前回に続いて魔法も紋章士も出ませんが、楽しんでいただけたらと思います。
では、どうぞ!!
シンと静まり返る体育館。満員の観客の視線は体育館の中心。そこにいるのは竹刀を構え相対する、剣道具に身を包んだ少年2人。ここでは高校生の剣道の全国大会、その決勝戦が行われていた。
「「……………」」
面越しに睨み合う2人の少年。片方は190cm越えの大男に対しもう片方は160cm程度の小兵。
「ヤァァッ………!!」
「……………!!」
気勢を上げる大男に対して、深呼吸をしながら黙って相対する小兵。すると小兵がスッと動き、竹刀の構えを僅かに下に下げた。
「ハァッーーー!!」
「!!」
それを見て大男が小兵の面を狙って竹刀を振り下ろした。だが真っすぐ振り下ろされた竹刀は空を切った。
「胴ッッッ!!」
体捌きで大男の振り下ろしをかわしながら鋭い抜き胴を繰り出した小兵。その一撃は鮮やかに決まり、主審と副審の旗が上がった。一本が決まり、小兵の少年が勝利した。
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その後行われた表彰式にて。入賞した選手が次々と呼ばれ賞状やトロフィーを受け取る中、最後に決勝戦を制した小兵の少年が呼ばれた。
「リューク・ソラネル。」
「はい。」
小兵の少年、リュークは賞状を手にするこの国の剣道連盟の理事長の前に立った。
「優勝。
妖精学園、リューク・ソラネル
あなたは当大会において当初の成績を収めたのでこれを称します
X784年◯月✕日
東部剣道連盟理事長 カゲノリ・ヤギュウ
………おめでとうございます。」
賞状を受け取り、礼をしたリューク。彼こそが妖精学園剣道部の二大エースにして大人顔負けの応じ技の使い手、リューク・ソラネルだった。
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「リューク、朝よー。」
「………ううん。あと5時間………」
「寝ぼけるにも程があるでしょ。ほら、そろそろ起きないと遅刻するわよ。」
「………むー………。」
試合では大人顔負けの強さを誇るリューク。しかし寝起きの彼にその面影は皆無だった。
「………おはよう、母さん。」
「おはよう、リューク。朝ごはんできてるからダイニングへ向かいなさい。」
「はぁい………。」
大あくびをしながらベッドから出るリュークは母ルミナに言われるがままにダイニングへと向かった。
「相変わらずだな、リューク。」
「おはよう、寝坊助さん。」
「兄さん、姉さん、おはよう………」
指輪職人の母ルミナ。大学生の兄レックス。家業を継ぐ予定の指輪職人見習いローナ。そして高校生のリューク。この4人がソラネル家の一員である。
「もぐもぐ………」
「いつもの事ながら相変わらずとぼけた顔してるな………道場や試合での顔はどこ行ったんだよ。」
「今朝は"お客さん"が来るのに、そんなのでいいのかしら?」
「"お客さん"?何の話………?」
眠そうな顔をしながらトーストにかじりつくリューク。すると玄関のチャイムが鳴った。
「噂をすれば来たわね。はーい、今出まーす!!」
ルミナが玄関に向かい、扉を開けた。
「いらっしゃい!!久しぶりね、こんなに大きくなって!!」
「………?」
「リューク?いるわよ!!今のあなたを見てきっと驚くんじゃないかしら!!入って入って!!」
ルミナに招かれ家に入って来たのは、リュークの通う妖精学園の制服を着た、金髪の少女。
「おじゃまします。」
「………?」
頭にはてなマークを浮かべながらトーストをかじり続けるリューク。その寝ぼけた顔を見た少女は思わずクスリと笑った。
「おはよう。」
「………?」
「大きくなっても朝が弱いのは変わらないのね。その寝ぼけた顔、昔と全く一緒じゃない。」
瞬きを数回してから、リュークはようやく目の前の少女の正体に気づいた。
「その顔………もしかして、ルーシィ?」
「久しぶり、リューク。小学校4年生の時以来ね。」
その少女の正体は家族ぐるみの付き合いのあった幼馴染で、彼女が引っ越すまでは毎日のように遊んでいた仲だったルーシィだった。
