お前もニフってる?   作:HLNF会長

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第十三話  宿敵(こいびと)、現る①

 

 

 パシンッ。

 

「お願いロミオ! スネイプの研究室から毒ツル蛇の皮と、パイコーンの角を盗んできてほしいの!」

 

 時はナギニが目覚める数日前。上記のようなとんでもねえ依頼をしてきたのはハーマイオニーである。

 ちなみにこれは人間の言語じゃない。悪魔の言語だ。

 人間の言葉に翻訳したら多分「死んで来い」になるにちがいない。

 

 そう。俺はハーマイオニーに呼び出され、三階の女子トイレに来ていた。

 件の“嘆きのマートル”の住処である。

 

 薄暗い個室。どっかり据えられた大鍋の中で、どす黒い液体が不穏な音を立てながら煮えたぎっていて、視界が霞むレベルで緑色の煙がもうもうと立ち上っている。

 臭いもすごい。

 腐った靴下と廃墟のトイレと死にかけたカエルを一緒に煮込んだらこうなるんじゃないかという香りだ。

 火災警報器があったら五秒で終わっている。

 

 しかしここはホグワーツ。世界随一、最先端の魔法学校。

 そもそも火災警報器という文明の利器が存在しないので、ギリギリバレていなかった。

 俺の胡乱な視線を受けて、ハーマイオニーは胸を張る。

 

「ポリジュース薬よ」

 

 なんでドヤ顔なんだよ。普通の十二歳はそんなもん作らねーんだわ。

 未完成とはいえ、既に禍々しさが表出している。鍋の中からたまに「ぼこっ」と泡が弾けるたびに、俺の危険察知能力が全力で警鐘を鳴らしていた。

 

「ロミオなら絶対成功すると思うの」

 

 ハーマイオニーがキラキラした目で言った。

 期待する目をやめたまえ。

 悲しいかな、その目で無茶振りされると断れないんだよな~、俺。色男のサガかな。

 

 両手を合わせて懇願しているハーマイオニー。

 そして俺を挟むように個室の外にハリーとロンがしゃがんでいる。

 不思議だな、逃げられないポジショニングを取られている気がするぞ。

 

「大丈夫だよ、ロミオはすごいもん」

 

 ロンが棒読みで言った。

 ひどい大根演技だ。ルパート・グ〇ントを見習え。

 ギッと睨むと、ロンが澄んだ眼差しのまま明後日の方向に顔を背けていた。

 俺はフンッと荒い鼻息を鳴らす。

 

 無理だろ。

 相手はスネイプだぞ。

 あのスネイプ。

 ホグワーツで最も執念深く、最も疑り深く、最も性格が終わっている男だ。

 あの男の研究室に侵入するくらいなら、ドラゴンの巣から卵盗む方がまだ現実味がある。

 ドラゴンは少なくとも理不尽な減点はしてこないわけだし。カツオだし。

 

「お願い!」

 

 ハーマイオニーが深々と頭を下げた。

 

「これがないとポリジュース薬が完成しないの!」

 

 ぐぬぬぬ、そう言われると弱い。

 原作知識によれば、確かにポリジュース薬は必要だ。マルフォイを調べるためのもので、必要なイベントではある。

 

 俺は深々と溜息を吐いた。

 床に突っ伏そうとして、そういえばトイレの中だったことを思い出し、スクッと背伸びをする。

 ハーマイオニーはそんな俺を見て、何を勘違いしたのか肩をぽんと叩いた。

 

「じゃあお願いね」

 

 どうやら前向きな態度だと捉えられたらしい。

 既にハーマイオニーたちの中では決定事項となったらしく、ロンとハリーが「おつかれ~」と言って解散していった。やっぱりコイツら俺を囲んでたんじゃねえか!

