ソウ達は一体どんな活躍を魅せるのか、どん!と期待しておいてください!!
それとここでの小さな裏設定も後書きに記しておくので、見ていただければと思います。
───ついに!今年もやって来た!!
本選会場。
色んな色の風船が宙を舞い、鮮やかな花火が空を綺麗に飾る。
満席となった観客席は既に大いに盛り上がっていた。誰もが雄叫びを上げて、今か今かと期待感に満ち溢れている。
『さあ!今年もついにやって来ました!年に一度の魔法の祭典、大魔闘演武~!』
アナウンスが流れると、より一層会場は賑わう。それを聞いたジュンは呟く。
「騒がしいなぁ」
「魔導士だけじゃなくて、一般の人も観戦に来ているみたいだよ」
「ふーん」
「サンディーは興味なさそうね」
トライのメンバーは今、通路の所で待機していた。2番目に到着したことで出番はまだまだ先のようだった。
サンディーが気にしているのは今の服装だろうか。
同じタイプの服をレモンから「皆、これ着てー!」と笑顔で渡されたので着ている。どうも、チーム内での服装は同じにしておいた方がいいとのこと。
それは特に問題はない。サンディーが気にしているのは更に渡された物だった。
フード付きの黒いローブだった。
「なんで、フード付きなの?」
「そっちの方が格好いいじゃないか」
「まあ、会場に出てから顔を見せろってことだろう」
特に深い意味はなく、単なる遊び心のような気もするが………。気にしないことにした。
───また、突然、前触れもなく師匠が現れた。とん…と地面に足をつけた師匠はこちらを見据える。
「ソウ、アール、こっちに来てくれんか」
手で招く真似をした師匠。ソウとアールは首を傾げた。
師匠がこうして呼ぶことは珍しいからだ。
「お主らに大事な用件がある」
「こんな時になの、師匠?」
「こんな時だからじゃ。ソウよ、確かお主の妹はウェンディと言ったな」
「確かに合ってるが………それと何かあるのか?」
「そのウェンディと白猫───シャルルと言ったかのう。その二人が昨晩、何者かに襲われとる」
「「!!」」
驚愕の事実だった。
ソウは奥歯を噛み締めて、拳を握った。
「二人は無事なのか」
「魔力欠乏症になっておった。ワシが応急処置は施しておいたから、安静にしておればすぐに良くなるわい」
“魔力欠乏症”。
魔導士だけにある病気の一つ。
大量の魔力を一気に失うことで発病すると言われている。それにかかると、体中の筋力の低下が襲い、暫くの間は身動きがとれなくなる。
「誰が襲ったのかは分かるの?」
「ある程度は見当がついておる。が、お主らでもすぐに分かるわい」
アールは冷静に師匠に尋ねる。
ソウは拳により一層力を込めた。
その時、地面が揺れたような気がした。天井からは小さな瓦礫がパラリ…と落ちてきた。
ソウは今、憤怒の感情を心に秘めているのだ。
「ソウ、落ち着くのじゃ」
師匠の一言で、殺気が収まった。どうにか、制御出来た様子だった。
「やることが一つ増えたな」
ソウは会場の方へと視線を向けた。
ソウの起こした揺れはナツ達の所まで広がっていた。
「なんだぁ?地震かぁ?」
「いや、気のせいじゃないのか」
ナツが何かを感じ取った様子だったが、何事もないように次の行動に入っていた。
話が終わった2人はジュン達の所に戻った。
師匠はまた何処かへ消えた。トライの応援席にでも移動したのだろう。
「どうした、ソウ、様子がおかしいぞ」
「いや、平気だ。ジュンが気にすることじゃないからな」
バレないようになんとか誤魔化して、ソウは会場の方へと目線を向ける。
確か、もうそろそろ本選に出場するチームの入場する時間のはずだったが………。どうやら始まったようだ。
観客の雰囲気が静かになったのだ。見なくても分かる。
アナウンスをしているのはチャパティーって言う人と解説がヤジマさんらしい。そして、ゲストがブルーペガサスのジェニーって言う綺麗な女性とのこと。
ここまで聞こえた。
すると、ここまでアナウンスが響く。
『驚くことに今年は最後の席をかけて、二つのチームが同時にゴールという事態がありました。その為に、今年は急遽9チームでの決戦となってますのでご了承ください』
ルーズが顔をあげた。
「そんなこともあるのね」
「8位を決めるのがめんどくさかったんじゃない?」
アールのいう通りどっちも出てしまえと向こうが決めてしまったのかもしれない。
『まずは予選9位!過去の栄光を取り戻せるか!名前に反した荒くれ集団。フェアリーーーテイルーー!!』
