はい!こちら『愛に溢れる探偵事務所』です! 作:枯華院 清日
見知らぬ街、見知らぬ人。知っているのに違う空。周りに人が居ればこそ、余計に独りを感じさせる。
周囲の喧騒が無い夜間のバッティングセンター。いつも遠くで見ていた白球が近くて遠い。打てない悔しさよりも、白球を追いかけられる喜びが勝る。今は独りだと感じない、ボールと自分だけの世界。
人工的な芝生、機械油、古びた冷房のにおい。野球ボールの革とゴムを混ぜたにおいと、付着したロジンの松脂。バットには人の爽やかな汗も付いているだろうけれど、今更気にはしない。何故なら。
「……ふっ!」
思いきりバットを振るう。
当たらない。
迫る白球目掛けて打つ。
当たらない。
でも、自由で楽しい。
そう、とても楽しいから。
「あー、惜しいっすね」
「うわ!?」
一人の楽しみを気軽な声で侵食してきたのは、自分と同じく野球帽を被った女性。ずいぶんと眼深に被っているので目付きは窺い知れないが肩に流れる後髪は長く、また主張の激しい身体付きと身長をしていた。
「やっぱりやる方は慣れてないとねえ……。
もうちょい速度落とした方がいいんじゃ……うわ、140キロ? まあいいか。一球貰うぜお兄さん」
「えっ、ちょ、ちょっ……」
「後で1ゲーム分返すよ、見てなって……」
ちょっと待った。
その言葉は言い切られる事もなく代わりに放たれたボール。強奪された金属バットは女の手によって振り切られ、静止の声と共に白球に吸い込まれて。
「ホームランッ!」
「…………」
暗い空に眩しく光る。星にも月にも負けない電球の明かり目掛けて飛んでいくようだった。
ぽっかりと開けた口は唖然そのもので、絞り出すように一つだけ溢れた。
「君……名前は……」
「俺? 俺はとう……つ、月宮 ひまわり。先に言っておくけど探偵事務所のバイトで、お姉さんからの依頼があったんだよ。浜姫 丑寅さん、逃げないでくれよ、捕まえるぜ?」
ああ。
やはり。
丑寅は目傍の角度を緩やかに落とし、諦めたような観念したような、もしくは悲しい目をした。
「話が長くなりそうだろ? 俺も喉乾いてるんで、向こうのベンチで座ろうぜ。安心してくれ、無理矢理捕まえなんてしないからさ」
「…………」
言われるがまま、探偵事務所と依頼人のお尋ね者は、安上がりなプラスチック製の簡素なベンチに連れて行かれた。肩を落としていないのは、迎えにやってきた者が朗らかに笑っているからだろう。
「さて、と。改めて自己紹介だ。
俺は探偵事務所のバイトで、月宮 ひまわり。ちなみに普通の高校生、よろしくゥ!」
「あ、ああ、僕は浜姫 丑寅。映画館で働いてる……んだけど……」
「いいよ、そんなよそよそしくしなくって。俺は高校生のガキで、丑寅さんは大人だろ?」
「え、ええ?」
悪く言えば馴れ馴れしい、良く言えば気安い。丑寅には月宮という女はどうにも警戒心が薄いように見える。女性との経験値が全く無いではないが、ここまでの人はいなかった。
ついでに距離感も異常である。
「そっちが固くなんなくていいって! それとも、俺の方が敬語とかちゃんと使った方がよろしいですか?」
「え、い、いや。大丈夫だよ」
「そうかい? 言いたいことがあんなら、ハッキリ言わねえとダメだぜ?」
丑寅にとって理外の女子である。逃げないようにという意味もあるだろうが、肩に片手を置いてきて、しかも身体が密着している。
都会、都会とは怖い所……!
