FAIRY TAIL 波地空の竜   作:ソウソウ

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少し急ぎ目で行きたいんですけど………まぁ、のんびり行きましょう

───では、スタート!!


第i話 すれ違う時間

 さて、開幕まで残り5日を切った大魔闘演武。

 ソウが動くのはその二日前ぐらいからで良いので実質あと残りは三日なので、新たに思い付いた魔法でも試してみようかなと考えていた。

 そんなソウとは違い呑気なことは考えられない皆は砂浜に座り込み、絶望に浸っていた。

「なんということだ………」

 

「大事な修行期間が………」

 

「精霊界でたった一日過ごしただけで………」

 

「3ヶ月があっという間に過ぎちまった………」

 

「どうしよう………」

 

 もはや、希望は全て消滅したかのような暗い雰囲気を漂わせている。修行しようにも時間がない。

 

「姫!提案があります!もっと私にきつめのお仕置きを!」

 

 バルゴは正座させられて、それでなおその上にレンガが積み重ねられて手を木に縛り付けられているのに、まだそれを言うのかと思った。

 

「………帰れば」

 

 これはルーシィがしたわけではない。自分で勝手にこうしているわけで、精霊界に今すぐにでもバルゴは帰れるはずなのだ。

 

「なんでお兄ちゃんはあんなにマイペースなのでしょうか………?」

 

 ウェンディの視線の先にはソウが砂の上に立ち、海を呑気に眺めていた様子が映っていた。

 

「そういえば、ソウっていつもトレーニングしてたのよね………」

 

 だから、あんなに気にすることなくしているのだろうか。

 すると、ソウは「お!…これいいかも」と言いながら新たな魔法を発動させようとしていた。

 気楽なものである。

「いいなぁ…………」

 

 ルーシィは呟いた。

 

「大魔闘演武まで後、5日しかねぇのに」

 

「全然魔力が上がってねぇじゃねぇか」

 

 事情を知らないジェットとドロイにそう言われてしまい何とも言えないナツ達。

 離れているソウは海に向かって体勢を構えていた。

「今回は他の皆に期待するしか無さそうだね」

 

 レビィの言う通りだった。

 ジュビアはその場で重いため息を吐いた。

 ソウは魔法の準備をしていた。

 

「またリリーと力の差が開いちゃうよ………」

 

「あんた、それ気にしてたの!?」

 

 ハッピーの呟きにシャルルとウェンディが驚いた。

 まさか、ハッピーがそんなことを気にしていたなんて思ってもいなかった。

 ソウの両手の中に波動が形成されていく。

 

「今からでも遅くない!今から5日間地獄の特訓だ!お前ら覚悟を決めろぉ!寝る暇はないぞ!」

 

 片手を上げて、闘志を燃え上がらせるエルザ。

 隣のルーシィが震え上がる。

 ソウの波動の膨張が止まった。

 

「エルザの闘志に火が付いちまった……」

 

「いいじゃねぇか!地獄の特訓、燃えてきたー!」

 

「よし、私に続け!まずはランニングだ!」

 

 早速始めようとしたエルザだった。

 が、空から羽根が舞ってきて何かがエルザの頭上に止まった。

 

「はと?」

 

「足に何かついてんぞ?」

 

「メモだ」

 

 どうやら、伝書鳩のようだった。

 ナツは鳩の足に付けられていたメモに目を通した。

 ソウの波動が今度は徐々に小さく凝縮されていく。

 

「どらどら……」

 

「まさか!グレイ様からの恋文!」

 

「んなわけ、ねぇだろ!」

 

「何々、“フェアリーテイルへ。西の丘にある壊れた吊り橋まで来い”」

 

 ジュビアが変なことを言っているのを他所にハッピーがメモの内容を読み上げた。

 

「なんだよ、えらそうに!」

 

「ああ、来いって命令口調なのが気に食わねぇな」

 

 問題はそこなのだろうか。

 壊れた吊り橋まで行くのはいいが、悩める所だった。

 ソウは凝縮した球を体の前に浮かした。

 

「どうしますか?」

 

