インターネットに汚染された和マンチ共のTRPG 作:よくメガネを無くす海月のーれん
アマツマサイド
スパンッ!
「あいったぁ!」
頭を何がで叩かれる。思わず、頭がぐんと下がり脳が揺れる。誰に攻撃されたかもわかるままピよるピよる…
うぉぁ…頭が…頭に光が…。ピヨピヨとゲームの混乱エフェクトが走る中、明滅する視界の端っこに写ったのは蛇腹折りされた紙だった。
「ハリセン…?」
「ハリセンだねぇ…虚空から現われたよ」
「なんか書かれてますねコレ」
ひょいとじーえむが拾い上げバンッと広げる。
そこには…
「ゴブリン討伐ゥ…?」
トマトの言う通り、それは依頼書だった。
―――――
【ゴブリンの巣駆除依頼】
本依頼
ゴブリンの巣の駆除
ゴブリンの巣頭領の殺害
任意条件
上位種ゴブリンの殺害
行方不明者の捜索
行方不明者の救出
行方不明者の回収
報酬
12000R
任意条件達成報酬
一体あたり1000R
行方不明者一人あたり2000R
場所
スティラ山山間部、下記地図の場所にある洞窟とその前に作られた集落。
概要
スティラ山周辺にてゴブリンの斥候部隊や追放、旗分けされたと見られるゴブリンの集団を発見。近辺の村落への被害を考え、3等級冒険者に調査を依頼した所、大規模な集落を形成していることが発覚。魔法的隠蔽が施されている点や鉄製武器の所持が散見されたこと、上位種の存在も確認したため急遽討伐隊を編成、駆除に向かうも待ち伏せや火計、投石による少数対集団制圧といった通常ゴブリンでは考えられないような戦術を行ってきたことにより失敗。ゴブリンの指揮をしている魔族が背後にいるとして1等級緊急依頼が発令された。この討伐失敗後にゴブリンの動きは活発化しており、周辺村落の一つが制圧されたという情報も入る。至急、依頼場所に向かい、ゴブリンの駆除と共に指揮する魔族を殺害せよ。
また、集落内にて生存者を発見した場合にできる限りの人命救助に当たること、それができなければ遺品、遺骨の回収をもって生存者救助とする。追加報酬となるため率先して行ってほしい。しかし、これ以上のゴブリンの討伐、生存者の回収が困難の判断した場合は速やかに帰還すること。この依頼による失敗条件とペナルティはないものとする。生きて帰ることを何よりも優先し依頼に当たってほしい。
スティラ街冒険者ギルド支部、ギルドマスター スタンリー・エッジ
―――――
裏面
【これがチュートリアルクエストとなります。受けるもよし、受けずに放置するもよし。あなた方の自由です。しかし、受けなければ被害はさらに拡大し、スティラ山一帯はゴブリンたちの楽園となることでしょうね。ちなみに、ゴブリンはゴブ〇レ産とあなた方地球の中世当たりに描かれた原典のゴブリン産を混ぜ合わせた邪悪でいたずら好きで狡猾で人間の凌辱をよしとし、要請特有の残虐性も持ち合わせたテイストにしています。戦闘などの不安もあるかと思いますが基本的に脳内wikiを埋め込んでおいたのでそれを参照してください。それではあなた方の行く末を見守っていますよ。運命の女神より】
―――――
「ねぇこれ受けないっていう選択肢を排除された選択じゃない?」
「これはねぇ…受けるしかないねぇ」
「やばいことちらほら書いてあるんだけど…」
「でも放置したらひどいこと起こるってあるじゃないですか…やるしかないですよ…!」
「僕達…戦えるんですかね?現代人である僕達が」
沈黙。そう僕たちは今まで地球でぬくぬくと過ごしてきた現代人で、水洗トイレがないと絶望するタイプの地球人だ。そんな戦いなんて無縁の僕達に戦闘できるかどうかわからない。確かにTRPGの能力は持っている。女神さまにはっ倒された僕だから言える。地球にいた時と比べれば格段に耐久力という面で優れているだろう。でも心は違う。戦える精神ではない。なにせ生き物を殺すことすらほとんどないのだから。
「…まぁなんだ、別に戦わなくてもいいんじゃないか?」
「…というと?」
「放置するってこと?それは…」
「いや違う」
「俺達人間なわけじゃん。人間って賢いわけじゃん。なら、別に真正面から戦ったりするんじゃなくて落石とか火計とか別の生き物誘導してぶつけるとかすればいいんじゃね?」
