株式会社デモニックヒーローズ   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第40話『譲れない戦い』

いよいよ中学へと進学する事になった俺達だが、状況は年々悪化していた。

 

予言通りにとても強大な妖が現れる為か、町には日々妖が増え続けており、俺達はそれの退治をする為に日夜走り回る事になっていたのだ。

 

「うーん。これはやっぱり予言が正しいって事なのかもな」

 

「そうですねぇ。妖を発見した場所を地図に書きこむと……中心には例の高校があります」

 

「それで? この世界の英雄は?」

 

「まだ他の地区で異変を解決している様ですね。この街の異変には気づいていないかと」

 

「そら厄介だな。放っておくと、被害は広がるばかりだぜ? 根本をどうにかしねぇと」

 

「とは言っても、その根本もまだ表には出てきていないですからね。封印されている状態で、未だ目覚めてはいないという事でしょう?」

 

「めんどくせぇなぁ。その封印の上から封印ってな感じに出来ないのか?」

 

「そう上手くはいかないだろう。封印自体は結構繊細な力みたいだし。俺達が余計な事をすると、封印が壊れる可能性もある」

 

「現状どうにも出来ない以上、僕達がこの妖と戦う事が出来るのも予言通り5年後なんだろうと思うよ」

 

「そうだなぁ」

 

「だぁー! 落ち着かねぇなぁ! すぐ傍にヤバい奴がいるってのに、何も出来ないってのがこんなにイライラするなんてな!」

 

「まぁ、チャーリーは待ち伏せとか苦手だもんな。ほれ、この世界を割と楽しんでるんだからさ。一度敵の事は忘れてのんびりしろよ」

 

「そうは言うけどよ。どうも気になっちまうんだよな。ソイツが目覚めたら世界がとんでもない事になっちまうってのはさ」

 

「まぁ、確かにね。僕も気にはなるよ。逸る気持ちもある」

 

俺とハリーは顔を見合わせながら、しょうがないと頷きあう。

 

第三異世界課は、アーサーチャーリーがせっかち派で、俺とハリーがじっくり準備をしたい派で別れている。

 

だから、たまにこうやって意見がぶつかる事があり、そういう時は大体ハリーが客観的に判断して意見を出してくれるのだ。

 

「しかし現実問題として、ここで我々が強行解決してもスポンサーは納得しませんよ。やはりこの世界の英雄でなくては」

 

「そういえばその問題があったな」

 

「歯がゆいが、仕方ないか」

 

「まぁ、大量発生している奴らは俺らが何とかしていけば良いだろ。現状はそのまま維持って事で」

 

とりあえず場を終わらせ、俺達は今日の会議を終わらせるのだった。

 

そして、翌日からまた学校へと通う。

 

 

 

学校への道をいつもの四人で歩きながら、昨日の話の続きとばかりにチャーリーが愚痴る。

 

「しかし、待てって言われてもなぁ」

 

「何かやりたい事は無いのか?」

 

「何もねぇ! 訳じゃ無いが……張り合いが無くてな。俺らはこの世界に来るのに、身体能力上げてるし。ズルしてるみたいで気持ちも微妙だしな」

 

「じゃあアーサーと戦えば良いだろ」

 

「……!」

 

俺の言葉にチャーリーが驚き、目を見開いた。

 

そんなに驚く様な事を言った覚えは無いが。

 

「なんだよ」

 

「いや、そう言えばそれがあったなと思ってな。意外と思いつかないモンだ」

 

「僕は構わないよ。ただ、僕は中学でもバスケットをやるつもりだけど」

 

「良いぜ。どうせならハンデがある方が燃えるからな」

 

「もう勝ったつもりか? まだ早いぞ、チャーリー」

 

おぉ……燃えている。

 

アーサーは基本的に誰かと競い合うという行為をしないから、こういう場面は非常に貴重である。

 

「これで少しは気が晴れてくれれば良いですが」

 

「そうだなぁ」

 

俺は笑いながら睨み合うという器用な事をしている二人を見ながら呟いた。

 

そして、折角なので、俺もハリーを誘ってバスケットを始めるのだった。

 

とは言ってもだ。チャーリーやアーサーとは違い、俺は本気を出すつもりは……。

 

「なんだ。タツヤとハリーもバスケか。なら勝負しようぜ。勝負」

 

「悪いが、俺は勝負事に興味は無いんだ」

 

「なんだ? 逃げるのか?」

 

「安い挑発に乗るつもりは無いぞ。俺はあまり目立ちたくないんだ」

 

「そうか。そいつは残念だぜ。お前が勝ったら昼の食堂で絶品コロッケパンを買ってきてやろうと思ったのにな」

 

「勝負はどうやるんだ? 1 on 1か?」

 

