「めっちゃ感想来てる!?」
ビビりました。何もかんも咲さんが可愛いのが悪い……
いや、読んでくださってありがとうございます。今回はぶっちゃけ繋ぎのような微笑ましいストーリー寄りですが、少し原作と違う箇所もあるので、読むのが面倒な方は後書きだけでもご覧下さい。
因みに、二日前
友人「二次小説で原作まんまの部分があったらパクりになるからな」
ヤメロイド「ふーん。その基準は?」
友人「いや、知らんし。通報されたら終わりじゃね?」
ヤメロイド「……よし。俺はオリジナルストーリーを作る!」
という流れがあったのですが、気にしない。
長野県某所、長い坂道を上がったところに清澄高校はあった。公立高校ではあるが、設備などがしっかりしているので案外人気が高かったりする。
入学式が終わった後、ギリギリの成績で合格を勝ち取った須賀京太郎は自分の教室で中学時代の友人であり、命の恩人である咲に話しかけた。
「いやー、名前を書き忘れたときはもうダメだと思ったぜ」
「……落ちれば助かるのに」
ざわ……
「ん?なんかいったか、咲」
「へっ?何も言ってないよ」
なんか一瞬咲の顎が尖ったように見えたが気のせいだった。そうに違いない。
「咲はもう部活とか決めたのか?」
「ううん、まだ。京ちゃんはもう決めたの?」
「ああ、麻雀部に入ろうと思ってるんだ。咲はどうする?一緒に入るか?」
その言葉に、咲は苦笑いを浮かべた。
「いや、私はいいよ。のんびりお爺ちゃん達と打つ方が好きだし」
あれから七年の年月が流れた。その間に咲は色々なことを経験し、強くなっていた。心も、麻雀も。
--三流になろう。まだお爺ちゃん達には及ばないけど、誰よりも熱い三流になるんだっ……!
今の咲はある種の境地に達していた。無欲、というわけではない。結果に対して無欲になれていた。
--大切なのは動くこと。それを赤木おじちゃんや、お爺ちゃんに教えてもらった。だから、もう迷わない。自分を捨てない。
咲は一つの決意をした。姉が自分から離れていくならそれでもいい。ただ、そんなことを言い訳に殻に閉じこもらない。
だから幼なじみの京太郎の言葉にも自分の言葉を返した。
「私はまだまだ弱いから」
……盛大な勘違いをして。
さっき咲は「のんびりと」なんて言ったが、咲が麻雀を打っているのは基本的に全員裏プロばかりだ。しかも全力で勝ちにきている。最近では原田クラスの男がラスを食らうこともある状況で「のんびり」なんて言葉が使えるのはある意味で咲くらいだった。
しかし、そんなことは咲も、ましてや京太郎も知る由はない。「そっか……」と言ったきり、その話題は終わってしまった。恋愛フラグなど立ちません。
立ちません。重要なことなのでry
※
事が起きたのは、その日の放課後だった。いつものように学校の食堂で宿題をやっていたときのことだ。
「あ、サッキーだ」
目の前に見知らぬブロンズヘアーの女子生徒がいた。ピンクじゃ……ない!?
「えっと……大星さん?」
咲は頭の中から今日の出来事を思い出す。直ぐに思い出した。大星淡。たまたま席が隣になっただけで特別接点は無かった。咲が一方的に綺麗な髪だなと思って名前を覚えていただけだ。
「ピンクなんて居なかったんだ……」
「何の話?」
「いや、原村がどうのこうのって」
「ハラ……ムラ?」
何やら電波を受信する咲。どうやら何かズレた所が有ったらしい。ま、わっかんね~けど。
……因みに、原村さんは何事も無かったかのように阿知賀に進学していたりする。
しかしそんな咲を見て、淡は面白いものを見つけたような子供の顔をした。
「一人で何してるの~」何とも間の抜けたような声で話しかけてくる。
「宿題。家でやるのは面倒だからここでやってるの」
「うわっ真面目さんだ」
「いやいや、真面目だからやるんじゃなくて怠け者だからやるんだよ」
「じゃあ中学時代は朝のホームルームで片付けてきた私はスーパー真面目さんだ!」
「いや普通にしなよ」
そこからは窓に打ち付けられる雨の音を聞きながら二人で時間を潰した。なんでも淡は東京に住んでいたらしいのだが、長野に行けば「神域の男」に会えるという信憑性零の噂を聞いて……白糸台の推薦を蹴って来たらしい。おい、長野はどこに戦争仕掛ける気だ!?
