*〈2015年3月16日〉会話間の行間を訂正。
妖精の尻尾へと帰還した天狼島メンバー。
久しぶりのギルドにそれぞれが感想を述べていた。
ソウも懐かしの気持ちに浸っていた。
そうこうしている内に、マカロフが今までの経緯の説明を一通りマカオに聞かせる。
「───と、そういう訳じゃ」
マカオには信じがたい内容だったが取り敢えず無理矢理納得しておくことにした。どうせ、疑っても無意味なことは長年の経験から知っている。
辺りを見回していたナツはロメオを見つけてそこで視線が固定される。
7年たった今、ロメオはとても男らしく成長していた。
ナツは一言ロメオに述べた。
「大きくなったな、ロメオ」
ナツはにかっと笑顔を浮かべた。
ロメオは嬉しいあまりに涙が目から出てしまったが構わずに返事をした。
「おかえり!!ナツ兄!!皆!!」
久しぶりの再会だった。
「帰ってきたのか、やっと」
「帰ってきたね、お兄ちゃん」
二人も笑顔を浮かべた。
その後は7年という長かった年月の空白を埋めるかのように騒いだ。
飲んで食べて踊って歌って。
それは一行に収まる気配がなかったが、やはりこれでいいとソウは思う。
妖精の尻尾はこれでいいのだ。自分はこの時間が大好きなんだ。
でもあの日が来るのも、もうすぐだった………。
「お前も火の魔法使うのかロメオ!」
「またギルドの温度上がっちゃうねー」
ナツとハッピーのテンションが上がってくる。ロメオも同じ魔法が使えるようになったことに喜んでいるのだ。
「冷たい炎も出せるぜ」
「おおっ、青い炎!!」
ロメオは右手から青い炎を出した。
「これは何だ?」
ロメオは今度は左手から紫色の炎を出していた。
「父ちゃんと同じ紫のくっつく炎。あと、変なニオイの黄色い炎」
「くっせー!!」
炎から出る悪臭に思わず鼻をつまんだナツ。ソウも鼻を覆っていた。
ロメオの炎の種類が豊富だと思ったソウ。
「お前、オヤジよりスペックが多くねえか?」
ソウと同じことを思ったのかガジルが話に入り込んできた。
そのオヤジはというとマカロフとカウンターで話していた。
どうやら、ギルドマスターについての内容らしい。
「しかし、お前が四代目フェアリーテイルマスターとはな」
「なーに言ってんだよ、こんなの代行みてーなモンだよ!!今すぐこの座返すよ!」
「いや……面白そうだからしばらく続けてくれい」
「マジか!!?」
初代メイビス、二代目プレヒト、三代目マカロフ、四代目………マ・カ・オ♡
「ん?」
ソウは首を傾げる。
何か変なことが聞こえたような。気のせいか。
「先・ 代・がそう言うならもうしばらく。エヘヘ………」
「このなんともいえねーガッカリ感がウケんだけど」
「じゃろ?くぷぷ……」
気になったのか、ソウは遠目から眺めていたがどうやらアホなことを企んでいるらしいと見ていてわかった。
「何!?」
いきなり大声を上げたのはエルザ。
驚いているエルザの前にはアイザックとビスカがいた。
「け……けっ……結婚したのか、お前たち!」
へぇー、そうなんだとソウは感心していた。
「6年前にね」
「聞いてよエルザさん。プロポーズ私からなのよ!!アルってば………」
「その話はよせよ…………」
「お………?おめでとう!ふつつか者だがよろしく頼む!!」
エルザはそう言い、何故かマックスの着ている服の襟を握り、前へ後ろへと動かせていた。
さらに頭から白い煙が出ていた………。
「誰か、止めろ!!」
エルザに引き回されていたマックスが叫ぶ。
「何言ってんだエルザ………」
「自分にあてはめてごっちゃになってるわね」
エルザの困惑している姿を見て、エルフマンとミラがそう言う。
「素敵ね!子供はいるの?」
リサーナがノリノリで2人に質問する。
エルザはというと未だに何やっているのかよく分からなかった。
「娘が1人」
「アスカっていうんだ」
もしかして、あの子かな。楽しそうにレモンとはしゃいでいる女の子。
あ、女の子がどこかに走っていった。置いていかれたレモンは悲しそうにその背中を見ていた。
「あ……あの、リーダスさん、これ……」
場所は変わり、ウェンディはリーダスの書いた絵を見ていた。
ウェンディの格好はエドラスに行ったときに来ていた服だった。
「ウィ………俺なりにウェンディとソウの7年間の成長した姿を描いてみたんだ」
ウェンディだけでなく、自分の姿も描かれているということでソウも気になったのか、ウェンディの後ろから覗きこんだ。
ウェンディの肩がぴくぴく震え、様子がおかしかったことにソウは気付いていなかった。
