幸せを運ぶ青い鳥ニティ生徒   作:にゃんたるとうふ

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セイアちゃんの実装、ありがとうございます!ありがとうございますっ!!


09"

普段の執務時間よりも少しだけ早い朝・・・トリニティ・スクエアの噴水前で名残惜しそうな表情を浮かべながら、彼女の手を固く繋いで駄々を捏ねるミカの姿があった。

「シャーレの当番で離れるけど、ナギちゃんやセイアちゃんと必要以上にイチャイチャしちゃダメだからね?あっ、もちろん他の組織の人達もダメだからね?それとあんまり一人で行動しちゃダメだよ、人通りの多い道を選んで過ごしてね?・・・やっぱり、一緒にシャーレに行かない?今なら誰にも気付かれずに行けるし、ナギちゃんたちには後で連絡すればいいじゃんね☆先生もフェリが一緒なら喜んでくれると思うし、いけると思うんだけど・・・どう?」

「えぇっと、ミカ様?それはっ――――ひゃっ」

有無を言わせず握っていた彼女の手を引いて抱き寄せたミカはそのままお姫様抱っこを行い、ルンルン気分で浮足立つ足でシャーレに向かうべくトリニティを出るために歩みを進める。

「いや、ダメですからね?ミカさん」

「そうだよ、ミカ。フェリは私たちの補佐をする仕事があるんだ、勝手に連れて行かれるのは困るよ」

しかしその歩みを止めるように立ち塞がったナギサとセイアによって阻まれ、ミカは不満気に頬を膨らませながらも渋々彼女を下ろす。

「むぅっ、なんで二人もいるの?」

「逆に何故二人っきりにしてもらえると思ったんだい?見送りぐらいはするさ」

「セイアさんの言う通りです、お見送りはさせてください・・・っというわけで、フェリさんはこちらで連れ帰らせていただきます」

ミカの側に立っていた彼女を自身の側へと抱き寄せたナギサに、ミカは眉を顰めながらも奪い返そうとはせずに膨れっ面を浮かべている。

「そんな顔しなくても、戻ってきたらちゃんと二人っきりの時間を設けると決めているだろう?何が不満なんだい?」

「そうですよ、ミカさん。私たち二人も当番で不在だったこともあるのですから、お相子では?」

ナギサとセイアの問い掛けに、ミカは幼子のように駄々を捏ねながら声を上げる。

「そうなんだけど、そうなんだけどぉ!やっぱりフェリの側を離れたくないっていうか?今からでも他の人に代わってもらえないかな?」

「無理だな、すでに今日の予定が決まっている者ばかりだろうし・・・なにより、先生に迷惑が掛かるけどいいのかい?」

セイアの正論に言葉を詰まらせたミカは、大きなタメ息を吐きながら肩を落とす。

「ちょっと言ってみただけじゃんねっ、セイアちゃんの頭でっかち」

「今回ばかりは、セイアさんが正しいと思いますが・・・」

三人のやり取りを内心でハラハラしながら静観していた彼女だが意を決したのか、ミカへと視線を向けると駆け寄ってその手を自身の両手で包み込んで微笑みを向ける。

「ミカ様っ、当番頑張ってくださいね!戻ってきたらそのっ、ミカ様のお願いを一つ・・・お聞きしますから、ね?」

「っ・・・!!そそそっ、それってさ・・・もしかして、何でもいいのかな!?」

「ふぇっ?それは、もちろん・・・?」

激励の言葉を耳にして瞳を輝かせたミカに両肩を掴まれた彼女は、困惑しながらも問い掛けに頷きを見せて肯定を返す。

「仕方ないなぁ、フェリの応援を受けちゃったから頑張るしかないじゃんね☆べっ、別にフェリに何でもお願いできることにつられたわけじゃないからねっ!?」

「説得力がないんだが?」

そわそわと落ち着かない様子で口にするミカに訝しげな視線を向けるセイアを他所に、彼女へと顔を向けたナギサは不服そうに眉を顰めながら声を掛ける。

「フェリさん?私の時は、お願いを聞いてもらっていませんよ?」

「え?ナギサ様はすんなりと、シャーレに向かわれましたから」

「そういえば私も聞いてもらっていないね、ミカだけ特別扱いは良くないんじゃないかい?フェリ」

「え、えぇ・・・?そんな意図は別にありませんよ?お二人もお願いがあるなら、お聞きしますけど・・・?」

