FAIRY TAIL 波地空の竜   作:ソウソウ

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もうすぐ学生の地獄、テストが襲いかかってくるためにしばらくは投稿が出来ません\(^-^)/

すみません(´д`|||)


第o話 空撃の覇者

 ヒドゥンで一番の風格をさらけ出したのは、三首の竜のアールという少年。

 結果的にはセイバートゥースのルーファスが1位だったが、アールはわざと1位を譲ったような行動だった。

 彼が動いたのは、ルーファスの魔法が発動した直後だった。

 ルーファスの背後に一瞬で現れたかと思うと、ルーファスに攻撃を当てた。

 剣咬の虎はその光景に驚愕していた。あのルーファスからポイントを奪うなど有り得ないからだ。

 だが、現にアールはルーファスのいた場所に降り立っている。

 その直ぐ様に、グレイが仕掛ける。ナルプディングがグレイの邪魔をするが、彼は邪魔をするなと言わんばかりに一瞬でナルプディングを地面に何かで叩きつけた。

 そして、その後またグレイの背後に一瞬で移動した。

 ───まるで、瞬間移動ではないか。

 透明になる魔法はあるが、瞬間移動をする魔法はなかなかいない。

 古代魔法ではないかと妖精の尻尾の応援していた者達は考えたが、初代マスター・メイビスの呟きに考えを改めることになる。

 

「あの魔法は………私でも見たことがありませんね………」

 

 ───となると、アールの魔法は古代魔法ではないと言うことになる。メイビスは古代魔法に詳しいからだ。

 意外にも彼の魔法を知っていたのはマカロフだった。

 

「あれは“絶界魔法”と言いますぞ、初代」

「絶界魔法ですか?」

「マスター、どんな魔法なの?」

 

 ハッピーが尋ねた。内容は誰もが気になっていたもの。

 一呼吸置いたマカロフは、続けた。

 

 “絶界魔法”

 その魔法の所持者は、夜叉───師匠が最初だった。

 元々、絶界魔法というのは昔から存在していたが制御が難し過ぎて誰も使いこなせなかったのだ。それを師匠は意図も簡単に使いこなしたと言われている。また空間魔法と呼ばれる魔法もあるが、絶界魔法はさらにその上を越す難易度を誇る。空間魔法を操るだけでも、普通の魔導士は不可能とはっきり断言出来るので、絶界魔法を操ることがどれだけなのか、誰も想像すらつかない。

 師匠から直々に教わったアールが使っているのは、絶界魔法の中でもまだ、初歩のものだ。

 最上位の魔法となってくると、それは恐ろしいものとなると噂では言われている。

 一度、彼はルーズと言う少女と共にソウに会うためにフェアリーテイルを訪ねてきたことがある。

 その時は確か、滅竜魔法しか使っていなかった。いや、誰もがそう思っていた。ナツやガジル、ウェンディ、そしてソウは滅竜魔法しか使っていなかったからだ。

 ───そういえば、アールは空動竜の滅竜魔導士だったはず。だとすれば、彼がその基礎となる空間を自在に操れるのは納得がいく。

 彼にとって絶界魔法はぴったりの魔法だったのだ。

 それとマカロフは最近、ある魔導士の噂を耳にしていた。それは………ある少年が闇ギルドを倒し回っているという噂だ。

 その少年は、驚くことに瞬間移動を使いこなすと話題を呼んでいた。

 その少年こそが、あの彼ではないだろうか。

 

「俺、聞いたことがある………。確か、その少年はこんな異名で呼ばれてた……」

 

 マカロフの話を聞いたロメオが、ゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「“空撃の覇者”」

 

 小さい少年の体ながら空間を司る魔導士にその二つ名が付けられた。誰かが言い出したのかは不明。いつの間にか世間に浸透していた。

 妖精の尻尾はアールを倒すことが出来るのだろうか。いや、倒さないといけないのだ。

 ほとんど、無敵と言える魔導士を───

 

 

 

 

 

 

 ───三首の竜、選手待機席───

 

『続いて!バトルパートに移ります!各チーム1試合ずつしておこなってもらいます。トーナメントではありません。なお、最後の1チームはバトルパートで得点を獲得出来なかったチームの中からランダムで選ばた選手と勝負することになります』

『組合わせは主催者側が決めるんだったわね』

『面白そうな組合わせになるといいねぇ』

『早速私のもとに対戦表が届いていますよ!』

 

