お前もニフってる?   作:HLNF会長

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第二十話 大人げない大人たち②

 

 

 史上稀にみる早さでハリーがスニッチを捕らえた。

 

 お祭り騒ぎになっているグリフィンドールの大歓声を尻目に、ハリーはチェイサーたちに揉みくちゃにされながら、繊細で幾何学的な翼をふよふよときらめかせて大人しくしている手元のスニッチを熱い眼差しで眺めていた。視界の端で顔を土気色にしたスネイプが苦々しく舌打ちをしている。ハリーがふと来賓席の方を見ると、ダンブルドアが穏やかな目をしながら一番上の段でゆっくりと拍手をしていた。

 そこでふと、ハリーの思考が別の方向へ跳ねた。

 

 そういえば、シリウスはどうしてるだろう?

 

 ハリーが先ほどまでシリウスのいた場所を視線で探すと、シリウスは変わらずそこにいた。手すりに身をもたれさせ、群衆には目もくれず、ただ真っ直ぐにハリーをじっと見ている。ハリーは無意識に手を振りかけて、わずかに躊躇した。小さく息をつき、何気なく視線を逸らす。そして、指先に挟んだスニッチを返すため、少し離れた場所にいるマダム・フーチの方へ歩き始めた。

 少しばかり歩いたところで、景色を見るふりをしてそっとシリウスを視界の端で盗み見ると、シリウスは変わらずハリーの背を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ホグワーツ城の聳え立つ小高い丘の麓には、一面に広がる暗黒の森がある。鬱蒼とした木々が幾重にも枝を絡ませ、真昼でさえ光を拒むように薄闇が沈殿していた。その森を、ホグワーツの生徒たちは禁じられた森と呼ぶ。

 

 禁じられたと名を冠するだけあって、森には多くの危険生物が息を潜めている。人狼がいるなんて噂が立ち始めたのはリーマス・ルーピンのせいだったが……それほどの環境を独りで維持し制御しているのは、ひとえにハグリッドの手腕あってこそだろう。

 

 クィディッチ場から少し離れたあたり。森と草原が溶け合う境目に、シリウスはひっそりと佇んでいた。ブナの幹にもたれ、退屈を紛らわすように手元の杖を弄んでいる。指先を見つめる眼差しは虚ろで、口は堅く引き結ばれていた。

 背後で小枝の折れる音がした。シリウスは反射的に振り返り、緊張にわずかに肩を強ばらせる。だが、その人物の顔を目にした途端、険しい面持ちは綻び、柔らかい笑みが溢れた。

 

「ハリー」

「シリウス、なにやってるの?」

「ん? あー、ふとジェームズのことを思い出して感傷に耽っていたのさ。久しぶりにこちらの方に来たから、学生時代の記憶が蘇ってきてね」

 

 シリウスがそう言って肩を竦ませると、そう、とハリーは呟いた。それがどうにもそっけないような感じだったので、シリウスは何かまずいことを言ったかと内心ひやりと汗をかいた。

 

「そういえば、今日の試合だ」

 

 シリウスは急き立てられるように続けざまに口を開いた。

 

「いい箒捌きだったぞ、ハリー。あれほど見事な動きはそうそうできるものじゃない。何か欲しいものがあるなら言ってごらん。ご褒美に買ってあげよう」

 

 唐突に距離を詰めるような声音に、ハリーはわずかに目を瞬かせた。

 

「いや、いいよ! シリウスにはもう十分すぎるくらいもらってるから」

 

 身を乗り出さんばかりにしているシリウスに、ハリーは目を丸くしながら首を横に振った。その否定は決して強くはないが、真剣で、戸惑いの色を滲ませていた。そして今度はハリーが気まずくなる番だった。ハリーはなんとか何かを絞り出そうとして、脳裏の引き出しを慌ただしく探り、手近にあった別の話題を思い至った。

 

「そういえばシリウス、“ニコラス・フラメル”って知ってる?」

「ニコラス・フラメルだって? もちろんだとも。歴史に名を遺した──いや、遺すことになる有名な錬金術師だ」

「どんなことをしたの?」

 

 真正面から向けられた視線に、シリウスはわずかに目を細めた。

 ハリーの表情は冗談を挟む余地もないほど真面目で、シリウスの反応を待っていた。

 