詰め寄るナギサとセイアの二人に圧倒される形で後退りながら返事をしていると、あからさまに不機嫌そうに頬を膨らませたミカが声を大にして三人の間に割り込む。

「二人ともっ、私に便乗するなんてズルい!フェリも私のお願いだけを聞けばいいよ、二人の言葉は無視していいじゃんねっ!」

「そういうわけにはいきません、フェリさんには平等にお願いを聞いてもらわなければ」

「どうせミカのお願いを聞いた後はしばらくフェリは動けなくなるんだ、その前に私たちのお願いを聞いてもらうのは当然だろう?」

ナギサとセイアの反論にぬぐぐっと悔しそうな声を漏らしながらも言い返せないのか、諦めたように肩を落としたミカだが不意に顔を上げると彼女に素早く身を寄せる。

「? ミカ様?――――んむっ」

「今はこれで我慢するけど、帰ってきたら覚悟しておいてね!じゃあ、いってきますっ!」

不思議そうに見上げる彼女の顎に手を添えたミカはそのまま唇を重ね、何か言われる前に言いたいことを言い終えるとシャーレに向かって走り去りその場を後にする。

「あっ、ミカ様・・・いってらっしゃいませ、お気をつけてっ!」

彼女の声が耳に届いたミカは振り返ると大きく手を振って答え、小さくなっていく姿が見えなくなるまで見送った彼女は口元を緩ませる。

「それではフェリさん、私たちも戻りましょうか」

「今日はいつもより少しだけ早いからね、一息ついてから執務に取り掛かろうか?」

「では私は紅茶とお菓子の準備をしますね、新しい茶葉も届きましたし美味しいスイーツも買ってきたんですよっ」

楽しそうに頬を緩ませる彼女につられて笑みを零すナギサとセイアだが、何時ミカのように彼女の唇を奪おうかと考えを巡らせながら機会を窺うのだった。

 

 

 

各組織からの報告書などを受け取りながらトリニティ自治区を回っていた彼女は、疑問符を浮かべながらも最後の目的地である大聖堂へと足を運ぶ。

「(今日はなんだかいつもより視線を感じる気がする、それに制服ではないけど・・・正義実現委員会の子たちや救護騎士団の子たちもよく目にする、何かあったのかな?)う〜ん・・・?」

頭を悩ませている間に目的地に着いていることに気付いた彼女は、大聖堂前で談笑する二人のシスターを見つけて声を掛ける。

「すみません、少しいいですか?」

「はい?なんでしょうっ――――ふっ、フェリ様!?」

驚いた様子で声を上げるシスターに首を傾げる彼女は、慌てたように顔を見合わせる姿を視認しつつ問い掛ける。

「サクラコさんはいらっしゃいますか?それと、私に何か御用ですか?」

「さっ、サクラコ様は所用で外出していますが・・・その、フェリ様にはえぇっと・・・っ」

どこか言い淀む形で口を噤むことに痺れを切らせたもう一人のシスターが、意を決したように自身を奮い立たせながら彼女に向けて口を開く。

「フェリ様はティーパーティー補佐を辞めて、シスターフッドに入られるのでしょうか!?」

「・・・え?」

告げられた言葉にポカンとした表情を浮かべながら声を漏らした彼女は、すぐにハッと気を取り直して言葉を否定するように首を左右に振る。

「えぇっと、そんな予定はありませんけど・・・?もしかして、またサクラコさんが何か言って勘違いをされているんですか?」

「いえっ、今回はサクラコ様は何も言ってはおりません。シスターマリーが呟いていたのです、『シスターフェリ』と・・・ですからシスターフッドに入られるのかと、その噂で持ち切りなのです」

「えっ、マリーちゃんが?」

穏やかな笑みを浮かべて共にお祈りすることの多い後輩の姿を思い浮かべた彼女は、何故そんなことを口にしたのかを疑問に抱きながら大聖堂を見上げる。

「シスターマリーは中でお祈りをしているはずです、サクラコ様もすぐに戻ってこられると思いますよ」

「そうなんですか?ならマリーちゃんとお話ししながら、サクラコさんを待っておきますね」

二人のシスターにお辞儀してその場を後にした彼女は、大聖堂の扉を開いて中に足を踏み入れて周りを見渡しながら最前列に座って祈りを捧げる『伊落(いおち) マリー』に歩み寄る。

