FAIRY TAIL 波地空の竜   作:ソウソウ

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ソウが帰ってくるのは、ちょうど“透明ルーシィの恐怖”の話の最後らへんです。

───ささ!どぞどぞ!!

*〈2015年3月3日〉会話間の行を訂正。


第d話 トライデントドラゴン

 “トライデントドラゴン”。

 

 通称、三首の竜。

 ソウ、ジュン、アール。

 ギルドの主要となる三人。その三人を三又の槍と置き換えて、また同時に全員が滅竜魔導士だということからこの名前にしたのだろう。

 シンプルで良い名前だとソウは思った。

 

「トライデントドラゴン?」

「そうじゃ、何か不服かの?」

「いや、いいんじゃないのか?」

「なんで、疑問系なの、ジュン?」

 

 疑問系で返答したジュンにアールが突っ掛かる。 ジュンにとってはあまり興味がないのだろう。

 

「何でもねえよ!」

「そうなの?」

 

 誤魔化すように答えたジュンにアールは渋々といった感じで納得していた。

 ソウも賛成の意を示す。

 

「いいんじゃないのか」

「決まりだね。早速やろう!」

「その前にソウはフェアリーテイルへ戻れよ」

「分かった」

 

 ジュンの指摘により一度、フェアリーテイルに戻り話をつけることにしたソウ。

「レモン、また頼む」

「分かった。行くよー」

 

 来たときと同じようにまたレモンのエーラで飛んでいったソウ。

 それを見送っている三首の竜の皆。

 大魔闘演武まであと少しだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 結局フェアリーテイルに戻ってこれたのはミラに告げた3日後だった。

 あそこからギルドまでは相当の距離があったのでレモンのエーラだけでは到底行けないのでのんびり進むしかない。

 ようやくマグノリアについた二人。

 ソウはギルドの前に立つと憂鬱な気持ちに襲われる。

 ウェンディには悪いことをしたと思っている。

 

「さて、行きますか」

 

 扉を決死の覚悟で開ける。

 

「皆ーただいまー」

 

 レモンが意気揚々と入っていく。

 が、ギルドの中にはルーシィしかいなかった。

 

「ルーシィ?一人でなにやってるんだ?」

「ソ、ソウ!良いところにきたー!」

 

 こっちに駆け出してきたルーシィ。

 

「お、お兄ちゃん!」

 

 ウェンディの声が聞こえた。だが、ギルドにはルーシィ以外誰もいないはずなのにどうして聞こえた。

「………空耳か?」

「ソウ!グッドタイミングだ!」

「どうにかしてくれ!」

「よし……気のせいだ!」

「気のせいじゃねぇー!」

 

 ナツとグレイの声も聞こえた。

 他にもギルドのメンバーの声が聞こえた。

 もしかして姿が見えないのだろうか。

 

「はあ?どうなってんだ?」

「7年前に作った薬で、こうなったのよ」

 

 疑問に答えたのはルーシィだった。

 どうやら先程までルーシィが作った薬で透明になり更に存在まで消えそうになっていたらしい。

 それはナツが思い出してくれたおかげで難を逃れたが今度は皆が消えてしまったのだ。

「『波動式六番』波動波!」

 

 波動の波を起こして魔力を検知してみたソウ。

 魔力はすぐ近くから感知されたのでどうやら体が見えないのは本当みたいだ。

 ためしに手を伸ばしてみた。

 手が何かの上に乗っかったような気がした。

 ただ、ソウの不自然に手が浮かんでいるように見える。

 

「ウェンディか?」

「はい!私です!」

 

 どうやらウェンディの頭の上に手を乗せているようだ。

 そのまま撫でるように動かしてみた。

 見えないのでやりにくい。

 

「ソウ、見えるの!」

「いや、見えるというよりは感じる」

 

 その時、一つの魔力が動いた。

 魔力から察するにナツのようだ。

「火竜の鉄拳!」

 

 炎を拳に纏っているはすだが、ソウの目にはただ炎が浮かんでいるように見えた。

 自分は今、透明なので勝てるとでも見込んだんだろう。

 けど、ソウの周りには波動壁が発生されナツは吹き飛ばされていった。

 

「うぅ…やっぱり勝てねぇ」

「なんで、あんたは透明のまま勝負挑んでのよ……」

「さすがだな」

「今のはエルザか……どこだよ」

 

 口々に話されては困る。ソウも魔力はあるのは分かるが居場所がはっきりと分かるわけではない。

 

