はい!こちら『愛に溢れる探偵事務所』です! 作:枯華院 清日
同性婚云々については冗談ではありません。
私の性の癖はいわゆるノーマル、普通に男性が好ましく思っていますが重要な点はそこではなく。男性の手とか血管が好きというフェティシズムを超越して、あるものが好みなのでした。
話は完全にそれますけれど、のんちゃんの好みは自分より光速い人らしいですよ。ちょっと頑張って音速を超えて亜光速を目指してみましょうか。あぁ違う、私の好みでしたね。
それはつまり。太陽くんが好きということ。ああ、お待ちください。それって普通の恋愛感情じゃんと言われそうなものですが、そういう事ではなく。
具体的にどのようなものかを述べるとドン引きされそうなので控えます。私も一端の淑女ですから、そのような分別はあるのですよ。淑女はそんなこと言わない? 私の淑女は言うんだよ。
なので太陽くんの性別は大きな問題ではない。少なくとも私にとっては。
「あー……どうしよ……急にこんなんなっちまったら、学校もバイトもダメじゃねえか?」
「所長さんは気にしないと思うよ」
「俺が怖いのはフォンセルランドさんな、何されるかわかんねえじゃん。何もされなかったらそれはそれで怖いじゃん」
「時間が解決する可能性もある」
「時間で悪化したらどうすんだよ。ただでさえ取り返しがつかねえのに、これ以上ってなったらさぁ」
「安心してくれ、さっきも言ったが責任は取る」
「それどういう意味で言ってたんだ……?」
しかし現実的には問題が山ほど、それはもう盛り沢山。私と同じ探偵事務所のアルバイトに関しては問題ないと思う、変な事に耐性のある人たちが揃っているし、今更彼の性別が変わった程度でどうにもならないだろう。
ただし、学校については別だ。
「そうだ事務所だけじゃねえ、学校もだよ。事務所はさておいても、女になったなんてどうすりゃいいんだよ」
「真中先生がいるよ」
「そりゃそうだけどさ、少なくともウチの学校で性別が変わったヤツなんてのは聞いたことがねえ。手続きだの届け出だのでどうにかなんのか?」
「あの人なら力になってくれる筈だが……難しいな。話を聞こうにも夏休みとあれば、自宅にいるか御実家に戻ってらっしゃるかだろう」
「クソ……退学は勘弁だぜ。この時期に転校するってのはまだいいとしても、成績が保てるかわかんねえのがキツイ。特待で金を浮かせられるのが良かったのに、他の学校に行ったら進度も傾向も違うじゃん」
かなり現実的な悩み……!
というか真っ先に出る不安が日常生活にまつわる事じゃなくてお金に関する事って。決して銭ゲバという人柄ではないけれど、心配になりますね。
しかし、ふむ。確かに転校となってしまうのはよろしくない、住んでいる場所が遠くなってしまえばバイト先も変えてしまう可能性だってある。そうなれば会える時間が減る、それは困る、とても困る。
じゃあ解決した方がいい……か。
「それより」
「ん?」
「それより、何だよ?」
「何でこんな事になったのか整理しよ」
「た、確かに…ッ」
「まあそうだね、ここに到るまでの経緯を整理しないと方針が立てられない」
「太陽くんは後でデートね」
「なっ」
「えッ!?」
「颯くんもだよ」
「いいのか!?」
「俺の意思はッ!?」
「無いよ」
「無いのッ!?」
よし。とにかく前向きに。そしてこのトンチキな状況をどうにか解決しましょう。
「ふぅ……」
「めっちゃ飲むじゃん。気に入ったのかペットの茶」
「それで。昨日は千々石さんに呼ばれて何してたの」
「あっ無視? さっきと同じでそういう感じ?」
「何してたの」
「ッス……。昨日ねえ……別に変な事は無かったぜ?」