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「へぇー、あのお嬢様の中高一貫校に………それが何でまた対極にあるウチに転校したの?」
「色々あってね………そんな時に、妖精学園の自由な校風に憧れて、それで思い切って転校を決意したんだ。」
「そっか………それにしても、良かった。」
「良かった、って?」
「………ルーシィのママが亡くなってから引っ越すまで、ずっと暗い顔をしたままお別れだったから。」
「……………。」
「でも今は昔みたいに明るく笑えてる。だから良かった、って言ったんだ。これからまた、よろしくね?」
「うん、よろしく!!」
その後支度したリュークはルーシィと共に登校したのだった。その途中でルーシィはリュークの持っていた竹刀に触れた。
「それにしても剣道続けてたんだね。」
「まあね。一応、高校入ってから負け無しの腕前になったんだぜ?」
「へぇ〜。毎回、稽古が終わったら「もうヤダ、やめる〜!!」ってわんわん泣いてたあのリュークが?」
「思い出したくもない黒歴史を君は………!!絶対に皆にバラすなよ?」
「どうしようかな〜?」
「こッの………!!」
そうしている内に妖精学園に到着したリュークとルーシィ。
「到着っと。職員室の場所は分かる?」
「うん、見学や面接の時に来てるから大丈夫。」
「ならいいか。どのクラスになるか分からないけど、これからよろしく。」
「うん、それじゃあまた後でね。」
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「………で、クラスまで同じとはね。」
「あはは………」
結果的にルーシィはリュークと同じクラス、更に席もリュークの隣となった。また旧知の仲だったと言う事で右も左も分からない彼女の面倒を、反対側の隣に座るレビィと共に見る事になり、更にはリュークとレビィの所属している図書委員の手伝いもする事になった。
「ごめんねルーちゃん、図書委員の手伝いまでしてもらって。」
「気にしないでレビィちゃん、ついでで学校の案内までして貰って助かってるから。」
そして現在はリュークとレビィの図書委員としての仕事についていきながらルーシィは2人に学校の案内をして貰っていた。
「それにしたってリュークも隅に置けないね、こんな可愛い幼馴染がいたなんて。」
「いつも男2人侍らせてる人が何か言ってるよ。」
「侍らせてるって、そんなんじゃ無いよ。それで、どんな出会いだったの?」
「出会い、って言われてもね………母さん同士が仲良くて、その流れで小学校に入学するちょっと前くらいに出会ったんだっけかな。そこからよく遊ぶようになって、小学校も一緒だったけど家の都合でルーシィが引っ越してそれっきり………ってところか?」
「うわぁ、お話の設定なんじゃないかってくらいものすごいベタな幼馴染だ………本当なの、ルーちゃん?」
「………そうね。」
「?」
「何でもない。うん、そんな感じだね。」
「そっかぁ………あ、もしかしてリュークを追っかけて転校したとか。」
「違うよ!?」
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その後ルーシィは無事妖精学園に馴染み、多くの友達ができた。そんなこんなで彼女が転校してから数ヶ月経ち、夏休みが終わり学園の体育館では始業式が行われていた。
「ホー、ホホホッホ、ホホー。」
「フェルト教頭、毎回何言ってるのか全く分かんねーんだよな。」
「プルー校長もそうだけど、文章だけ見ると良い事言ってるし実際良い先生なんだけど………いざ話すとプーンとかホーホーとしか言わないからな。」
「ホーホケキョ。」
「「鳴き声変わった!?」」
なんだかんだで始業式は卒無く終わり、教室に戻った生徒達。そこでまず行われたのは夏休みの宿題の提出、では無く………
「「学園祭の出し物決めるぞー!!」」