いきなりの対戦相手が発表される。

が、妖精の尻尾にとっては一大事とも言える試合だった。

 

『1日目!第1試合!妖精の尻尾A!ルーシィ・ハートフィリア~!!』

「ルーシィって誰だ?」

「星霊魔導士の子だよ、ジュン」

「アールはよく覚えてるよな」

『vs!大鴉の尻尾!フレア・コロナ!』

 

早速、妖精と大鴉がぶつかることになった。

 ソウもこれには驚く。

 フレアというと、あの長い赤髪をした女のことだろう。

 ルーシィを目につけていたらしく「金髪ぅ~」と何度も言っている。

 見た目は態度の悪そうな女性。魔導士としての実力は未知数。あのラクサスの父親のギルドでもあるから魔導士としての強さは折り紙つきではあるだろうが。

 対するルーシィは気合いが入ってるのか、良い面構えをしていた。

 

『この二つのギルドはマスター同士が親子の関係だそうですね、ヤジマさん』

『まあ、違うギルドの紋章を背負ったなら親も子も関係ないけどな』

『ドラマチィクねぇ~痺れちゃう~』

「両者前へ!」

 

 かぼちゃの指示のもと、ルーシィとフレアが対峙した。

 

「ここからは闘技場すべてがバトルフィールドとなるため、他の皆さんは全員場外へと移動してもらいます。制限時間は30分。その間に相手を戦闘不能状態にすれば、勝ちです。それでは、第1試合始め!」

 

 銅鑼の大きな開始の合図と共にバトルパートが始まった。

 

「始まったよ!」

「大鴉の尻尾って言うとソウが気を付けてるギルドだったか?」

「悪い意味でな」

 

 先手を打ったのはルーシィ。

 黄道十二門の内の一人、タウロスを呼び出した。

 牛の星霊で………ど変態だ。

 タウロスは自慢の斧でフレアに攻撃を仕掛けるが、フレアは避けた。

 ルーシィは続け様に、もう1本鍵を取り出した。

 

「へぇ~………同時開門が出来るようになったのか………」

 

 星霊魔導士のルーシィは今までの場合、魔力の消費が激しいお陰で、一人の星霊しか呼び出すことが出来なかった。

 だが、セカンドオリジンを開いたお陰で同時開門が出来るようになったのだろう。

 ルーシィが呼び出したのはスコーピオン。「ウィァー」が口癖の蠍座の星霊。

 スコーピオンはフレアに向けて砂の竜巻を浴びせた。

 対するフレアは避けようとせずに、赤髪を伸ばして盾のようにした。それで、スコーピオンの攻撃をふさいだ。

 

「うわぁ~髪の毛が伸びたよー!」

 

 サンディーの言うとおり、フレアの髪が伸びたのだ。それがフレアの魔法だろうか。

 ルーシィはタウロスにある指示を出す。

 タウロスは先程のスコーピオンの攻撃によって巻き起こった砂を斧に纏わせた。タウロスはそれをフレアに向けて頭上からおりはなった。

 ルーシィが行ったのは星霊二体による合体技。

 砂が会場一体に大きく広がって、試合の内容が見えなくなった。

 砂埃が収まるとフレアは大きく空へ飛ばされた光景が見えた。───が、反撃とばかりに髪の毛をルーシィに向けて伸ばした。

 髪の毛の先端がまるで、狼のような形になりルーシィに襲いかかる。

 既にタウロスとスコーピオンを閉門していたルーシィはまた新たな星霊を開門した。

 ───蟹の星霊、キャンサーだ。

 髪の散髪が得意なキャンサーはフレアの髪による攻撃をあっという間に防いだ。

 髪の毛を切られたことに怒ったフレアは自身の髪の毛を地面に潜り込ませた。

 ルーシィの足元から出てきた髪の毛は彼女の足元を掴んだ。

 ルーシィはぐるぐると投げ飛ばされた。

 フレアの髪の毛はやはり、自由自在に伸ばせるようだ。

 ルーシィは対抗するように、腰に付けていた鞭を取り出した。エドラスの時に手にいれた鞭。こちらも自由自在に伸びる。

 鞭の先端がフレアを掴んだ。これで、お互いがお互いを掴んだ状態になる。

 すると、二人は宙に飛んだ。

 しばらくしてから、二人は掴むのを止めて解放された。

 

『おぉーっと!これは1回戦から息つく暇のない攻防戦!親子ギルド対決!女の子同士の戦い!どちらも引かず!』

 

