中央トレセン夏の合宿にて、トレーニングを終えたトレーナーとチームメンバー4人は夏祭りに来ていた。楽しいひと時を過ごしていた一行だったが、トレーナーが何者かに襲われて財布を奪われてしまう。果たして4人は無事に財布を取り返すことができるのか。

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これは私がPIXIVに投稿したものを加筆、修正したものです。

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チームメンバーがトレーナーの財布を取り返す話

私は中央のトレセンで、そこそこメンバーのいるチームを指導しているトレーナーだ。今日は夏合宿でトレセンが管理しているビーチに来ていた。今はトレーニングを終え、近くで行われている夏祭りを楽しんでいた。

 

 

 

「相変わらずここの夏祭りは人がいっぱいで賑やかだな」

 

 

「そうね、トレーナー。しかも今年は雲もなくて、花火がより綺麗に見られそうよ。」

 

 

 

 言葉を返した彼女の名はソニックハヤテ、うちのチームのリーダーだ。普段はストレートの髪もきれいに纏めてあり、若草色の着物で身を包んでいる。思いのままに芝を蹴って逃げる彼女らしくてよく似合っている。

 

 

 

「へへ、もう一つ頂き!どうよ、オレの射撃スキルは!」

 

「射撃、難しいですね…。」

 

 

 

 今、射撃でダルマを撃ち落としたのがオープンセサミ、なんか上手くいってない様子の子がブラックメイジだ。2人は幼馴染で、互いにサミー、メイジと呼んでいる。彼女たちは着物ではなく、動きやすそうな私服を着ている。

 

 

 

「これが『ヤキソバ』!とてもオイシイです!」

 

 

 

 そして焼きそばを頬張ってる子がオレンジマンダリン、去年トレセンに入学した留学生で、今年の合宿が初めてのクラシック級ウマ娘だ。彼女も動きやすい私服だ。

 

 

 

「それにしてもリーダーはいいなぁ、オレだって着物着たかったぜ。どこから持ってきたんだ?」

 

「これは近くでレンタルしたのよ。後で教えてあげるから、来年はそこで予約しなさい。」

 

「そういえばトレーナーさん、サブトレーナーさんはどこへ行かれたのでしょうか?」

 

「あぁ、国松君は奥さんと祭りを楽しんでるはずだよ。」

 

「トレーナーさん!『リンゴアメ』って食べ物はどれですか!」

 

「リンゴ飴はこれだぞ。買ってあげよう。」

 

「トレーナーさん、随分と重そうな財布ですね。どこで購入されたんですか?」

 

「!よくぞ聞いてくれた!この財布はな、様々な電子マネーを登録できて、タッチ決済もできる財布なんだ!しかもウマホの専用アプリで電子マネーの残りも一目瞭然なんだ!」

 

「でもそれ、ウマホの機能で良くないか?わざわざ財布につける機能じゃないと思うんだが…。」

 

「うぐッ!し、しかし!GPSもついてるので財布を落としてもすぐに場所が分かるんだ!」

 

「ちなみに充電はどのくらい持つのよ?」

 

「…3時間だ。」

 

「短ッ!なんで買ったんだよ、3時間経ったら無駄に重いだけの財布じゃん!GPSも意味なくなるだろ!」

 

「3時間だって、何かの役に立つかもしれないだろ!?それにこうやって今モバイルバッテリーで充電してるし大丈夫だ!」

 

「(役に立たなそうですね…。)」

 

「(『リンゴアメ』、おいし…。)」

 

 

 

1年ぶりのチームでの夏祭りは非常に楽しく、時間はあっという間に過ぎていった。

 

 

 締めの打ち上げ花火まで後1時間といったところ、私は、チームのために事前に確保していた席で、皆と一緒に花火を待つことにした。持ってきたUNOで遊んでいると、飲み過ぎたせいか、少し用を足したくなってきた。私は席を立ち、少し離れた場所にあるトイレに向かった。用を足し終わるころにはほとんどの人が花火を見やすい場所に行っているのか、トイレの周りは人が少なかった。戻ろうとしたとき、一人の成人しているであろうウマ娘が声をかけてきた。

 

 

 

…すみません、お願いがあるんですが…私の財布をこのあたりで落としてしまったらしくて…探すのを手伝ってくれませんか?