担任のハッピー先生が見守る中、学園祭実行委員であるマックスとカナの主導で学園祭の出し物についての議論が始まった。しかし自由が校風の妖精学園、その中でも特に自由過ぎる者が集まったこのクラスの議論がスッと纏まる訳もなく、議論は紛糾。学級委員にして生徒会長のエルザの一喝が入るまで議論は続いた。
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「で、どうなんじゃ?」
「どう、とは?」
昼休みに入り、屋上で眠そうに弁当を出して食べ始めたリューク。そこに質問を投げかけたのは七輪を出してスルメを焼き始めるマカロフ(◯留)だった。
「決まっておるじゃろう、ルーシィの事じゃよ。何か無いのか?」
「何か無いのか、と問われても何も無いが?」
「んな訳ねぇだろう、あんな親しく喋っててよぅ?」
「それに知ってるんだぜ、お前がルーシィをよく家に連れ込んでる事も、よく一緒に登校することもよ!!」
マカロフと共に七輪を囲んでいたマカオとワカバも茶々を入れるが、リュークは「何言ってんだ?」と言う表情で弁当を食べ進めていた。
「連れ込んでるとは人聞きの悪い。家族ぐるみの付き合いをしてた幼馴染が、昔と同じように家に遊びに来る事がそんなにおかしいか?」
「「「はぁ〜〜〜………」」」
マカロフ、マカオ、ワカバの大きな溜め息に、首をかしげたリューク。だがまともに取り合うのも馬鹿らしくなったリュークはすぐに食事を再開。
「(………あれ、母さん味付け変えたか?まぁおいしいからいいか。)」
「………ところでリューク。」
「今度は何だよ、しつこいなぁ。」
「お主の弁当箱、そんな女の子らしいものじゃったか?」
「は?」
眠そうに開いていた目をパチクリと見開き、自分の弁当箱を見たリューク。その弁当箱はリュークのとは考え辛い、ピンクのハート型のものだった。
「どういう事?」
ではリュークの弁当箱はどこにあるのか?
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「?????」
それは中庭でエルザ、ウェンディ、レビィ、ミラと共に昼食を食べようとしていたルーシィの手にあった。
「ルーシィさん、そのお弁当箱って………」
「こ、これは………ち、違うの、何でもないの!!」
「あらあら、まだ何も言ってないわよ。」
「ルーちゃん、その言い方は何でもある時の言い方だよ。」
「うう………っ。」
「………で、どうしてリュークの弁当箱をルーシィが持っているのだ?」
ルーシィは顔を耳まで真っ赤にしながら答えた。
「………り、料理を教えて貰ってたの、リュークのお母さんに。その一環でお弁当を作ったんだけど………」
「取り違えちゃった?」
「………うん。リュークがギリギリまで寝てたおかげでドタバタ出るしか無くて………」
「そっか………でもルーシィ、相当リュークの家に入り浸ってない?」
「………昔は近所に住んでてよく遊びに行ってたし、リュークのお母さんやお兄さんお姉さんも何かと良くしてくれるから、居心地が良くて………」
「昔は?」
「元々あたしのママとリュークのお母さんが友達で、家族ぐるみの付き合いがあったんだけど………ママが亡くなって、パパの仕事の都合もあって引っ越してから疎遠になってたの。」
「それが最近になって転校して、再びリュークの家族との交流も復活した、と………やはりルーシィ、もしかしてリュークを追いかけて………」
「だから違うって!!あたしがここに転校したのは自由な校風と、制服が好みだったから!!他の理由は無いわよ!!」
「ふふふ、そう言う事にしておくわ。」
「だから違うのにー!!」
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その後放課後になり、ルーシィはウェンディ、エルザと共に下校していた。しかし、エリート校であるERA高校の生徒からデートに誘われたエルザの服を選んでいた事で帰りが遅くなった彼女らはある厄介事に巻き込まれる事となった。
「ギヒッ!!」
突然、数人のガラの悪い生徒5人に囲まれた3人。
「な、何………?」
「この人達は………」
「幽鬼学園の生徒だ。目を合わせるな。」