「ここだ!」

「分かるか!」

「何故ウェンディの場所は分かるのだ!」

「手を乗せているからなぁ!」

 

 右手は手をウェンディの頭の上に乗せているまま。ただ浮いて見える。

 というよりいつまでこのやり取りを続けないといけないのだ。

 

「いつまでやってるつもりなんだ?」

「だから解けないのよ!」

 

 何故かシャルルに怒られてしまった。どこにいるのかは分からない。

 

「だからソウに解いて欲しいのよ」

 

 唯一見えるルーシィが頼み込んできた。

 頼まれずともそのつもりだったソウは早速魔法の準備に入る。

 

「ちょっと衝撃来るけど……まあ……耐えてくれ」

「「「「「「え!」」」」」

 

 皆が驚いたような気がした。見えないので分からない。

 

 ───『波動式十二番』精の衝波

 

 特定の魔法を強制解除させる効果があるのだが、皆にはただ雰囲気がほんの少し変化したように感じただろう。

 

「あ、戻った!」

「もう懲り懲りだわ…」

 

 ウェンディとシャルルの姿がようやく目視で確認できた。

 

「ふぅ……疲れた」

 

 額の汗を拭ったソウ。この魔法は結構魔力を消費するのであまり使いたくない。

 ────が、まだ問題は残っていた。

 

「おい!まだ見えないぞ!」

「………まだ透明なのか」

 

 ウェンディとシャルルだけの魔法が解けたようで他の皆はまだ見えないのだ。

 

「そういえば、これ、一回で出来る数が限られているんだった」

「そうなの?」

 

 今度はミラの声。けど、どこにいるんだよ。それと何回思えばいいんだよ。

 あくまで、推測だがウェンディとシャルルが先に解けたのは近くにいたからだろう。

 

「それに結構疲れるからあまり使いたくない」

「それだと仕事する時に困る!」

 

 いや、仕事以外でも困るだろうと思ったソウ。

 エルザとしては仕事に困るからなのか。

 

「また今度ということで」

「「「「駄目!今、やれーーー!」」」」

「………ちっ」

「「「「「舌打ちするなーー!」」」」」

 

 結局、全員の姿を元に戻すまで魔力を消費させられたソウだった。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

「はぁ………はぁ………マスターはいるか………」

 

 全員の姿が見えるようにするまで魔力を大量に消費してしまった。とんだ災難だった。

 息切れしているソウだがとっとと本題に入りたかった。

 

「マスターなら二階にいると思うわ」

「サンキュー、ミラ……疲れた」

 

 ふらふらになりながらもソウは二階へと登っていった。

 

「あーー!忘れていた!ソウに言わないと!」

「まあまあルーシィ。ソウ君も忙しいのよ」

「そうだけど………」

 

 ウェンディを置いてけぼりにした件については後回しにすることにしたルーシィ。

 ギルドの二階へはS級魔導士じゃないと上がれないので、今のルーシィに彼を追いかけることは出来なかったのだ。

 

「マスター、ちょっと良いですか?」

「ソウか、どうかしたかのう?」

 

 二階にミラの情報通りにいたマスターは呑気にテーブルの上でティータイムをしていた。

 一階で起きていた騒動は気づいていたのだろうか。めんどくさいから無視した確率の方が高い。

 

「七月の間、フェアリーテイルを抜けさしてください」

「おう、好きにせい───って今、何と言ったのじゃ!?」

 

 盛大にぶぅーーっと飲み物をぶちかましたマスター。

 それをひらりとかわしたソウは話を続ける。

 

「だから抜けさしてくれって」

「どうしてじゃ!?お主ほどがフェアリーテイルを抜けるなど!?」

「七月の間だけです」

「何か事情があるのか?」

「はい、俺自身の目的を果たしにいくためですので」

「なるほど………仕方ない……よかろう…」

 

 それ以上追及してこなかったマスター。

 それで良かったのだ。それ以上聞かれると誤魔化す羽目になるので心が痛くなる。

 一階へと降りたソウを待ち構えていたのは女性陣。

 ああ………やっぱりこうなる目に会うのだな。

 

「ソウ、ちょっといいかしら?」

 

 ルーシィの笑顔が怖い。

 

「お手柔らかに………………」

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん………大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫………多分」

 

 テーブルにへばっているソウを見て心配そうに声をかけるウェンディ。

 ソウは手を挙げているか、疲れていそうである。

 