やっぱり、ナツ達は予選を突破してきたみたいだ。けれど、9位ってギリギリではないか。順位を聞いたあいつらの表情が想像しやすい。
そして、次に来たのは、なんとブーイング。
7年経った今のフェアリーテイルの評判を分かりやすく表現していた。
因みにナツ、グレイ、エルザ、ルーシィ、エルフマンのチームだった。
「フェアリーテイルは不評だな」
「私は好きだけどね~」
「仕方ないじゃない、7年過ぎた今の現状よ。現実を見ないと」
「どんどん心に釘が刺さっていくのはなんでだろう………」
「ははは………」
特にルーズの厳しい一言のダメージが大きい。ナツ達には頑張ってもらわないといけないが、ソウも負ける気はなかった。
手紙にソウに勝てたら、目的を教えると書いているからだ。易々と引き下がれる訳がない。
次のチームのアナウンスが入る。
『さあ!続いては予選8位通過。地獄の猟犬軍団!クワトロケルベロス~!!』
「聞いたことないな」
ジュンが呟いた。ソウも心当たりがないギルドだった。新しく出来たのだろう。
すると、「ワイルド…フォー!」と会場から聞いたことがある掛け声が耳に入る。
「あ………私が吹き飛ばしたところじゃないかな?」
「あそこも通過できたのね」
スカイラビリンスでのサンディーが問答無用に天へと打ち上げたギルドも同じことを言っていた。………というより多分、本人達だと思うが。
『予選7位通過!女性だけのギルド。大海原の舞姫。マーメイドヒーール!』
「そんなギルドってあったかな?」
「新しく出来たんだろ」
「私のぴったりなギルド!」
「そういえば、あなた海竜だったわね…」
確かにサンディーには色々と合っているギルドだと思うが………。
「お前、そんなに胸ないだろ」
「っ~~~!関係ないもん!」
ジュンに言われて顔を赤らめて否定したサンディー。ジュンは笑っている。
『6位は漆黒に煌めく青き翼。ブルーペガサスーー!!』
「ここは………どうでもいいな」
何も言わずに一斉に皆が頷いた。
相手にされないとは可哀想である。
『続いて5位通過。愛と戦いの女神。聖なる破壊者!ラミアスケイル~~!』
「聖十大魔導のジュラさんが厄介だね」
「師匠と同じ称号を持つものか、楽しみだぜ」
ジュンはバシッ!と拳を合わせた。
『続いて予選4位。おーっと!これは意外!初出場のギルドが4位に入ってきた。真夜中遊撃隊!レイブンテイル~~!』
「レイブンテイル………」
マカロフの息子・イワンによって作られたギルド。
師匠はウェンディを襲った犯人はすぐに分かると言った。ソウは直感的にこいつらが犯人だと感じた。
「お前らか………」
「おい、ソウ………」
周りはソウを見つめる。ソウはすぐに元に戻るとこう言った。
ウェンディのことは今は後回しにした。
「もう、そろそろ出番だから移動するぞ」
フェアリーテイルの皆が驚くことは間違いがなかった。
◇
「イワン………!!」
闇ギルドのはずのレイブンテイルがどんな手を使ってここに来たのか、何の目的で来たのか。マカロフは怒っていた。
応援席にいるマカロフを他の皆が押さえつけるが興奮は収まりそうにもない。
そこに、アナウンスが響き渡る。
『さあ!!!!予選突破チームも残すは後、3つ!』
「そうか、後、3つも残ってたんだ」
「1つはセイバートゥースだろう。もう2つは………」
ハッピーに続くように言ったマカオだが、まったく想像がつかなかった。
「もう主力ギルドは出揃っているのよね」
リサーナの言う通りだった。
その疑問は会場にいるグレイも同じだった。
「まだ強ぇギルドが隠れていやがったかぁ……」
「ジェラールの言っていた魔力と関係があるかもしれん」
『予選3位通過。おぉーと!これもまた意外!落ちた羽の羽ばたく鍵となるのか!ままさかの…まさかの……フェアリーテイルBチームだぁーー』
現れたのは、ラクサス、ガジル、ジュビア、ミラ、そしているはずのないミストガンがいた。
これにはナツ達も驚くしかなかった。
ミストガンに変装していたのはなんと、ジェラールだった。
すると、アナウンスが今年からの新たなルール制度の説明を始めた。
それは同じギルドから二つのチームまでが参加出来るということ。ルーシィはチームの多さに疑問を抱いていたが、これで納得した。
すると、ナツが不満に思ったのか叫んだ。
「冗談じゃねぇぇーー!!例え同じギルドがだとしても勝負は全力。手加減無しだ!別チームとして出場したからには敵!負けねぇぞ、このヤロー!」
「望むところだ、予選8位のチームさん」
ガジルも負けじと言い返した。
