先日、何の脈絡も無くNINTENDO MUSICに追加されたFE覚醒のサントラ流しながら仕上げました。「I」〜為、やっぱり今聞いてもいいですわぁ。優しさと力強さを兼ね備えたメロディからの、終盤にFEのメインテーマぶつけてくる王道っぷりたるや。
黙示録の黒竜アクノロギアの襲来により、S級魔導士昇格試験を行なっていた妖精の尻尾のメンバーが天狼島諸共消えてから7年の月日が経ったX791年。魔導士ギルド、妖精の尻尾は存続の危機に立たされていた。
親交のあったギルドだけでなく、普段は妖精の尻尾を目の敵にしていた評議員も協力し懸命に捜索しても見つからず、時が止まったままも同然だった残存メンバー。しかし7年が経ち、完全に諦めていた彼らに一筋の小さな希望が差し込んだ。
「………本当にこの辺なの?」
「何も見えて来ないじゃないか。」
「でも天馬の奴らの話じゃあこの海域でエーテルナノが何とかって………」
妖精の尻尾と親交のある魔導士ギルド、
「本当にロメオを連れて来なくて良かった?」
「無理矢理でも連れて来るべきだったかな?」
「まだ皆生きてるって決まった訳じゃねぇんだ。」
「ぬか喜びさせる訳にはな………」
青い天馬に教えてもらった海域まで出た捜索隊。しかし島の痕跡は何一つ見えなかった。それでも何か無いか………そう甲板から見ていたその時。捜索隊の一人、マックスが何かを見つけた。
「ん?なんだあれ………」
「あれは………人?」
「まさか!?海の上だぞ!?」
マックスが海面に人影を見つけ、そんなはず無いだろうとウォーレンがマックスの見ている方を見た。
「いや、立っている!!」
「誰なんだ!?」
マックスとウォーレンが目を凝らすと、そこには確かに一人の少女がぽつんと海面に立っていた。そしてその少女が腕を上げると、静かだった海面が波飛沫を上げ始めた。そして間もなく、その波飛沫から光の球体に包まれた島が現れた。
「天狼島!!」
「天狼島だ!!」
天狼島が現れた事に驚く一同。しかし驚いている暇すら無く、海面に立っていた少女はスゥー、と天狼島へ向かった。
「天狼島へ向かったぞ!!」
「追え!!急ぐんだ!!」
天狼島へ向かう少女を追って上陸した捜索隊。だが上陸しても少女は止まらず滑るように、ぐんぐんと島の奥へと向かって行った。
「おい待てって!!」
「何なのよあの女!!」
「でも、あの子が天狼島の場所を教えて?くれたんだ。もしかして………皆の所まで?」
「そ、そうか!!見失うな!!」
「任せろ!!」
ギルド一の瞬足、ジェットが全速力で少女を追いかけた。
「っ、この俺が見失うなん………あっ!!」
全速力で追いかけたにも関わらず少女を見失ってしまったジェット。どこに行ったのだと周囲を見渡すと、あるものを見つけた。
「ナツ………」
それは土砂に身体が半分埋まったナツだった。
「ナツ!!しっかりしろ!!」
「オイ!!」
「目覚ませコノヤロウ!!」
ナツに殺到し、揺すって起こそうとしたマックス、ドロイ、ジェット。
「だーーーっ、うるせぇっ!!」
叫びながら起き上がったナツ。起き上がるや否や、起こそうとしていた3人が泣き笑いしながら飛び込み、続けてアルザックとビスカも駆け寄った。
「「「ナツーーー!!」」」
「んがーっ!!どうなってんだ!?何でお前らがここに………つーか、少し老けてね?」
「お前は変わらねーな!!」
「俺達"さっき"アクノロギアの攻撃を受けて、えーと………」
「さっき?」
「それよりも、他の皆は!?」
話の食い違いに気づかぬままナツ以外の仲間を探そうとした捜索隊一行。
「こちらです。」
声の方を見ると、そこには先程の謎の少女。
「……………」
「………誰?」
すると少女は答えた。
「私はメイビス。妖精の尻尾初代マスター、メイビス・ヴァーミリオン。」
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「あの時、私は皆の絆と信じ合う心………その全てを魔力へと変換させました。その想いが妖精三大魔法、"