 

 そしてこの瞬間、俺のホグワーツ生活における新たなミッションが始まった。

 

 ————スネイプの研究室に忍び込み、目的物を盗み、生還せよ。

 

 成功報酬:山盛りのキャラメル・ジェラート。

 失敗した場合:(ハリーの)減点と(ハリーの)説教と最悪(ハリーの)停学。

 

 MISSION、START________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おはよう、ロミオ。

 君の任務は——もし引き受けるのであれば——スネイプの研究室から、毒ツル蛇の皮とパイコーンの角を回収することだ。なお、今回の作戦は極めて危険である。

 対象地点には、常時大量の危険薬品、未知の実験材料、そしてセブルス・スネイプ本人が存在している。

 

 君は自由に協力者を選ぶことができる。

 ただし、作戦立案者であるハーマイオニー・グレンジャーをチームから外すことは認められない。

 彼女は一般生徒である。

 そして極めて優秀なオペレーターでもある。

 

 君には一時間以内に目標物を確保し、ポリジュース薬計画へ合流することが求められる。

 例によって、君または君の仲間が捕獲、減点、停学、あるいはスネイプに見つかって人生を終えても、当局は一切の関与を否定する。

 

 なおロミオ。

 君が最近、女子トイレを付近をうろうろしている件についてだが、そろそろフィルチが不審に思い始めている。

 少しは隠密行動というものを覚えたまえ。

 このメッセージは五秒後に自動的に消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

 ……このメッセージをどうにか読み上げ機能付き魔法道具で再現するのに一晩かかったぜ。

 

 ふう、と俺は額に流れた汗をぬぐって、満足げに頷いた。クオリティはなかなかのモンじゃねーか?

 

 俺はいま、ホグワーツの二階の教室の窓辺に立っている。勿論俺の研究室とは反対側にある部屋だ。

 丁度満月が美しい夜だ。目下では一面に広がった草原が風に揺れている。

 

 おっと、もうちょっとで五秒だな。燃やさないと。

 ちなみにこのメッセージは半手動のメカニズムで消滅する。

 俺は読み上げ機能付き魔法道具にガムテープでぐるぐるに結び付けたダイナ……違うな……ばくだ……じゃなくて、ダイナミック線香花火型魔法道具の導火線に火をつけた。

 そのまま目下の草原にポーンと放り込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドゴォオオオオオオオオオオオオオン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっと城が……軋んだかも?

 

 まあそんなことはどうでもいい。

 ダイナマイトの着地した草原一帯は燃えかすみたいになっていて、のどかに風に揺れていた青々しい草花は黒い灰になっていた。

 

『スネイプが行ったわ!』

 

 インカム風魔法道具から、ハーマイオニーの声が聞こえる。

 つくづく魔法って便利だよな。ご都合主義でゴリ押ししやすいし、なんかあったら魔法のせいにすればいいし。

 ほどなくして裏門から肩を怒らせたスネイプがツカツカと歩いてきたことを確認して、俺は窓から離れた。

 ひー、おっそろし。でも、現場保全のためにスネイプは当分戻ってこないだろう。散々HLNFに隠蔽されてるしな。

 

 

 俺はスネイプの背中を見送った後、部屋の隅へ駆け寄った。

 壁際に設けられた排気口。

 昼間のうちに下見しておいた侵入経路だ。

 金網を外し、狭いダクトの中へ身体を滑り込ませる。

 へっへっへ、ニフラーならではの芸当だぜ。しかもまあまあ夜目も効くしよ。

 

 四足で這いながら、俺は迷路のような換気ダクトを進んでいった。

 途中で蜘蛛の巣が顔に張り付いたので、持参のウェットタオルで拭う。

 しばらく進むと、目的地が見えてきた。

 下方に薄明かりが見える。

 スネイプの研究室だ。

 

 俺は換気口の蓋へ慎重に手を掛けた。

 ニフラー流針金捌きで、少しずつネジを緩める。

 幸い誰かが来る気配はない。

 やがて金網は外れた。

 

 俺はそっと下を覗き込んだ。

 研究室は薄暗く、目が慣れれば十分見える。

 

 よし。

 

 俺は頷いた。

 

 そして黒光りするスパイスーツの腰回りにベルトを締める。

 濡れた犬が二足歩行しているようなシルエットになっていた。袖口からはモコッと灰色の毛がはみ出ている。

 