まあそんな身の上話をしていたが、いつの間にか話の行き着く先は神に定められたように麻雀になった。
「それにしても麻雀部が見つからなくてさ~」
「え、淡ちゃんも麻雀やるんだ」
「『も』て言うのは、咲も?」
「あー、うん。お爺ちゃん達と軽く打つくらいだけど」
繰り返すようだが、咲が打っている相手は全力の裏プロばかりである。「いやー、室田さんも強かったよ」とは咲の談。しかし、淡の中のイメージでは孫と老人会のみんなが和気あいあいと卓を囲んでいる様子しか浮かんでこなかった。結果、咲の評価を間違えてしまった。これ伏線。
「ふーん。まあ初心者じゃないんだ」
「えへへ。結構ラスをくっちゃうこともあるけど」
嘘ではない、嘘では。卓に神域の男がいるということや、たまに差し馬を握る形での勝負もしているということを言っていないだけだ。幸か不幸か、咲は相手の素性も自分の実力も知らないでいた。
(話を聞く限りでは弱そうだけど、確かここの麻雀部、人数がカツカツじゃなかったっけ……)
何やら悪い笑みを浮かべる淡。
「サッキー」
「ん?」
「麻雀部入らない?」
「ぶっ」
思わずむせてしまう。
「話聞いてた?私弱いよ?」
「大丈夫、高校百年生の実力を持つ淡ちゃんが教えてしんぜよう!」
えっへんと断崖絶壁の胸を張り--
「ああん?」
……グラマスな胸を張り、咲の手を握る淡。
「……そうだね。たまには同世代の人と打ってみるのも面白いかも」
いつの間にか咲もその気になっていた。しかし、そうと決まっても思い通りにはいかないわけで……
「で、話は戻るけど麻雀部はどこ?」
「さあ……」
話は次に持ち越しとさ。
その日の夜。
「イーピン……!ワシのイーピン……!どこじゃ……!」
「やかましい!さっさとツモらんかい!」
「ワシズ、もっと綺麗に打てないのか?……ポン!」
「まあまあ、抑えて抑えて」
……化け物共の宴が繰り広げられていた。昭和の怪物、鷲巣巌。現役最強の代打ち、原田克美。神域の男、赤木しげる。そして、宮永咲。いずれも麻雀の腕は怪物レベルの傑物ばかりだった。
「落ち着いていられるかいな!咲お手製のたこ焼きが懸かってんやで!」
「曲げられねえな、今日の夕食はっ……!咲のフグチリは譲れねえんだよ」
「バカを言え、健康重視の野菜料理に決まっとろうがっ……!咲に万が一があったら……!」
いずれも最高レベルの雀士たちである。今は孫を溺愛する中高年の集まりに見えなくもないが、これでも現代の魔物達である。……本当ですよ?
「まあまあ……」
三人を宥めながら、咲は今一番危険な対面、つまり鷲巣の河を確認する。
(一、二巡はソウズ対子落とし……その後、東、南を落としての打八ピンリーチ。待ちは解らないけど、多分下に寄っての門清多面待ちかな……嘘でしょ?)
まだ四巡目なのに清一多面待ちとか人間技では無かった。時刻は回って八時半。今日は鷲巣の他に赤木、原田も卓についていた。東3が終わってトップは鷲巣。二位に赤木。三位にやっと咲がいた。親は鷲巣。しかし、鷲巣や原田は勿論、赤木さえも今の咲を侮っていなかった。今の咲は一枚のツモで状況をひっくり返す。
「おっと……カン」
「おいおい、ドラ西を暗カンか……」
流石に赤木も冷や汗が流れる。と言うのも、
「ツモ。嶺上開花、ドラ四。2000.4000」
ほぼ確実に嶺上開花であがるから。しかしその程度では誰も動揺しない。
「リー棒入れて9000だから……」
「ギリギリ逆転には届かないな」
「……ワシの六面待ちがカン二萬に負けるか」
がっくり肩を落としながら、牌を自動卓に落とす鷲巣。少し苦笑いしながら咲は話題を切り出した。
「そういえばお爺ちゃん達も子供の頃は部活とかに入っていたの?」
その言葉に顔を上げたのは、意外にも赤木だった。
「いや、俺はそもそも学校自体殆ど通ってなかったからな。なんだ、咲は部活に入るのか?」
「友達に麻雀部に入らないかって誘われてて」
「ふーん、まあやれば良いんじゃねえのか。確かお前の姉ちゃんもどっかの高校で麻雀やってんだろ?」
理牌しながら会話する二人。もう何年もやってきた動作のようで淀みは無い。
「鷲巣はどうなんだ?大学まで行ったのはお前くらいだろ?」
「ワシの学校生活を話しても無駄じゃろう。戦前の話じゃからな」
お前は何歳なんだと突っ込みたくなるが、敢えてスルー。そういうものなのです。
「まあ、ワイも赤木に賛成や。したいことを存分にするとええがな」
そして始まる東4。親は原田。そして
「おっと、ツモだ。リーピン一発、純チャンリャンペーコー」
「んなアホな!?」
親っ被りで流される原田。
結局、その半荘は赤木トップで終わり、晩御飯は咲のフグチリとフグ鍋になった。
次の日の放課後、淡と咲の二人は京太郎に連れられて部室に向かった。
「ふーん、だったら俺に電話すれば直ぐに迎えに行ってやったのに」
「京ちゃん、私が携帯持ってないの知ってて言ってる?」
「いや、今時の高校生なら携帯くらい持ってるっしょ。大星もそう思うだろ?」
「何これ、ずっこい!」
「大星さあああぁぁぁぁん!?」
そこには京太郎の携帯をいじくり回す淡の姿があった。
そんなこんなあって旧校舎に。途中咲が迷子になったり、京太郎の携帯が旅だったりと微笑ましいエピソードも有ったのだがカット。
「部長ー、新入部員候補連れて来ましたよ」
扉を開けて入る京太郎。それに続けて入る淡。瞬間、その目が輝いた。
「何ここ!本当に旧校舎?」
淡が驚くのも無理はなかった。使われていない筈の旧校舎に、なぜか電気や水道まで通っているのだ。
「ええ、間違いなく旧校舎よ」
そのとき、よく通る声が部屋の奥から聞こえてきた。見ると、髪の長い女子生徒がベッドの中でムクムクと起き上がっていた。
「あ、生徒会長だ」
「生徒議会長ね……ようこそ、麻雀部へ。部長の竹井久よ」
清澄魔窟化計画進行中
大星淡in長野
タグにあわあわの名前があった時点で何か感づいた方もいましたが……あわあわまさかの長野入り。決してのどっちの闘牌書くの面倒くさいからダブリーで一発解決してくれるあわあわを入れた訳じゃありませんよ?(目そらし)
ただ、あわあわが好きな身としては、淡がカタカタする姿は書けなさそうなので……許せ、のどっち。