お前もニフってる?   作:HLNF会長

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八か月エタった作者による前回までのかんたんなあらすじ

ハリーのペットになった転生ニフラーのロミオは、ホグワーツ入学早々大忙し!
ピーター・ペティグリューを告発して一躍人気者になったけど、普通にみんな(ダンブルドア)に疑いの目を向けられているよ!
一年生が終わるまであと半年、ハリーは賢者の石について何も勘付いていないし、クィレルとルシウス・マルフォイは怪し動きをしているしで大ピンチだ!
そこで、ロミオはとある名案を思い付いたよ!



第十八話 アルセーヌ・ロミオの完璧な計画

 

 イギリスの伝説的登山家曰く。人はなぜ山に登るのか———そこに山があるからだ。

 イギリスの伝説的ニフラー曰く。ニフラーはなぜ金ピカを盗むのか———そこに金ピカがあるからだ。

 

 ホグワーツの眠れる金色の獅子、もといロミオ、名を改めてアルセーヌ・ロミオには完璧と自負出来る計画があった。これに関しては誰にも目論見がバレることはないだろうという、完全な確信がそこにはあった。あたりが静まり返った晩冬の夜、暖炉の光が照らす談話室の机の上で考え抜くこと二十二分。ニフラーとしてはギフテッドを名乗れる集中力である。

 

 アルセーヌ・ロミオは足元に散らばった”華麗なる設計図”をたいへんもったいぶった動きでかき集め、両手ぱんぱんに抱え込み、一旦こちらにカメラ目線をよこした後、グワッグワッグワッと笑いながら漆黒のシルクハットを目深に被りなおそうとして、両手が塞がっていたため諦めた。稀代の大怪盗による作戦会議は今、幕を閉じたのである。

 

 そして、怪盗然としたマントを翻しながら男子寮の階段を上っていくアルセーヌ・ロミオを、同じく談話室の机で魔法薬学の課題をこなしていたハリーとロンがあからさまに怪訝な表情で見つめていた。

 アルセーヌ・ロミオの通った後にはまるで童話のように紙がひらひらと舞い上がっていた。あの調子では彼がトランクの巣に収まるころには”華麗なる設計図”のほとんどが行方不明になっているはずだ。

 ハリーは飼い主としての責任を果たすため重い腰を上げ、彼が一番初めに落としていったページを拾い上げた。ロンものぞき込む。二人の顔色が真っ青に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「マクゴナガル先生、大変です!!!」」」

 

 ホグワーツの法律ことミネルバ・マクゴナガルは、ホグワーツの現役問題児である三人が揃いも揃って教壇に乗り込んできたため、眉を顰めて彼らの顔を順々に見据えた。

 

「またなにかやらかしたわけではないでしょうね?」

「やらかしてません!」

 

 ロンが心外だ、という風に叫んだ。

 ハーマイオニーは、やらかすだなんて、と顔を真っ赤にして憤慨した。

 

「言っておきますが、あなたたち以上の問題児なんて、今のグリフィンドールには———いませんよ」

 

 一瞬赤毛の二人組が肩を組みあってケタケタ笑っているのが脳裏に思い起こされたが、入学早々のトロールの一件と心の中で天秤にかけ、ギリギリハリーら三人組がベストオブ問題児であると主張できると判断し、マクゴナガルはぴしゃりと告げた。

 

「先生、ロミオのことです」

「なるほど」

 

 瞬時にマクゴナガルの中でのランキングがぐるりと入れ替わった。堂々の第一位、凱旋である。

 ペティグリュー引き渡しにはじまり、大広間ポップコーン積雪事件、ダンブルドア寝巻消失事件、壁掛け絵画167枚落下事件、動く階段一斉停止事件すべての主犯格であり、挙句の果てに暴れ柳をストレスで例年より二週間早く枯らしたとまことしやかに噂されている極悪ニフラーである。

 本人に悪意は全くないばかりか、やらかしたことも特に気に留めず一週間ほどでサッパリ忘れ去る性質である。スネイプが第一発見者であった場合ロミオなど大気圏の外側に放り出されそうな所業の数々であったが、すべてアーガス・フィルチをはじめとするニフラー信奉者達の手によって隠蔽又は処理されていた。

 

「このホグワーツには……宝石が隠されていますよね? ジャ、ジャガイモに似た……ロミオがそれを盗もうとしてるんです」

 