トマトが口を開いたその提案。それは少なからずの衝撃があった。だって、TRPGの世界だ。ダイスで管理されてるわけだから、戦闘もダイスを参照する。必然的にターン制バトルのように対等に戦わなければいけないと思っていた。そうだった、俺達地球出身で、何なら別ジャンル…クトゥルフ神話とか違法行為の宝庫みたいなことになっていた。普通なら倒せないはずの神話生物を落石やら最強の攻撃手段、“地面”でぶち殺したりしていた。
「そう…だね……。そうだ…。僕達地球人じゃん…!それに…いつもやってた…!マンチ技だ…!」
「あぁ…!俺達はいつだってマンチ行為でじーえむを泣かせてきた…!現実になっても、それは変わらない…!」
「いや私GMじゃないですからね!?」
「あぁそうだったわ」
「とりあえずだが…マンチ行為でゴブリンの集落を潰す…ゴブ〇レ方式ということでいいんだな?」
「OK」
「了解です」
「大丈夫よ~」
「それで」
ドルドルの音頭により方針が決まる。
「んじゃまぁ…行く?」
「あぁちょっと待って。最大の問題が一つある」
「なによ」
「なんかあった?」
「あー…まぁどうぞ」
「予想はつく」
なんとなく気付いている人がいる中、僕は自己紹介のときから思っていたことを口に出す。ようやく話せるよ…!
「ここ……どこ?」
そう、僕たちはここがどこであるのか全く知らなかった。
~~~~~
ママトマトトマサイド
「見識タ―イム!」
意気揚々と叫ぶ俺。視線が集まるのを気にせず、言葉を回す。
基本的に、情報をすっぱ抜くときは見識判定と相場は決まっている。ジャンルが違えば目星とかそんな感じよ。この世界でいう目星は魔法職、学者等の知識ツリーを持つ職業+理力B+任意のバフを固定値として、3d6で振ることができる。目標値はダイスを振る前に伝えられ、それ以上の出目を出せれば成功。目標値を超えられなかったら失敗だ。ちなみに、この見識判定はおおよそ知り得ない情報すら知ることもできたりする。クリティカルって奴。例えば…レベル1の冒険者がレベル10の魔物の情報を引っこ抜いたりな。だから、うちの卓では見識判定は成功すると、脳に直接情報がぶち込まれる形式、天啓形式として扱っている。他だと、たまたま知っていたー…とか、いろんな情報から精査して導き出した―とかあるがな。話を戻そう。俺の場合だと、魔法職たるマギカデザイナーレベル8に理力B3でほかのバフはないから、固定値11で3d6を振る。まぁ普通の値だな。これが狼洞さんだと、もっと高い固定値になる。さすが本職って感じだ。大体俺はサブに回る。狼洞さん他が失敗した時用だ。なぜかって?人間の種族特性が関わってくる。
種族:ヒューマン
最も一般的な種族。ステータスや適性に偏りがなく、種族特性が優秀。
種族特性:運命歪曲 使用回数2回
ダイスを振った後に出た目を±1、増減することができる。
レベ5種族特性強化:増減数が±2に変更。使用回数を2回にする。
レベル10種族特性強化:増減数が±3に変更。使用回数を3回にする。
これだ。強いだろ?ようはダイス振って出目が目標値に足りてなければ後からそれに+1したりできるんだ。これ、実は味方にも敵にも使うことができる。優秀だろ?まぁ一度使ったらシナリオが終わるまで使えないんだがな。他の種族特性は何度でも使えるやつとかあるぜ。まぁそこはバランス調整だろうよ。今の状態だと出目に+2あるいは-2できる。妖怪イチタリナイを滅殺することができるってわけよ。ギャンブラーは大体、1に泣いて1に笑う人間なモンでね。それをひっくり返せるにヒューマンがお気にだ。
「とりま、情報欲しいなら見識振ろうぜ。ここがどこかーとかよ。そのためだろ。あ、俺保険で振らんでおくわ」
そうそうに離脱する宣言をし、見に徹する。
「それもそうだねぇ…自己紹介してって言われただけなわけだし」
耳をピコピコと動かす狼洞さん。普通にかわいいな…。いやあの人は狼を地獄に叩き落しているブラックワーカー…近づけばブラックに取り込まれる…!密かに警戒を重ねているとちらりとこちらの視線と交錯する。あ、どうも。俺は軽く会釈した。あちらも同じく礼をした。社会人なんだよなぁ。でも黒いんだよなぁ…。おっと、平常心平常心。俺はクールな男…ギャンブル以外で感情を乱してはいけない。運が逃げてしまう。(?)感情の昂ぶりに応じて運は上下するのだ。(??)人はそれを物欲センサーという。(???)