「……一番有名なモノでいうと、賢者の石の生成だろうな」

「賢者の石って?」

「知ってどうする。授業の課題か?」

 

 キョトンとした顔のシリウスに疑問を疑問で打ち返されて、ハリーはぐっと言葉に詰まった。一拍置いてから、強気を装って返す。

 

「……そうだけど?」

 

 自分の声が思ったより強かったのに気づいたのか、ハリーは少しだけうしろめたい顔をした。

 それが可笑しかったのか、シリウスはいつもの調子で口角を上げた。

 

「それくらい自分で調べなさい。ズルは自分のためにならないぞ」

 

 挑発するような言葉にハリーは一瞬むっとしかけたが、まあ“賢者の石”という単語が聞けただけでも収穫だ、と思い直した。分かった、とお行儀よく言い返すと、シリウスは愛おしいものを見るような目でハリーの頭をわしゃわしゃとかきまぜた。そしてそのまま視線をハリーの背後へちらりと送った。

 

「さあ、ミスター・MVP。チームメイトが呼んでるぞ。早く行ってあげなさい」

 

 後ろを振り向くと、満面の笑みで飛び上がるようにスキップするオリバー・ウッドと、それに呆れ果てながらハリーに向かって手招きをするアンジェリーナの姿があった。

 

「あ……じゃあ行くね」

 

 シリウスに視線を戻したハリーは、小さく微笑むと、仲間のもとへ駆けていく。

 その背中が十分に遠ざかったとき、シリウスはようやく口を開いた。

 

「クィレルは脅し終わったのか?」

 

 シリウスは努めて平静を装っていた。しかしいやに平べったい冷静な声色の裏側には、ぐつぐつと沸騰する醜悪な嫌悪が匂っていた。

 彼の背後の木々の間から、禁じられた森の闇そのものを引きずり出したような黒いマント姿の男が現れた。足音はほとんどなく、ただ空気だけが冷たく震えた。

 男の表情には「忌まわしい光景を目にした」と言いたげな憤りが刻まれている。遠ざかるハリーの背に向けられていたシリウスの眼差しが刃物のように細く尖った。

 ようやく“お目当て”が姿を見せたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「お前が教師なんて、最初聞いたときは冗談かと思ったよ」

 

 静まり返った暗い森。シリウスは木の根が入り乱れる獣道をずかずかと踏みしめて進み、スネイプは数歩後方で、その背を睨みつけながら歩みを合わせていた。

 シリウスからついてくるように言われたわけではなかった。ただ、スネイプは有無を言わせない目に何かを感じ取った。そしてついてきた。逆らえば厄介なことになる。そんな直感が、スネイプの足を前へ進ませていた。

 

 どんな手段を使ったかはわからないが、シリウスはいまやダンブルドアの目さえ欺くほど鮮やかにすばやく、ホグワーツの理事の席を得ていた。確実にハリー・ポッターとその周囲へと、干渉の手を伸ばしつつある。

 アズカバンに一生投獄されていればよかったものを。

 闇の帝王以外にも厄介なものが生まれてしまった。

 

「クィレルについてなぜ私が知っているか不思議か? ダンブルドアに言われたからだ。クィレルは怪しいと。そしてこうも言われた。クィレルの尋ねた場所を調べてほしいと。闇祓いの仕事の合間を縫って、だ。イギリスからも遠く離れなければならない……」

 

 シリウスは努めて明るい声で喋っているような印象だった。スネイプは悟られぬように、懐の杖をマントの袖口に仕込ませた。

 

「つまり、私は心配なんだ。ハリーの周りによく分からない()()()がいることが、我慢ならないんだよ。ホグワーツにいる間、私はハリーのことを守れない」

 

 やがて、木々の合間が途切れ、すこしひらけた場所に出た。シリウスはひとつ息を吐いて、ゆっくりとスネイプを振り返った。顔は柔らかくしようと努めているのかもしれないが、瞳は獣のように爛々と輝いている。

 その瞬間、スネイプは内心で舌打ちをした。

 従順に従ったのは失策だったかもしれない。鎖からも人の目からも逃れた駄犬がやらかすことなどたかが知れている。

 

 数十秒にも及ぶ沈黙が続いた。

 シリウスの視線が「お前のターンだ」とスネイプに語り掛けていた。スネイプはしぶしぶ口を開いた。

 