 

ト「それは大変ですね。…時間はまだあるな…いいですよ。どこから探せばいいですか?」

 

…ありがとうございます!実はあそこをまだ探していなくて、そこをお願いしてもいいでしょうか?

 

 

 

 どうやら財布を落としたらしいようだ。花火が上がるまで時間はあるし、彼女も花火を見たいだろうと考え、私は指示された場所を探すことにした。

 

 

 言われた場所は少し草が茂っていて、1人で探すのは難しいだろうと思った。しかし幸運なことに明かりは少しあったので、両手を使って草をかき分けながら探していると、背後から人の気配を感じた。さっきのウマ娘かと一瞬思ったが、その気配の主は足音を立てないようにひっそりと近づいてきている。嫌な予感がした。それと同時に、こちらが存在に気付いたと察したのか、気配は走って私の所に近づいてきた。背中に伸びてきた腕を、柔道を思い出しながら引き、地面にたたきつけた。叩きつけられたのはヤンキー風の男で、反対の手にはスタンガンを持っていた。

 

 

 ヤバそうな雰囲気がしたので逃げようとしたところ、後ろからガツンと強い力で殴られた。私は堪らず、地面にうずくまってしまう。更に脇腹を蹴り飛ばされ、仰向けに転がされた。衝撃で、使い切ったバッテリーと財布が飛び出てしまった。女のような足でありながら、ヒトには難しい力の蹴り。その感触で確信した、蹴ったのはあのウマ娘だと。この2人は最初からグルで、茂みに誘導して私を気絶させるつもりだったのだ。大声を出して助けを呼ぼうとしたが、その前に彼らは、私の財布を拾い上げ、体にスタンガンを押し当てた。

 

 

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「…遅い!アタシ達をほっらかしてどこへ行ったのよ!せっかくの花火が台無しじゃない!」

 

「トレーナーさん、何かあったのでしょうか?」

 

「ジュースがぶ飲みしてたから腹下したんじゃねぇのか?」

 

「…もう頭来た!花火見るのは中止!手分けしてトレーナー探すわよ!」

 

「えぇ…もうすぐ帰ってくるかもしれないだろ「いいから手伝いなさい!」リーダーは強引だなぁ…。」

 

「私は念のため、ホテルやサブトレーナーさんにトレーナーさんを見ていないか聞いてきます。オレンジちゃん、ここで荷物の番を頼めるかしら?」

 

「わかりました。」

 

「アタシはこっち行くから、セサミはあっち探しなさい、いいわね?30分後、ここに集合よ!」

 

「りょーかい、リーダー。」

 

 

 

 

 

 

「ったくもー!この日のために色々漫画読んでトレーナーを堕とす準備してきたってのに!合宿終わったらチーム全員分の高級スイーツでも奢らせないと…!」カツーン!

 

「あれ?何か蹴とばしちゃったわね…ってコレ、トレーナーのモバイルバッテリーじゃない?なんでこんなところに…。」

 

「充電コードは、恐らくここの茂みの方に伸びていた…こんなところにトレーナーがいるの?…トレーナー!今すぐ出てきなさい!今なら高級スイーツ1万円分で許してあ…げ…?」

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!トレーナー!!!!トレーナー!!!!!しっかりして!!!誰か、誰か!!!!ああ、お願い死なないで!!目を覚ましてトレーナー!!!!」

 

「はぁ、はぁ…リーダー!大丈夫ですか!?…トレーナーさん!私、助けを呼んできます!!!」

 

「…うっ…誰だ…。」

 

「トレーナー、気がついたの!?ねぇ、一体ここで何があったの!?」

 

「…2人組…襲われて…財布…取られた…。」

 

「襲われた!?この傷もその2人組に!?アタシのトレーナーになんてことを…!その2人組はどこに行ったの!?」

 

「…こ、これを…使…え…。」

 

「トレーナー!!!しっかりして、トレーナー!!!!」

 

「リーダー!もうすぐここに救急車が来ます!救急箱も持ってきました!」

 