探偵事務所のアルバイトだと言っていたが、もしかすると何らかの美人局ではないだろうか。万が一にもあり得ないとは言えない。この手の女性への免疫がほぼ無い丑寅は脳に混乱を来していた。
「で、さ」
「う、うん!?」
「本題なんだけど、どうして丑寅さんは……あー……家出っつうか。お姉さんから逃げ出したんだ? どうしてもって訳じゃなければ教えてほしいんだよね」
「……ああ」
「話は色々と聞いたよ。職場の映画館とか、ギリギリ切られてない友達からとかも。本当は野球がしたかったとか、実家の武道だかが辛かったとかさ。
なあ丑寅さん、お姉さんからの束縛が嫌だったのか?」
「…………」
「俺はどうしても、丑寅さんのお姉さん……本当に露草さんに嫌気が差しただけなのかって思っちまうんだよ」
あんな子と遊んじゃダメ。
私が遊んであげるから。
危ない事しちゃダメ。
私が守ってあげるから。
遅くまで外に出てちゃダメ。
私が迎えに行ってあげるから。
「いや……そうじゃないんだ」
「……へえ?」
「姉の、露姉は確かに、一般的な言い方の束縛っていうのは確かにキツいよ。色んなものをダメって言ってくる、お互い大人になったのに。
実家の方も、武術の鍛錬は大変だった。どっちも逃げようかと思うことは何度か、うん。あったよ」
「そういう物言いってコトは」
「うん、そう」
姉が世間とは隔絶した世界で、二人だけで生きたいような素振りを見せるのは、独占欲からではない。庇護欲もあれば憐憫もあっただろう。
武術の修行で流血すれば、血相を変えつつ涙を流して手当をしてくれたのは姉だ。世の中は優しさと善人だけで存在してはいない、その残酷さから率先して守ろうとしてくれたということも知っている。
「僕は、露姉が嫌で、家を出た訳じゃないんだ」
だから。今でも姉を嫌ってなどいない。
「んな事だろうと思ったぜ」
「え、そ、そう?」
知ってた。そう言わんばかりにあっけらかんと金髪の女が一笑に付す。これは真面目に取り合ってないのではなく、本質的な疑問にたどり着いていない事に由来する態度。
「俺が聞きたいのは、何で話し合わないで家を出ていったのか。ってコトだよ。
もしも一対一の話し合いで解決出来そうに無いって話なら、ウチの事務所からカウンセラーか弁護士の紹介だって出来るぜ。
家族仲が悪いでもなし、過保護気味ってだけで何でもかんでも頭ごなしに否定するような人じゃないんだろ? じゃあ何でって話」
「それ、は……」
本来、探偵業としては捜索対象を見つけたとして直接出会うこと、ましてや今回のように話すことなどあり得ない。まず依頼人に発見の旨を伝え、その後の対応をどうするか話し合う事が一般的である。
なので、中には生存確認だけで満足する依頼者もいる。もしくは偶然を装って探偵が突き止めた場所へ会いに行く人や、弁護士を伴って行く場合もある。
だというのに今回、太陽が丑寅と話しているのは。恐らく一筋縄の、単純な理由からではないと推測できたからであった。
姉を嫌う、実家を厭う。これだけならば、そもそも地元にいる時から出奔していてもおかしくない。
何も言わず消える、これは如何なる理由か。職場で追い詰められて自死を選んだ訳でもない。以前から計画していたとするならば、もっと財布が潤った状態で遠くへ行くだろう。
「困ってるなら助けるぜ」
「う、ん……?」
「ウチはアフターケアまで手厚いんだ。露草さんも丑寅さんも、困った事があるなら言ってくれていい。妖怪騒ぎにバケモノ騒動だって、なんでも来いってな!」