「あんまり、変わってないな……」
身長が少し伸びてるぐらいで他は特に変化なしというソウ。
それに対してウェンディは───
「…お……お胸が……」
ウェンディも一応身長は伸びているが、一番成長して欲しいところがあまり良くない。
「ん?何か言ったか?」
「これ……気持ち悪いんだけど…」
「何故俺はフンドシなんだ………」
どうやらエクシード組の7年後の姿も描かれていたみたいで、シャルルとリリーが感想を述べていた。
まるで人間みたいに成長した自分達の姿を見たシャルルは冷たい目線を浴びさしていた。
エクシードは元々、今の身長以上伸びることはないはずだ。エクシードの長老達も今のシャルル達とあまり背丈は変わらなかったからだ。
リーダスはそんなことは知らないのでただ単に自分の想像だけで描いたようだ。
「わぁ、私スタイルいいねー」
いつの間にかこちらへと戻ってきていたレモンも自分の未来の姿を見て感想を述べる。
「そういえば、エクシードの皆………7年間心配かけちゃったのかな………」
絵を見て思い出したのはエクシード達が今何をしているのだろうと思い同時に7年間も行方不明になっていたということだ。
ハッピーは不安そうに呟く。
「いや。エクシードと人間とは時間の感覚が違う。それほど大事には捉えていないだろう」
「ふーん」
「そっか~」
「それならいいんだけどね」
エクシード達はそんな他愛もない会話をし始める。
ソウの横にはいまだに絵と向き合っているウェンディがいた。
「私………大きくなっても……大きくならないんでしょうか………」
ソウには一体何が大きくなって、大きくならないのか大事な所が聞こえなかった。
「そんなに気にすることなのか?」
「うん……でも……」
「今のウェンディも可愛いけどな」
「っ!……お兄ちゃん/////」
ウェンディは顔を赤くして恥ずかしいのか顔を俯かせてしまった。
何か変なことを言ってしまったかとどうやら違うみたいなので一安心したソウはギルドに誰かが来たことに気づく。
「誰か来た………」
「え?……」
「あら?いらっしゃいませ」
入ってきた人らのことをソウは知らないがどうやら皆の知り合いかなんからしい。反応からして初対面の人に接する態度ではなかったからだ。
「おおっ!そろっているようだな!」
聞いたことのない声。自分とは無縁の人物みたいだ。
「みなさんのご帰還………愛をこめておめでとうですわ」
「おおーん」
「息災であったか?」
「7年間歳とってねえ奴等に言ってもな…………」
「また騒がしいギルドに逆戻りか」
「お前等!!」
「
「誰?」
「ニルヴァーナの時に手伝ってくれたギルドの一つだよ、お兄ちゃん」
ニルヴァーナの時に、一緒に
が、ソウはその時その場にいなかったのであまり事情を知らない。名前と顔が一致しない。
知っているのはエルザとウェンディから聞いた話ぐらいで本物は目にしていない。
「天狼島の捜索には天馬にも蛇姫の鱗にも世話になったんだよ」
マックスがそう言ったことでソウがあの時、密かに疑問に思っていたことが判明した。
ここに帰ってくる途中の船の上で、感じたことがない魔力があったが多分それが青い天馬のギルドの一員だったのだろう。
会う時があったら、お礼を言っておくべきだろうとソウは考えた。
「そうだったのか」
「借りができちまったな」
「気にする事はない。天馬に先をこされたが、実力は俺達の方が上だしな」
「そっちかよ」
「だって、この7年間で私達蛇姫の鱗はフィオーレNo.2のギルドにまで、のぼったんですもの。残念ですわルーシィさん」
蛇姫の鱗は思っていた以上に強敵と成りうる存在の秘めたギルドのようだ。
「………って事は、1番は天馬?」
ルーシィはそう尋ねるが、さっきの話だと蛇姫の鱗の方が実力が上とグレイと同じ師匠の弟子のレオンが言っていたから青い天馬が一位ということはないだろう。
さっき、ウェンディから大体の人を紹介してもらった。
「そんな訳あるかよっ!!!!」
「キレんなよ。いや………天馬じゃないんだが………」
まるで犬みたいな人は唐突に怒鳴り、眉毛が濃いのが特徴の人が突っ込んだ。
「あいつ……」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「……いや、なんでもない」
眉毛野郎から自分と似たような魔力が検知されたのに、少し驚いたソウ。
もしかしてあいつも自分と同じ魔法を使うのだろうか。
「まあ……そんな話はよかろう。皆……無事で何よりだ。」
この人は確か、ジュラ。