「振れるんですかぁ…?」
「振れるみたいだよ。ほら」
〘3d6+8+(42/7) → (3,1,5)9+8+7 → 24
見識判定 目標値22 成功 判定者情報開示〙
じーえむの不安な声をよそにどうやらもう振ったらしい。狼洞さんが虚空に目を這わせる。そちらに目を向ければデケェダイスが空を転がっている。こちら側としては空に浮かぶダイスを見つめてボーっとするちょっと心配になる絵面だ。大丈夫なのか…?不安をよそに、狼洞さんは読み上げる。
「目標値達成。情報開示。スティラ地方について。ルールブックⅠ324ページ。スティラ地方は稲作、畜産を主とする地方で、際立った危険性を持つ魔物が周辺地域の山や森に密集しているために陸の孤島といった扱いをされている。唯一交易路が存在する西側地域を中心とした国家が存在しており、現在地からさらに西へ向かったところにある。周辺地域には頂上に竜が住まうスティラ山、未だ稼働している魔導遺跡などが点在するため、等級が足りていない冒険者がスティラ地方に向かうことは推奨されていない。現在地情報抜粋。ここはスティラ山入り口近くに建てられた小屋であり、小屋を出て山道を進めばY字の岐路に着く。ここで左に行けばスティラ山麓の村落に向かうことができ、右に行けば山頂までを上る登山ルートとなる。また、小屋から山とは反対方向に進めば街にたどり着くことができる」
「大丈夫…?え…俺みたいな感じになってない?」
外から見たらこうなってんの?フツーに乗っ取りじゃんね。軽くホラーっつーか、純然たるホラーよね。
「全体情報開示」
「おっすげぇ」
「おーっ見れるんですねぇ」
狼洞さんの一声で俺たちにも情報が開示されたらしく、視界左端にウィンドウが投影された。これ見てたのね。あ、全員見てるわ。左側虚空を見つめる集団ができてる。儀式かな?
