない力は、私達が補います。』
『僕達も一緒に戦わせてくれ。』
『あなた達の決意、決断は無駄にさせません!!』
『あなた達と私達で勝利を、明日を繋ぎましょう!!』
立ち上がった妖精の尻尾の魔導士を見たハデスは再三、土塊の悪魔を生成した。
「見上げた虚栄心………だがそれもここまで。」
対して、リュークは不敵に笑い出した。
「それはこっちのセリフだ。」
「何?」
「お前の無尽蔵の魔力と生命力………いつまで続くかな?」
リュークの言葉の意図を察したハデス。だがハデスが口を開く前にリュークは号令をかけた。
『作戦は単純明快!!俺達の得意技………一切合切を、ぶっ壊せ!!』
「「「「「オオッ!!」」」」」
妖精と悪魔の戦いは、最終局面へと入った。
続く
・"フリージの烈雷"
"ダイムサンダ"の連撃で逃げ場を潰しながら"トールハンマー"を撃ち込む大技。当然、"神器錬成"2つ分なので消費魔力は半端じゃないが威力はそれに見合っており、リュークの出せる雷魔法としては最高火力。
「アルヴィスが嫉妬心で癇癪起こさなければイシュタルとラインハルトが同じマップで現れてセリス一行を蹂躙した可能性もあるんだよなぁ………おお怖っ」と思いながら考えつきました。
・ラクサスの勘違い
BOFの時のリュークの言動や雷の滅竜魔法を受けた時の反応から、
滅竜魔法が苦手→滅竜魔導士→俺の雷食ったら強化できる
と判断。しかしリュークは滅竜魔導士ではなく竜族なので食べようものなら口と消化器官が焼け爛れ痛みと熱さで苦しみ抜きながら死にます(断言)そりゃ死ぬ気で避ける。
次回、決着の予定です。