「なんか、怪しいわよ」

 

「いや、行ってみよう」

 

「でも、罠かも………」

 

 エルザは行こうと言ったがレビィがそれに反論した。

レビィの言うことも一理ある。

 誰もがまずはそう考えるのが普通だと言ったところだろう。

 ソウは自身の拳を後ろにゆっくり引いた。

 

「そうよ、止めといた方がいいって」

 

「行けば分かる!」

 

「あぁ!面白くなってきた!」

 

 レビィの意見に賛同したルーシィ。

 エルザは頑固にそれを拒否した。

 ということで、ウェンディがある提案をした。

 

「取り合えずお兄ちゃんにも聞いてみましょう?」

 

 皆の目線がソウに注目するのとソウが小さな球に向かって拳を放ったのはほぼ同時だった。

 次の瞬間、果てしない威力の衝撃波が海面を一瞬で通った。

 通った後の水面は抉れるようになっておりしばらくすると元に戻った。

 

「だめだ、これ。時間がかかる。手も痛いし」

 

 魔法を放つと同時にこちらにまで揺れが届いたような気がしたナツ達。

 ソウの魔法の威力は前より上がっているのではないかと改めて感じていた。

 ふぅーと深呼吸をついたソウはナツ達の方に振り返るとこう言った。

 

「俺も行ってみたらいいと思うぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということで、早速ソウ達は指定されていた壊れた吊り橋の所へと来ていた。

 が、着いたのに辺りには何もなくただ壊れて渡れない吊り橋が崖にぶら下がっているだけだ。

 向こう岸までは崖を飛び越えないといけないのだが、普通の人には到底不可能な距離だった。ソウの場合は衝撃の反動を使って飛び越えることは可能だが。

 

「壊れた吊り橋とはこれのことか?」

 

 何故、わざわざこんな所に呼び出したのか意図が読めない。

 エルザの言葉にナツは拳をがっつり合わした。

 

「っちぇ、誰もいねえじゃねえか」

 

「なんで、喧嘩腰なんですか………」

 

「イタズラかよ」

 

 ナツは戦闘をすることしか頭に無いようで戦闘準備が既に万端であった。

 ウェンディは恐る恐る言った。

 グレイは悔しそうに表情を歪めた。

 が、ソウは直感的にイタズラではないと感じていた。

 

「だから、止めとこって言ったじゃない」

 

「取り敢えず向こうに行ってみますか」

 

「あんたはあんたで何言ってるよ………」

 

 ルーシィに呆れた目線を送られたソウだったが、特に気にしていないようだった。

 ルーシィが呆れるのも分かる。

 崖に落ちるのはまだしも下には激流が走っているのであんな所に巻き込まれたりしたら大惨事である。

 

「んじゃ、ちょっくらと」

 

 片膝をついて飛び上がる姿勢に入ったソウ。

 その時、エルザは何かに気づいたのかソウを制した。

 

「ソウ、ちょっとまて」

 

 ソウは何も言わずに立ち上がった。

 ソウもエルザに言われずとも気付いていたのだ。気配が微妙に変わった。

 すると、突如橋に異変が起きた。

 だんだんと吊り橋が形成されていき、やがてそれは完全に新しく出来上がったような吊り橋になったのだ。

 まるで巻き戻しを見ているかのように。

 

「これは………」

 

「橋が………」

 

「直った!」

 

「この魔法………」

 

 今の魔法を見たことがあったと記憶を探るソウ。

 確かこれはあいつの魔法だったのではないかと。だが、そいつは今どこにいるのかは分からないがこれをした犯人がそいつだとは有り得ない。

 いや、7年経っているのでその考えは少し甘いかと一切合切切り捨てたソウ。

 そいつの仕業だとここに呼んだ理由もある程度理解できる。わざわざ壊れた吊り橋の所に呼んだ理由が。

 ソウの推測が正しければ今の魔法を見せつけさせたかったのだろう。

 

「向こう岸に繋がったぞ」

 

 グレイがそう言った。

 エルザは意図を汲んだのか頷いた。

「渡ってこいと言うことか」

 