「今、変になっているんだから詳細に話せということだ」
「そりゃまあそうだな。えー……っと、変なジジイの研究をぶっ飛ばしたくらいか?」
「細かく」
「ッス……」
どうやら太陽くんが千々石さんに呼ばれた用件は、何とも物騒なことにとある研究所の襲撃だそうだ。
「地震の前兆についての研究所だってのが建前だってよ。元から色々と地震の前兆については研究されてるらしいじゃん」
「有名なのは地震雲とかだな、夕焼けの色もそうか?」
「そうそう、そういうの。まあ地震の多い国だから被害を減らす為に研究しておくってのも当然だな。
その地震の前触れ。お前ら『椋平虹』ってのは聞いたことがあるか?」
『椋平虹』
椋平広吉という人がいた。
1903年の京都に生まれ。彼が地震予知という分野に興味を持ったのは11歳の時だったという。
過去にあった濃尾地震。千を超える犠牲者を出した災害の話を聞いて、人の役に立ちたいと願った。
彼が27歳の頃、1930年11月26日。
またも大地震が日本を襲う。
北伊豆地震である。
これに対し椋平は電報を送った。
「アスアサ四ジイヅジシンアルムクヒラ」
と。電報の受取先は現在の京都大学。当時の京都帝国大学、理学部長宛。なんと北伊豆地震の前日に届いており予測を見事に的中させていた。
そして地震発生を号外で知った京大理学部長は予測が当たった事に気付いたと新聞上で報じられ、一躍注目を集める事となる。
しかし、名声も長くは続かない。日本地震学会の会員にもなった椋平であるが、虹と地震の関連性を裏付ける事はできず。理論の証明もできなかった。
椋平には後援団体もあったが、結局。椋平の名を冠する『椋平虹』を見ることは無かったという。
そして地震の予測についてあるトリックが新聞の紙面に載った。いわゆる『消印トリック』である。
この技法は瞬く間に全国へ知れ渡る。椋平はトリックの使用を認めなかったが、以降は周囲の人間たちも離れて行き、表舞台から姿を消した。
これは、トリックの元になった真偽不明の話。
「その虹の研究を引き継いだヘンテコジジイが居て、とうとう完成させたって喧伝してたんだとさ」
「予測の方ではなく、前兆になる虹の研究をか」
「そういうこと。地震の先触れだとされてる短冊みたいな縦の虹を作るのに成功したんだと。そんで前兆が作れれば地震を人工的に起こせる、だからやろうってな」
「大地震より先んじてプレートのズレを戻せるなら、と考えられなくは無いが。国が動いたということは規模も不明で予告もしていなかったんだろう?」
「まあなァ……。本当か嘘かもわからなくても、そこに『噂』が乗っかれば真実になる。だから千々石さん達『機関』がジジイの研究所を潰しに行こうって話になって、俺も呼ばれたってワケ」
そういえば知らない事だけれど、千々石さんが現在所属してらっしゃる『機関』? とやら。太陽くんを一般の方として扱うかは明後日に投げておいて、彼をこき使うのは何故だろうか。
「その顔は……ああ、千々石さんの手伝いってのは大体荒事だよ。じゃあ何でアンチマテリアルマンこと千々石さんが俺を呼ばなきゃいけないかっていうと。
まあ日本じゃあ表立って人を殺す訳にはいかねえって話だな、当たり前だけどさ」
「へえ」
「確かにあの人が初っ端からブッ飛ばせば全部終わる。けどよ、相手は腐っても人間。建物ごと消滅させました、はい終わり、とはいかねえんだ」
「公務員だからなるべく穏便に済ませたいのだろうね。だとしても集団で研究所を襲撃するなんて、物騒極まりない話なのは間違いないが」
「ふうん?」
「大丈夫か、理解できてるか?」
「そこそこ」
「そこそこかァ……」
あれ、馬鹿にされてない?