「さすれば何故我輩を呼びつけたのですかな」

 

 シリウスは薄く笑った。

 

「お前がハリーのことをいじめていると聞いたんだ。何故だ?」

 

 そのことか、とスネイプは鼻を鳴らした。

 

「さあ? なんのことか」

 

 まともに取り合うつもりはなかった。それだけか? スネイプはシリウスの様子をじとりと伺った。シリウスは片眉をぴんと吊り上げた。

 

 

 互いに騒ぎを起こすつもりなど毛頭なかった。あれから十年以上経っているのだ。二人は大人になった。冷ややかな言葉を交わすだけだろうと思っていた。

 

 しかし、ふたつ誤算があった。

 ひとつ。シリウスはホグワーツ卒業後すぐにアズカバンへ放り込まれ、精神が十分な成熟を迎える前に記憶が立ち止まってしまっていたこと。

 そして、シリウスの怒りを孕む瞳を見た瞬間、スネイプの脳裏に鮮明に当時の記憶が蘇ってしまったこと。

 

 手榴弾のピンに、指がかけられた。

 

「死喰い人崩れのろくでなしが、なぜハリーにちょっかいを出しているんだ、と聞いているんだよ———スニベルス」

 

 引き金を引いたのがどちらかなんて、些細なことだった。

 ふたりはほとんど反射のように杖へと手を伸ばした。

 そしておそらく、どちらかが先に杖を掴んだ。そして、もう片方もそれに続いた。

 片方が抜けば、もう片方も抜く。それは十数年前から変わらない反応だった。

 

 ピンは抜かれてしまった。

 

 二人が勢いよく杖を抜き出した瞬間に、彼らがもう次に為すべきことは決まってしまっていた。

 二人の魔法使いの杖先から放たれた赤い閃光と青い閃光が、空中で華やかに追突し、森の闇に火花を散らした。

 

 

 

 

 数分間、無言呪文による鮮烈な攻撃の応酬が続いた。マントを上手く捌いて攻撃をいなしているスネイプを、シリウスは苛烈な態度に反して冷静に分析していた。衝動に任せての行動だったが、いずれこうするだろうとは思っていた。

 ハリーの件だけではない。シリウスには確かめたいことがあった。

 

 闇祓いとして数か月マッド‐アイに叩きあげられてきた思考回路が、シリウスの激情の裏側で動いていた。

 こいつ、腕が鈍っていない。

 もしも奴がダンブルドアに反旗を翻した時、誰がそれを止められるだろうか。ダンブルドアか? でももし、ダンブルドアが不在にしていたら?

 シリウスの心には、重苦しく沈殿する違和感があった。スネイプはなぜあれほどまでにダンブルドアから信頼を得ているのだろうか———。

 

 シリウスは昨年、マッド‐アイの目を盗み、闇祓いの立場を行使してウィゼンガモット大法廷の死喰い人の公判の資料を隅から隅まで洗いざらい読んだ。そこで知ったことだが、スネイプはどうやらアズカバンにぶち込まれるところをダンブルドアに庇われているらしい。

 何故あんな奴を庇ったんだ? 有用な存在かはともかく、少なくとも無防備に懐に入れておける人間ではない。

 

 そこでシリウスは、ホグワーツの理事に名を連ねることに決めた。理事会におけるマルフォイの動向も見張れるし、ハリーのクィディッチも観戦できるし、一石三鳥である。

 

 ダンブルドアを疑っているわけではないが、私も自分のやり方でハリーを守れば、ハリーを守る網目はより複雑なものになり、スネイプも動きづらくなる。けして重い一手ではないが、小さなポーン(布石)が、いつかキング(ハリー)へのチェックメイトを防げるかもしれない。自分のハリーへの溺愛具合など知られているだろうし、どうしてもクィディッチをしているハリーが見たかったとでも言えば違和感を持たれることもないだろう。

 そうシリウスは考えていた。

 

 

 シリウスが何故もこうハリーに過保護なのか。

 それは、彼にとってこれが()()()だからに過ぎない。

 あの日自分のせいで守り切れなかった親友の、二度と動かない(むくろ)の前で、シリウスは初めて神とやらに祈ったことを覚えている。

 

 もし自分が時を戻せるのなら、もっとうまくやる。どんな障害からもジェームズたちを守り、誰かが指一本触れることすら許さないようにする。自分が一番近くで守れば裏切り者など出ないはずだ。

