この素晴らしい世界で俺だけが祝福されない   作:ZAT  

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第4話

 ――冒険者ギルド

 

「ジャイアントトード10匹の討伐……はい、確認しました。クエスト完了です。」

 

 時刻はまだ昼を少し過ぎた頃。

 冒険者ギルドで討伐報告を済ませると、受付の女の人からカードを返される。

 冒険者カードには討伐したモンスターが記録されていて、これを確認してクエスト達成の可否を判断するそうだ。

 

 ジャイアントトード、ゴブリン、コボルト……、ゲームでは定番ともいえるモンスターの名前もいくつか討伐欄に載っている。

 

 この世界でのモンスターの強さは、凡そ日本でのイメージと一致するようだ。

 

「腕の立つ冒険者でもない限りソロでは達成できるクエストに限りがあります。パーティーを組んでください。」

 

 最後に彼女から助言を貰う。

 パーティー。

 

 固定で組むこともあればクエストに応じて臨時でメンバーを募集する者たちもいる。

 今も掲示板がある場所では、クエストを物色している冒険者たちの横で、数人が臨時メンバーの募集をしていた。

 

 剣士職に魔法職が募集の殆どだが、盗賊の募集をしている所も日によってはある。

 

 とはいっても盗賊に求められるのは索敵能力であり、攻撃力ではない。

 戦闘系スキルを先に取っていた俺は参加できなかった。

 

 敵感知を始めとする斥候系のスキルを取ったのはレベルが上がった最近の事になる。

 これで一応は盗賊としての役割をこなすことが出来る様になったわけだ。

 

 受付を離れ、隣の掲示板でメンバー募集の張り紙をいくつか見てみる。

 剣士、剣士、魔法、弓、魔法、剣士……。

 

 駆け出し冒険者の街ということもあって、直接的な火力に関係しない盗賊は人気が無いようだ。

 盗賊の募集もあるにはあるが、要求されるレベルが高く、当分は入れそうに無い。

 

「おっと、すまねえ。気付かなかった。」

 

 後ろからぶつかられた。

 この世界に来てからというもの、こういう事が増えた様な気がする。

 ……日本人は避けるのが上手いと言うし、それが原因に違いない。

 そう、足が透けて幽霊みたくなっていた所為ではない、決して。

 

 思考を中断し、次からはパーティー募集の張り紙を気にしながら活動することに決め、一日を終えた。

 

 

 翌日――。

 

 早朝には冒険装備の整備を一通り済ませ、ギルドへと向かった。

 

 ギルドはいつもより閑散としており、いつもは4人いた受付も2人に減っている。

 こうなると視界にはレンガ造りの灰色な壁が目立ち、否が応でも暗い気分になるのは仕方のないことだろう。

 

 いつもの受付とは反対側にある酒場に向かい、隅にあるテーブルに座る。

 ここで何かつまみながら、臨時メンバーの募集を待つという魂胆だ。

 

 暫くすると、数十人の冒険者がやってきてクエストを物色したり、周りに声をかけ始め、ギルド内に活気が満ちる。

 そんな中でもやはり盗賊を求める声は少ない。

 

 ちびちびと飲んでいたジョッキの中身が半分を切った頃。

 各々が受注を済ませ、ピークを終えてまた閑散とした景色が戻る。

 

「――役に立つスキルなら、盗賊系なんてどうかな?」

 

 朝と違うのは、二階で始まった宴会芸とカウンターで昼食を取るパーティーが騒がしくしている事位。

 

 視線を向ければそこにいたのは、先日ジャイアントトードと死闘を繰り広げていたジャージの日本人と魔法使いの少女。

 加えて長身で金髪の女騎士と銀髪の盗賊も同席している。

 

 「――こっちの人にキンキンに冷えたシュワシュワ一つ!」

 

 俺の幸運がキョウヤに会えた事だとすれば、彼はパーティーを組めている事が幸運だと言っていいのかもしれない。

 

 パーティーが組めないのは盗賊という職業が原因ではあるのだが、こちら側から積極的に行動していないからというのもある。

 とは言えここは異世界、言葉は通じても外国人を相手にするような物で、声を掛けるのも一苦労だ。

 そんな中でも転生して早々にパーティーを組めている彼はいわゆるコミュ強という奴だろうか、少し尊敬する。

 

 このパーティを除けば後は少ししかいない。

 そろそろ切り上げて宿に帰ろうとして席を立つ。

 収入は少ないが安定はしている為、時間ならある。後は根気強く天命を待つだけでいい。

 

 「――ねえ、そこの君!」

 

 不意に声を掛けられた。相手は銀髪の盗賊。

 彼女は腰に付けられたダガーを指して言う。

 

「見たところ駆け出しの盗賊だよね。君もスキルの使い方、知りたいと思わない?」

 

 そう、幾つかスキルを習得したはいいものの、肝心の使い方が分からないのは問題ではあった。

 名前を見れば何が出来るのか見当はつく。

 けれど、他の盗賊職がどのようにしてにしてスキルを活用しているかは、使っている所を見てみない事には分からないのだ。

 

「……いいのか?」

 

 ギルドに来た目的とは違うものの、これも解決したかった問題の一つ。

 願ったり叶ったりだ。

 

「勿論!同じ盗賊の先輩として当然の務めだよ!」

 

 そう言ってにこやかな笑顔を浮かべると、手元に残ったシュワシュワを一気に飲み干して席を立った。

 

 

 

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