「俺………また………出掛けるから………」

「え………またなの………」

「悪い………約束してんだ………」

「私も付いていっちゃ駄目なの?」

 

 上目遣いで見てくるウェンディにソウは自尊心が傷つけられてくるが、今回はどうしても駄目だ。連れていくわけにはいかない。

 ソウは迷いながらも言った。

 

「駄目だ。ウェンディを連れていけないんだ」

「なんで?」

 

 そう聞かれてしまうと答えづらい。

 

「危ないんだ………多分」

「私だって前とは違って強くなってるの!もう一人でも大丈夫だからお兄ちゃんに迷惑かけない!」

「ウェンディ、ソウが駄目って言ってるんだからそれほどにしておきなさい」

 

 シャルルが止めに入ってくれた。

 事情を知っているシャルルだからこそ止めに入ってきてくれたのには正直ありがたかった。

 ウェンディは渋々納得したようで諦めてくれた。

 

「いつ出掛けるの?」

「後、数時間休んだら行くつもりだ」

「そうなんだ………」

 

 寂しそうな表情をするウェンディ。ソウは密かに心を痛める。

 

「それまで遊びにいくか!」

「え!本当!?」

 

 嬉しそうな表情をするウェンディ。

 これで少しでも寂しい想いはせずにする必要はないと思う。

 そもそもナツ達がいるから心配する必要はないか。

 

 その後は二人でマグノリアの町に遊びに出た二人であった。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 再びジュン達のところへとレモンと一緒に戻ったソウ。

 

「ソウ、どうだった?」

「大魔闘演武のときだけ許可はもらった」

「僕達が出るってことは?」

「いや、まだ大魔闘演武の存在すら知らないから話してない」

「それだと意味がないんじゃないの?」

「まあ、大丈夫だろ」

「適当だねー」

 

 マスターにそのことを言わなかったとは思っているがしょうがないことだろと思う。

 

「さて、ソウの特訓でも始めるぞい」

「はあ?俺の?」

「7年の空白があるからね」

「ああ~、そういうこと」

 

 その後、開始したのだが特訓って言ってもジュン達と軽く試合をする程度だった。

 そしてジュン達は驚愕することになる。

 ほとんどソウは今のジュン達の実力となんら変わりがなかったのだ。

 これには特にジュンとアールが衝撃を受けた。

 ───と同時に悲しくなった。今までの特訓は何だったんだろうと。

 そもそもソウはフェアリーテイルの中でも上位ランカーに入るほどの実力者。

 二人がソウと実力が同じという時点で強さが異常だということは気づいていない。

 この後も特訓は続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 ───時は過ぎて既に3日が経過していた。場所は師匠が作ったという謎の空間。

 今日はいつもとは違うことをするらしい。

 

「今日はお主達の奥義を存分に見せてもらうぞい」

 

 どうやら滅竜奥義を拝見してみたいらしい。

 することになったのはソウとジュン。

 アールとルーズは師匠の弟子なので既に知っている。

 サンディーはまだ覚えていない。

 まず初めにソウからすることになった。

 ソウは周りから距離をとり、意識を集中させる。

 久しぶりに使うので出来るかどうか怪しかったが特に問題なく出来る気がした。

 

 ───『滅竜奥義・波動竜化』

 

 ソウの周りを波動のエネルギーが纏う。体一体が青色のオーラに包まれたソウ。

 そして、オーラからまるで巨大な手のような豪腕が伸びてきた。

 ───その数は5本。

 豪腕は一点に集中するかのように集まり手のひらを同じ一点に向けて集めている。

 それはやがて波動弾と似たものが形成された。

 ソウはそれを放つ。

 誰もいない方向に放たれた波動弾は巨大なエネルギーの砲撃に変化すると轟音をたてた。

 その光景はまるで巨大なレーザー。

 

「ふぅ………」

 

 ソウは魔法を解くと軽く息を吐いた。

 

「おお、すげぇ」

「はいはい、次はジュンの番だ」

「OK、まかせとけ」

 

 ジュンは離れたところに立つと、魔力を集中さした。

「『地動の与路武者』!」

 