 うーむ、客観的に見て気持ち悪い。

 だが今は任務中だ。

 細かいことは気にしない。

 一応銀縁の眼鏡もスチャッと掛けておく。去年スキャバーズの件で使った例の針金眼鏡だ。

 

 俺は腰に括り付けたワイヤーを固定し、換気口から身体を落とした。

 するするとワイヤーが伸びる。

 天井から吊り下がった俺は静かに下降していった。

 

 薬品棚の横を通過し、作業机の横を通過し、床まであと一メートル。

 

 そして————

 

 ピタリ。

 

 床すれすれで急停止した。

 映画だったらここでテーマ曲が流れるはずだが、残念ながら現実なので、代わりにセルフで脳内再生しておいた。

 

 そしてさて着地しようかというところ。

 そこで俺は違和感に気付いた。床一面に何かが蠢いている。

 

 ……これはもしや、Gか?

 

 俺の顔はサーッと青くなった。虫は嫌いだ。特にG。正式名称を口に出すことが憚られるくらいには嫌いだ。

 

 いや、まてよ。スネイプの研究室だろ?

 あのケッペキっぽいやつの研究室に虫が湧いてるか?

 それとも魔法薬の原材料か?

 

 背筋が泡立ちながらよーく見てみると、それはどこかで見たフォルムだったことに気が付く。

 

 これは……もしかして……

 

 俺はキッと睨んで、懐に差していたペーパーナイフを構えた。

 

 ……カムカムキャンデーだ。

 

 スネイプめ、お前暇だな?

 

 あいつ、俺がいずれ侵入することを読んでいたらしい。俺がカムカムキャンデーが嫌いであるという情報もしっかり収集していたようだ。

 

 「フッ」

 

 しかし、俺は鼻で笑った。

 所詮はカムカムキャンデー。確かに一般生徒相手なら脅威かもしれないが、俺を誰だと思っているんだ?

 ニフラーさんだぞ。

 カムカムキャンデー程度に負けるはずが———

 

 ぴょん。

 

 床のキャンデーが跳ねた。

 俺は固まった。

 気付けば床中のカムカムキャンデーが、ぴょんぴょんと跳ねながらこちらへ向き始めている。

 

「…………」

 

 ぴょん。

 ぴょん。

 ぴょん。

 

 無数のキャンデーがこちらへ照準を合わせる。

 

 俺を……殺る気だ。

 

「……まあ」

 

 俺はペーパーナイフを懐へ戻した。

 

「今回は見逃してやるか」

 

 ワイヤーがスィーッと天井へ向かって上昇する。

 一匹のニフラーが研究室へ侵入した事実などなかったのだ。

 床のキャンデーたちが勝利を確信したようにより一層蠢いている。

 大体、カムカムキャンデーを悪霊の火とかで焼き尽くしたとして、その残骸を見たスネイプに侵入したことがバレるし。

 俺はビビったわけではない。戦略的撤退だ。

 

 俺はダクトの中を泣きながら帰った。

 合流したハーマイオニーにギョッとされながら、ベソベソと任務が失敗したことを伝えた。

 

 あたい……悔しい!

 そんじょそこらの魔法スナックに負けるニフラーなんて、ニフラーじゃないわ!

 絶対にスネイプを見返してやるんだから~~~!!!!!

 

 俺は悔しさのまま走り去った。

 今度相対したときには、必ず勝利することを決意して。

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日の早朝。

 鬼の形相で俺を探し回るスネイプを撒いたあと、俺は梟小屋のなかで、後ろ手でうろうろ行ったり来たりして悩んでいた。目の前には手紙がある。グリンゴッツ宛だ。

 

 うーーーーん、どうするべきか。

 

 左右に行ったり来たりしながら考える。

 俺は手紙を見下ろしながら深々とため息を吐いた。

 悩ましい。実に悩ましいぜ。

 

