株式会社デモニックヒーローズ   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第31話『未知なる世界への扉』

さて。

 

株式会社デモニックヒーローズという会社であるが……実はこの会社はあらゆる物を使う事が出来る。

 

この何でも。というのは食べ物とか道具とかそういうレベルの話ではない。

 

まぁ、具体的に言おうか。

 

株式会社デモニックヒーローズには滝行をする為の滝がある。

 

いや、正確に言えば、ついさっき出来たのだ。

 

研究部署の人に、滝行の説明をして、作って欲しいと言ったら片手間で作ってくれた。

 

相変わらずあの部署の人間の技術力はやばい。

 

という訳で、俺は出来立てほやほやの滝で滝行をする事にした。

 

何故かって?

 

そりゃメリア様に欲望を抱かない為だ。

 

このままではメリア様に魂を奪われて天に召されてしまう。

 

そうならない為に、精神を落ち着かせに来たのだ。

 

「……」

 

「ここが、たきぎょーをする場所ですか。おー。本当に滝があります……冷たっ! タツヤさん! これ、凄く冷たいですよ!?」

 

精神を落ち着かせに来たのだが……なんだ?

 

なんで、ここにメリア様が居るんだ?

 

「それはもう! タツヤさんの様子がおかしいから、何かあったのかな。って見に来たに決まってるじゃないですか」

 

「早く帰ってください」

 

「えぇ!? な、何故!」

 

「気が散るので」

 

「そんなぁ! 良いじゃないですかぁー」

 

メリア様が何故か薄く白い修行用の服を着て、俺の腕にしがみつく。

 

するとどうだろう。メリア様の立派なあれが、俺の腕にぶつかり、俺の息子はカムチャッカファイアーである。

 

「かむ?」

 

「あぁ、気にしないでください。火山を表現しています」

 

「意味がよく分からないです」

 

「分からない様にしているので、気にしないでください」

 

「むぅー。なんですか! なんですかぁ! そういう意地悪してぇー!」

 

しょうがないだろう。女神様方は皆、心を読んでしまうのだから。

 

こうして、直接的な言葉を避ける事で心を防御するのだ。

 

しかし、逆に考えればメリア様の様な頭おこちゃまの女神様相手なら非常に有効な策とも言える。

 

「もー! 誰が頭おこちゃまですかぁ!」

 

「メリア様ですね」

 

「えぇ!? そんな、直接!」

 

「自分の恰好を見てください。それを見て、何も思わないという事が、そもそもおこちゃまの証なのです」

 

「自分の恰好……ですかぁ?」

 

あどけない顔で自分の恰好を見るメリア様に俺は意識を集中し……っと、危ない危ない。

 

直接見るとやばいからな。

 

水面に反射した姿とかを見よう。

 

「これって、何かおかしいですか? だって、修行用に着る服なんですよね?」

 

「えぇ。そうですね」

 

「タツヤさんも同じ服を着てますよね?」

 

「えぇ。そうですね」

 

「じゃあ別に変じゃないですよね?」

 

「変ですね」

 

「何でですかっ!!」

 

「それが分からないから、おこちゃまなのです」

 

怒るメリア様は理由を教えろと騒いでいるが、教えられるわけがない。

 

当たり前だ。

 

俺は紳士なのだ。

 

紳士たるもの。無知なる者に手は出さん。

 

「もー! 教えてください!」

 

「教えろ。と言われても困ってしまうんですが……そうですね。メリア様。下着を見せるのはエッチですか?」

 

「そうですね。とてもエッチだと思います」

 

「なるほど。だからお風呂場では恥ずかしがっていたと。では、今は?」

 

「え? 別に下着は付けていないので、恥ずかしくないですね」

 

「なんという事だ……!」

 

「え? え? どうしたんですか?」

 

「よくメリア様は俺にスカートをたくし上げる様な画像を送ってくるじゃないですか。あれはエッチですか?」

 

「そうですね。とてもエッチだと思います」

 

「なるほど。それは何故?」

 

「もう少しで下着が見えてしまうからです!」

 

「……」

 

俺はこのドヤ顔ポンコツ女神をどうしてやろうかと考えながら思考を巡らせる。

 

「ぽ、ポンコツ女神!?」

 

うーん。

 

「どういう事ですか! タツヤさん! こんなの不敬です! とっても不敬ですよ!!」

 

俺はポンコツ女神の攻撃を受けながら考えていた。

 

こんな教育はマザーがやってくれよと思いながら。

 

「あー。ではメリア様。お聞きしますが、どうして下着がエッチなんですか?」

 

「書物にそう書いてありました! 下着を見るのも見せるのもエッチなのだと」

 

「理由は理解してらっしゃいます?」

 

