FAIRY TAIL 波地空の竜   作:ソウソウ

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 ………お久しぶりです(震え声)。

 約二年ぶり。他の作品では投稿しつつもこちらでは一切更新せずにいたこと、本当に申し訳ない。
 唐突な話題転換いきます。久しぶりに自分の作品を読んだのですが、あれですね。スッゴい駄文です。なんてたって数年前の自分が小説を執筆し始めた当初の頃ですからね。

 ―――ってことでリメイクします。

 少なくともS級魔導士試験編までは大幅に変える予定です。

 再び投稿再開のつもりですが、また雲隠れするかもしれません。
 感想お願いしやす!!(明らかな誘導)。




(リメイク)第一章 波動の覇者と天空の巫子
1-1『妖精の尻尾』


 ◇◇◇

 

 某ギルド。

 

「やべぇーですよ!!」

 

 ギルド内に響き渡る声。

 焦りの表情を浮かべ、ギルドの扉を遠慮なく開けた者が放った第一声。

 

「どうしたぁ!!」

 

 リーダー格と思わしき体格のごつい強面男性が反応した。

 ギルド内に居た他の者達も一斉に視線が集う。

 

「噂は本当でした!!正規ギルドの紋章も確認したので間違いねぇです!!」

「………っち。面倒なことになりやがった」

 

 軽く舌打ち。

 座ってた椅子から立ち上がる。そして蹴りを放ち、椅子を壁へと吹き飛ばす。一瞬で椅子は木っ端微塵に砕け散り、壁際の床に木屑が散乱。

 が、辺りは大きな破砕音がしたのにも関わらず、異様な静けさがあった。

 

「折角の機会だ。これまで黙って水面下で動いてきたが、俺らは普通の奴等とは違うってことをついに証明する。いいか!!野郎共!!」

「「「おおーー!!」」」

 

 拳を高く突き上げる。

 遅れて、その場にいた全員が雄叫びを上げて、拳を突き上げる。

 

「作戦は分かってんな!?」

「はい!!既に実行済みです!!」

「いいぞぉ。これで奴もただでは済まんだろう」

 

 にやり、と笑みを浮かべる。

 そこには善意は一切存在せず、あるのは悪意。他の者も同様に怪しい表情へと変貌している。

 

「おい!!」

「はい!!マスター!!」

 

 下っ端の背筋が真っ直ぐ伸びる。

 

「どこのギルドの野郎が来た!?」

「それが………」

 

 マスターの質問に正直に答えるのはただしくないかのように躊躇した下っ端。視線が下がる。

 マスターの目が見開かれた。

 

「早く答えろ!!」

「ひぃぃ!!」

 

 あまりの怒声の迫力に下っ端の全身が震え上がる。

 

「………ギルドの名前は分かりません。ただ………妖精のような紋章でした」

「妖精………『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』か!!」

 

 妖精の尻尾。

 正規ギルドでありながらも数多くの問題を引き起こすギルド。と同時に最強と詠われる実力者もいるとの噂。

 マスターの表情に真剣味が帯びる。

 

「どんな奴だ」

「普通の青年のようでしたが………?」

「………っ!!」

 

 下っ端は特に疑問を浮かべている様子はない。周りもこれと言った反応はない。

 が、しかし。

 マスターだけは違った。

 

「最終手段をとる。あれを準備しろ!!」

「え!?ですが、あれは―――」

「うるせぇ!!文句があんのかぁ!!」

「りょ、了解です!!」

 

 数人が慌ててその場を離れる。

 

「………まさかとは思うが………あいつではないだろうな………」

 

 マスターは自身の予想を浮かべる。

 これが本当であれば並大抵の事では済まない。

 

「………『波動の覇者』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 とある村。

 

「では………よろしくお願いします」

 

 村の中央に位置する広場。

 そこでは、一人の青年と一人の女性の姿があった。周りでは村人と思わしき人々が二人を見守っている。

 今、女性が頭を軽く下げていた。

 