そんなこんなで情報を習得できたのでこれからゴブリンを滅ッ!しに行くわけなんだが…
なんでこうなったんだろうなぁ…
「癒 え て 死 ねぇぇぇぇえぇぇぇええ!!!!!!!!」
じーえむ、迫真の反転回復魔法で広域残滅を繰り出し
「ハーッハッハッハッハッ!!!!!無双ゲーだ!!!!鏖殺だ!!!!!」
触腕でバッタバッタと相手を食い殺しなぎ倒しブレスを吐いてぶち殺しまくる、呪術の王的発言をするドルドル…
「ゴブリンを相手のゴールにシューッ!超!エキサイティン!!そんな軟弱な攻撃効かぬわぁ!」
カチあげたゴブリンをフルスイングで相手にぶつけてなぎ倒し、ゴブリンの攻撃を素の装甲で弾いてるアマツマ…
「やれーっ!働け―!!!ころせぇ―!!!!私のために働けぇー!!!!!」
狼洞さんの掛け声とともに、恐るべき死んだ目を揺蕩わせる狼軍団がゴブリンに襲い掛かる…
「ここは地獄か?」
ンまぁなんでこうなったか、順番に説明していこう。
俺達はあの後、切った張ったの命の掛け合いにびくつきながらもなんとかゴブリンがいる集落に着いた。
遠回りして集落を見下ろせる場所に位置付けた俺たちは、とりあえず狼洞さんとじーえむの不意打ち広域残滅に頼ることにしたのだ。狼洞さんは《自然の管理人》で敵味方を区別できるし、じーえむは《魔法拡大》と《特技縫合》でいろいろと悪さできるからだった。
「《環境魔法Ⅱ》、大地、震動、粉砕、雪崩……『大奈落』」
〘3d6+8+(42/7) → (4,3,5)12+8+7 → 27
行使判定 個別精神抵抗判定目標値14、15、14、17、20、14、24、23、18、19、14、14……〙
「《特技縫合》、《魔法拡大》《医療術Ⅱ》《悪性転換》《奇跡術Ⅱ》《ライフ・コンバート》、《環境魔法Ⅱ》の『大奈落』を適応……縫合『アバドン』」
〘3d6+8+(37/7) → (5,2,4)11+8+5 → 24
行使判定 個別生命抵抗判定目標値14、15、14、15、17、14、22、21、20、19、14、14……〙
〘『大奈落』威力判定
k30[12]+8+(42/7) 土属性魔法ダメージ
→
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[6,2]=8 > 8+14 > 22
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[3,6]=9 > 9+14 > 23
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[3,3]=6 > 6+14 > 20
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[6,5]=11 > 10+14 > 24
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[6,1]=7 > 7+14 > 21
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[6,2]=8 > 8+14 > 22
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[3,5]=8 > 8+14 > 22
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[3,5]=8 > 8+14 > 22
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[4,2]=6 > 6+14 > 20
KeyNo.30c[12]+14 > 2D:[2,4]=6 > 6+14 > 20
………〙
〘『アバドン』威力判定
k20[10]+8+(37/7) 闇属性魔法ダメージ
→
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[4,6 2,3]=10,5 > 8,3+13 > 1回転 > 24
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[1,4]=5 > 3+13 > 16
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[5,2]=7 > 5+13 > 18
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[3,6]=9 > 7+13 > 20
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[2,5]=7 > 5+13 > 18
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[6,6 6,3]=12,9 > 10,7+13 > 1回転 > 30
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[6,4 2,1]=10,3 > 8,1+13 > 1回転 > 22
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[6,5 2,3]=11,5 > 9,3+13 > 1回転 > 25