 

 だからどうか、心臓がもう一度動き、真っ赤な血が身体を巡り、肺が胸を押し上げ、息を吹き返してほしい。もう一度瞼を開いてほしい。

 

 その日、シリウスはただ救いのないチャンスを願った。

 

 しかし十年後、それは訪れた。

 初めて相対したハリーは、かつての親友の生き写しのようだった。

 ジェームズがもう一度、瞼を開いた。

 瞼の奥にあったのはリリーによく似た緑色の聡明な瞳だったが、それすら愛おしかった。

 そしてシリウスは決めたのだ。自分のすべてを懸けてハリー(ジェームズ)を守ろうと。二度目は失敗しない、と強く心に決めて。

 

 

 

 

 

 鋭く放たれた魔法の反動を殺しきれず、シリウスは少しよろけた。スネイプはそれを見逃さなかった。冷たい色の光線を、シリウスはほとんど無意識に身体を捻じって避け、地面にごろごろと転倒した。

 

「こうすればいい!」

 

 シリウスは唐突に叫んだ。スネイプは虚を突かれたように固まった。

 

「ジェームズや私が憎いんなら、私に攻撃すればいい。なぜハリーにあたる?」

 

 シリウスはジャケットを土だらけにしながら起き上がり、スネイプを睨みつけた。スネイプも負けじと睨みつけた。

 

「ハリーがお前に何かしたか? 恨みを持つなら私だ。お前が望むなら、私はいつでも相手になろう。だが、ハリーには指一本触れるな」

「———ハリー・ポッターは父親に似て傲慢だ。英雄気取りで調子に乗り、風紀を乱している」

 

 スネイプがついに口を開いた。

 

「貴様らなど理由ではない」

 

 ゆっくりもったいぶった表情で、まるでシリウスを断頭する大きな刃を振り下ろすかのようにスネイプは告げた。スネイプは気が付いたのだ。ハリーをなじることこそが、シリウスを最も苦しめる行為なのだと。

 悪趣味な微笑みさえ浮かべたスネイプのことを睨んで、シリウスは口を開いた。

 

「しかし、ハリーは母親に似て聡明で、優しい子だ」

 

 どこか懇願するような声色の、必死の反論だった。シリウスからすると何気ない、苦し紛れの一言だった。

 

 スネイプは内心を悟られないように直ぐに言葉を紡ごうとして、自分の秘めたる感情を上塗りするために、別の感情をべっとりと唇にのせた。学生時代からの悪い癖であり、そのために最愛の人を遠ざけたのに、スネイプは未だそれに気が付かなかった。

 

「母親?」

 

 スネイプの言葉に含まれるはっきりとした侮蔑の色に、シリウスは反応した。そして、そうか、と唸るように囁いた。明らかに先ほどまでとは毛色の違う激しい怒りがシリウスの瞳に宿っていた。

 

「リリーのことを恨んでいるのか、スニベルス」

 

 スネイプがこの先の生涯、どれほど努力しても出せないような力強い声色で、シリウスは彼女の名前を叫んだ。スネイプはまずいことを口走ったと瞬時に悟った。

 

「そうか、リリーのことが憎いか。闇に落ちたお前を見捨てた人間が———お前はそれに値しただけだというのに———……リリーのことをまだ、“穢れた血”とでも思っているのか? ハリーはその穢れた女から生まれた忌み子とでも?」

 

「黙れ」

 

 スネイプは鋭く言った。スネイプ自身、よく感情を抑えられたものだと自賛するほど、その言葉は冷徹だった。そして、なんとか話題を逸らせようとスネイプは思考を唸らせて、偶然今日の試合で抱いたシリウスの弱みに思い至った。

 

「我輩にポッターをその“父親”と同一視するなと言う前に、ご自分の身の振り方を顧みられてはいかがですかな?」

 

 スネイプがそう吐き捨てた時、シリウスはガツンと思い切り殴られたように、ただ茫然としていた。スネイプはぎらりと目を光らせた。どうやらこれが奴の弱点らしいと、スネイプは気が付いたようだった。