「なんで、そこまで」
「俺が放っておけねえの。後味悪ィじゃん?」
底抜けのお人好し。それが月宮 ひまわりという人間なのだろう。一度関わってしまったのなら捨て置く事ができない。
年齢差に臆する事もなく、困った事があるなら言ってほしいと言う。相変わらず深く被っている帽子で顔全体は露出していない、しかし嫌味のない口調と悪戯気に曲線を描く口の端が信頼に足ると訴えかける。
しかし……。
「うん、ありがとう。でも、実は解決したんだ。僕の体質の問題があったんだけど、どうにかなりそうでね」
「……あれェ!?」
話はそこまで深刻ではなかった。太陽は骨折り損とまでは言わないが、あまりの肩透かしっぷりにベンチの上で驚きと同時にコケそうになっていた。
「露姉には、まだ、会えないけど。そう、日帰りで検査入院したんだ。薬も出てね、通院で治せるらしくて、これなら姉さんにも話せるよ」
「ひょっとして露草さんに心配掛けたくなかったから、黙って検査入院したってコトォ!?」
「まあ、有り体に言って、そうだね」
「な、何だよォ……カッコつけ損じゃん……!」
「はは、ごめんね。でも、ありがとう月宮さん」
「いいって、こっ恥ずかしいなァおい」
「探偵さんでも、可愛い所が、あるんだね」
「やめてくれよ……!」
やはり表情の半分は帽子で見えない。それでも顔の赤味は見える範囲の頬をも侵食していた。
自称高校生の生意気さはどこへやら、今では恥じらいを忍ばせている若者の可愛げが存分に漏れている。かといって不要に揶揄う事はしない。姉の露草と同じくどこか人に対する辿々しさのある喋り方をしていても、丑寅は大人である。
「本当に、人に話して、良かった」
「みたいだな。こっちから上手く露草さんに説明しておくから、丑寅さんは病気だか怪我だか体質だかは知らんけど、バッチリ治してもらってくれ」
「うん、そうするよ」
大いに悩む事など、ひょっとすると無いのかもしれない。解決の糸口は他者という別視点からも得られる。
厄介な話でなくて太陽も安心した様子。
夏の夜のぬるい風を受けて、最後にもう一度。順番が前後してしまったが自己紹介しようと名刺を取り出して立ち上がる。
ああ、それにしても帽子を脱がないのは無礼だったか。そう思って髪を風に通した。
「渡すのが遅くなって失礼、ウチの事務所はこれ。
何か進展があったら公衆電話でも使って連絡……」
「君……」
「ん?」
「……九……号?」
「ッ!?」
九号。
不肖の記憶、過去の傷。
その名を知っている者は少ない。
「聞きたいことが増えちまったな。そのクソみてえなナンバリングっていうかラベリングは、一体全体誰から聞いたんだ?」
「あの人から出された、条件があるんだ」
「ソイツは仮面とか被り物をしてたか?」
「君を止めること、それか、可能なら連れてくること」
空気が零度に近付く。
風向きが変わる。
「悪いな、こっちも見過ごせなくなっちまった」
「…………」
男は静かにベンチから立ち上がり金属バットを拾った。女は日常の所作のように帽子に手をやり、携帯電話をベンチに置き去りにした。
誰もいないバッティングセンター、どちらとも言わず打者席の広間へ歩く。
互いに距離を取り、相対する者に語る。
「鞍馬貫心流 皆伝 浜姫 丑寅」
「……へえ?」
鞍馬というとは、また天狗の関係者か。それとも武術の流派だからさしたる関係はないのか?