「ありがとう、オレンジ!お願いだから死なないでトレーナー…!」

 

 

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「メイジ、そっちにトレーナーいたか?」

 

「いいえ、ホテルの方にも『戻っていない』と言われました。サブトレーナーさんや他のトレーナーさんも見ていないそうです。」

 

 

「一体どこに行ったんだ、トレーナー。リーダーを心配させやがって…見つけたら説教だな。」

 

「セサミ先輩、メイジ先輩!トレーナーさんが!トレーナーさんが!」

 

「どうしたのオレンジちゃん、トレーナーがどうかしたのかしら?」

 

「トレーナーさんが!頭から血を流して倒れていたの!今、リーダーといっしょに病院に行った!トレーナーさんは、2人組にやられたって!」

 

「トレーナーが!?畜生、トレーナーを傷つけた2人組はどこのどいつだ!?絶対ぶん殴ってやる!」

 

「落ち着きなさい、サミー!…オレンジちゃん、トレーナーさんの命に別状は?」

 

「わからない…。後、リーダーからこれを渡された。『これを使え』ってトレーナーさんから渡されたって。」

 

「これは…トレーナーのウマホじゃないか。なんでこれなんだ?」

 

「わかんない…でもトレーナーさんだよ、きっと何か意味があるんだよ。」

 

「…もしかして!オレンジちゃん、そのウマホ貸して頂戴!」

 

 

 

 オレンジからウマホを受け取ったメイジは、迷うことなくウマホのパスワードを解除すると、財布マークのアプリを起動した。

 

 

 

「なんでパスワード知ってるんだよ!?」

 

「あの人は自分の誕生日をパスワードにする人なんですよ。とにかく2人共、これを見てください。」

 

「これは…この場所付近のマップだな。この赤い点はなんだ?」

 

「これは『トレーナーさんの財布の現在地』です。現在トレーナーさんは怪我をして病院に向かっています。しかしながらこの財布は、病院のない方角へ向かっています。…つまり、現在トレーナーさんの財布を持っている人物がトレーナーさんを襲った犯人ということです。」

 

「この赤い点にいる奴らがトレーナーを傷つけたのか!…ここで動きが止まったようだな…絶対逃がさねぇぞ!」

 

「ちょっとサミー!オレンジちゃん、サミーについて行って。私は警察に連絡してから合流します。」

 

「う、うん分かった!セサミ先輩!私も行くよぉ!」

 

 

 

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「はぁ、はぁ、確かこの辺りだな。1000メートルないとはいえ、スプリンターの私にはキツイな…」

 

「…!セサミ先輩、あそこを見てください!」

 

 

 

…なんだ、この財布!?重い割には中身スカスカじゃねぇか!

…分厚すぎる財布だし、もしかしたら中に何か詰めてるのかも。帰ったら分解してみましょ。

 

 

 

「!アレはトレーナーの財布!おい、お前ら!それはトレーナーの財布だ、返してもらおうか!」

 

 

 

…チっ!後をつけられたか!オイ、アイツ等をここで始末して逃げるぞ!

…わかったわ。私はあの弱そうな奴からやるわ。

 

 

 

「おいオレンジ、来るぞ!構えろ!」

 

「は、ハイッ!」

 

 

 

…改造したスタンガンを食らえ!

 

「はっ!当てられるもんなら当ててみろってんだ!オレの速さはトレセン1なんだ!ほらよ!」ビシッ!

 

…ぐッ!スタンガンが!

 

「ほら、拾えよ。それともギブアップか?」

 

…クソガキがっ!

 

「まぁ多分そうだろうが、トレーナーを襲った犯人はお前らだな?オレらの大切なトレーナーを傷つけた罪は重いぞ、覚悟しろ!」

 

…ほざいてろ!…おい、見てみろよ?テメェのお仲間、随分劣勢だぞ?俺の彼女は手加減を知らねぇんだ、ボコボコにされても知らねぇぞぉ?

 

「…お前ら、もしかしてトレーナーやオレらのこと知らずに襲ったのか?そりゃ運が悪かったな。」

 

…何だと?

 

「…随分日焼けしてるなぁ。おそらくあのビーチで遊んだだろ?もしそうなら、ビーチを掃除する馬鹿デカいクリーナーも見ただろ?」

 

…それが何だってんだ?