 実のところ、俺は何度かグリンゴッツと取引をしたことがある。

 魔法薬の材料を揃えるため、以前いくつかの装飾品を売却したのだ。

 ゴブリンたちは気のいい奴らだ。気難しいところもあるが宝石に対する熱意は俺に引けず劣らずで、取引のため銀行に行った際には、なかなか談議に花が咲く。

 その時、俺は何の気なしに、自慢のコレクションを見せてしまったのである。

 

 洞窟に隠されていた宝石や、海賊船の金貨、ヴィクトリア時代の指輪にネックレス。

 ニフラーとしてたいへんな苦労をかけて集めた珠玉の財産だ。

 それ以来、定期的に手紙が届くようになった。査定をさせてほしいだの、購入を検討したいだの、是非とも商談の席を設けたいだの。中にはやたら熱量の高い手紙まで混ざっている。

 もしかして俺、知らないうちに上客認定されてる?

 まあ普通にカモかもしれん。180カラットのダイヤを見せたのが良くなかったかな。

 

 俺は歩くのをやめて、窓辺に飛び乗った。

 外では数羽の梟が羽を休めている。

 その向こうに広がる山々を見ながら、俺は再び考え込んだ。

 

 昨日の件は完全に俺のミスだった。

 ハーマイオニーから頼まれた材料の調達に失敗した。

 しかも理由が「床一面のカムカムキャンデーに負けたから」である。流石にちょっとアレだ。

 

 毒ツル蛇の皮とバイコーンの角は、どちらも高価な材料で、学生の小遣いでどうにかなるような代物ではない。ハリーたちが自分で用意するのは無理だろう。シリウスに頼むにも、なんか怪しいことしてそうだってバレるし……。

 そもそも真実薬も手に入れねーといけないので、どっちにしろこのまま放置はしないつもりだった。真実薬もスネイプの研究室からついでにくすねるつもりだったんだけどな。

 

 そこで思いついたのが、この手紙。

 宝石を売って、材料を購入する。

 実に合理的な解決方法だ。

 

 俺は首元の毛をもふりながら考えた。

 理屈では分かる。分かるのだ。だが、宝石・イズ・マイスウィートハート。愛でたものを手放したくない。それがニフラーという生き物だ。

 ましてや俺のコレクションは、その辺で拾ったガラス玉とは訳が違うのである。

 それを売ることを考えただけで胸が痛む。

 

 ……しゃーねえか。

 

 俺は観念したようにキューッと鳴いた。

 男には責任を取らなければならない時がある。

 たとえその原因が跳ねる飴玉だったとしても。ヒジョーにクツジョクだぜ。

 

 俺はタイプライターを取り出し、目の前の手紙へ向き直った。

 せめて一番思い入れの薄い宝石からにしよう。夏休みにミャンマーで獲ったペリドットなんてどうだ? 明日の朝あたりに予約を取りたい。もう少しでナギニが目覚めそうだし。

 

「おや、ロミオ」

 

 後ろから声がかかって、俺は振り向いた。

 そこに立っていたのはアルバス・ダンブルドアだった。

 

 今日のダンブルドアは薄いブルーのローブを着ている。快晴の寒空を思わせる色合いで、裾には銀糸で雲の刺繍が施されていた。相変わらずセンスいいぜこの爺さん。

 

「銀のローブは仕舞って̪しもうた。またいつきみに魅入られるかも分からんしの」

 

 ダンブルドアは悪戯っぽく微笑んだ。

 そういえば、と俺は首を傾げる。

 なんでこんなところに?

 ダンブルドアは俺の視線に気付いたのか、にこにこと微笑みながら近くの止まり木へ歩いていく。

 

「梟たちの様子を見に来たんじゃよ」

 

 そう言って、近くにいた茶色い梟の頭を指先で撫でた。

 梟は気持ちよさそうに目を細めている。

 ダンブルドアが肩を竦めた。

 

「わしは梟を飼っておらんからのう」

 

 飼ってないのか。まあフォークスがいるしな。

 

「だから手紙を出す時はホグワーツのお抱え梟たちに頼んでおるんじゃ。たまには労いも必要じゃろう?」

 