何にせよ、腕に覚えはあるのだろう。名乗りを上げるとは、培ってきた技術に泥を塗らないと宣うようなもの。つまり相対した者を負かすという宣誓。あるいは丑寅の場合、皆伝の誉れを掲げる不敗宣言。
「何かそういうの、洒落た言い回しって感じでカッコイイよな。生憎だけど俺にはそんなモンねえんだ。
けど、武術とか武道って礼節が大事なんだろ? 付き合ってやるよ。即興で悪いけどな」
推参。という言葉がある。今では参上などと同じ、馳せ参じるを意味するとしか思われていないそれは、本来の意味とは異なる。
「本名まで知ってたみたいだから改めて言っとくぜ。俺は改造人間被検体九号『人造口承再現体・モデル人体発火現象』……やっぱり長げえな。シンプルにいくか」
本来は招かれざる客。
呼ばれてもいない者。
これ以上の相応も無い。
「改造人間九号 當真 太陽。
───
空気が爆ぜる。
「せぇ、のッ!!」
「……っ!」
爆ぜるというのは比喩ではない、炸薬が破裂したかのような勢いが踏み込みの際に地面を砕き、同時に周囲の空気を圧縮する。
丑寅はその速さにこそ驚くものの、太陽が人外的加速をした事に驚いていない。正体を知っていたのもあり、どのような存在か聞き及んでいたのだろう。
であれば、之は小手調べ。太陽は相手が人間である事を知っている、丑寅は相手が人の形をした怪物であると知っている。
「まずは、一発ッ!?」
「すぅ……っ!」
されど如何に化生の出力があろうとも、振るうのは両腕に両脚。そこに違いはない。小手調べとて、一合交わさば必殺足り得る。
「受け流…」
「遅い」
「ぐ、ギィ!?」
無遠慮に放たれた片腕を、にべもなく受け流す。尋常の速度で無かろうとも軌道さえ判れば、打つも流すも同様なのは野球と変わらない。
また古武術というものは、受け流して終わりとする程生優しくもない。
貫心流の得手は受け流しと返し。
拳一発分の代償は素早く支払われる。
何が起きたか。その問に対する結論、太陽は片腕があらぬ方向に向いていた。
「あ、アンタ……マジかよ……ッ!」
「手加減は、できない」
痛みはある、しかし急激な痛みは脳が分泌するアドレナリンを始めとした物質によって幾許か抑えられている。だが、腕が容易く曲げられた事実は変わらない。
振るわれた拳と腕が伸び切る寸毫の間、金属バットで受け流し、尚且つバットをそのまま腕関節に当てて支点として利用し腕を逆に歪曲。さしもの改造人間であっても、人体構造という名の急所を突かれては理に従う他無い。
「せぇっ!!」
「ん、の野郎ッ!」
鎖骨を狙い澄ました次なる一撃は空を切った。
急ぎ追撃から逃れる為に一足で飛び退く。
「こっちは、手加減するしか無えってのに……クソッ」
恨み言を喋る太陽には、どこかで相手も加減はするだろうと甘やかな思考があったのも事実。微温い期待は検討を外れ、自身のみが手加減をせねばならない事を知らしめる。
太陽の目的は二つ。対峙している男から出奔理由を窺う事だった。もう一つ、更に追加された目的は対象の無力化。どうやらこの急場を凌がなければ、丑寅はこの身を誰かに差し出すつもりらしい。
初撃の一合目から、呼吸も浅く顔面を蒼白に染めた太陽が口を開く。
「アンタの……聞いた条件ってのは、俺をモンデンキントに差し出すって、はっ……事か?」
「僕の、治療の条件だよ。君を連れて行く」
「ッ……そうかい……!」
成程、道理で。
何の病魔かは知った事でないが。家族に別れも告げずに出ていく程度には思い詰める原因を取り除いてもらえるとあっては、物騒な条件に承諾するも当然。
調査して判明しているが浜姫姉弟は特別裕福な家庭ではない。もしも丑寅が蝕まれている病に対して、治療には高額な医療費を必要とするなら尚更。悪魔との契約書にも喜んで署名するだろう。
「チッ……はっ、はっ……」
「ごめんよ」
じりじりと摺り足で刀のようにバットを構えた丑寅が距離を詰める。恐らく現状で死ぬ事は無い。しかし片肘を奪われた今、モンデンキントの下に連れて行かれたならば……差し迫る危機に太陽の思考は高速で回転していく。
突撃するべきか。
否、たった一撃でこのザマだ。