「こんにちは、マリーちゃん」

「? あっ、フェリさん!サクラコ様に御用ですよね、今は席を外していますのでその・・・」

彼女の姿に気付いたマリーはお祈りを中断して見上げながら返事をしつつ、モジモジと身を捩りながら表情を窺うようにチラチラッと視線を向ける後輩に笑みを零す。

「サクラコさんが戻ってくるまで、私とお話ししてくれるかな?」

「はっ、はい!私でよければ、いくらでもっ!」

彼女の返事を耳にしたマリーは花が咲くような満面の笑みを浮かべ、傍らに置いていた包みを手に取ると足の上に広げて口を開く。

「実はお気に入りのお菓子を持ってきていて、一緒に食べませんか?」

「うん、マリーちゃんがいいならご相伴にあずかろうかな」

隣に腰掛けた彼女にお菓子を勧めるマリーは手渡してから、何処からかペットボトルを取り出すと紙コップに注いで此方も手渡す。

「最近はどう?アイドル活動はもうしないの?」

「そっ、その話はもういいじゃないですか!それよりも最近、何か変わったことはありませんか?」

「最近は、あっ・・・そういえばさっき聞いたんだけど、私のことをシスターフェリって呼んでるのはなんでなの?」

「・・・ひぇあっ!?」

彼女からの質問を耳にしてから少し間を置いてから内容を理解したマリーは、頬だけでなく耳まで真っ赤に染めながら驚いた声を上げる。

「それはその私の願望が入っていると言いますか、決して他意があったわけではなくてただそうなったらいいなという独り言でっ・・・!って、どうしてフェリさんが知っているのですか?」

「シスターフッド内で噂になってるみたいだよ、マリーちゃんの呟きを聞いてそういう噂が広まったらしいよ?」

ボンッと顔全体を真っ赤に染めたマリーはベールで顔を隠す様子に、彼女は首を傾げながらも手渡されたお菓子に口をつける。

「んっ、美味しい・・・マリーちゃんもお菓子を食べて落ち着こう、ねっ?」

「はははっ、はい・・・!そそっ、そうですね!」

あたふたと動揺しながらお菓子を口に含んだマリーは、口の中に広がる甘さにホッと息を吐きながら気持ちを落ち着かせる。

「はふぅ・・・すみません、フェリさん。取り乱してしまいましたが、もう大丈夫ですっ」

「そう?でも、ふふっ・・・」

「? フェリさん、どうかしましたか?」

「うぅん、ただマリーちゃんが可愛いなぁ・・・って思っただけだよ?」

「っ!・・・もっ、もう!フェリさんっ!」

微笑みを浮かべてそう口にする彼女に揶揄われていると気付いたマリーは、ポカポカと彼女の肩を撫でるように叩きながら隠し切れない喜びで口元を緩ませるのだった。

 

「(ど、どうしましょう・・・声を掛けるタイミングを逃してしまいました・・・っ)」

少し前に用事を終わらせて戻ってきていた『歌住(うたずみ) サクラコ』は、姿を見せるタイミングを見出せずに柱の陰から二人の様子を窺っていた。

「(しかしお二人は随分と良い雰囲気ですね、よく話をしているとは聞いていましたが・・・)距離が近すぎでは?」

肩が触れ合い話をする度に彼女の足に手を置くマリーの様子を眺めていたサクラコは、どこか言い知れぬ胸騒ぎを覚えて居ても立っても居られなくなり陰から身を乗り出す。

「フェリさん、お待たせしてしまいましたね。マリー、後は私が応対しますのでフェリさんを此方に・・・」

「サクラコ様っ・・・フェリさんに振る舞ったお菓子がまだ残っていますので、もう少し待っていただけますか?」

影の差す笑みを浮かべながら彼女の肩に手を置いて声を掛けるサクラコに対して、足の上に手を乗せたまま離そうとしないマリーも笑みを浮かべながら待ったを掛ける。

「「・・・」」

「あの、二人とも?動けないから手を離して、あのぉ・・・?」

困惑した様子で無言で見つめ合うサクラコとマリーに交互に目を向け、少しだけ考える素振りを見せてから添えられた二人の手にそれぞれ片手を重ねて声を掛ける。

「サクラコさん、マリーちゃん。落ち着いてください、このお菓子とっても美味しいですよ!三人で食べませんか?」

「「――――っ!?」」

眉を下げつつ上目遣いで二人に語り掛ける彼女の姿に、サクラコとマリーは喉を鳴らして視線を交差させて意思疎通を図ってから同時に咳払いを挟む。

「確かにフェリさんの言う通りですね・・・マリー、私もご一緒してもかまいませんか?」

「はい、サクラコ様。お菓子は多めに用意してありますから、問題ありません」

彼女を挟む形で腰を下ろしたサクラコにお菓子と飲み物を手渡したマリーは、目配せするとサクラコと共に彼女に身を寄せてお菓子に舌鼓を打つ。

「・・・っ?(二人とも何だか近いけど・・・まぁ、いっか)」

楽しそうに笑顔を浮かべる二人を目にした彼女は疑問を抱いたが、特に追及することなく飲み物に口をつけて一息吐きながら二人との話に花を咲かせるのだった。

 