「「ヒィーーー………!!」」
妖精学園とは犬猿の仲である幽鬼学園の生徒に絡まれ、怯えるルーシィとウェンディ。だがエルザは平然としていた。
「これはこれは、妖精学園の生徒さんじゃねぇか………」
「すまない、急いでいるんだ。」
幽鬼学園の番長、ガジルの声を無視して素通りするエルザ。それに続いてルーシィとウェンディも通ろうとしたが、ガジルはルーシィの腕を掴んだ。
「あっ!!」
「そんな連れねぇ事言うなよ。俺達と遊ぼうぜ………?」
「ヒィッ………!!」
そのまま強引にルーシィを引っ張ろうとしたガジル。だがその時、「ゴン!!」と言う鈍い音が周囲に響いた。
「イッテェ………!!」
突然の衝撃を脳天に受け、ルーシィの腕を離して距離を取ったガジル。
「全く、こっちは稽古終わって疲れてるのに………」
「リュークさん!!」
「お前の相手は、この俺だ。」
「!!」
「何だこのチビ………?」
「………さがってて。」
「……………」
「ルーシィさん?」
「いいからさがって!!」
「………え!?あ………うん。」
ルーシィの前に立ちはだかったリュークは、ルーシィとウェンディが下がるのを確認すると素振り用の木刀を中段で構えた。
「粋がるなよ、チビ。誰にケンカを売ったか、思い知れ!!」
「………来い!!」
リュークに殴りかかったガジル。だがガジルが拳を振りかぶった瞬間、リュークは僅かに摺り足で後退。
「なっ………!?」
「そこっ!!」
「ぐは………!?」
目測を誤り、拳が空を切り体勢を崩したガジル。その隙に、リュークの突きがガジルの土手っ腹に決まった。
「試合かケンカか選んでいいぞ。俺はそれに応じるだけだからな。」
肩の力を抜き、再び木刀を構えたリューク。
「ウェンディ、眼鏡を預かってくれ。」
「えっ、あ、はい。」
そこに、眼鏡を外したエルザが鬼の形相で、どこに隠し持っていたのか鉄パイプを手に並んだ。
「さっさと終わらせるぞ。」
「これは頼もしい。」
「数の方は上だ………!!野郎どもかかれ!!」
品行方正な生徒会長を維持する為の眼鏡を外したエルザとリューク。妖精学園剣道部最強を誇る2人が本領を発揮してからの制圧は速かった。
「凄い………これが妖精学園剣道部Wエース………」
「……………。」
「ルーシィさん?」
「………一緒だ………あの時と。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それは小学校に進学する前の事。
「はぁ、はぁ、はぁ………!!」
「ガウ!!バウ、アウッ!!」
「こないで!!あっちいって!!」
友達と会う為にお出かけしたママについて行ったルーシィ。しかし途中でママとはぐれてしまった上に、彷徨う内に寝ていた大型犬の尻尾を踏んで怒らせてしまい、追いかけられていた。
「きゃあっ!!」
必死に逃げるルーシィ。しかし躓いて転んでしまい、大型犬に追いつかれてしまった。
「いたいよぉ………!!」
「グルル………!!」
「!!こ、こないで………!!」
膝をすりむいてしまい走れないルーシィ。そんな彼女に、怒る大型犬はジリジリと距離を詰めた。
「ママ………パパ………だれか………」
「ガウッ!!」
「だれかたすけて!!」
泣き叫びながら目を閉じたルーシィに飛びかかった大型犬。
「ギャン!?」
だが大型犬に何かが当たり、ルーシィには届かなかった。
「ふぇ………?」
恐る恐る目を開けたルーシィ。そこには、自分と同じくらいの男の子が子供用の竹刀を構えていた。
「おまえのあいては、このおれだ………!!」
「ガルル………!!」
「………だれ………?」
「………さがってて。」
「でも、あなた………」
「いいからさがって!!」
「………っ、う、うん。」
足は震え、竹刀の構えも覚束なく、今にも泣きそうな目をしていた男の子。だがその男の子は大型犬をしっかりと見据え、睨みつけていた。
「ガアッ!!」
「………こい!!」
小学校に上がる前の小さな男の子が大型犬に敵うか、と言われたら否である。何度もひっかかれ、何度も突進で突き飛ばされても立ち上がった男の子は竹刀を振り懸命に大型犬を振り払おうとした。そして偶然、男の子の破れかぶれで繰り出した突きが大型犬の急所に当たった。