「やっぱり罠かもしれないよ」

 

 レビィはまだ不安を拭いきれていなかったようだ。

 いや、皆もそうだったようで今のレビィの一言は皆の代弁をしたかのようだった。

 例外はナツとソウ。

 

「なんか怖いです………」

 

「誰だか知らねえがいってやろうじゃねーか」

 

「じゃあ、ナツからね」

 

「よっしゃ!いけー!」

 

 グレイがナツの背中を思いっきり押した。

 そのせいでナツは吊り橋の上に体勢を崩しながら行く羽目になった。

 どうにかバランスを保ちながらナツは吊り橋の上に立った。

 それをソウはナツを可哀想だと思いながら見ていた。

 吊り橋が安全かどうかナツで試しているのだ。

 

「急に押すんじゃねえ!びっくりするだろうがぁ!」

 

 ロープを掴みながら文句を垂らしてきたナツ。

 というより自分が実験材料にされているという事実は気づいているのか微妙なところだった。

 するとナツの様子がおかしくなった。

 口に手を当てて押さえていた。吊り橋にどうやら酔ったらしい。

 

「あいつ、吊り橋でも酔うのか」

 

 思わぬ収穫が入ったとグレイは思った。

 このことが他に使えるかどうか分からないが知っておいて損は無いだろう。

 何を思ったのかウェンディがソウの方を向いた。

 

「お兄ちゃんも酔うの?」

 

「いや、酔わないけど」

 

 ソウの場合は逆にその揺れも吸収しているので酔うことはない。

 一回吸収するのを止めてみたら、その時は酔ってしまったのでそれ以降は常にそうしている。

 それを聞いて一安心するかのように前を向いたウェンディ。

 ナツと同じ滅竜魔導士のソウもそうだったら天竜の私も酔ってしまうのかなとでも疑問に思ったのだろう。

 

「吊り橋野郎、なめんなよ!うぉぉぉぉおお!!」

 

 無理矢理ナツは橋の上を走っていく。

 そのせいで大きく吊り橋が揺れている。

 ナツは思いっきりジャンプをして向こう岸に着地した。

 どうだと言わんばかりにナツはこちらの方に顔を向けた。

 

「この橋…誰かが渡ると絶っ対落ちると思ってたけど…」

 

「大丈夫でしたね」

 

 こんなことを言うルーシィとウェンディはソウからしてみれば小悪魔に見えた。

 

「俺は囮かぁーーー!!」

 

「ナツのお陰で安全が確認された。皆、行くぞ」

 

 冷静なエルザの一言で皆も渡ろうとするが、ソウの番になるとルーシィに止められた。

 

「ソウは最後に来てね」

 

「え………」

 

「だって、吊り橋を魔法で揺らされたら怖いんだもん」

 

「お兄ちゃん、そんなことするの………」

 

「しないから!!」

 

 変な疑いを妹にかけられて兄は無情に叫ぶのだった。

 結果、ソウは渋々最後に渡った。

 壊してやろうかと頭をよぎったが結局止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 橋を渡った後はどんどん奥に進んでいくのだが、何もない。

 ただ、木々が広がっているだけだった。

 一行は森のなかを進んでいく。

「来るなら来やがれ」

 

「あぁ、強い相手なら特訓になる」

 

「お前…特訓のことしか頭にないのか…」

 

 グレイの冷静な突っ込みが入る。

 それほどナツは必死なんだろうということが伺えた。

 すると、エルザが急に立ち止まり後ろに止まるように合図を出した。

 前方には謎の人影が見られた。

 

「誰かいる!」

 

「皆さん、気を付けてください!」

 

 ジュビアの忠告に皆の気が引き締まる。

 するとフードを被って正体が分からないが徐々にこちらに歩み寄ってきた。

 それも3人。

 さらにソウはその内の二人には見覚えがあった。

 

「あいつら………」

 

 ナツを筆頭に皆が驚いていく。

 どうやらソウの分からない3人目の人物も知っているらしい。

 

「来てくれて………ありがとう………フェアリーテイル」

 