 

「あのビーチ全てをアレ引っ張ってキレイにしたやつ、アイツだぞ?あんな奴にパワーで負けるわけがねぇよ。」

 

 

 

 

 

「くぅぅうう!!!!」

 

…ほらほら、もっと両手に力込めないと!このままペチャンコに押しつぶしちゃうわよ!?

 

「…す…!」

 

…す?ん~聞こえないなぁ、もっと大きい声で言いなさいよ!今謝ればパンチ一発で許してあげてもいいわよ?さあ言え!

 

「…す…スクリュー!!!!」ガシッ!

 

…へ?スクリュー?あれ?なんで私逆さまになってるの?

 

「パイル!!!!!」ビューン!!!

 

…え?え!?もしや!このガキ!離せ!離せ!!

 

「ドライバー!!!!!!!!!!」ゴォオオオオオ!!!

 

…いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

 

グシャア!!!!!!!

 

「Харашо!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

…嘘だろ!?

 

「隙あり!」

 

…ガハァ!

 

「よっしゃ!オレたちの勝利だ!」

 

「ypaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

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…畜生…。

「男の方はオレが何とかできるとして、あの女の方は」

 

「ты причинил ему боль!!!!!(あなたはトレーナーさんを傷つけた!!!!)Боль тебе подходит!!!!!!(これでも喰らいなさい!!!!!!)」ギチギチ

…ぎゃああああああ!!!!!!!!

 

「うん、あのオレンジなら大丈夫だな。うん。」

 

「はぁ…とっくに終わっていたようですね。」

 

「あ、メイジ!どうよ、犯人共をコテンパンにしてやったぜ!」

 

「屋台からバンドを借りてきたから、男性の方はコレで拘束しなさい。オレンジちゃんも、それ以上はやりすぎになるから気をつけなさい。」

 

セサミ「それで、トレーナーの具合は何か連絡あったか?」

 

メイジ「肋骨の骨折と頭部の裂傷はあったようですが、幸い、命に別状はないそうです。」

 

オレンジ「Он жив! ?(トレーナーは生きてる!?)ypaaaaaaaaaaa!!!!!」ギチギチ

 

…さらに締め付けがきつく!?もう許してぇ!!!!!!!!!!

 

 

 

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 気が付くと、そこはベッドの上だった。ベッドの隣ではソニックハヤテが椅子に腰かけたまま寝ており、目を覚ますと安堵したかのような顔で泣きじゃくり、私に抱き着いてきた。チームのメンバーには心配をかけさせたようだ。私は彼女を優しく抱き返し、頭をそっと撫でた。

 

 後日談だが、あの2人は御用になったようだ。どうやら今までもこの手口で強盗を繰り返していたらしく、罪は重くなるようだ。そして、うちのチームは逮捕に一役買ったということで後に表彰された。私の方はというと、特に脳に障害もなく、1週間ほど病院で様子を見た後にトレーナー業に無事復帰できた。その間のトレーナー業は国松君がやっていたらしく、彼には申し訳ないことをした。そして時間が経つにつれて、ようやく私たちの日常が戻ってきた。

 

 

 

「皆さん、お茶が入りましたよ。…トレーナーさん、今度は何をお買いになられたんですか?」

 

「これは『多機能シャーペン』って言ってな、シャーペンはもちろん、ここに消しゴムや付箋を搭載しているなんでもありな文房具なんだ!しかもここのボタンを押すとここが光るから真夜中でも書けるぞ!」

 

「そもそもデカすぎて持ち運びしずらいし、何より芯が一本しか入らない、消しゴムも付箋もミニサイズじゃないか!というかライトが占拠してる部分が多すぎて『文房具付きライト』じゃねぇか!なぁオレンジも何か言ってやれよ。」

 

「…。」

 

「ダメだ…大福に夢中になってやがる…。」

 

「アタシはトレーナーが満足してるならそれでいいわ。ただ使おうとは思わないわね。」

 

「…先輩、僕も試してみていいですか?」

 

「サブトレもそっち側かよ…。」

 

 

 

終わり。


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