カオス極まってる諸事情についていくのは大変だなぁと思っていたら、そこらの子供を見るような目で見ていませんか。
「とにかく研究所が面倒で面倒で。なぁんで一々大事そうな扉を開くのにカードキーだのピアノの演奏が必要なんだ? 付いてきたのに暇そうにしてた与田先生が弾いて開けたけどさ」
「意外……あの先生ピアノ弾けるんだ」
「驚いたことに楽譜見ただけで一発だったぜ。昔取った杵柄だって言ってたけど、そもそも前職知らねえし。何してたんですかって聞いても、謎は女を魅力的にするとか言ってはぐらかされたよ」
与田先生……お、大人! あっと、勘違いしないでいただきたいのですが私は与田先生の発言が大人っぽいと思ったのではなく。さらりとピアノを演奏できる、そんな事実に感動しているのです。
何だか楽器ができる人って格好良くないですか。義務教育で習う楽器、縦笛と鍵盤ハーモニカしかできないからそう思うんでしょうか。
ちなみにですけれど、小学校の頃に習うチューブで息を吹き込んで演奏する鍵盤楽器。あれは正式名称が鍵盤ハーモニカ、商品名がピアニカというらしいですよ。大人の事情ですね。
「与田先生の事はどうでもいいんだよ。とにかく面倒な研究所だった、ってコト。他にも人間サイズの虫が出てきたり、目が血走ってるゾンビ犬が出てきたりとよォ、おばけ屋敷じゃねえんだから……節操ねえよ」
太陽くんがうんざりした顔でそう言った。うーん、一気に普通の研究所から遠い所に行ってしまった。人間並みの大きさの虫もゾンビ犬も、そうそうお目にかかる機会は無い。
パニックホラーじゃあるまいし。または何らかのバイオがハザードしてしまった、サバイバルアクションな危険が沢山の研究所だったのは間違いないようだ。
「それで。最後にはそのご老人を捕まえたと」
「そうそう途中の罠や仕掛けは服部って人がどうにかしてくれたぜ。俺は研究所が崩壊しない程度に扉をブッ壊したり、最後にジジイの虹発生装置とやらをブッ壊したり……。俺、壊すことしかしてなくね?」
「壊すことしか出来ない哀しきモンスター?」
「レイリーはさ、俺のことを何だと思ってんの」
好きな人ですけれど。それはそれとして両立するよね、哀しきモンスターと好きな人。
まるで納得していないというような顔で太陽くんが私を見ていますが、そんなに見つめないでほしい。照れちゃう。
「ふむ……」
「もっと細かく喋れるけど、何か思い当たるか?
少なくとも俺はサッパリだぜ、ジジイ捕まえてからは普通に車で送ってもらっただけだ。
ゾンビアニマルにもクソデカ虫にも噛まれて無い、俺だけ何かに罹患したってのも……まあ無いだろ。あったら千々石さんを通して与田先生が気付いたりするだろうし、あの人腐っても保健医だもんよ」
「今のところ思い当たるような『噂』はない。當真が女であるとするような話も聞いたことがない……」
「だよな、他に変わったようなコトって言っても……。ああそういや変な虹だったな」
「虹が変?」
屋内でスプリンクラーが起動してしまって、それで虹が出たというだけならあり得る話だけれど。どうやらそういう事が変という意味ではないらしい。
「なんていうかさ、装置が起動しちまってて、薄っすらと短冊形の虹が出たんだ。
変な形なのは聞いた話と合ってるんだけど。それより変なのは虹がズレねえんだよ」
虹がズレない?