 

 

 

 

彼女が大聖堂から出てくる数分前、出入り口の見える建物の陰から様子を窺う二人のトリニティ生徒の姿があった。

「何故今日に限って、こんなに人通りが多いのでしょう?まさか計画がバレて・・・?」

「だとしてもここで引くわけにはいきません、ミカ様のいない今しかないのですからっ」

パテル分派に所属する二人は辺りを見渡しながら、手に持つ起死回生の一手を見つめて口元を歪ませる。

「これを使えば、あのティーパーティー補佐でもひとたまりも無いはずっ・・・!彼女がいなくなれば、ミカ様も目を覚ましてくださるはずです!」

「そっ、そうですよね!ゲヘナ嫌いのミカ様がエデン条約を許容したのも、あの人が関わってから・・・その原因が無くなれば、きっとミカ様も元に戻ってくれますよね!」

 

「あらっ、面白いお話をしておりますね?私にも、教えていただけませんか?」

 

もう一人の言葉に同意するように声を返していると、不意に背後から声を掛けられたことで肩を震わせる。

「だっ、誰ですか!?まさか話を盗みっ――――」

「なっ!?貴女いったい何者っ――――」

二人の振り返った先には狐のお面を被った女生徒が立っており、覗き穴から見える瞳は怪しい光を宿しながら目の前の獲物を見据えていた。

 

その数秒後にパテル分派のトリニティ生徒二人がいた一画が吹き飛び、騒ぎを聞きつけた正義実現委員会が集まってきた時にはお面を被った女生徒の姿はなく、パテル分派の一人が持っていた起死回生の一手も消え去っていた。

 

 

 

 

 

二人との世間話に花を咲かせていた彼女は大聖堂を後にして、ティーパーティーの待つトリニティ・テラスへの帰路へ着きながらも周りの異変に気付く。

「なんだか、どこか騒がしくなっているような・・・何かあったのかな?」

忙しなく人が行き来する様子を眺めながら首を傾げつつ、状況を確認するために端末を取り出したところで視界が真っ黒に染め上がる。

「っ?なにっ「だーれだ?」――――この声・・・ワカモ、さん?」

鼓膜を揺らす聞き慣れた声に彼女が正体を言い当てると、目元を隠す手が外されたので振り返ると予想通りの人物を視界に捉える。

「やっぱり、ワカモさんだ。お久しぶりですね、元気そうで何よりですっ!」

「うふふっ♡正解です、フェリさっ・・・いえ、あなた様♡」

着物に身を包み狐のお面を付けた『狐坂 ワカモ』は嬉しそうな微笑みを零しつつ、彼女の側に近付くと頭の先から爪先までをじっくりと眺めてからホッと安堵の息を吐く。

「どうやら怪我はされていないようですね・・・あぁ、よかったですわ♡もしもあなた様に傷が増えていたら私、何をしてしまうか分かりませんからっ。ふふっ、ふふふふふっ・・・!」

お面をずらして素顔を覗かせたワカモの瞳には怪しい光が宿っており、彼女は寒気を感じて身震いしながら周りに視線を向ける。

「それでワカモさん、今日はどうかしたんですか?」

「あなた様の姿を一目見ようと寄ったのですが、害獣が視界の端で目障りでしたので駆除していたのです。ですから、あなた様っ♡これからも安心してお過ごしください、このワカモが障害となるもの全てを壊して差し上げますわ♡」

「えっ、えぇ・・・?あ、ありがとうございます?」

お面を付け直してライフルの先に付けた小刀を手で弄びながら快活な声を漏らすワカモに、困惑しながらも感謝を述べると狐耳をピンッと立てて尻尾を左右に揺らしながら身を捩る。

「あぁ・・・っ♡あなた様に感謝されて、とても嬉しいですわっ♡ところで今、お時間はありますか?」

「あとは戻るだけですから、まだ時間はありますよ?」

「でしたらこのまま、デートをいたしませんか?ちょうどあなた様と行きたいお店がっ――――」

そう口にして彼女の手を取ってエスコートしようとしたワカモだが、行動を中断して後方に飛び退いたと同時に彼女を隔てるように間にライオットシールドが地面に突き刺さる。

「あれ、これって・・・っ?」

 

「救――――護っ!!!」

 