 ここまでで優勢と思われたのはルーシィだった。

 すると、ルーシィの顔が歪む。

 よく見てみると、ルーシィの履いているブーツがボロボロになっていたのだ。

 焼け焦げていた。フレアの髪の毛は焼くことが出来るようだ。

 ルーシィは「結構気に入ってたのに、このブーツ………」と言いながら不要になったブーツを脱いで投げ捨てた。フレアはてっきりダメージを負っていたと思い込んでいたので、少し表情が歪む。

 フレアは再び、髪の毛を地面に潜り込ました。

 今度、ルーシィが掴まれると素足なので危険だ。けれど、ルーシィは先程とは何かが違うことに気付いていた。

 気配がしない。どこから来るかと警戒する。

 ふとフレアを見た。彼女は顔を横に傾けて「ふふふ……」と不吉な笑みを浮かべた。右手の人差し指を傾けながら。

 ルーシィは人差し指の指す方へと顔を向ける。そこには、自分のことを精一杯応援してくれるフェアリーテイルの仲間達がいた。

 ───その瞬間、見てはいけないものを見てしまった。アスカの背後に一瞬赤髪の先端があるのを見たのだ。

 まさか、人質────!

 「アスカちゃん!」と叫ぼうとしたルーシィだったが、フレアの髪に口を塞がれてしまう。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 ソウは首を傾げた。

 三首の竜のいる場所はフレアの背後。こちらからはルーシィの正面が見えるだけだがなんだか様子が変だった。

 

「今、ルーシィが何言ったか分かるか?」

「えっ………聞こえないけど?」

 

 闘技場は広いので、対戦相手同士の会話を聞くのは会場が静まっていない限り難しい。けれど、ソウは波の使い手。音波を微弱だが感じとることが可能。だが、今回はソウ自身も油断していたのではっきりとは聞こえなかった。なので、変に思ったのはソウだけのようだ。

 

「あの人、さっきの足のダメージが大きかったのかなぁ?」

「さぁな。ただ、油断しただけじゃねぇのか?」

「私もそう思うわ」

 

 三首の竜の皆は試合のことについて会話をしている。気のせいだったか………とソウは忘れることにした。

『息詰まる攻防が続くバトルパート!ルーシィ・ハートフィリアvs.フレア・コロナ!そういえば、ヤジマさんが評議院にいらしたころはフェアリーテイルも今とは随分違った評判だったそうですよね』

『人気はあった。実力もトップレベル。ただス、問題ばかり起こして大変ではあったがな』

『いやぁ~、当時ののことを知らない人も多いでしょうね』

 

 フレアが先に動いた。

 ルーシィはただ無抵抗にフレアの攻撃を避ける素振りを見せずに吹き飛ばされた。

 続けざまにフレアの猛攻がルーシィを襲う。ルーシィは何もせず、ただ耐えるだけだ。

 

「あれ?動きが変わったね」

「魔力でも切れたんじゃないの」

 

 戦況が動いたことにアールとルーズは気付いた。ルーズはルーシィの2体同時開門による魔力切れだと思ったのだろう。

 ───いや、それはおかしい。

 セカンドオリジンは2体同時開門が出来るほどにまでルーシィを成長させたのだ。たったの1回で限界が来たとは思えなかった。

 

「互角だったのにな」

「何かあったのかな?」

 

 激戦が一変して一方的な展開に会場も戸惑いが隠せない様子だ。

 

 

 

 

 ◇

 

 ───どうすれば………っ!?

 ルーシィは頭の中で必死に考えていた。誰も気付かない中でアスカが人質に取られている。フレアの言うことを聞かないとアスカがどうなるのか、分からなかった。

 ルーシィは心の中で皆にウェンディにグレイに謝る。どうしようもないのだ。アスカを救うのに、自分なりに考えた決断が降参することだったから。

 ルーシィは降参と言う二文字を声に出そうとするが、またしてもフレアの髪に口を塞がれてしまう。

 

 

 

 

 ◇

 

()()()()………?」

「どうしたんだ、ソウ?」

「いや、なんかそんなことが聞こえたような気がしてな」

 

 ソウの目線の先にはフレアに手足を拘束されたルーシィの姿があった。

 ソウは密かに波動の魔法を発動した。

 

「おい………」

 