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[2,5]=7 > 5+13 > 18
KeyNo.20c[10]+13 > 2D:[6,5 1,4]=11,5 > 9,3+13 > 1回転 > 25
………〙
「めちゃくちゃいる…」
「ゴキブリ並みに居る…」
「うざい!これうざいですよ…!視界が威力判定で埋め尽くされてる…!これ小さくできないんですか!!」
「じゃまぁ……」
馬鹿みたいな光景が広がっていた。
狼洞さんの引き起こした魔法によって、ゴブリンの集落はぽっかり穴が開き、そこに土石流が流し込まれるというえげつないことになっている。巻き込まれた人絶対いるはずなのに、各地にポツンポツンと人がいることから、判定外であるらしい。ゲームの力ってすげー。
続いて、じーえむの魔法で大穴に飛蝗の群れがじゃんじゃか湧き出し、手あたり次第にゴブリンを食い散らかしている。まばらに生き残っている奴らは…運よく抵抗できたやつなんだろう。それでも数は少なく、大半が土石流と飛蝗で倒れた状況となった。
しかし、おかしいことにそれ以上のゴブリンが死んでる気がする。なぜかって?俺達のシステムとして、敵を倒すとゴブリンを〇体倒しましたみたいな通知が飛んでくる。魔法が止んだはずなのにその通知が鳴りやまないのだ。普通にやかましい。
「これあれじゃないですか?穴ができたことによって落下判定もプラスされてるから余計に死んでるんじゃないです?あと土石流の中に埋もれて窒息とか…」
「あー…ゴブ〇レ判定で死んでるのね。やはり窒息と落下死は偉大。落下は神すら殺せるゴッドキラーウェポンだからな…」
じーえむの言葉にぽんと手を叩いて納得した。このシステムにおける最強の攻撃、落下の存在だ。なぜ最強かというと、このシステムにおいて、落下に対する耐性とか防御に関する仕様は受け身の判定だけなのだ。そして、落下した時のダメージは高度によって比例する。ようはより高度から叩き落せば、たとえ受け身でダメージを軽減させても死ぬのだ。どんな敵でも。それこそ、神でも。
神様や伝説の魔物は残念ながら落下に対する耐性を持たない。そのため、落下を含む物理攻撃全般に無類の強さを誇るスライムに物理防御の観点でいえば負けるのだ。スライムに劣る物理防御力…そう揶揄されるほど。
対外の伝説の魔物だったり神だったりは飛行手段を持つために普通は落下死しないのだが、そこに関してはいくらでもやりようがあったりする。
このシステムにおいて、倒せない敵というのはほとんど存在しない。たとえギミックボスだろうと落下死する。なにせ、対象の攻撃を受け付けないとか書いてあったとしても、その対象が地面、ひいては大陸なのだから、その対象に参照されないのだ。ダメージ軽減だろうが、高いところから落ちたら死ぬ。当たり前だ。
一定の高度で飛んでいるからダメージも一定にまで抑えられるという考え方は俺達には通用しない。和マンチたる俺達は、相対的に高度を上げるために、地面を掘り下げ、そこに叩き落とす。そのための《環境魔法》あとそのための《採掘》なのだ。
だから、トラベラードにおけるオリジナルボスを作るときにまず最初にやることは、落下無効の特性を付けることだと言われている。
それで諦めるのかって?あきらめるわけがない。落下がだめなら窒息、窒息がだめなら、圧死という風に詐欺師のようにやり口手法を変えて相手を無法で殺す。
そんなことしたらGMが可哀そうだろって?おいおい、何言ってるんだ。俺達和マンチはちゃんと時と場合を考えているんだ。こういうことするときは、大抵GMがカスみたいなことをしてきた時だ。
俺の心臓をささげよ事件だって…!
いや、今はいい。大事なのは落下死は偉大ということであり、これもう、普通にクエストクリアーだろうとなんか白けた空気が漂っていることだ。
「どうすんの。これ。もう終わり?」
「これで終わりじゃー…ないでしょうよ…」
「大体死んでません?」
「私達居るのか…?もう一回狼洞さんとじーえむが魔法撃てば終わりだろう」
「だねぇ…」
全員が全員、もうこれでいいんじゃないかなと思っている。なんかあんなに覚悟して迷ったりして殺すぞ…!って意気込みが全部萎えてしまった。ほぼ作業じゃん…あ
「ならこうしない?」
俺は名案が浮かんだ。
「こんだけ減ってるんだから、戦闘のチュートリアルくらいにはなるんでね?最初のあんな数に囲まれたらレベル差あっても死ぬだろうけど…こんな減ったわけだし」
「あーね」
「ちょうどいいっちゃちょうどいいのか」
「そうする?」
「初戦闘としてはいい塩梅か」
肯定的な意見がそろったので俺の案でゴブリン戦闘チュートリアルということになった。
そんでこの惨状が出来上がったってわけ。
「どうしたんですかトマトぉ!動かないと減りませんよ!てかこんだけまだいたんですか?!普通に挑んでたら数で圧殺されてましたねー!!!死ねぇ!ダイナミック不倫刺突!!!ダイナミック不倫スラッシュ!ダイナミック不倫ターックル!!!!」
じーえむは反転回復魔法から風属性魔法と剣を組み合わせた不倫攻撃シリーズを繰り出している。名前が最低だが威力は十分だ。なにせ、理力B、筋力Bに加えて俊敏Bが加算された剣による物理攻撃のはずなのに魔法によるダメージとして処理されるそれは、雑魚的相手には防御を無視したえげつない範囲火力をたたき出しているからだ。本人曰く、魔法らしい。剣の刺突が?