「了解です。任せてください」

 

 答えたのは青年。

 彼の名前は“ソウ”。

 正規ギルド『妖精の尻尾』の魔導士であり、その証として左手の甲に紋章が刻まれている。

 

「あの………頭を上げてください」

「はい………あ、申し遅れました。私“シズク”と申します」

「あ、ご丁寧にありがとうございます。自分は“ソウ”と言います」

「ソウさんですね」

 

 シズク、と名乗った女性。

 この村特有の衣装なのか、独特な模様を刻む服を着ている。

 ソウとは見た目、同年代なのだがどうやら彼女が案内役を担っているらしい。

 

「別に敬語じゃなくてもいいですよ?」

「そうですか?ですが、私達の依頼を受けてくださっている以上、無礼な扱いは失礼なのでご理解お願いします」

「ん………まぁ………いっか」

 

 丁寧に断る所からも彼女の性格がいかにも真面目なのかが分かる。ここの村にとって、ソウは特別な人らしい。

 と、彼は特に気にした気配はない。

 

「では、宿に案内いたしますね」

「あぁ」

 

 シズクはソウに背中を向け、歩き出す。

 その後を付いていくソウは村を軽く見渡しながら、思考に浸る。

 村、と言われれば田舎ながらも活気のある村人達が生活しているイメージを持つソウ。祭事も定期的に行い、村人達は笑顔で毎日が賑やかそうなのだ。

 が、ソウの視界には活気どころか人気もちらほら見える程度だ。しかもどこか表情が暗い。

 普段からこんな風だとは思いたくはないが、原因の知るソウにとって改めて実感せざるを得ない光景だ。

 

「つい数ヵ月前まではもっと騒がしかったんですけどね」

 

 ソウの前方を歩くシズクがふと呟く。

 彼女もソウの考え事を悟ったのか、ゆっくりと話し出した。

 

「本来ですと、この時期、村の皆さんは“鉱山祭”の準備で大忙しなんですが………」

「こうざん祭………とは?」

「あそこに他の山と少し違う山が見えますよね?」

「あれですか?少し色が鋼っぽい………」

「えぇ。それです」

 

 シズクが指差したのは村の奥。ソウがそちらへ視線を移すと、いかにも彼女の言うその山が風格を漂わせ、ずっしりと構えているのが見てとれる。

 明らかに周りに聳え立つ山とは異なる。

 

「あの山がこの村の名前の由来である“テンドウ山”であり、そのテンドウ山にある珍しい物があることで有名なんです」

「その珍しい物とは?」

「ーーー宝石です」

 

 シズクは断言した。

 ソウはそんな彼女の仕草に違和感を感じていた。どうも、悔しさが滲み出たようなイントネーションが気にかかる。

 シズクはそんなソウの思考は露知らず、説明を続ける。

 

「ある季節になると月の光がテンドウ山山頂にある穴に入り込み、その穴の中にある大量の宝石と何度も反射を繰り返して、それはもう………幻想的とも言える光景が出来るんです………」

「ん?シズクさん………それは、もしかして“月渡りの光り柱”ですか?」

「え、えぇ………ソウさん、よくご存知で」

 

 驚いたのか彼女の顔がこちらへと向く。

 ソウは軽く微笑んで答えた。

 

「ここに来る前にそういう噂を耳にしたんですよ」

「そうでしたか」

 

 納得した様子のシズク。

 再び前へ向き、移動を再開。

 

「その“月渡りの光り柱”を讃える祭"鉱山祭"が毎年開催されてたんですけどね………今年は未だに観測出来ず、この調子なので………」

 

 シズクが気まずそうに言葉を止める。

 仕方がないことだと、ソウは感じざるを得ない。今年の祭の開催は難しそうだ。

 