 成果があった。フェアリーテイルの応援席にいるアスカの背後に何かゆらゆらしたものがあったのが確認されたからだ。

 ───その瞬間、全てが分かった。

 ルーシィの様子が変わったのも、あれのせいだ。あれはフレアの髪の一部。先程から髪の一部が地面に突き刺さり放しなのもきっとそのせいだ。

 ルーシィは人質を取られて脅迫されているからこそ、魔法も使わずただ無抵抗に攻撃を受けていただけだった。

 ソウは動こうとしたのだが、魔法による他の魔力も近くで感知されたので、自分の出番はないと動かない。

 ───ナツだ。

 「アスカちゃん」とルーシィが言ったのを聞き逃さなかった耳の良いナツは、直ぐ様応援席へと駆け出していた。フレアの髪の先端を掴んだナツはそれを燃やした。

 これで何も障害がなくなったルーシィ。ナツは応援席から思いっきり叫んだ。

 

「行けぇぇー!!ルーシィー!!」

 

 窮地を逃れたルーシィは、星霊ジェミニを呼び出した。咄嗟のことにフレアは判断が鈍り、ジェミニの体当たりを喰らってしまう。お陰で拘束が解けたルーシィはジェミニに何か指示を出した。

 ジェミニはその場で変身した。出てきたのはルーシィだ。ただし───

 

「うわぁ!ジュン、見たら駄目!」

「え!何!?」

 

 出てきたのはバスタオル姿のルーシィだった。会場が盛り上がる。

 ジェミニはコピーした時の服装で出てくるので、ルーシィがこの前にジェミニにコピーさしたのがそのまま出てきてしまったというわけだ。つまり、バスタオル姿のまま登場してしまったのだ。

 サンディーはジュンの両目を両手で隠す。ルーズもアールに似たようなことをしていた。ソウは相手がいないので、何にもない。

 二人のルーシィは手を取り合い、何か魔法を発動された。

 ソウでも見たことがない魔法だ。ただ、ルーズは知っていたようで口を開いた。

 

「あれは、星々の超魔法よ」

 

 ルーシィの周りがどんどんと変わっていく。

 そして、遂にルーシィのとっておきの秘策が発動された。

 

「『ウラノ・メトリア』」

 

 初めて見る魔法にフレアは困惑状態に陥り、ウラノ・メトリアは命中するかと思われたが………。

 ───発動しなかった。

 いや、消されたといった方が良いだろうか。確実にルーシィの魔法は発動していたとソウは感じていた。

 最後の最後で失敗だろうか。いや、ない。現にルーシィ本人も信じられない顔をしている。

 可能性が、あるとすればフレアもしくは第3者の介入による妨害。───が、フレアはその場に座り怯えているのでまず有り得ない。

 ………となると、考えられるのは観戦している大鴉の尻尾(レイブンテイル)の誰かになる。

 さらに絞りこむとなれば、今のはウェンディを魔力欠乏病にしたものと同じものだと思われるだろうか………。

 何故ならあれほどの魔法を一瞬で消し去るのは滅多なことでは起こらない。故にそれを可能とする魔導士もそこら中にいるものではないからだ。

 

『おぉーっと!ルーシィがダウン!試合終了~!勝者、レイブンテイル、フレア・コロナ~!』

 

 ふらふらで力尽きたルーシィは倒れてしまった。そこで、勝負の決着はついた。なんとも理不尽な結末だ。

 ソウは密かに怒りを感じていた。

 

「………僕も外野からの支援を感じたよ」

「誰か分かるか?」

「いや………そこまでは僕でも分からなかったよ」

 

 会場は今の一部始終をどうやら、不発に終わったようだと思っていた。

 バレなければ良いと思っているのなら、万事周到。こちらは正々堂々潰すまでだ。

 