戻らぬと思っていた他の仲間も見つけ、感動の再会に喜んでいた捜索隊。すると天狼島組を救った張本人、妖精の尻尾初代マスター、メイビスの思念体が事の真相を話し始めた。
「この魔法はあらゆる悪からギルドを守る絶対防御魔法。しかし凍結封印させたまま、解除するのに7年の歳月がかかってしまいました。」
「なんと………初代が我々を守ってくれたのか………!!」
「いいえ。私は幽体、皆の力を魔法に変換させるので精一杯でした。揺るぎない信念と強い絆は奇跡さえも味方につける………良いギルドになりましたね、三代目。」
ニコリと笑いかけたメイビス。だがここで、ルーシィがある事に気付く。
「あれ、リュークは?」
「なっ………何で気づかなかった!?あいつは………!?」
リュークがいない。だが動揺が広がる前にメイビスが答えた。
「リューク………竜の子の事ですね?彼は………」
「………ふああっ。」
皆の背後からガサッ、と草をかき分ける音がして振り向くと、そこには何時ものように眠そうな顔をしたリュークが出て来た。
「……………。」
「「……………」」
一番近くにいたドロイとジェットと目が合ったリューク。すると2人に向けてリュークが口を開いた。
「随分と懐かしい顔だ。」
「「リューク………!!」」
「俺の親友によく似ている。君のご先祖に、ドロイとジェットっていないかな?」
「本人だよ!?」
「どう言うボケだよ!?」
「………ヘヘッ、冗談だ。"久しぶり"だね、ジェット、ドロイ、それにマックス、アルザック、ビスカも。」
「………ん?」
「どうしたの、ビスカ?」
「その口振り………もしかして、先に起きていた?」
「………ああ。俺だけ、2年前にね。」
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「………うっ。」
2年前、他の皆よりいち早く起きたリューク。
「無事………なのか?」
無傷なのを確認したリューク。だが、表情は晴れやかなものでは無かった。
「アクノロギア………!!」
因縁の相手に再び何も出来なかった事に苦虫を噛み潰したような顔になり、拳を固く握り締めたリューク。だが、その拳を振り下ろす前に、リュークは別の事を優先した。
「他の皆は………ルーシィ!!」
近くにルーシィを見つけ起こそうと揺すったリューク。
「起きろ、ルーシィ!!」
「……………。」
「おい!!起きてくれ!!」
「………おや、先に起きてしまったのですね。」
「!!」
後ろからメイビスに声をかけられ振り返ったリューク。
「………君は?」
「私はメイビス。初めまして、竜の若人。」
「俺の正体を一発で見破るとは、流石は初代マスター………"妖精軍師"と呼ばれたお方ですね。」
「………警戒を解いてくださりありがとうございます。それにしても………」
「それにしても?」
「青と緑、2色の髪と瞳………フフッ、ユーリ達の言った通り。面白い縁もあるのですね。」
「ユーリ?」
「ユーリ・ドレアー。プレヒト・ゲイボルグ、ウォーロッド・シーケンと共に妖精の尻尾を創設した、私の仲間です。トレジャーハンターとして、あなたの故郷を訪れたと聞きましたが………」
「………ああ。あの3人組の………金髪の奴の事か?」
「そうです!!ちょうど、あそこで寝ている人に似ているような………」
メイビスが指を差したのは、雷神衆と共に眠るラクサスだった。
「ドレアー………なるほど。だからラクサスの事も何となく気に入らなかったのか?まぁそれはいいとして………ハァ。」
「どうかしましたか?」
「ハデス………プレヒトと戦った時も思いましたが………二百年彷徨ってようやく見つけた居場所が、百年前に追い払ったトレジャーハンター共の創ったギルドとは、とんだ巡り合わせだな、と………」
やれやれと首を振るリューク。するとそんな彼に、メイビスが更に近づいた。
「竜の若人さん、あなたの名前は?」