フェアリーテイルの応援席でも盛り上がる。
「ガジルはだいぶ、力を付けてきたぞ」
「ナツだって負けないよ」
「それにしてもBチーム、強そうだよなぁ」
応援にきていたメイビスは目を細めながら言った。
「あの覆面のかた……ギルドの者ではありませんね」
「ごめんなさぁーーい!」
速攻で頭を地面にぶつけて謝るマカロフ。
なんともシュールな光景だ。
「だから止めとけって言っただろ」
「俺らは止めたんだぜ」
「しかし、悪ではありません。不思議とギルドの紋章を持つ者と同じ心を感じます」
「話せば長くなるんだけど、一応ギルドの者とも言えるんだよね」
「なるほど、あれがこの世界のジェラール。王子というわけか」
「強いのですか?」
「そりゃあ勿論、かつて聖十の称号を持っていた男です」
すると、メイビスの癖毛がピコンと反応した。強いという所に惹かれたのだろう。
「認めます!フェアリーテイルが優勝するために」
その瞬間、応援席にいた皆は同じことを思った。
やっぱり、この人フェアリーテイルのマスターだ!───と。
「なぁ、あそこにいるのってレモンじゃないのか?」
ロメオはある応援席を指差した。皆の目線がそっちに行く。
そこには誰も居らずいるのは、黄色の猫と和装した少女のふたりだけだった。
手を振ってみるとレモンは気付いたようで手を振り返してきた。
「あ、ホントだ。レモンだ」
「なんであんなところにいるんだ?」
「隣のは………」
「あ!あの人だよ、マスター。昨日、オイラたちと会ったのは」
マカロフもそちらの方へと目を向ける。
すると、突如マカロフの動きが止まった。
「どうしたんですか?マスター」
「あやつは………夜叉ではないか!」
「夜叉?」
「ワシと同じ聖十の称号を所持しておった者だったのだが、今は行方が知れず生きているかどうかも不明じゃったのじゃ」
「もしかして、まだ出てないギルドのマスターじゃない?」
「マスターをしているとはワシは聞いておらんぞ」
困惑しているマカロフ。すると、遮るようにアナウンスが入った。
『続いて予選2位!なんと!驚くことにこのギルドも初出場で2位!更に今回の出場者全員がある共通点を持ち合わせているという私自身も未だに信じられていません。天と海と地が重なる時、現れる伝説。その名はトライデントドラゴーン!!!』
派手な煙と共に姿を現したのはフードを被った5人。
会場の中心まで移動すると、同時にフードをぬぐい捨てた。
「………ソウ!」
「───それに、ジュン、サンディー!!」
「───アールにルーズまで!!」
フェアリーテイルを抜けて行方の知らぬソウが先頭を立っていたのだ。
なんで………と言う感情が包んだ。
「ソウ、なんでお前がそこに!?」
「ナツ、まあ、こういうことだ。俺はトライの一員としてここにいる」
「つまり敵ってこと………?」
ルーシィは気が重くなった。
ソウはてっきり大魔闘演武には出ないものだと思っていた。
「ああ。手加減もする気は一切ないからな」
「当たり前だ!今度こそは勝ってやらぁ!」
フェアリーテイルBチームに続き、またしても予想もしていない事態にルーシィは頭がショートしそうだった。
ソウの近くにエルザが近寄る。
「もしや、あの手紙に書いてたのは」
「多分、エルザの考えであってる。俺に一回でも勝利をもぎ取ってくれたら、教えてやるよ」
「それと………ウェンディのことだが……」
「………師匠から事情は聞いてる。襲ったのもレイブンの奴等だってことはさっき、分かった。後、時間を空けて見舞いにも行くつもりだ」
「………そうか」
エルザは頷くと、ソウから離れていった。
話さなくても良いと判断した結果だ。
ジュンやアールも他のメンバーと話しているみたいだった。
一方、フェアリーテイルの応援席では。
「あの方は確か、フェアリーテイルの者だったはずでは………」
「すみませんでしたぁぁ!!」
再び驚愕の表情になったマカロフ。また、頭を地面に打ち付けて謝罪の言葉を述べる。
「まさか、別のチームで出るとは思っていなかったのです!」
「出たからには、もう仕方ないですね」
どうにか、メイビスも納得してもらえたようで一安心するマカロフ。
『なんと、このチームは全員がドラゴンスレイヤーという珍しいチームです!』
『全員がドラゴンスレイヤーとは珍しいのう』
『さあ、いよいよ予選突破チームも残すところあと一つ。さあ、皆さん既にご存じ。最強!天下無敵!これこそが絶対王者!セイバートゥースだぁ~~!!!』