「キャイン、キャイン!?」
思わぬ攻撃を受けた大型犬は情けない声をあげながら逃げて行った。
「………たす、かった?」
竹刀を持った男の子は大型犬が逃げて行ったのを見届けると、ルーシィの方へ向いた。
「だいじょうぶ?ケガしてない?」
「ケガって、あなたのほうが………!!」
目の前の男の子は引っかき傷や突き飛ばされて転んだ時の擦り傷やアザが何ヶ所もできていた。当然痛くないはずも無く、男の子はボロボロと涙を流していたがあくまでもルーシィを安心させようと笑おうとしていた。
「だいじょうぶ、いたいのはけいこでなれてるから。それよりも、ええと………」
ゴソゴソとカバンを漁る男の子。するとカバンから絆創膏を出しながらルーシィに駆け寄り、ルーシィがすりむいた膝に絆創膏を貼ったのだ。
「これでだいじょうぶ。でもきみ、どうしてこんなところに?」
「………ママとはぐれたの。」
「そっか。ならおれもさがすよ。」
「………ほんとに?」
「うん!!ちかくにおれのかあさんもいるから、いっしょにさがしてもらおう!!」
「………ありがとう。ええと、なまえ………」
「おれのなまえ?おれはリューク。きみは?」
「………ルーシィ。」
「ルーシィね。それじゃあいこう、ルーシィ!!」
これがリュークとルーシィの出会いだった。その後、ルーシィのママが待ち合わせしていた友達がリュークのお母さんである事が判明し、これがきっかけでリュークとルーシィも、ルーシィが引っ越すまで毎日のように遊ぶ仲となったのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「(あの時と、全く同じ………)」
全く同じように、全く同じセリフでルーシィを助けたリューク。違いがあるとすれば、幼い時と違いリュークの足は震えておらず、構えもしっかりとしていて、涙目では無かった事であろう。
「やれやれ。相変わらずだなぁ………後が面倒になるからやり過ぎるなよ!?」
リュークとエルザの無双に、どこから騒ぎを嗅ぎつけたナツとグレイが加わり、幽鬼学園の生徒は援軍含めて撃退されていた。それを確認したリュークはルーシィとウェンディの方を向いた。
「大丈夫?ケガしてない?」
「!!」
「はい、おかげさまで助かりました!!ルーシィさんも………ルーシィさん?」
「………ぐずっ、ひっく。」
「ルーシィさん!?」
「どこか痛いのか!?ちょっと待てよ、絆創膏は………」
「………ううん、違うの。大丈夫………」
「そんなボロボロ泣いてて大丈夫な訳無いだろ!!どこが痛いんだ!?」
「………違うの。本当に、違うから………どこも、痛くないから………!!」
ボロボロと涙が止まらないルーシィ。
「(………ズルいよ。あの時のまま………なんにも変わらない、あたしの、
「リューク、まさか貴様、ルーシィを泣かせたのか………?」
「はい!?」
「おっ、じゃあリュークも殴ればいいのか?」
「グレイ、どう勘違いしたらそうなる!?」
「ちょうど暴れ足りねぇところだ、燃えて来たぞ!!」
「ダァーーーッ!!何でこうなる!?」
リュークがルーシィを泣かせた、と間違ってはないがズレた勘違いをしたエルザ、そして悪ノリしたナツとグレイに囲まれたリューク。そこで彼は右に木刀を持ち、左には新たに竹刀を持ち出した。そして木刀をエルザに向け、竹刀はナツとグレイの間に向けた。
「ルーシィ、大丈夫ならこのとんでもない勘違いが取り返しのつかない所になる前に泣き止んでくれないかな!?」
リュークの懇願するような声を聞いたルーシィ。
「(勘違い、か………)」
するとルーシィは顔を俯かせ、更に泣く"フリ"をした。
「(勘違いしてるのはリュークも同じだし………少し、少しだけ。イジワルしちゃお。)」
ルーシィの"嘘泣き"を気づく者はいなかった。
「ちょうどいい、ここで貴様に勝って勝ち越してやる!!覚悟!!」
「だったらサシで来て欲しいものなんだけどね………!!」