「名前?リューク………リューク・ソラネル。妖精の尻尾のS級魔導士にして、ソラネルの民の神竜王です。」
「そうでしたか。ではリューク、せっかくですのでお話をしませんか?幽体である私の力ではあと数年、皆の眠りを解く事ができないので………」
「いいですよ。」
「ふふっ、竜族と話すのは初めてです。色々と聞かせてくださいね?」
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「………と言う訳で2年間、初代と他愛もない話から戦術の問答をしたり、盤上遊戯をしたり、あとは自己鍛錬だったりしていた訳さ。」
「はぁー、あのリュークが一番に起きてたのか。」
「明日は吹雪だな、さっさと帰ろうぜ。」
「随分と失礼な物言いだな、マックスにウォーレン。」
「ホホー。」
「何だって、フェルト?"身から出た錆"だぁ?」
「その通りじゃん。」
「揃いも揃って………!!」
「それはそれとして帰るぞ!!だいぶ減っちまったが、お前達の帰りを7年待ってた仲間がいるんだ!!」
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7年の時を経て天狼島から帰還したリューク達。規模を大幅に縮小し、街外れのボロ家となった妖精の尻尾のギルドに入るや否や、帰還を待ち望んでいた仲間と共に再会の喜びを分かち合い、飲んで騒いで踊って7年と言う時を埋めるかのように騒いだ。
「7年も経てばここまで成長するか………」
「お前も火の魔法を使うのかロメオ!!」
帰還したメンバーに7年の時を痛感させたのは、マカロフ不在時のマスターを務めたマカオの息子ロメオだった。13歳になった彼は、父親と同じ紫の炎を含む3色の炎を操る一廉の魔導士となっていた。そしてそれと同じ位の衝撃を与えた"一組"。
「け、けけ結婚したのかお前達!?」
「6年前にね。」
「お、おめでとう。不束者だがよろしく頼む。」
「何言ってんだエルザ?」
「何かごっちゃになってるわね。」
「子供はいるの?」
「娘が一人、アスカって言うんだ。」
それは6年前に結婚し、娘も授かったアルザックとビスカだった。
「………あなた達のおかげでもあるのよ。リュークにルーシィ。」
「俺達?」
「何で?」
「あなた達を思い出すと、自分の想いは伝えられる時に、って思ったの。」
ビスカの話を聞いたリュークとルーシィはと言うと。
「………なる、ほど。」
「結婚………それに、子供、か………」
「………その様子じゃあ、まだ先になりそうだね………」
「ホー………」
「ウィ、この姿を見れるのはいつだろうな。」
顔を赤くして、微妙な表情をした。そんな2人の顔は、リーダスが想像して描いた2人の結婚式の絵を見て更に赤くなった。その小っ恥ずかしさを紛らわす為にリュークはリーダスが他に描いていた、皆の7年後の絵を出して見た。
「………あのなぁ、リーダス。」
「ウィ、何だい?」
「千年近くかけてこの姿の俺が、7年ごときで"こう"なる訳無いだろ。」
そこに描かれたリュークは、"神竜王"の名に相応しい立派な髭をたくわえた威厳のある壮年の男だった。
「ここまでなるのに何年かかると思ってるんだ。」
「7年じゃあ全く変わらないのは知ってるが、変えないのも面白くないだろう?」
「それはそうだけども………」
リーダスの描いた、7年後予想の絵を見た他の皆の反応も様々だった。
「お胸が………大きくなっても、大きくならないんでしょうか?」
「これ………気持ち悪いんだけど。」
身長が伸びて大人びた女性になるも特定の場所が据え置きでショックを受けるウェンディ。顔だけそのままで体つきが人間の大人になった姿に呆れ顔のシャルル。
「………しかしなぁ。」
リュークは自分の絵を下ろし、改めて辺りを見回した。
「初めてかもしれないな。」
「ホー?」
「7年が、こんなに長いんだと思ったのは。」
だが、リューク達が"空白の7年"を思い知らされるのは、次の日以降の事だった。
続く