 マクゴナガルはハーマイオニーを凝視した。いま、なんて———なんて? あまりにもばかばかしいことを口にしている自覚があるのか、ハーマイオニーは顔を真っ赤にしていた。ハリーとロンもむずむずと口を動かしながら顔を赤くしていた。

 

「ロミオがそう説明していたんです。四階の部屋の、三つの頭の化け物のいる部屋の下に……」

()()()()()() い()()()()()()()()()()()()()()

 

 マクゴナガルの纏う雰囲気ががらりと変わったのをハリーたちは感じ取った。どうやらそれはかなり貴重で、マクゴナガルがそれを奪われることを恐れていることも……。そして、それはおそらくジャガイモ似ではないことも。考えればわかることだった。重要じゃないものだったら、三つ頭の猛犬に守らせ、四階の廊下を封鎖するはずがない。

 

「ロミオはやるつもりですよ。絶対場所を移したほうがいいです。奴はいざとなれば水道管を伝ってこの城のどこにでも行けます」

 

 熟年の名探偵のような真剣な眼差しでロンが忠告すると、マクゴナガルははっと我に返った。

 

「まさか。ニフラーに出し抜かれるような警備はしていませんし……あなたたちも! この件にはこれ以上関わってはいけません」

「でも!」

「でももヘチマもありません! そんなに心配ならばあなたたちがロミオを止めればいいでしょう!」

 

 マクゴナガルがそう捲し立てたちょうどその時、ハーマイオニーが何かに気が付いたように横を———廊下のほうを振り向いた。つられるようにマクゴナガルらも顔を向ける。シルクハット、マント、最近取り入れたモノクルと杖を装備したロミオが平然としてすたすたと歩いていた。

 

「あれを止められるとお思いで……?」

 

 ロンがぼやいたその言葉に、マクゴナガルは何も反論できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ごきげんよう諸君。我輩の名前はアルセーヌ・ロミオである。

 ファーストネーム入れ替えるならロミオ・ルパンじゃね、などと言ってはいけない。語感の問題である。

 我輩の今回の獲物(ターゲット)は賢者の石。錬金術師の権威、ニコラス・フラメルとかいうヤツが作ったなんかスゲー石である。

 諸君らが一番気になっているのは、我輩の犯行動機———「なぜ盗むのか」であろう。ウンウン、まだ予想ついてねえよな。こんなクレバーな作戦を考えるのは並大抵の奴じゃ不可能だ。今から俺が説明してやろう。

 

 まず、ハリーたちがスネイプ、もといクィレルの犯行を止めるようにするためには、多くのフラグ回収が必要だ。ぶっちゃけ全部俺がお膳立てしてやろーかとも思ったが、めんどくさそうなのでやめた。あとただ単に順番とか覚えらんない。俺って怒られたときの言い訳のつじつま合わせとか時系列ごっちゃになって失敗するタイプなんだよね。

 

 と、いうわけで。発想の転換である。

 スネイプ(クィレル)犯人の筋書きを描けないなら、()()犯人の筋書きを書けばいい! 鬼ごっこでも、隠れてるやつじゃなくて、目の前で走ってる奴いたらとりあえずそいつ追いかけるだろ? そういうことだ。まどろっこしいのは嫌いなんだぜ。

 と、いうわけで見るからに怪しい俺のことをハリーたちにはじゅ~ぶんに調べてもらって、その間にスネイプ(クィレル)も賢者の石を狙ってる! ってことに気が付いてくれれば万々歳だ。

 怪盗なりきりセット用意してこんなに怪しくしているのにハリー以外の奴らは「はいはいロミオの通常運転ね」ってスルーしてくるのはあんまり腑に落ちねーけど。俺のことなんだと思ってるんだ。

 

 しかしハリーら三人とは別に、もう一人俺のことを疑っている人間がいる。こんなに人畜無害な生き物なのに、俺から目を離したらホグワーツ城がハジケ飛ぶとでも思っているのか、俺の一挙手一投足を常に監視してくる疑り深いやつだ。

 ここまでの描写でもうお分かりだろう。只今絶賛俺のうなじの肉を引っ掴んで持ち上げているセブルス・スネイプその人である。

 

「そんな恰好で何をするつもりだ」

 