「タツヤ!? 安い挑発には乗らないのでは!?」

 

「ハリー。男には逃げられない勝負もあるんだ」

 

「いやいやいや、たかがパン一つですけど!?」

 

「たかがパン一つじゃない。絶品コロッケパンだッ! よし。アーサー! チャーリー。パンは最終的に買った奴が一人だけ食べられるルールにしようぜ」

 

「……良いよ。望むところだ」

 

「その方が燃えるってモンだぜ!」

 

勝負は総当たりで、バスケコートを半分だけ借りて行う。

 

攻め手と守り手で別れ、攻め手はボールを奪われたり、コート外へ弾かれたら終わり。

 

ゴールへ入れた数を競う単純な物だ。

 

勢いで始まった俺達の戦いだが、気が付けば大勢の観衆が集まっており、俺達のプレーを見ている。

 

「まずは俺とタツヤだな」

 

「あぁ、良いぜ」

 

俺はチャーリーが相手という事で、一切の遠慮もなく全力の全力で挑む。

 

一歩目から最高速で、ドリブルをしながらチャーリーの隣を駆け抜けた。

 

が、当然チャーリーは俺の動きに反応しており、俺に向かって手を伸ばしている。

 

「捕まえたぜ!! タツヤ!!」

 

「あぁ、そうだな」

 

「ん?」

 

「俺を捕まえるっていうルールじゃないぜ。チャーリー。試合はボールをゴールに入れる事だ」

 

「っ! まさか!?」

 

チャーリーは俺から手を離し、空を見て、俺が空中に投げたボールに視線を向ける。

 

が、遅い!!

 

俺はチャーリーの体を足場にして、空に飛ぶと、空中でボールを掴んで、ゴールに向かって投げ込むのだった。

 

「くっ!」

 

それからチャーリーの攻撃を軽く流し、俺は勝負に勝利した。

 

そして、水分補給をしながら、観客であるハリーの隣に座る。

 

「ふっ、まずは一勝だな」

 

「自重するという言葉はどこへ行ったんですか?」

 

「勝負で手を抜くのは相手に失礼だよ」

 

「物は言いようですね」

 

俺は騒がしい後ろにいる観客を無視して、アーサーの動きを見た。

 

アーサーは酷く堅実に人間離れした動きをしながら、チャーリーへと迫るが、チャーリーはルールを完全に把握し、ゴールとボールだけに意識を向けている。

 

結果。ボールは奪われてしまった。

 

そして、続くチャーリーの攻撃も、チャーリーは自分の力を前面に押し出し、力技でゴールを奪い取っていた。

 

「アーサーは追い込まれましたね」

 

「……どうかな」

 

俺は立ち上がりながら、アーサーに休むか聞くが、アーサーは汗を流したままイケメンスマイルで首を横に振る。

 

ならば、と俺は全力でアーサーへと挑むのだった。

 

まずはアーサーの攻撃だが、ボールをドリブルしながら、アーサーは深く呼吸をしており、その姿は隙だらけに見える。

 

そこで俺はそのまま取ってしまおうと、前へ踏み出した。

 

その瞬間、アーサーはボールを持って遠距離からのシュートをするのだった。

 

体勢を崩していた俺はそれを止める事が出来ず、ボールはあっさりとゴールを通過する。

 

「……っ」

 

「ふふ。僕の勝ちだね」

 

「まだ俺の攻撃があるぞ」

 

「分かってるさ」

 

不敵に笑うアーサーに俺は高速ドリブルで仕掛けるが、アーサーは無理に俺を追わず、一定の距離を保ったまま俺の動きをジッと見ている。

 

隙が出来るのを待っているのだろう。

 

実に厄介な立ち振る舞いだ。流石はアーサーと言うべきか。こんな状況でも冷静である。

 

あえて挑発する様に一歩近づいて見ても、アーサーは動かない。

 

本気で抜こうとすると、目つきを変えて、俺のボールへと手を伸ばすアーサーに俺は汗を流しながら、笑う。

 

「……少しは手加減しろ」

 

「手を抜くのは失礼だろ?」

 

「あぁ……そうだな!!」

 

俺は覚悟を決めて、駆け出した。

 

そして、アーサーの前で反転しながら、方向を変え、ゴールへと一気に走る……様に見せかけて、その場で飛んだ。

 

完全に意表を突かれた筈だ。

 

俺は勝利を確信して……。

 

「やっぱりタツヤなら、そうすると思ったよ」

 

「なっ!?」

 

ボールを弾かれ、俺は敗北してしまうのだった。

 

俺はコートに寝ころび、悔しさを吐き出した。

 

「ぐあー! 負けた!」

 

そして、結局絶品コロッケパンは三人で割って食べる事となるのだった。

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