そして、遂に姿を現したの5人の魔導士。けど、正直に言うとソウはあまり興味がない。あると言えば、アールが目撃した“双竜”と呼ばれる二人のドラゴンスレイヤーぐらいだろうか。
「あそこにレモンと同じのがいるよ」
サンディーが指差した先はセイバートゥースの応援席。そこには赤色の猫とカエルの着ぐるみを来た猫がいた。
「それなりの実力はあるみたいだね」
「少しはやりがいがあるんだろうなぁ」
「ジュン、戦闘狂の台詞だぞ」
「へへ、一度言ってみたかったんだ」
「子供ね………」
他愛のない会話をするトライのメンバー。そこからは一切の緊張が感じられない。
『これで全てのチームが出揃ったわけですが、この顔ぶれを見てどうですか、ヤジマさん』
『若いっていいねぇ~』
『いや、そういうことじゃなくて………ではお待ちかね!大魔闘演武開催のプログラムの発表でーす!』
すると、会場の中央に巨大な石板が地面から飛び出してくる。
そこに書かれていたのは日程表のようだった。
1日に競技パートとバトルパートに分けられていた。
まず、競技の方では9チームで順位がついて、それに見あった得点が加算されるという仕組みらしい。競技に出場する選手はこちらで自由に決めても良いようだ。
次にバトルだが、こちらは主催者側でカードを組むらしい。
ファン投票も考慮しているとのこと。
運が悪ければ、競技パートで疲れたところにバトルパートが来る可能性があるのだ。
各チームでバトルして勝利チームには10ポイント、敗北チームには0ポイント。引き分けの場合は両チームに5ポイントずつ振り分けられるとのこと。
『なお、これだと1チームがどことも当たらない計算になりますので、最後に残ったチームはその日に敗北したチームの中からランダムで一人選ばれ、その方と対戦してもらうことになります』
つまり、負けても同じ日にまたバトル出来る可能性があるということか。
『では、大魔闘演武。オープニーグゲーム。“ヒドゥン”を開始します!』
「ヒドゥン?」
「隠密って意味だな」
石板の文字が変わって競技についての内容が写し出された。と言っても名前だけだが。
『参加人数は各1名。ゲームのルールは全選手が出揃った後に説明します』
後から説明するということはある程度の内容はそっちで勝手に予想でもしておけと言うことだろうか。
「誰が行く~?」
「隠密だろ?だったら、アールじゃねえか?」
「俺も同意見」
「私も特に異論はないわ」
「私が───」
「分かった。僕が出るよ」
「え!私の意見は聞かないんですかー!」
サンディーが何か言っていたが聴こえていないことにした。
他の選手も決まったようでそれぞれが石板の前に集まる。
“
見た目はよくわからん。
“
あちきを一人称で話す子だ。
“
背が低いのに、声も低い。後、常に悪いことを考えていそうな顔をしてる。
“
吹雪の魔法を使う好青年。
“
詩人みたいに語りかけている帽子を被った金髪の青年。
“
グレイと同じ師を持った氷の魔導士。
“
リオンに対抗するために出場を決めたようだ。
“
グレイが出るならジュビアも!の勢いで参戦した。後、名字がロクサーって言うことを初めて知った。
“
背が低い。それに女顔の少年。見た目とは裏腹に相当の魔導士。
『以上!9チームから参加選手が決定しました。そして、オープニーグゲーム“ヒドゥン”。そのルールとは───』
遂に始まった大魔闘演武。
まだまだ始まったばかりだ。
続く───────────────────────────
裏設定:四つ首の猟犬の予選順位
途中でサンディーに吹き飛ばされた為に原作よりタイムが遅れている。ゴール直前でナツ達と遭遇。何故か、ナツとの競走が始まった。同時にゴール地点に辿り着いたために、勝敗は分からずのままである。
オリジナルの敵キャラってあり?(無しの場合だと、原作に出てきた敵キャラのいずれかを主人公が奪い倒す形となる予定)
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あり
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なし
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ありよりのなし
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なしよりのあり
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どっちでも