 ジュンの周りに大量の大岩が出現する。そして、それはやがて大きな鎧兜を被った武者のようなものに変貌する。

 武者の中にはジュンがいる。

武者は刀を軽く一振りした。

 その瞬間、たったのそれだけで一瞬で遠くまで斬った後のような斬撃が走った。

 刀を振っただけであれほどの威力が出せるとは流石だなとソウは思った。

 同時に仲間であるジュンに逞しさを覚えた。

魔法を解除したのか武者は大きな音を立てて崩れていった。

 そこから砂埃を払いながら出てきたジュンは笑みを浮かべた。

 余裕な態度から察するに、あれでもまだ本気ではないようだ。

 

「うむ、二人ともなかなかだのう」

「おう。ソウには負けねぇ」

「はは、こっちこそ負けてたまるか」

 

 師匠は頷いている。

 軽口を叩きながら、ソウとジュンはハイタッチをした。

 アール、ルーズ、サンディーはただ横から笑顔で見ていた。

 

「これで特訓は終わりじゃ」

「じゃあそろそろ俺はフェアリーテイルに戻ることにするわ」

「今度会うのは大魔闘演武直前になるのか?」

「まあな、それまでに少しでも強くなっておけよ」

「うん、ソウには負けないよ」

 

 そんな約束をかわした3人。

 トライデントドラゴンはこれから正規ギルドに認めてもらうために評議院のところに行くらしい。

 師匠がいればどうにかなるとのこと。

 師匠の顔が広いことはもう別に驚きはしない。予想通りと言ったところか。

 

「んじゃ、行くか」

「行こー行こー」

「ソウ、またねーバイバイ~」

「……また…」

 

 サンディーの元気な、ルーズの簡素な見送りに送られながらもソウとレモンはフェアリーテイルの方へと飛んでいくのだった。

 またあいつらが問題を起こしていそうだが………。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 そして、ソウとレモンはマグノリア近くの森の中にいた。

 ここを過ぎればあとはマグノリアの町があるはずだ。

「ん、誰か来るな」

 

 波動によって近くに誰かがいることに気付いたソウ。

 どうやら6人。

 闇ギルドのやつらだった場合はボコボコにしてやらないといけないのでソウの警戒レベルが上がる。

 そして、幹と幹の間からそいつらが出てきた。

 髭を生やした男。

 鎧に包まれた青年。

 派手な髪の色をした男性。

 黒髪に真ん中が白髪の少女。

 そして引っ込み思案そうな少女。

 最後に驚いたことにエクシード。どこかの縦長い帽子に眼鏡をかけておりいかにも賢そうな雰囲気を放っている。

 

「む、君は何者なのかな?」

 

 エクシードは眼鏡を上げながら言った。

 

「俺はソウ」

「私はレモンだよー」

 

 取り敢えずソウは自己紹介をしてみた。

 頭にいるレモンもそれに続く。

 すると目の前の一行は何故か驚いたような表情になった。

 どうやら、ソウのことは知っているらしい。

 

「あなたはもしや……波動竜の?」

「へぇー、よく知ってるな」

 

 一番前に立っている元気なひげのおじさんが意外にもソウのことを知っていた。それも竜についてだ。

 ソウは感嘆の声を上げる。

 

「ええ………先程まで私たちはフェアリーテイルにお邪魔になっていましたから」

「フェアリーテイルにか?」

 

 なるほど。だから自分のことも知っていたのかと納得する。ナツあたりからソウのことを聞いたのだろう。

 

「お主がフェアリーテイル最強の魔導士ぜよ?」

 

 独特の話し方をしたのは左隣にいる鎧の青年だった。

 自分が最強かどうかは分からない。ラクサスやギルダーツがいるからだ。

 

「その前にお前達は誰だ?」

「おお、これは失礼しました。私たちは『レギオン隊』。そして私が隊長のバイロと申します」

「レギオン隊?」

「スパイシー!ゼントピアの裏の組織だったんだぜ!」

「あっ……そう」

「ん~、そして俺がシュガーボーイだぜ~~」

「ソウ、私この人のテンションについていけない……」

 

 ソウだけに聞こえるように呟くレモン。

 確かにこのシュガーボーイって人のテンションはどこかずれている。

 シュガーボーイってどこかで聞いたことがあるような気がしてソウの脳裏に引っ掛かる。

 

「次、わしがダンぜよ」

 

 鎧の青年はダンと言うらしい。というより土佐弁で話すのが癖みたいだ。

 

「ウチがマリーヒューズって言うじゃん」

 

 黒髪の少女はマリーヒューズ。

 これもどこかで聞いたことがあるような気がしてどうも気になる。

 