「ママトマトトマですー!!!俺は雑魚相手にゃ弱いんだよ!オラッ!くたばれっ!数が多い!!!!」
左端に流れる命中判定、威力判定を見流しながら、淡々と処理していく。最初はいちいち命中判定威力判定を見ていたが、待ってられなくなってガンガン攻撃していくようになった。このゲームのシステムは本来ならターン制だが、現実にコンバートされたのかリアルタイム制だ。俊敏によって行動速度が決まってるっぽい。一応、元のシステム準拠なら、10秒あたりどれだけ動けるかって基準があってそれで行動していたが…だーっ!もううざい!!!!
「じーえむぅ!!!!ってか範囲もちぃ!残滅してくれよぉ!うぜぇ!!」
「最初にチュートリアルしよーっつったのトマトでしょー!!!!」
「無双ゲー中だ!!!!手が外せん!!!!」
「私撃つー!!!!????」
「僕も集られるのうざくなってきたんで狼洞さんお願いしまーす!!!!」
「《森呪魔法Ⅱ》、千疋狼の盟約を詠う。古狼、森精、大群、残響…!『森精群狼』!!!!」
〘3d6+8+(42/7) → (1,2,3)6+8+6 → 20
行使判定 個別生命抵抗判定目標値22、21、20、19、14、24、18、21、23、20…〙
「ごめん!一二三!!」
「任せろォ!種族特性:運命歪曲!!!!二回使用!」
〘3d6+8+(42/7) → (1,2,3)6+8+6 → 20
運命歪曲
3d6+8+(42/7) → (3,5,3)11+8+6 → 25
行使判定 個別生命抵抗判定目標値22、21、20、19、14、14、18、21、22、20…〙
〘『森精群狼』威力判定
k30[11]+8+(42/7)+2+2+2 物理ダメージ 抵抗突破で命中回避の対抗判定に-2のペナルティ修正
→
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[5,3]=8 > 8+20 > 28
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[3,3]=6 > 6+20 > 26
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[1,1]=2 > ** > 自動的失敗
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[3,5]=8 > 8+20 > 28
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[4,3]=7 > 7+20 > 27
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[3,2]=5 > 4+20 > 24
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[5,5]=10 > 10+20 > 30
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[4,4]=8 > 8+20 > 28
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[3,6]=9 > 9+20 > 29
KeyNo.30c[11]+20 > 2D:[2,1]=3 > 2+20 > 22
………〙
狼の精霊達がゴブリンに群がっているが…物理ダメージのせいか軽減されて思ってるよりダメージが出ない…!倒せない…!倒す敵に対して造園の敵の数の比率が崩れ…ってかどんだけいるんだゴブリンはよぉ!!??
「出目が腐ってる!!!!!」
「女神ぃ!」
「出目ぇ!!!!!」
「ごめーん!!!!」
「しょうがない!!!ブレスを撃つ!!!!」
増え続けるゴブリンたちに対し怒号が飛び交う戦場の中、ドルドルが叫んだ。
「対象指定は出来ん!!!私の前方向に立つな!!!5秒後だ!!!!」
「了解!」
「りょ!お前はそっちに居ろぉ!」
「集めろ集めろ!ゴブリンを密集させろ!!」
「普通にうざい!!!」
「いくぞ!!!《猛毒ブレス》!《強酸ブレス》!《水泡ブレス》!三属性ブレスだ!!!」
全員が避け、ドルドルの眼前から扇状にゴブリンたちに対してブレスが吐かれていく…!