 イタイイタイイタイ。うなじの肉を引っ掴んでいる手にギリギリと力が入っている。あんま痛覚がないとはいえ度を超すと痛いぜ。

 周りを見回すと、人通りのない廊下だからかニフラー一匹いない。場所は選んでいるらしい。ニフラーを激詰めする魔法薬学教授なんてホグワーツいちのゴシップになること間違いなしだからな。

 

 そんなこんなで考え事をしていると、眉間に深い谷を築いたスネイプが俺に顔を近づけてじっと睨んできた。()()ブチギレである。

 しかし考えてもみてほしい。俺ってニフラーだぜ。いくら睨まれたってね、喋れないから質問には答えらんないの。

 わたわたと手足を動かしてもテコでも離してくれなさそうなので、諦めてぶらーんとしている俺にスネイプはギリギリと歯を食いしばっている。

 

「……どこまで知っている?」

 

 いや、だからね。話せないの、俺。話せないから離してよ———なんて、うまいこと言っちゃった、俺(てへぺろ)

 しかしスネイプは本気らしい。こないだ九月からの膨大な宿題をまとめて提出したから、ニフラーだってこと忘れられてるのかしら。

 てか、そもそも俺ってスネイプに何だと思われてる? 初っ端ペティグリュー提出したけど、クィレルの手先だって疑われたりしてるのかな。ううむ、わからん。

 

「ど、ど、どうしたんですか? ス、スネイプ先生」

 

 突如として離れた場所から声が聞こえた。おっと、この特徴的な声は。

 スネイプと俺がバッとそちらのほうを振り向くと、廊下の角からクィレルが歩いてきていた。身体の前で手をもじもじと揉みながら、しかし隙のない歩き方だ。俺を掴むスネイプの手が若干強張ったのを感じた。流石というべきか、動揺は一切表情に出ていないが。

 

 まあそういうの見逃してくれる相手じゃねえもんな。だから俺、ホグワーツ来てからクィレルとは絡んでない。色々隠し通せる気がしねー。接するとしてもマクゴナガルがいるときだけだ。怪しまれねーようにクィレル以外にも「絡んでない先生」を作るため、接触をあえてしていない先生もいっぱいいる。

 な? これでも俺、結構色々考えてんだぜ。シリウスの時に懲りたんだ。

 

「ポ、ポッターのニフラーですね」

 

 スネイプの横に立ったクィレルが俺を覗き込んだ。そこで初めて俺はクィレルと目が合った。普通の眼差しを装っているが、瞳孔が開いている。興味津々という感じだ。

 

 うん、まともな人間じゃないな。“目”っていうか、“目玉”って感じだ。

 

 ニフラーの生存本能が暴れだしたのか、背中の毛が寒気でぶわっと逆立った。俺ってつくづく嘘がつけねえな!

 そんなことを考えていたら、スネイプが俺を掴んでいた手を不意にパッと離した。俺はシルクハットを手で押さえながら急いで体勢を整え、地面に着地する。

 

「まだ出していない宿題について尋ねていましてな。明日までに提出しないなら教室から追い出してやろうかと」

 

 スネイプがこちらをジロリと睨んだ。「行け」ってことだ。どうやら逃がしてくれるらしい。お言葉に甘えさせてもらうぜ! 逃げるんだもんね~!!!

 

 俺はマントを翻しながらすたこらさっさとその場を立ち去った。スネイプとクィレルがそのあとどんな会話をしたのかは分からないが、スネイプのことだし上手くやってくれているだろう。

 

 

 ちなみに、俺はその場から立ち去るとき、一度だけスネイプたちのほうを振り返った。ずいぶん離れたからいいかなーと思ったんだが。

 クィレルが俺をじっと見つめていた。俺とバチバチに目が合っていたのに、視線を逸らす素振りすらしなかった。

 先に目を逸らしたら負けかなと思って俺も意地で振り返りながら走ってたんだが、それからすぐおもいっきり柱に激突したので、よいこのみんなは前を見て走ろうな。稀代の大怪盗アルセーヌ・ロミオとの約束だぜ。

 

 

 




支部で神☆二次創作を読んでしまったため、絶対に時間がないはずなのに続編を書いてしまいました。リーマス・ルーピンとアルバス・ダンブルドアの良質な夢小説がこの地球上に増え続ければ、恐らくこのシリーズは完結できる。

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切実に燃料をください。エタる確率が低くなります。沢山の感想ありがとうございます。感想をください。私の主食です。
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