 なるほど。

 確かにブラック家の梟たちも、手入れしてやると喜んでいた気がするぜ。ハグリッドに預けてたクィレルのキテレツ鳥、今度会いに行ってやろうかな。

 俺が感心していると、ダンブルドアは俺の前に置かれた手紙へ目を向けた。

 

「それで?」

 

 ブルーの瞳が細められる。

 

「ロミオは何を悩んでおるんじゃ?」

 

 う。

 俺は思わず目を逸らした。

 この爺さん、何故か人の内心を見透かしたみたいな顔をするんだよな。ニフラー語だから開心術は効かねーはずだけど。ニフラー語を学び始めたらいよいよ脅威だぜ。

 

 ……まあ別に隠すようなことでもないか。

 

 俺はキューキュー鳴きながら、説明した。

 とある薬品の材料を買いたいが、金がないので宝石を売ろうとしていること。

 口を滑らせて、ついうっかりスネイプの研究室でカムカムキャンデーに戦略的撤退を迫られた話もしてしまった。

 

 途中からダンブルドアの肩が小刻みに震えていた。

 笑ってんじゃねえぞ。

 最終的に俺が「ヒジョーにクツジョクだぜ」と締めくくると、とうとう校長は長い白髭を撫でながら吹き出した。

 俺はジト目になった。

 

「いやいや、すまんのう」

 

 全然反省してない顔である。

 

「じゃが、ちょうど良かった」

 

 ん?

 俺が首を傾げると、ダンブルドアは言葉を続けた。

 

「少し前に湖のマーピープルたちから相談事を受けておったんじゃ」

 

 マーピープル?

 黒い湖の水中人たちのことか。

 

「どうも最近、湖の底で妙な騒ぎが起きておるらしくてのう」

 

 ダンブルドアは顎に手を当てた。

 

「わしも時間を見つけて行こうと思っておったのじゃが、なかなか忙しくての」

 

 絶対忙しいだろうな。秘密の部屋の騒動のこともあるし。

 

「そこでじゃ」

 

 ダンブルドアが屈み込んで、俺と目線を合わせる。

 ブルーの瞳が楽しそうに輝いていた。

 

「ロミオも手伝ってくれんかの?」

 

 ほー? 手伝うっつってもどうやって?

 

「もちろん、ただ働きとは言わん」

 

 俺の耳がぴくりと動いた。

 

「毒ツル蛇の皮と二角獣の角じゃな?」

 

 俺は即座にタイプライターを引き寄せた。

 ガチャガチャガチャガチャ。

 

『いつ出発する?』

 

 紙が飛び出す。

 ダンブルドアが一瞬きょとんとした。

 そして声を上げて笑った。

 

「交渉成立じゃな」

 

 当然だ。

 宝石を売らずに済むというの一点だけで、もう十分に引き受ける価値がある。

 

「では、今日の十五時に、黒い湖のほとりの、船着き場の近くで集合といこうかの」

 

 俺はグリンゴッツ宛の手紙を丸めておなかへ押し込んだ。

 今日のところはお役御免だな。

 

「さて、朝食の時間じゃな」

 

 ダンブルドアが言った。

 そういえばちょー腹減ったぜ。悩み事をしていると時間が経つのは早い。そんなことを考えていると、ダンブルドアと俺の腹が丁度同じタイミングで鳴った。

 「今日はエッグベネディクトを食べるんじゃ」とかなんとか言っているダンブルドアの後をついて、梟小屋の螺旋階段を下りる。

 窓から差し込む朝日が石壁を照らしていた。途中で数羽の梟が頭上を横切り、ばさばさと羽音を立てながら外へ飛び立っていく。

 俺はダンブルドアと並んで大広間への扉をくぐった。

 俺はパンケーキが食べたい。バターをたっぷり溶かして、メープルシロップをたんまりかけたやつだ。

 

 




【おまけ】
なお、真実薬を手に入れるために結局グリンゴッツに売りに来たロミオ。
ゴブリン:……スッ(金額を書いた紙を差し出す)
ロミオ:(断末魔の叫び)

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