ズドンッと重い音と共に姿を見せた救護騎士団の団長に彼女は驚いた表情を浮かべるが、ワカモは落ち着いた様子で向けられたショットガンの発砲を身を翻し、近くの屋根に飛び乗ることで回避する。

「あらっ、もうタイムリミットなのですね。仕方ありませんが今回は諦めましょう・・・ではフェリさん、また機会があればデートいたしましょうね?うふふふっ♡」

「逃がすと思いますかっ!!」

ライオットシールドを手に取ったミネも跳躍すると屋根に乗るワカモに肉薄するが、ひらりと軽く躱したワカモは屋根を飛び移りながら足早にその場を後にする。

「・・・結局、何かあったのかな?」

ワカモとミネの遠ざかっていく後ろ姿を見つめながら、最初に抱いた疑問を口にしつつ一旦帰路に着いて状況の判断をしようと駆け足で戻るのだった。

 

 

 

 

 

タンッと屋根を軽やかに飛び移りながら背後を確認したワカモは、ふぅっと一息吐いてから足を止めて先程まで会話をしていた少女のことを思い浮かべる。

「この胸の鼓動、気付かれてはいないでしょうか?いえ、気付かれても問題は無いのですが・・・貴女はどう思いますか?」

行く手を阻むようにゆらりと現れた二丁のショットガンを携えた正義実現委員会の委員長は、口角を上げてその場から駆け出してワカモに飛び掛かる。

「キヒハハハッ・・・!壊れろォッ!!」

自身の問い掛けに鉛玉で返答をする相手に、お面の下で獰猛な笑みを浮かべながらライフルを向けて返礼する。

「っと、ついついお返しをしてしまいました・・・今は私のことよりも、フェリさんのことを気に掛けたほうがよろしいかと」

「ッ――――フェリだと?」

返礼を回避したと同時にリロードを済ませたツルギは飛び出そうと膝を曲げたが、ワカモの発した言葉に笑みを消して上げていた両腕を下げて眉を顰める。

「えぇ、フェリさんを狙う害獣を駆除した時に奪い取った物ですが・・・証拠として、持ち帰ってもらえますか?」

「? これは・・・?」

投げ渡された物を撃ち落とそうとはせずに受け取ったツルギは、手の中に納まる手榴弾に視線を落として疑問符を浮かべる。

「たしかあの害獣は『ヘイロー破壊爆弾』、っと口にしていましたね」

「なに・・・っ?」

告げられた単語に顔を険しくしたツルギは、先程ワカモの襲撃を受けて救護騎士団のお世話になっているトリニティ生徒二人に苛立ちを覚えて舌打ちを鳴らす。

「パテル分派の仕業か・・・貴重な情報、感謝する――――だがっ」

『ヘイロー破壊爆弾』と懐に仕舞い込んだツルギは情報提供に感謝をしつつ、携えたショットガンを構え直してワカモを見据える。

「騒動を起こしたことに、変わりはない・・・キヒッ、キハヒヒャハハハッ!!」

「ちょうど気持ちが昂っていたところです、喜んでお相手させていただきますわっ!」

ツルギが駆け出したと同時にワカモも屋根を蹴り上げて飛び掛かり、衝突に気付いて他の正義実現委員会などが到着した頃には周辺が更地になっており、一瞬の隙をついてその場から離脱したワカモは次に彼女に会うことを楽しみにするのだった。




フェリ:トリニティ・テラスに着いたと同時にナギサとセイアにもみくちゃにされながら心配されて困惑し、騒動の全容を聞いて驚きの表情を浮かべてさらに困惑した。


シスターフッド:彼女とのプチお茶会を終えて満足していたサクラコとマリーだが、外での騒動を知らせに来たシスターによって慌てて対処に乗り出した。
もう一人の彼女と仲の良い『若葉 ヒナタ』は諸事情で古書館を訪ねており、彼女と話をできなかったことに気を落とすが後に言い渡された仕事に目を輝かせる。


正義実現委員会・救護騎士団:ティーパーティーからの要請で陰ながら彼女の警護をしていたが、別の騒動が起きて対処に追われてしまうが後にツルギから(もたら)された情報に驚愕する。
それはそれとして、騒ぎを起こした七囚人には聞きたいことが出来たらしい。


七囚人・災厄の狐:あなた様のことは何時でも見守っておりますわ、うふふっ♡


ティーパーティー:次の日に戻ってくる予定だったが騒動を聞いて先生に許可を取ってその日にトリニティに戻り、ナギサとセイアが彼女の側に寄り添っていることに不満を抱いたミカもすぐさま身を寄せるのだった。
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