ジュラというとどこかで聞いたことがあるような気がしたがもしや、有名人なのだろうか。
「おおーん」
こいつ………犬だ。
そう吠えられると見た目からも言動からも犬としか思えなくなったソウ。
どうやら、こいつの事はウェンディも知らないらしく、よく分からないというのがソウの第一印象といったところだった。
するとレオンがジュビアと目が合った。そして、爆弾発言をかました。
「これが一目惚れというやつか……」
「え……ええ…」
まさかの告白みたいな発言にジュビアはただただ困惑している。
そして、グレイはめんどくさいことになってきたとため息をついた。
ようやく、状況を理解できたのかジュビアは顔に両手を当てて「これは……修羅場!」とかなんとか言って一人で盛り上がっている。
取り敢えず目線をそらすことにしたソウ。その先にはギルダーツとカナがいた。
「つー訳で、俺がカナの親父だったんだわー!」
「コラ!!ベタベタさわんな!!」
「だってよう、嬉しいんだもんよォ!」
「そのゆるんだツラどーにかしろよ!てかおろせ!!」
ギルダーツがカナを抱っこする。嫌そうに抵抗しているカナだが、満更嫌そうではなかった。
親子って知った時にさすがにソウでも驚いた。
「もっとまともな設定はなかったのかよ」
「さすがに騙される気がしないのである」
ウォーレンとビジターがそう言う。
「じゃーん!これがアスカ」
アルザックはリーダスが描いてくれた自分の娘を見せていた。
「「「おおー!」」」
「お2人にそっくりですね」
ウェンディが感想を述べた。
絵に描かれていた少女は先程見つけた女の子と似ていたのでさっきの考えは間違いなかった。
というより、今はどこに行ったのだろうか。
同じように絵を見ていたリリーも感想を述べたが余計な一言だった。
「成程。ウェンディに似た感じだな。可愛らしいぞ」
「え!」
「………」
一瞬、目が点になったウェンディはだんだんと涙目になっていく。
そして、ついに───
「うええ~~~ええん!!リリーまで!!!!」
「え!?なぜだ!!?」
「あー、はいはい……よしよしウェンディ」
ソウは泣いてるウェンディを抱きしめ、頭をなでる。
リリーにまで言われたことにショックが大きかったようだ。
何が悪かったのか分からないリリーは狼狽えていた。男には理解しがたいことなので、リリーが理解できるのはまだ後の話だろう。
「よしよし」
「うええ~~~ん!!」
しばらくは泣き止みそうになかった。
その後も色々いつも通りの騒ぎようにソウはこの妖精の尻尾へ帰ってきたんだと実感していた。
◇
「どうして、それを俺に?」
時間はあっという間に過ぎて夕焼けが綺麗な時間帯に差し掛かっていた。
ギルドのとあるテーブルにギルドの女子達が集まって会話をしていたが、どれもその表情が暗かった。
その近くを通りすぎようとしたソウだったがたまたま顔を上げたウェンディに見つかり連行された。
エルザもソウを見るなり目を光らせてこっちに来るように合図してくる。
こうなると逃げられないことは体が本能的に理解しているので諦めた。
「7年分の家賃か………」
どうやら、今集まっているメンバーはフェアリーヒルズに住んでいたメンバーだったが先程7年分の家賃の請求をされたみたいだ。
さすがに7年となるとそれはとても大きい金額になるはずだ。
それにエルザにいたっては───
「エルザって五部屋借りてたよね?」
「うるさい、分かっておる」
レモンの現実味の一言に頭を抱えたエルザ。
よく、家主は部屋をそのままでしていてくれたよなぁとソウはそっちの方に気を向けていた。
「私の貯金が………」
ウェンディは自分の貯金がほとんど空になったことに嘆いていた。
「で、なんで俺に言うんですか?」
「いや、だってソウ君よくS級クエストに行ってるから……」
レビィが恐る恐る言う。
つまり、皆はソウの貯金に期待しているのだ。
S級クエストは難易度が難しいの引き換えに報酬金がとても高い。等価交換と言った所だろう。
それを大量と言ってもいいほどの量をこなしているソウの貯金は計り知れない。
なら、エルザもソウと同じS級魔導士なので問題ないのではとソウは思ったがそれはないと首を横にふる。
エルザはナツとグレイとルーシィと行動を多くしていたので個人で行く暇がなかったのだ。それにあいつらが物を破壊するせいで報酬金も少なくなるということでルーシィが家賃のことで毎日頭を悩ましていたことは記憶に新しい。