エルザの鉄パイプを木刀で受け流しながら、竹刀の牽制でナツとグレイの追撃を最低限に抑えたリューク。この防戦はルーシィが嘘泣きをやめるまで続いた。
これがきっかけでリュークは二刀流の才能が開花したのは完全な余談である。
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「と言う訳で、ウチのクラスの出し物は劇に決まった!!」
数日間の激論の末、リュークのクラスの出し物が劇に決まった。そして有無を言わさず、学園祭実行委員のマックスとカナが配役の書かれたプリントと台本を配った。
「一々意見取ったら終わらなさそうだったから配役はこっちで勝手に決めた!!そして劇の内容はルーシィとレビィに一任して作って貰った!!文句は受け付けないから、各自確認しておいて!!」
配られたプリントと台本に目を通すクラスメイト。
「"フレデリックとヤンデリカ"の続編?また攻めた題材で来たなぁ………」
「多少ぶっ飛んでた方がウチには合うかなって。」
「台本はルーちゃんと私の力作だよ!!」
「へぇ、それは楽しみだ。で、俺の役割は………」
とリュークが他のクラスメイトと同じように自分の役割を確認した。
「………設定盛りすぎだろ。何があった。」
他の人からの反応は様々だった。
「わ、わわわ、私が、主人公………?」
「私の出番は序盤で終わりなのか!?」
「おいおい、パッと見漢らしくなさそうな役だけどいいのか?」
他にも色々な意見が噴き出るが、カナが手を叩いて収めた。
「一々聞いていたら時間が無くなるから、文句は受け付けないよ!!そうと来たら演者は演技の練習、裏方は道具作りに入って!!」
こうして学園祭に向けた準備が急ピッチで進められた。悪戦苦闘しながらも乗り気なクラスメイトが力を合わせ、着々と劇を形にしていった。そして一月後、学園祭の1日目にいよいよ劇の本番を迎えた。
続く
次回は演劇回………と言う名の中の人ネタ回にする予定です。
フレデリックとヤンデリカの続編………と言う事にしてますがほぼオリジナルになる予定です。
ではここから設定集となります。
・リューク・ソラネル
妖精学園剣道部所属。
実力は高校に入学してから負け無しで、生徒会長エルザと共にWエースと称されている。間合いの取り方が一級品で、それを用いたカウンター技を得意としている。
だが本編同様朝に弱いのでいつも遅刻ギリギリ。また戦いはあまり好んでいない。それ故、高校から始めた居合道の方が性に合っていると思っている。
家族構成は指輪職人の母ルミナ、大学生にしてフェンシング日本代表の兄レックス、家業を継ぐべく指輪職人見習いをしている姉ローナとの4人家族。この時空では全員人間です。
ルミナがルーシィの母レイラの友人だったのが縁でルーシィとは小学校入学の時からの幼馴染で、ルーシィが引っ越すまでは毎日のように遊んでいた。出会いは小学校入学の少し前、犬に追いかけられていたルーシィをリュークが助けたのがきっかけだが、リュークは特に覚えていない。
リューク→ルーシィ:久しぶりに出会えた幼馴染で親友。昔みたいに明るく笑えていて良かった。
ルーシィ→リューク:昔から全く変わらない"あたしの
と言う訳で、この時空でのリュークとルーシィは先に惚れた方が逆にしました。次回は劇のついでに仲を進展できればなー、とも思ってたり。
・委員会
完全に独断と偏見で決めました。
学級委員
エルザ
風紀委員
フリード、リューク(元は図書委員だったがルーシィが図書委員になったので風紀委員に変更)
図書委員
レビィ、ルーシィ(リュークの代わりに新加入)
体育委員
ナツ、エルフマン
保健委員
グレイ、ウェンディ
美化委員
ドロイ、エバーグリーン
放送委員
ウォーレン、ミラジェーン
選挙管理委員
ナブ
学祭実行委員
マックス、カナ
・フェルト教頭
ハッピー、シャルル、プルーとマスコット枠が先生になってたのでこっちに。当然(?)、ホーホーとしか喋らないので殆どの生徒は何を言ってるか分からない。
・マカロフにタメ口
こういうのに年齢差を問うのは無粋なので同学年にしてタメ口で話させてます。向こうは酒飲んでる?細かい事は気にすんな。