「普通の虹ってのは、水がプリズムみたいな役割を果たして光が散乱する事でパッと映し出されるじゃん。
つまりは光そのもの、追っかけても捕まえれない」
「うん」
私たちの目に物が映るのも光の反射を受け取っているからに過ぎない。
たとえ虹を追いかけても、光は固定されてるわけじゃないから角度によっては映らない。追いかけても触れる事さえ叶わない。単純な理屈だ。
だから『虹の根本にはお宝が眠っている』という話も、追いかければ消えてしまう虹相手なのだから、そもそも絶対に不可能というロマンの欠片もないオチになってしまう。
「でも、あの虹は動かなかった。そこは変な所だな、俺も虹を潜れてるって驚いたし、千々石さんから見ても俺が虹を潜ったように見えたらしいぜ?」
「へえ」
「へえってお前……」
「確かに奇妙で聞いたことも無いな。虹を空中に固定出来たのだとしたら、案外その虹を平和に活用出来たかもしれないが」
「地震が起きるならプラマイゼロどころかマイナスだろ」
「私的利用も軍事転用もされないだけマシか。私的利用なら億万長者になれるかもしれないが、狂人のようなご老人ではそうもならないだろうな」
「あー……虹の根本には宝があるってヤツか。そう考えるとちょっと惜しかったかもな……いやダメだッ! 俺は普通に稼いで普通に生きるんだッ!」
「普通からかけ離れてるよ」
「だから困ってんだよ!?」
三人寄れば文殊の知恵とは言いますが、解決の糸口も見つからない。じゃあ現状は船頭多くして船山に登るの方が近いのではないでしょうか。
何某かのマイナーな『噂』が関わっているのか、それともどこか私たちの預かり知らぬ所では、太陽くんって女々しいよね的な誹謗中傷があるのか。または、太陽くんの身体が改造された時に何か仕込まれていたのか。
候補が多過ぎて一つに決め打ちしておくのも良くない。視野狭窄に陥ったら、それこそずっと解決出来なくなる。太陽くんが言っていないだけで、もしかしたら何らかの泉に足を滑らせて、それから発現するようになったふざけた体質なのかもしれない。
「現状は八方塞がり、か」
「笑えねえー……」
暗い顔が二つ、私を入れて更に三つ。
こういう時にこそ気分転換が必要、ひょっとしたらどこかにヒントが落ちているかもしれない。
「……よし」
「どうしたレイリー。割と…いや、かなりロクでもない事を思いついた顔してるぜ」
「意外と名案かもしれないぞ?」
「そうかァ…?」
「…………」
この、全力で出鼻をくじくのはやめてほしい。あと颯くんはハードルを上げていくのやめてね。
ええい男は度胸、女も度胸。
「デートしよう」
「ほう……!」
「今ァ!?」
「今、ナウ、急々如律令で」
「急々如律令!?」
「キョンシーの頭の札によく書いてある文言だな」
「これで!? 俺のこのナリで出かけろって!?」
「そう。返事はハイかイエス、よろこんでのみ」
「ハ、イイエ! ス! 喜べねえよ!」
ごちゃごちゃごちゃごちゃと…!
素直に行きますと何故言えないのか、まったく理解に苦しみますね。
「フンッ…!」
「い゙ってぇ!? 胸が千切れたらどうすんだッ!?」
加減しつつ叩きました。この無遠慮に揺れる無駄に大きくてふざけた山を。大山を鳴動させたのです。不思議なことにネズミが出てきません、大山鳴動したのに。
胸が千切れたらどうするか? 決まってますよ。
「私が貰うね。というか下着くらい着けなよ」
「そういうシステムなのか!? 持ってる訳ねえだろ!」
「……!」
「颯やめろよお前、何思いついたんだよ」
「なるほどね。そういう事か」
「今の馬鹿丸出しのやり取りで何い゙ってえ!?」
颯くんは察しがよくて助かりますね。一方のこのおと……女は鈍い、鈍過ぎる。何が馬鹿ですか、馬鹿みたいなスタイルしよってからに。
「服を買いにいこう、だろう?」
「そうだよ」
「は? 服ゥ?」
「下着もだよ」
「はァ!?」
冷静に観察しましょう。
まず身長、さっき部屋に案内された時から考えれば、これはいつもと変わらず大体170センチほどでしょうか。伸縮してなければの話ですけれど。
「3センチ縮んでいるかな」
「そっか」
「何が!?」
身長だよ。それと颯くん怖いね、見ただけで人の身長とかわかるんだ。やめてね、私の方を見るの。
「フッ……」
「……」
おい、何で今笑った??