〘3d6+8+(21/7) → (5,3,3)11+8+3 → 22
《猛毒ブレス》行使判定 個別生命抵抗判定目標値19、14、14、18、21、22、20…〙
〘3d6+8+(21/7) → (1,1,3)5+8+3 → 16
《強酸ブレス》行使判定 個別生命抵抗判定目標値19、14、14、18、21、22、20…〙
〘3d6+8+(21/7) → (6,4,5)15+8+3 → 26
《水泡ブレス》行使判定 個別生命抵抗判定目標値19、14、14、18、21、22、20…〙
「強酸と水泡の振れ幅ァ!」
「致し方ないだろう!!!威力判定に祈れ!!!!」
俺は祈った。
〘《猛毒ブレス》威力判定
k20[10]+(21/7)+8
→
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[5,4]=9 > 7+11 > 18
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[5,5 1,2]=10,3 > 8,1+11 > 1回転 > 20
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[4,1]=5 > 3+11 > 14
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[2,4]=6 > 4+11 > 15
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[6,6 2,2]=12,4 > 10,2+11 > 1回転 > 23
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[5,4]=9 > (7+11)/2 > 9
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[5,5 1,2]=10,3 > 8,1+11 > 1回転 > 20
………〙
〘《強酸ブレス》威力判定
k20[10]+(21/7)+8
→
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[6,2]=8 > 6+11 > 17
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[1,6]=7 > 5+11 > 16
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[6,3]=9 > (7+11)/2 > 9
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[5,1]=6 > (4+11)/2 > 8
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[1,2]=3 > (1+11)/2 > 6
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[5,1]=6 > (4+11)/2 > 8
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[4,1]=5 > (3+11)/2 > 7
………〙
〘《水泡ブレス》威力判定
k20[10]+(21/7)+8
→
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[1,6]=7 > 5+11 > 16
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[1,2]=3 > 1+11 > 12
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[1,1]=2 > ** > 自動的失敗
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[1,6]=7 > 5+11 > 16
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[6,5 3,1]=11,4 > 9,2+11 > 1回転 > 22
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[2,1]=3 > 1+11 > 12
KeyNo.20c[10]+11 > 2D:[5,4]=9 > 7+11 > 18
………〙
「ドルドルの馬鹿ぁ!!!!無駄突破じゃん!!!!」
「出目弱者のドルドルがよぉ!!!祈り足りてねぇぞぉ!」
「女神に愛されなかったカスがよぉ!存在が神への冒涜なんだよぉ!」
「ドルドル!??!」
全員でドルドルに当たり散らす。俺たちの祈りは聞き届けられなかったらしいがそれらすべてをドルドルに責任転嫁して押し付けていく。なんでかって?そういう役回りだからだよ。
「総合評価でそこそこダメージ与えているだろう!なんで私の時だけ出目が低いと当たり散らかすんだ!!!あとアマツマは豹変しすぎだろうがッ!一応先生と教え子の関係だぞ!」
「出目が腐ってるやつに敬意なんかあるわけねぇだろ!!!!」
「そりゃあそうだ!!!!!」
「あぁもう!!!やるしかない!!!!!」
「MPください!!!!《マナ・コンバート》!!!!!《特技縫合》、《風属性魔法Ⅱ》《武器修練A/剣》《呪術Ⅱ》《奇跡術Ⅱ》《悪性転換》《魔法拡大》……縫合!!!『不倫呪殺トルネード』!!!!!!!!」
じーえむが俺達のMPを徴収し、渾身の特大魔法が撃ち込まれるのだった。
キャラクターによって文体というかお話の癖を変えております。トマトの場合、地の文多めで、アマツマやじーえむは会話が多かったりとか。キャラクターが人の話を聞いているのかあるいは人の話を聞いてる合間に考え事をするのか、とか色々あるわけなので…。トマトはガンガンしゃべりますが、アマツマやじーえむは人の話を聞いてから考えるタイプですね。
出目はココフォリアで振ってます。作者の出目が終わってるからこそ、お話の中で余裕がなくなっています。マスクデータというか、ゴブリンのHPだったりを設定して、ダイス振ってダメージ出して、結果を反映する形で小説に反映しているので……ね。
お次はボス戦です。