 3人は同時にフードを取った。

 エルザの目が大きく見開いた。何故ならそこにいたのは有り得ない人物だったからだ。

 青髪をしており、顔にタトゥーが入っている端麗な青年。

 ソウの知らない3人目だったが、顔を見た瞬間ソウでも正体が分かった。

 

「………ジェラール」

 

 エルザは男の名───ジェラールと呟く。

「変わってないな、エルザ。もう俺が脱獄した話は聞いているか?」

 

 「あぁ……」と歯切れの悪い返事をしたエルザ。どこか、上の空である。

 ジェラールの表情が暗くなる。

 

「そんなつもりはなかったんだけどな………」

 

 実際にそうであったのだろう。

 すると後ろにいた一人の女性───ウルティアが弁護した。

 ウルティアは確か、元悪魔の心臓(グリモア・ハート)の幹部の一人であったはず。

 天狼島でフェアリーテイルとは派手に対戦している。その時に悪魔の心臓はフェアリーテイルに負けてほとんど壊滅したと思われた。

 

「私とメルディで牢を破ったの」

 

 最後の一人がウルティアと同じ幹部のメルディと言う少女。

 七年前とは随分雰囲気が変わったように見られた。今では愛想の良い可愛らしい印象がある。

 

「私は何もやっていない。ほとんどウルティア一人でやったんじゃない」

 

 笑顔を浮かべながらメルディは言った。

 それに一番驚いていたのは天狼島で対戦したジュビアだった。

 今では笑顔を平気で浮かべているが会った当初は誰にも寄せ付けないオーラを漂わしていたのだ。

 

「メルディ………」

 

「ん……あ!ジュビア!久しぶりぃ!!」

 

 ジュビアに向かって手を振るメルディ。昔では想像出来なかった変貌ぶりだ。

 

「ジェラールが脱獄………!」

 

「こいつらグリモアの………!」

 

「まあ、待て。今は敵じゃない。そうだろ?」

 

 ルーシィとナツを制したグレイの視線の先にはウルティアがいた。

 ウルティアは小さく頷いた。

 

「えぇ、私の人生の中で犯してきた罪の数はとてもじゃないけど一生では償いけれない。だから、せめて私が人生を狂わせてしまった人々を救いたい。そう思ったの」

 

「人生を狂わせてしまった人々………」

 

 呟いたウェンディの視線はジェラールに向けられていた。

 ウルティアの行ったことはまずジェラールを救うことから始めたのだろうか。

 

「例えばジェラール」

 

「いいんだ。俺もお前も闇に取り付かれてた。過去の話だ」

 

「ジェラール…お前記憶が…」

 

 ウェンディと再開をしたあの時に聞かされた話のなかに記憶を失ったジェラールも出てきていた。

 その時に評議院に連れていかれて牢に入ったのだともエルザから聞いた。

 

「あぁ………はっきりしている。何もかもな」

 

 迷いもなくエルザに言ったその一言には何かが込められているような感じがソウはした。

 

「6年前。まだ牢に居るときに記憶が戻った。エルザ………本当になんと言えばいいのか………」

 

「楽園の塔でのことは私に責任がある。ジェラールは私が操っていたの」

 

 ウルティアはジェラールを庇うように言った。

 楽園の搭という所で何があったのか、ソウには詳しい事情は知らない。だが、それでもとても内容が重いことだけは分かる。

 

「だから、あまり責めないであげて……」

 

 最後にそう付け足した。

 それはウルティアの一番の望みだったのだろう。

 

「俺は牢で一生を終えるか、死刑。それを受け入れていたんだ。ウルティア達が俺を脱獄させるまではな………」

 

 その言い方だと今では考えが変わっているという風に受けとることも出来る。

 

「それって何か生きる目的が出来たってことですか?」

 

 ウェンディが素朴な疑問を尋ねた。

 ジェラールはウェンディの方を見た。

 

「ウェンディ………そういえば、君の知っているジェラールと俺はどうやら別人のようだ」

 

「あ!はい、それについてはもう解決しました」

 

