この素晴らしい世界で俺だけが祝福されない   作:ZAT  

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第7話

 キャベツ討伐クエストから数日。

 

 いくつかクエストをこなす内、自分の能力について分かったことがある。

 

 先ず、敏捷性。

 この数値は足の速さだけでなく、動体視力にも影響するようだ。

 キャベツと戦っていた時の”敵感知”は特に強化されていない。それにも関わらず飛び回るキャベツを正確に捉えられたことに気づいたのが始まり。

 

「キュイィッッッッ!」

「おっと」

 

 ――キャベツに負けず劣らずのスピードで突撃してくる一撃ウサギを回避しながら思考を整理する。

 ”敵感知”を強化した今は視覚外からの攻撃も捉えられるようになった。

 勿論、高レベルには通用しないが。

 

 そして、攻撃系のスキル。

 盗賊スキルには相手へ直接攻撃できるスキルは殆ど無い。

 “エンチャント・ポイズン“、”ワイヤートラップ”、”フラッシュ”。

 他のスキルも補助や妨害に長けたもので、まともに使えるのは“フェイタル・ストライク“――相手に気づかれず攻撃を当てると威力が上がるスキルのみ。

 しかもこのスキル、効果は強力なものの魔力消費が多く、大勢を相手に多用できる物でも無い。

 

 つまり大物モンスターの討伐でも無い限り、単純なステータスのみで戦わなければならないのだ。

 

 攻撃に失敗し、背中ががら空きの一撃ウサギを仕留める。

 直接戦闘の技術を上げる為、こうして”潜伏”無しでのクエスト攻略をしてきたが、その成果がようやく現れたようだ。

 

 

 ――――――――

 

 

 ”暗視”を使いながら冒険者ギルドに戻る。

 ギルド内はランプの火が満たし、食事をとる冒険者で賑わいを見せていた。

 「一撃ウサギ15匹の討伐。5匹の買取を合わせて30万エリスになります。」

 

 受付のお姉さんから報酬を受け取る。

 いつものように酒場に向かおうとした所で、彼女に呼び止められた。

 

 「少しお待ちを――。こちらはキャベツ狩りクエストの報酬、20万エリスになります。それと、街の近くに現れた魔王の幹部らしき者の影響で仕事が激減しております。恐らく来月までは高難度のクエストしか受けられません。」

 

 ――物騒な話だ。

 幸い、連日のクエストと今回の報酬でかなり余裕はある。

 情報をくれたお姉さんに感謝を伝え、いつも空いている隅のテーブルで遅めの夕食をとる。

 

 この世界の食事にも慣れてきたものだ。

 ジョッキにはネロイドというモンスターが使われたシャワシャワ。

 街の外で捕れた新鮮さが売りのジャイアントトードの唐揚げ。

 調理されて尚逃げようとする野菜の塩サラダ。

 

 始めはなるべく地球の料理に近いものを頼んでいたが、一度食べてみれば抵抗感は直ぐに無くなっていった。

 

 黙々と料理を掻き込み、完食まで後僅かといった所で、

 

「――いやあ、席が空いてて助かったぜ!おいお前ら、こっちだこっち!」

 

 ガラの悪そうな金髪の青年が隣に座ってきた。

 彼はこちらに全く気付いていない様子。

 その様子を見たパーティーメンバーらしき3人の内の1人が彼を諫める。

 

「おい、ダスト。隣にまだ人がいるだろ。」

「…………うおっ!? なんだお前、全然気付かなかったわ! まあいいや、とっとと退けよ」

「おい、ダスト!」

 

 君子は刑人に近づかず。

 前科者とは行かなくても、あまり関わりたい様な人柄ではない。

 食事を終え、この場から逃げるために”潜伏”を発動して席を立つ――

 

「――ちょっと待て。お前、もしかして盗賊か?」

「いいや、違う。」

 

 今まで一度も看破されなかった”潜伏”が初めて気づかれた。

 それも、特段強そうにも見えない金髪に。

 

「噓つくなって。お前、今”潜伏”使っただろ。一瞬とは言えこのダスト様を出し抜くとは中々の実力だなあ、おい。」

「…………。」

「まあ、座れよ。お前の実力を見込んでちょいと頼みがあるんだ。」

 

 生命力が高い訳でもないので、下手に反感を買って殴られでもしたら困る。

 断る方が面倒になりそうなので、何も言わずそのまま座り直した。

 それを同意と受け取ったダストは続けて話す。

 

「俺たちは明日、あるダンジョンの攻略をする予定なんだが、どうやらそこはトラップが多いらしくてなあ。だがうちのパーティーには生憎盗賊職がいなくてよお。臨時のパーティーメンバーを昨日から探してたんだが」

「こいつの悪評が邪魔して誰も参加しない、というわけだ。」

 

 パーティーの他3人もいつの間にか席に着いており、4人のなかで一番ガタイのいい男がダストを指差しながら言った。

 

 かなり強引な勧誘ではあるが、ダンジョン探索というのはこちらにとっても悪くない提案ではある。

 パーティーとして、盗賊職としての経験を積むにはこれ以上ないクエストで、来月まで仕事が無いのもほぼ決まっている。

 

「受けてくれよ。どうせ、1人なんだろ?」

「わかった。ダンジョンに入ったことは無いが、それでもいいなら参加しよう。」

「おっ、話の分かるやつだな! ……ってマジかよ。」

 

 ダスト達は小声で話し始める。

 大方、初心者を連れていって役に立つのか議論しているのだろう。

 

「――ねえ、その話。あたしにも一枚嚙ませてよ。」

 

 ふらっとあらわれたクリスが、話を遮って席に座った。

 

「話は聞いたよ。ダンジョンに行きたいけど、この子が初心者だからパーティーに入れるか迷ってるんでしょ?」

「何だ、お前が代わりに入ってくれんのか?」

「あたし”も”入るんだよ。それなら問題ないでしょ?」

「あぁ?別に構わねえが……、報酬は2人で1人分だ。それならいいぜ。」

「じゃあ決まりだね」

 

 ダストの要求を意にも介さず、クリスの参加が決定した。

 

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