「ウェンディのこともあるし………少し教える必要があるようだな……」

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 試合は滞りなく進んでいく。

 第2試合は“青い天馬”から“レン・アカツキ”。対する相手は“人魚の踵”の“アラーニャ・ウェブ”。

 最初は、ウェブが優勢かと思われていたが、レンは婚約者であるシェリーの前でカッコ悪い姿は見せられまいと奮闘して最終的に見事に勝利を勝ち取った。

 ………途中、シェリーのことで弄られていたのはどうかと思うが………。動揺して隙を与えるのはしょうがない。

 第3試合は“剣咬の虎”の“オルガ・ナナギア”と“四つ首の猟犬”の“ウォークライ”の対決。

 ウォークライがとっておきの“涙魔法”と呼ばれる魔法を発動した。この時、一番サンディーが何が気に入ったのか騒いでいた。

 けれど、オルガの雷魔法による一撃になすすべなくウォークライは倒れた。

 ………涙魔法を見たかったのに、その前に倒してしまったから見れなくなったと残念がっていたサンディー。

 雷魔法といってもオルガの雷は黒い雷だった。同じ魔法のラクサスが目をつけそうな相手だ。

 予談だが“蛇姫の鱗”にもソウと同じ波動を使う魔導士がいるとアールから聞いた。少しタイプが違うみたいだが。

 続いて第4試合では“蛇姫の鱗”からは聖十の称号を持つ“ジュラ・ネェキス”。

 “妖精の尻尾B”から、こちらも聖十の称号を持っていた“ミストガン”が選出された。

 ミストガンと言っても中身がジェラールだと言うことはソウも知っている。

 ここで、残った1チームがなんと“三首の竜”だと言うことが消去法で判明した。

………運が悪いのか良いのか微妙だった。

 ジェラールは器用な事に、ミストガンの魔法を使ってジュラに勝負を仕掛けた。

 対するジュラも聖十の名に恥じない見事な魔法を繰り広げる。

 ジュラは地面を操る魔法だったために、ジュンが対抗心を燃やしていたのを隣でソウは感じ取っていた。

 ジェラールは通用しないと思ったのか天体魔法を使いだして、最終的には“真・天体魔法”を使おうとし出した。

 すると、ジェラールの体に異変が起きた。

 また誰かによる介入かと思われたが今度はソウでも知っている人物による者だ。

 あれはメルディの“感覚連結”だ。ウルティアとメルディの二人がミストガンに扮装しているのがジェラールとバレるのを危惧したためにとった行動だと思われる。

 最初は、口元を押さえて「辛ぁ………」と言っていたが誰も聞こえない。

 次にジェラールは何故か笑い転げ出した。ウルティアがメルディをこちょばしたためにジェラールも耐えきれなくなったのだ。

 会場から見ればジェラールが一人で意味不明なことをしているように映るだろうが、事情を知っている者から見れば苦笑するしかない。

 自業自得というやつか。

 すると、ジェラールが笑い転げているのに吊られてか、サンディーも笑い出した。

 これにはルーズが内心、引いていた。

 それについては置いておくとして………そのままジェラールは敗北してしまうというなんとも呆気ない結末に終わってしまった。

 ………ついでに妖精の尻尾のお笑い担当がミストガンだと浸透してしまった。

『さて!続いて、本日最終試合の発表に移りたいと思います!まず、本日バトルパートでポイントを獲得していない4チームの中から1名ランダムに選出されます。発表します!選ばれたのは………』

 

 一日目のバトルパートでポイント獲得してないのは、“妖精の尻尾A,B”、“人魚の踵”、“四つ首の猟犬”のチームだ。

 

『妖精の尻尾B!ジュビア・ロクサー!』

「え!ジュビアですか!?」

 

 選ばれるとは微塵も思っていなかったジュビアは信じられない顔をするが、今のは嘘ではないようだ。

 ジュビアにとって、これはチャンスだった。ヒドゥンでは活躍出来なかったので、これで勝負に勝てばリベンジが出来るという訳だ。これを逃すわけにはいかない。

 対するジュビアの対戦相手は………。

 

『三首の竜からは!ルーズ・ターメリット~!』

 

 チーム内での最初のご指名にルーズは不機嫌になった。

 

「なんで、私が最初に行かなくちゃならないのよ」

「まあまあ、頑張って」

 

 アールにあやされて渋々ルーズは闘技場の方へと歩いていった。

 ジュビアは水の魔導士。対するルーズの魔法は………。

 アールが見込むことのある魔導士だ。心配する必要はない。

 けれど、あの約束だがルーズとサンディーに対しては無意味にしてほしい………と考えるソウだった。

 

 

続く───────────────────────────




裏設定:一日目バトルパート

二日目、三日目の三首の竜の対戦相手は既に形が出来ているが、一日目だけはどうしても決まらず渋々余り枠になってしまった。

オリジナルの敵キャラってあり?(無しの場合だと、原作に出てきた敵キャラのいずれかを主人公が奪い倒す形となる予定)

  • あり
  • なし
  • ありよりのなし
  • なしよりのあり
  • どっちでも

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