 ジェラールがウェンディとの出会いのことを思い出せないのも当たり前だ。

 そもそもそんなことは無いのだから。

 ウェンディと会ったのはジェラールと言ってもこっちの世界ではなくエドラスの方のジェラールだったからだ。

 こちらの世界でいう、ミストガンのことだ。

 今ではエドラスの世界で国王を務めているだろう。

 

「それにお兄ちゃんとも会えましたし」

 

 そう言うとウェンディはソウの腕へと抱きついた。

 ソウはウェンディの頭を撫でた。

 

「君が………ウェンディの探していたもう一人の………」

 

「初めましてかな。俺はフェアリーテイルS級魔導士であり、また波動竜の滅竜魔導でもあるソウって言うんだ。よろしく」

 

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

 ソウとジェラールはがっちり握手を交わした。

 

「ウェンディのことは………」

 

「分かってる」

 

 ソウだけに聞こえるように呟いたジェラール。

 まさか、両方のジェラールからウェンディを任せるように言われるとは思ってもいなかったことだった。

 

「で、ジェラールは生きる目的を見つけたのか?」

 

「生きる目的………そんな高尚なものではない」

 

「私たちはギルドを作ったの」

 

 ウルティアのその一言により、またナツ達に驚愕が走る。

 ソウは密かにトライのことを思い出していた。

 

「正規でもない、闇業界でもない、独立ギルド。『魔女の罪(クリムソルシュエール)』」

 

「独立ギルド?」

 

「どういうこと?」

 

「連盟に加入していないってこと?」

 

 レビィ、ハッピーを筆頭にあまり意味が伝わらなかったようだ。

 シャルルにはある程度伝わったようだった。

 

「クリムソルシュエール。聞いたことあるぞぉ」

 

「ここ数年で闇ギルドの数々を壊滅させているとか」

 

 ジェットの言うことはソウも噂程度に聞いていた。

 ただし、それがジェラール達だとは思いもしなかったが。

 

「私達の目的はただ一つ」

 

「ゼレフ………」

 

 ジェラールの一言にエルザ達は驚愕する。まさか、世界災厄の魔導士が目的だとは考えられなかった。

 

「闇ギルド………この世の暗黒を全て祓うために結成されたギルドだ。二度と俺たちのような闇に取り付かれた魔導士を産まないように」

 

「それって凄いことよね」

 

「評議会で正規ギルドとして認めてもらえればいいのに」

 

 それぞれな反応を見せたナツ達。

 グレイの言うことも一理あるが、出来ない。何故なら───

 

「脱獄犯だぞ」

 

「私達、元グリモアハートだし」

 

「それに正規ギルドでは表向きには闇ギルド相手とはいえ、ギルド間抗争禁止条例がある。俺たちのギルドの形はこれでいいんだ」

 

 ギルドの間での争いを出来る限り押さえるために出来た条例。

 ジェラールの言うとおり、正規ギルドでない方が動きやすいのだろう。

 というか、ソウは大体闇ギルドを壊滅状態に一人で追い込んでいるのだが大丈夫なのだろうかという心配になっていた。

 そんなことを心配しているのはソウぐらいだった。

 

「んで、あなたたちを呼んだのは別に自己紹介の為じゃないのよ。大魔闘演武に参加するのよね」

 

 聞かれたくないことを聞かれてしまい、ナツは「お、おう………」となんとも歯切れの悪い返事をした。

 

「会場に私達は近づけない。だからあなたたちに一つ頼みたいことがあるの」

 

「誰かのサインが欲しいとか」

 

「それは遠慮しとくわ………!」

 

 ナツは真剣な表情だったので本気でそのつもりで言ったのだろう。

 代わりにジェラールが告げた。

 

「毎年開催中に妙な魔力を感じるんだ。その正体を突き止めて欲しい」

 

 なんとも変な頼みだなぁとソウは思った。

 皆は固唾を飲んだ。

 

 

 

続く──────────────────────────────

 




コメントお待ちしてます!!\(^-^)/

オリジナルの敵キャラってあり?(無しの場合だと、原作に出てきた敵キャラのいずれかを主人公が奪い倒す形となる予定)

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  • どっちでも

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