「さぁ? 人間の方は皆そうなのだと思っていますが、理由はよく分からないですね」

 

「……じゃあなんでラナ様に対して、いやらしい体がどうこうって怒ってたんですか?」

 

「胸が大きいからです! 胸が大きい女性は男性がいやらしくて好きだと書物に書いてありました!」

 

もう禁書だろ。こんなの。

 

無知な女神に見せるな。娯楽漫画を。

 

百害あって一利なしだよ。

 

「メリア様。漫画の知識はいったん全部捨てましょう。女神様として元の状態に戻るんです。その方が絶対に良いと思います」

 

「えぇー? でも、書物を読んでからは、信仰も増えたんですよ?」

 

「だとしてもです! 今の状態は非常によろしくない」

 

「でも……」

 

「そもそも何でそんなに神格を求めるんですか? 給料が上がるからですか?」

 

「いえ。もう二度と、世界を失わない為です」

 

「……は?」

 

「かつて私やアーサー君。ウィスタリアちゃんの居た世界は私の力が足りず、闇に敗北して無に消えました。何とか二人は助け出せましたが、私はあの沢山の声が消えていく光景を二度と見たくないのです」

 

「……」

 

「力があれば、世界は救えます。そして女神の力は信仰の量によって変わる。だからこそ、少しでも多くの力が欲しいのです」

 

「はぁ」

 

俺は思わずため息を吐いてしまった。

 

「ま! マザーより上の神格になって、下剋上がしたいっていう夢もありますけどね! いつも偉そうにして! いつか見返してやります! って、あれ? タツヤさんからの信仰が! どうして! チラチラしてないですのに!」

 

「分かりました。女神メリア様。貴女様に教えてあげましょう。男という物を。そして真に信仰を得る方法を!」

 

「おぉ! お願いします!」

 

それから俺は、女神メリア様と共に、自室へ帰り、封印しておいたアレな本を取り出した。

 

キッズたちが来るまでは夜の親友であったが、今は遠いフレンズだ。

 

と、まぁ。そこは良い。

 

これから役に立つわけだし。

 

という訳で一から百まで一個一個丁寧に、何がどうなってどうしてこうなるのか。という事を女神メリア様にじっくりねっとりと教えた。

 

最初は余裕そうな顔をしていた女神メリア様だが、段々と顔を真っ赤にしながら弱弱しい声に変わり、最後は頷くだけの人形となっていた。

 

「……まぁ、こんな所でしょうか」

 

俺は本を閉じて、再び物置の最奥地に封印した。

 

嫉妬深いキッズたちに見つかると燃やされかねないし。

 

燃やされてしまえば、また手に入れるのも面倒なのだ。

 

「まぁ、俺が教えたのはあくまで一般的な人間の営みですが、ここはまだ入り口です。ここから先に踏み込むには相当な覚悟が必要なので、その辺りはご理解下さい」

 

「こ、これが入り口なのですか!?」

 

「えぇ。まぁそうですね」

 

「こ、これが人間……! 恐ろしい!」

 

「いや、恐ろしいというか子供を作る為に必要な行為というだけです」

 

「で、でも! 私は女神なので、人との間に子供を作る事は出来ませんよ!?」

 

「えぇ、まぁ。そうですね。ですが、我々からすると関係ないですね。興奮出来れば何でも良いので」

 

「……!」

 

女神メリア様はもはや言葉もないとばかりに、口をパクパクとさせながら、金魚の様にもがいていた。

 

何とも哀れな姿だ。

 

「という訳で、女神メリア様の行動に多くの男が興奮していた訳です。あの本の様に。女神メリア様をあーして、こーしてやりたいと考えていた訳ですね。つまり、こんな事を続けて得た信仰に意味はない訳です。真っ当に信仰を得ようと考えるのであれば、アーサーやウィスタリア様に相談する方が良い訳ですね。分かりますか?」

 

「そんなのおかしいです!」

 

「おかしくてもそれが本能ですから」

 

「ぁぅ」

 

「まぁ、でもそれを煽っていたのは女神メリア様ですからね。我々に言われても」

 

「っ!」

 

もはや半泣きに女神メリア様に俺は言葉を重ねた。

 

ちょうど良いし。変な事件が起こる前に、このまま止めてしまおうと。

 

「このまま女神メリア様が同じ事を続ければ、きっとあぁいう本みたいな事をしようと考える人間も出てくるでしょうねぇ。実は俺も……」

 

「も、もう! 止めますっ!!」

 

女神メリア様が飛び出していくのを見送りながら、俺はようやく終わったとため息を吐いた。

 

そして、俺はもう女神メリア様に嫌われてしまっただろうなと窓の外を見ながら、何とも言えない情けない気持ちになるのだった。

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