助けを呼ぶ為に話し合って時間を稼ぐか。
否、携帯電話を取り出す動作も致命的だ。
では逃げ出すか。
否、不可能ではないが最も憂慮すべき事態がある。
それは被害の拡大。眼前に差し迫る金属の棒が他者に向くのではなく、敵対者が尋常ではない権力を有している事。考えられる事柄の例として、何らかの国家権力が向けられる事が何より厄介だ。特に人質を取られた場合、これが恐ろしい。
つまり。相手は国家機関、下手を打てば千々石という個としての最強の力が向けられかねない。
現状は表沙汰になっていないが、国家元首が出向いてくれるような絶好の機会を待つか、または相手組織の幹部らしき人物が単独行動を行っていなければ後手で動くしかないのだ。
故に、逃げ出すのは悪手。思考を変えればむしろこの状況は全体としては好機と言える。
判断材料として丑寅の発言がある。
モンデンキントは太陽を狙っている、ということ。
研究材料か、それとも邪魔な羽虫と思ってかは知らないが。兎角、捕まえる事を目的として丑寅を誘ったのは間違いない。
であれば、逃走など考慮に値しない。
「正面切って、行くしかねえ、よな……!」
覚悟を決めろ。
時は待たない。
「丑寅さん、悪いけど……怪我させるぜ……ッ」
「…………」
何を、と丑寅は考えた。
間もなく間合いに入るは息も絶え絶えな改造人間、しかも戦闘技術は未熟。人から外れた力はあるが、それがどうして自信を漂わせる発言になるのか。
「ガードしてなよ……ッ!!」
「!?」
何かが嵌まるような音がした瞬間、突風。
続いて手にしたバットが不可視の何かに弾かれる。
正体は自身が迫っていた女に他ならない。だが相手の姿が見えない。どこにも、なにも。
「地面が、焦げっ!?」
「大正解ッ!!」
理解の果てにあったのは、大地を焦がす程の高速移動。対処が間に合わない、音の全てが遅れている。
目にも止まらぬ速さとは陳腐な形容でよく聞く言葉、だというのに太陽は正しくそれを体現した。
「ぐうっ!?」
また、目に見えなかったのは至極当然。驚愕の声が漏れた直後、振り向く間もなく後ろから首に腕を回されている。背後に回られていた事すら気付くのに遅い。
折れているか筋を傷めた筈の片腕を無理矢理絡めるようにして、無事なもう片腕を引き、壊れた腕を無理に使って首を絞めている。その状態は形としては裸絞であった。
「ふーっ! ふーっ!」
「クソ……痛えッ……!」
本来ならば極まれば分を待たずに絞め落とす裸絞。しかし一向に丑寅が落ちる様子は無く、太陽も苦悶の声と表情で腕を固めていた。
何故かと問うに能わず、太陽の腕に力が入り切らない。その至極単純な理由がそうさせている。手加減をせねば頚椎を両断しかねない改造された腕の力、そしてつい先程食らった一撃の痛み。これらが手加減の今難を極める要因となっていた。
だが、事は硬直したままではない。
「ぐっ……!?」
「あァ!?」
捕獲されていた丑寅が苦しみだしたのである。
「ぐっ、ああっ……!」
「おい! 丑寅さん!?」
両腕を解き、太陽が容態を確認する。丑寅の顔は赤ではなく青、まるでチアノーゼを起こしたに近い様相で腕から解き放たれるままに倒れ込んだ。
これは拙い。そう思って一も二もなく救急車を呼ぼうとした時。
「離れ、て……!」
「何言ってんだよ! いいからじっとして……」
「いい、か、ら……」
肩の肉が起こる。
筋繊維が限界を迎えた、みちりぷちりと表すような悍ましい凶音が確かに広がっていく。
「……なんだよ、そりゃ……」
次第に皮膚が弾ける。
酸鼻たる光景を、顔を覆う事なく直視した目の前にあったのは、三対の腕。青白い顔は土色に変転し、頭側部には一対の角。
「鬼……!?」
否、鬼ではない。
「ぐ、う、ああぁぁぁ!」
「違うッ、そうか、アンタ……!」
人ならざる姿。
牛と鬼が混ざる異形。
名を……。
「牛鬼かッ!」
うしおに、と云う。
※続きます
次で終わるから!次で終わりますから!!
ここまで御読了有難う存じます。
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