「僕がサミュエル」

「私と同じエクシードなの?」

「そういうことになるね」

 

 キリッと眼鏡を上げるサミュエル。

 水色のエクシードは初めて見たソウ。

 

「最後に私ですね。私はココです」

「ココ………」

 

 やっぱりどこかで聞いたことがある名前。

 けれど一体どこで聞いたのか、思い出せない。

 

「お前達とは会ったことはないよな」

「はい。ただ、フェアリーテイルの人達も私達と似たような人とは会ったようで初めは勘違いされていました」

「ホント、あん時はよく分からなかったじゃん」

「ん~、確かエドラスとか言ってたよ」

 

 “エドラス”。

 思い出した。確か、シュガーボーイ、マリーヒューズそしてココ。

 この3人はエドラスで幹部を務めていたやつらの名前だった。

 だが、なぜここにいる……いや違う。

 こいつらはこっちの世界のココ達ということになるのか。

 それはあいつらも勘違いするだろう。

 ココに至ってはエドラスのとほとんど容姿が似すぎなのだ。

 そんな計5人と1匹で構成されたのがレギオン隊というわけになる。

 ゼントピアの裏の組織だったと言っていたがゼントピアとは確か今、話題の協会だったはずだ。

 帰ってくる途中に小耳に挟んでいたソウは推測する。

 

「そのレギオン隊がどうしてフェアリーテイルなんかに?」

「フェアリーテイルには色々と世話になったのでそのお詫びにと」

「あいつらの世話に………考えにくいわ」

「あはは、よく言えてるじゃん」

「世話になったってことはボコボコにでもされたのか?」

「そうぜよ、まったく敵わなかったぜよ」

「へぇ~、俺のことはどうして知っているのかな?」

「フェアリーテイルの皆さんがソウさんのことを自分より強いって仰ってましたから」

「ええ、あのギルダーツとも同等だとか」

「確かにそうだが、バイロだったか?お前もギルダーツと勝負したのか?」

「はい、世界にはあんな強敵がいる痛感しました」

「なるほど、ギルダーツは強いからな」

「今度ワシとお手合わせするぜよ」

「いいが………そっちは大丈夫か?」

 

 にやりと笑みを浮かべたソウ。その笑顔にレギオン隊は一種の恐怖を感じたような気がした。

 優しい雰囲気を放つ少年から放たれたとは思えない威圧感。

 流石、フェアリーテイル最強候補の一人のことだけはあると自覚させられる。

 

「俺は帰る途中だが、レギオン隊は何してるんだ?」

「私たちはこれから無限時計の部品集めの旅に出るのです」

 

 無限時計が何かはよく分からないが後でミラかルーシィあたりに聞いておけば分かることなので後回し。

 

「そうか。部品集め、頑張れよ。俺はこんぐらいで失礼するわ」

 

 「じゃあ!」と手を振りながら去っていくソウ。その後ろ姿を眺めるレギオン隊。

 どうやらソウの予感は的中しており、フェアリーテイルの奴等は一騒動起こしていたみたいだ。

 さっきレギオン隊とは別れたみたいだったので今頃ギルド内は宴やらで騒がしくなっていることだろう。

 ───だったら自分も早めに戻って楽しみますか。

 そんな結論に至ったソウはレモンに一声かける。

 

「レモン、急ぐぞ」

「りょうか~い」

 

 次の瞬間、ソウは思いっきりジャンプした。普通の人には飛べない高さまで舞い上がる。

 魔法によって補強してあるのだ。

 空中から大体の距離を把握して着地。そしてまた跳躍。それを繰り返している内にあっという間にギルドの前へと到達。

 中からはやはり騒がしい騒音が轟いている。

 

「ただいま~」

「やっほ~」

『ソウ、レモン!帰ってきたのか!』

「お兄ちゃん!お帰りなさい!」

「あぁただいま、ウェンディ」

 

 この光景が見れるのも大魔闘演武が始まるまでなんだろうか。そうではないことを祈るがそれでも今を楽しむことにしたソウ。

 これが平和かどうかは分からないが今日もギルドは平和だ。

 

 

続く───────────────────────────

 

 

 




話の都合上、星空の鍵編は飛ばしていただきますのでご了承ください。

オリジナルの敵キャラってあり?(無しの場合だと、原作に出てきた敵キャラのいずれかを主人公が奪い倒す形となる予定)

  • あり
  • なし
  • ありよりのなし
  • なしよりのあり
  • どっちでも

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