「なるほど」

「ソウさんにもぜひ見て欲しかったのですが………」

「大丈夫ですよ」

「え?」

 

 シズクがまた振り向く。

 

「その為に俺が来たんでしょ?」

「あ………はい………」

「シズクさん?」

「………」

 

 彼女の動きが停止した。

 ソウはひらひら手のひらを彼女の顔の手前に振ってみる。

 

「シズクさん?」

「あ!すみません!」

 

 気を取り戻し、その羞恥心からかシズクは頬を軽く赤く染める。

 

「それに………」

「………?」

「出ておいで」

 

 ソウの呟きにシズクは首を傾げる。

 すると、ソウは近くの物陰に手招きをした。

 シズクが彼の視線の方へと向くと、一人の少女が建物の影からもじもじと両手を背中に回して姿を見せる。

 見た感じ8,9才だろうか。

 

「えへへ」

 

 その少女は照れ笑いをしながら、てくてくと二人の元へと駆け寄って来た。

 シズクはそんな少女の姿を視認すると、少し困り果てた表情を浮かべる。対するソウは少女と目線の高さを揃えようとしゃがみこんだ。

 

「何か聞きたいことでもあるのかい?」

「うん!でも、よく私が見てるって分かったね!」

「これでも魔導士だからね」

「っ!!」

 

 キラキラと輝きを放つ少女。

 あまりの期待感を向けられて、ソウは照れ臭そうに頬をかく。

 

「私、魔法見たい!!」

「申し訳ございません………妹が迷惑かけて………」

「いえいえ」

 

 少女の期待オーラとは、対照的にシズクの申し訳なさそうな態度が表に出てきた。

 ふむ、とソウは考える。

 この子はシズクの妹なのかぁ、と。

 

「それよりも姉妹だったんですか………似てますね」

「そうかな?」

「そうでしょうか?」

 

 小首を傾げる姉妹。

 タイミングも仕草も完全に同化している点から、確実にこの二人は姉妹だ。

 

「んじゃ、魔法を使いたいから安全な場所へ行こうか」

「ほんと?やったぁー!!」

「ソウさん、ありがとうございます………」

「それでシズクさん。近くに破壊してもいい巨大な岩石とかってあります?」

「岩石ですか………」

「というか、道の邪魔になってる物とか撤去してほしい物ですね」

 

 ソウの魔法の予行をすると必要不可欠。というか、あった方が効果がより明確に視界で確認できる。

 

「あるよ!!」

 

 少女が声をあげた。

 

「ここから東に行った所になんかよく分かんないものがあるよ!!」

「どういうものかな?」

「う~ん………お姉ちゃん!!」

 

 視線がシズクへと移る。

 唐突に話をふられたせいか、彼女の体が一瞬ビクッと震えた。

 

「えっと………あれですね。直接行かないと説明できないと言うか………」

「んじゃ、今すぐ行きましょう」

「え?」

「面白そうじゃないですか」

 

 ソウ自身もそれに興味が出てきたのか、少し笑っている。

 

「おっとその前に荷物は宿に置いてもいいかな?えっと………君の名前は?」

 

 と、ここで少女の名前を聞くことをソウはすっかり忘れていたのに気付く。

 ソウの様子を察した少女は満面の笑みで名前を告げた。

 

「私は“シオネ”だよ!!」

「それじゃあ、シオネちゃん。ちょっと寄り道してからになるけど行こうか」

「うん!」

 

 ふむ、とソウは立ち上がる。

 シズクは彼を宿への案内を再開しようと声をかけるが、

 

「では、ソウさんこちらになりーーー」

 

 その瞬間だった。

 

「待て!!」

 

 一人の少年がソウ一向の道先を塞ぐように現れた。

 少年の瞳は覚悟を決めたかの如く、ぎらついていた。真横に真っ直ぐ広げた両手は彼の決意を物語っている。

 

「ん?」「…………」「はぁ………」

 