取り敢えず今の貯金だけで、いくらになるかと計算しようと思ったが正直めんどくさかった。そもそも7年経った今もあるのかどうか確かめておかなくてはならない。
「ちょっと待っておいて」
ソウはそれだけ言うとギルドから離れて久しぶりに我が家へと戻った。
埃が溜まっていたが目的の物は特に難なく見つけられたのですぐにギルドに戻る。
「はい、これ」
「これは?」
ソウが持ってきたのは宝石だった。それもたくさん。一目で高価な物だと分かるほどの輝きを放っていた。
「あるクエストに行ってきたときに山奥まで行ったんだけどその時に見つけて家に持ち帰ってからはずっと置きっぱなしで忘れていたんだ。特に使い道がないし、どうぞご自由に」
正確に言うと猛獣の住んでいたところの奥深くにあったので誰も取ることが出来なかったのだ。
「本当か!?」
「これ、売ったら、いくらぐらいするのでしょうか?」
「一個1000万Jぐらいは行くんじゃないのか?」
「本当なの!?」
ラビが異様に食いついてきた。
「で、でもこんな物をもらうのは気が引けるというか………」
レビィは遠慮がちにしていた。
確かにこんな宝石をただで貰うのは誰だって遠慮するだろう。
「まあ、俺からのプレゼントということで……。それでも不満なら後でお金は返してもらえればいいよ」
「う、うぅっ………すまん……」
「ありがとう………」
「感謝します………」
「助かるわ………」
ソウもいい気分になっていた。
と、ウェンディがとても欲しそうに宝石を見つめていたのでソウは声をかける。
「ウェンディも選んでいいぞ」
「え!いいの!」
「今までにウェンディに心配かけた分のお兄ちゃんからのお返しということで」
「ありがとう……お兄ちゃん……!」
「じゃあ、私これ~」
どさくさに紛れてレモンも宝石を選び出した。
どっちにしろ余るんだったらルーシィにでもあげようとしていたので問題はない。
「もう、いいか」
残ったのは数個だったがこれでも売ったら相当の額がいくだろう。
宝石を手に持ってソウは自分の家へと戻っていった。
「お兄ちゃんは自分の家持ってたんですね」
「ん、そうだが知らなかったのかウェンディ?」
「はい、知っていたら多分そっちに行っていたと思いますし。───あ!でもフェアリーヒルズも楽しいですよ!」
「ソウ君には感謝だね」
「はい、今度お兄ちゃんの家にでも行ってみようかな……」
女子達の会話はまだ続くのであった。
◇
「はい、ソウ。あなた宛に手紙が来てるわよ」
「ん、サンキュー、ミラ」
頭の上にはレモンが乗っていた。
どうやらここが一番落ち着くらしいので、よく乗っている。
ギルドの中でテーブルに座り何をしようかと悩んでいたとき、ミラが手紙を一通ソウの元に持ってきた。
ソウは手紙を受けとると誰からなのか確認しようとするが名前がない。
不思議に思いながらも紙を封筒から取り出して内容を読み進めていく。すると、だんだんとソウの様子がおかしくなっていき読み終えるなりその場に立ち上がった。
「何が書いてあったの?」
「ごめん、ミラ。俺三日くらいギルドを留守にするわ」
「急にどうしたの~?」
勢いよく立ち上がったことで眠そうにしていたレモンがのんびりした口調で話す。
「え、急にどうしたのよ!」
ミラがそう口にしたが、ソウはあっという間にギルドを出ていった。
一体あの手紙に書かれていたのは何だったんだろうとミラは思ったがその前にマスターに伝えることにした。
それにウェンディにも言わないと機嫌を損ねそうなので、忘れないようにしないと。
というよりまたソウがウェンディを置いていってしまったことについては大丈夫なのだろうか。
続く───────────────────────────
次回!ついに他のメンバーも登場する予定!
オリジナルの敵キャラってあり?(無しの場合だと、原作に出てきた敵キャラのいずれかを主人公が奪い倒す形となる予定)
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あり
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なし
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ありよりのなし
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なしよりのあり
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どっちでも