 地に倒れたまま動けないシリウスを一瞥し、スネイプはローブを翻し背を向けて、早足で歩き出した。ざまあみろ、と心の中で吐き捨てながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 シリウスが地面に視線を落としたまま身じろぎもできずにいると、背後から短く、鼻で笑うような音がした。振り返ると、背の高い木の枝に腰を下ろしたニフラーが、目を細めてもう一度フンと鼻を鳴らした。

 

「ロミオ……」

 

 さながらお母さんとショッピングモールではぐれた迷子の声色である。ニフラーは呆れたような顔をしたあと、木の幹を器用にスルスルと滑り降り、シリウスの隣に並び立った。

 フンフンと鼻を鳴らすニフラーを見て、シリウスの胸に不思議な安心感が芽生えた。

 ———こいつなら、何とかしてくれる。そう思いたかったのかもしれない。

 

「私は、ハリーにジェームズを重ねているように見えたか?」

 

 ニフラーは腕を組み、これでもかと言わんばかりに眉を思いっきりひそめて大きく頷いた。シリウスは露骨に狼狽した。

 

「私は……ダメな父親だな。これじゃあ私の父にそっくりじゃないか」

 

 これにはロミオも目を瞬かせた。

 子どもそのものを見ようともせず、理想像だけを押し付ける親が、どれほど子を縛るか———シリウスは身をもって知っていた。

 

「私はどうすればいい?」

 

 ロミオはくちばしに手をあててしばらく考え込むと、お腹の袋から小さなインクの小瓶を取り出し、シリウスの腕を捲り、入っているタトゥーの多さに驚いたあと、なんとか見つけた余白にインクを付けた小さな指で文字を書き始めた。

 

『お前が子供の時に欲しかった父親になれば?』

 

 その一文を読んで無言になってしまったシリウスを見て、少しほっといた方がよさそうだな、とロミオはその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 まったくもーさー、揃いも揃って大人が子供みてーなことやってんじゃねーって話だよな。なんとなーくシリウスが自分と父親のこと重ねてるのに気が付いてて、それでもなんも言わないハリーの方がよっぽど大人びてるぜ。

 

 俺はホグワーツ城の、今頃お祭り騒ぎしているであろうグリフィンドール寮に戻る階段を上りながら悪態をついていた。

 

 冬にさあ、酔って「ジェームズに似てる」発言をしたシリウスをシバこうとしたことあったんだけど、ハリーに止められたんだよな。「僕といる時くらい父さんに会わせてあげてもいいんじゃない?」だってさ。

 今回の件でシリウスも懲りた……というか、心を入れ替えることだろう。スネイプについてのメンタルケアも特に必要なさそうだな。多分スネイプに俺のアニマルセラピーは効かないだろうし助かったわ。

 

 グリフィンドール寮の入口、「太った婦人」の肖像画に顔パスで入れてもらいつつ、俺は中でどんちゃん騒ぎをしている生徒の中心から、本日の主役ことハリーを見つけ出した。

 

 「あ、ロミオ! 葡萄と無花果あるよ。屋敷しもべ妖精たちが持ってきてくれたんだ」

 

 目をきらきらさせながらこちらを見るハリーになんだか心底ホッとした俺は、久しぶりにハリーの身体をするするとよじ登ると、肩に腰掛け、ハリーの頭をめいいっぱいわしゃわしゃ撫でてやった。怖い大人たちからは俺が守ってやるからな。

 

 

 それからしばらくして、図書館でコソコソとドラゴンの本を借りていったハグリッドを半目で見ながら、俺は思った。

 

 コイツが一番大人げねえじゃねえか!

 

 

 




長かった。
当社的には20代も早くから10年近くアズカバンにぶち込まれたアダルトチルドレンが精神病んでないわけないだろ、という考えです。
「ジェームズとその家族を守る」と言っておきながら、結局ジェームズが一番で唯一なので、ジェームズwith(自分的にもまあまあ大切な)家族みたいな見方しか出来なくて、ジェームズの家族である守るべきハリーもジェームズを通してしか見れない。なぜならシリウスの家庭環境はぶっ壊れており、血の繋がった家族の大切さをいまだ本心で理解出来てないから。結局お前ジェームズ(というか友達)依存だよな。
スネイプもシリウスのいちばんの共通点は、ジェームズを通してハリーのことを見ているところですね(*^^*)

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切実に燃料をください。エタる確率が低くなります。沢山の感想ありがとうございます。感想をください。私の主食です。
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