おっとお口が悪い。太陽くんのが伝染したのかな。
「体重も多少軽くなっているようだ」
「そうなんだ」
「…なッ!?」
体重もわかるんだね。やめてね。
「すぐに治せないなら、その体で生活するしかないでしょ。だから服を買いにいくの」
「あぁそういう……じゃねえよ。まだ俺は諦めてねえぞ」
「戻るまで引きこもるつもりか?」
「それは……」
「私はそれでもいいけど。イヤでしょ」
「…………」
「フッ、反論が無いなら決まりだな、早速行こうか」
「ふぬぐゥー……!」
今の君が何をしても愉快なだけだよ。
さて。太陽くんの不満と憤慨とを織り交ぜた変な吐息を無視しつつ、こうして私たちはデートに行くことになりました。男女がお出かけすれば其れ即ちデート、決して日付の方ではございません。
太陽くんは制服のYシャツとセットのズボンに履き替えさせました。ズボンは一部以外サイズが合っていないので、ベルトに新しく穴を開けてギッチギチに締め付けて。シャツははち切れそうだったので、中にも押さえつける用のシャツを下着代わりに。
幸いにして靴のサイズは詰め物によりどうにか事無きを得ました。
「靴ズレしねえよな…しかも息苦しいしよ…」
「それならオレが背負うか?」
「怪我人じゃねえのに大袈裟だっての」
「いわゆるお姫様抱っこで」
「はっ倒すぞ」
ふふっ、イチャついてるイチャついてる。二人のじゃれ合いを見ている私は、心底とまでは言いませんが内心穏やかではありませんよ。
だって考えてもみてほしい。颯くんがどのような感情を太陽くんに向けていようとも、今の二人の外見が問題なのだと。
「お前はさァ、たまに冗談なのか本気なのかわかんねえのがダメなんだよ。
そんなんばっかやってるから女子にキャーキャー言われんだろ? 顔の皮でも剥がしたらバランス取れるんじゃねえの」
昨日まではパッと見ヤンキーの太陽くんが。ノーメイクでもバッチリな、目付きキツめの金髪ホワイトギャルに。これでブラウンアイズホワイトダーリンといったところですか。攻撃力3000ありそう。
それはともかく見た目が強い。
金髪ウルフカット、高身長、身体がうるさい。内面はともかく外見はヤンキー的。
世の中は不条理でできています。
そんな太陽くんと。
「オレは大体本気だよ。嘘だってほとんどついたことが無いのは知っているだろう?
女子に限らず優しくしているのはお前に言われた通り。やるだけやっているだけさ」
眉目秀麗、才色兼備。天は二物を与えずという言葉の反証。身長は確か180cmを超えている茶髪の王子様。
手足も長くて指も細長い、生前はギリシャ彫刻でもやってらっしゃったのかな。
誰がどう見ても異彩を放つ存在感の塊、彼の性別が逆だったら近付きませんね。色んな意味で泣くと思う。
一方で中身は結構繊細さんで、その気が無くとも誠実な人柄。ズルい、ズル過ぎる。
私の友人ことのんちゃんがほの字というのも仕方がない。外見だけが理由ではないと思いますけれどね。
そんな二人が、世間の皆様の往来から人目も憚らずに距離感近めでぎゃあぎゃあと言い合いをしている。
なるほど性別が二人とも男性であった時そのまま、つまりは親友と言い合うような間柄。それが片方だけ変わると大変な事になるわけですね。
そしてそれがこんな朝と昼の間みたいな時間から井戸端会議をしていらっしゃるような、お暇とかお時間とかを持て余してらっしゃる方々の目に触れれば。
「ンマー! あれってラブがコメしちゃってるのかしら!」
「イヤですわ奥様、そんな健康にいいものがそこら辺に落ちてるわけが……落ちてますわァー!」
……ラブコメやってんじゃあないんですよ。するなら私としなさいよ。颯くんじゃなくてね。
「……っ!」
「んあ?」
「おっと」
ここで私がインターセプト、二人を引き剥がして間に挟まれます。そう、二人の間に挟まれる私、何だかよくない感じがする。しかしこの場はどうか許してほしい。
「あらぁー妹さんかしらぁー!」
「お兄さんかお姉さんが取られるのが嫌だったのね、わかるわ。つまり花の間に挟まる何かではないのよっ」
「スパイスねぇーっ! 今日はカレーよぉ!!」
「…………」
…………。
「レイリーさん…?」
「レッ、レイリーッッッ。
なっ…なんで……………」
「…………」
この敗北感はいったい…!?
ここまで御読了有難う存じます。
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