 三人の反応は様々。

 何事かと首を傾げる者。

 面倒ごとを悟ったかように無言の者。

 物事が全然進まないことに対してのため息をつく者。

 少年は全てを売っての覚悟でソウの眼前で立ち塞がったままだ。

 

「俺もつれていけ!!」

 

 彼はそう叫んだ。

 

「"セルジュ"………何をしてるんですか」

 

 ふと感じる隣から怒気の気配。

 びくっ、とそれはもうはっきりと少年の全身が震えた。

 

「いや………あの………姉さん。その人が魔導士でこれから魔法使うって聞いて………」

「だからと言って、あんな手段を取るとは!ソウさんに失礼でしょ!」

 

 しゅん、と萎む少年ことセルジュ。

 そこを口撃していくシズク。なんとも微笑ましい姉弟の光景。

 

「姉さん?」

「はい!セルジュは私の双子の弟です!」

「双子なんだ………」

「お姉ちゃんに怒られてばっかだよ?」

「それは………聞きたくなかったかな」

 

 姉に弱い弟か。

 一人っ子のソウには分かりえない関係。少し羨ましくも思う。妹のような人影がふと過るがすぐに霧散した。

 

「行くか」

 

 前方で「良いですか!?」と未だに弟に説教だれてるシズクの背後に近づき、彼女の肩を軽く叩く。

 

「シズクさん、もうそろそろ行きません?」

「え!?あっ!?すみません!!」

 

 慌ててシズクは案内を再開しようとする。

 対して、取り残された弟を見ていたソウ。セルジュはまだ俯いたままだ。

 

「来るか?」

「………いいの?」

 

 セルジュは顔を上げた。

 

「お姉ちゃんに迷惑かけるなよ?」

「分かった」

 

 ソウの背中を追うセルジュであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 シズクに部屋の鍵を貰い、部屋の場所を教えてもらったソウは宿の通路を歩く。

 自分の部屋の番号を確かめ、中へと入り、扉を閉める。

 中へは靴を脱いでから踏み入ると、ベッドへとソウは真っ先に近づく。

 そして、背負っていたリュックサックを躊躇なくベッドに、ぽいっと無造作に投げた。

 

「ぐへぇ!」

 

 と、リュックサックの中から声が漏れる。ソウは特に気にした様子もなく、窓際にある椅子へと腰を下ろした。

 もぞもぞ、と中身が動いたかと思えば中から黄色い猫のような生き物が顔を出した。表情は若干の不満顔。

 

「ソウ………扱いが適当だよ~」

「背負う身にもなってくれ。重い」

「女の子にそんな事言っちゃダメ!」

「どこでそんなの覚えたんだ………」

 

 その姿はまさに喋る猫。

 

「"レモン"。この後、軽い準備運動みたいなのをしてくるが、付いてくるか?」

「うーん。まだもう少し寝たいかな」

「分かった。荷物もここに置いとくから念の為、見ておいてくれ」

「これ持って帰らないと報酬出ないんもんねー。任せて~」

「俺の魔法で一応警戒だけはしておくけど。下手に無くしたりでもしたら、マスターに絶対に怒られる。それだけは避けたい」

「了か~い」

 

 そして、レモンはベッドの上で丸くなってしまった。明らかに警戒心ゼロのように見えるが、これまでも何度か危険な体験を乗り越えてきてるので大丈夫だろう。たぶん。

 それにまだ敵の動く気配はない。

 村に入った時から発動してある探知魔法の範囲外に潜伏している可能性もあるが、こうも距離を取られてるということはまだ仕掛けるつもりでないという意思表示でもある、とソウは判断した。

 

「んじゃ、また」

「ほーい。お休みなさ~い」

 

 ソウは部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1-2 へ続く。

 




*数時間後に続き、投稿します。

リメイク前の話(予定では大魔闘演武編の直前まで)はややこしいので消した方が良い?

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