はい!こちら『愛に溢れる探偵事務所』です! 作:枯華院 清日
「何名様でしょうか?」
いわゆる流れ作業。
「あちらへお進みください」
小銭を受け取って案内をして。
「お疲れ様でした、気を付けてお帰りください」
退場を促す。
開催中の文化祭、その出店の一つ。おばけ屋敷の受付が私の仕事です。えぇ、正直に言うと暇です。真昼間だからか、お化け屋敷の人の入りもまだ少ない訳で。
かと言って驚かせる側の適性があるかと問われれば、無いだろうと言わざるを得ない。
何故なら私、レイリー・ケイスはあまりにも可愛過ぎるからだ。いっそビューティーな感じ、うん。自分で自分を褒めるのは何故か、言われないからですね。特にビューティーとは…くそぅ…!
母譲りの容姿にも関わらず、身長とかはどうにも似ていない。具体的な数値で言うと、お母さんの身長は百七十センチ程、私は…ギ、ギリギリ百五十センチくらいですね! ね!!
他の数値はどうか訊かないでほしい。
一抹の慈悲があるならば。
「入りましょう、入りなさい、入れ…!」
「えぇぇぇ…めっちゃ嫌なんですけど…何が悲しくて自分の所の出しもんに行かなきゃならねぇんですか。第一小っ恥ずかしいし、俺にはタネが割れてんだから怖くもないじゃん、ナシナシ」
「理由なんてそれはもう…いつもウチの太陽がお世話になってますぅ、と言いふらしたいからですが? ドキドキ体験なんて二の次ですよ」
「理由としてどうなんだよそれ…辱めがメインって…」
酷く明け透けで色々筒抜けな会話。私の数少ない知己の声がする。それとは別の、聞いたことのない声の主と入口前で軽く言い合いをしているようだ。
入るならさっさと入ってほしい、店の前で揉め事を起こされては客足も遠退くというもの。自分のクラスの出し物に対して営業妨害はやめてね、アホ丸出しだよ。
「太陽くん。…!?」
「おん…レイリー、悪いな騒ぎ過ぎたか? どうした?」
「あら…」
まったくもって仕方のないガラ悪系好青年に注意を促そうと思ってお声掛けをさせてもらったが、何なのこれ、コレって言うのは失礼だけれど。何なの、すごい美人さんをおぶっていらっしゃるけど。
「はじめまして、お嬢さん。私はメリー・フォンセルランドと申します、いつもウチの太陽がお世話になっております。お名前を伺ってもよろしいですか?」
ゆっくりと、尾花栗毛の馬から降りるように。優雅にさえ見える所作で、太陽くんの背から降りた人。この場に射し込む陽射しが弱くとも、金糸で作られたような髪が煌めきながら踊る。
美人という言葉すら陳腐に感じる。そんな光景を目の前にして、めっっっちゃくちゃ緊張してきた。
「あ、えっと、レイリー・ケイスです…」
圧倒されつつもどうにかして声を絞り出す。私のコミュ障っぷりが白日の下に晒されています。
「あぁ、貴方が転校生の…ふふ、素敵なお名前ですね。私のことはメリーでもフォンセルランドでも、お好きにお呼びください。こちらからはレイリーさんとお呼びしても?」
「は、はい、どうぞ…」
「では、よろしくおねがいしますね。レイリーさん」
「あっ、はい…! こちらこそ…」
息つく間もなく、測らずともわかる完璧な角度での一礼と、ほころびの無い微笑みと共に右手が差し出された。人の手の届かない、計算され尽くした綺麗さ。今も足を踏み入れた人を驚かせているであろう石膏像か、あるいはモナ・リザみたいな不変の存在感。
う、うわぁー! 大人だぁ…!
何なのこれとか思っててすみませんでした、客観的に見ると引く程たどたどしい私の受け答え。滑稽でしょうねぇ、笑えよ…!
「…握手は、お嫌でしたか?」
「へぁっ、いや、そうじゃなくて。よ、よろしくお願いします!」
わわわと慌てて握手に応じる。いや違うんです、本当に握手が嫌とかじゃなくて、呆気に取られていたと言いますか、気圧されていたと言いますか……あれ?
「…?」
「仲良くしてくださいね、私と、ウチの太陽くんとも。ウチの太陽くんとも!」
「何で二回言ったんだよ。レイリー、変な勘違いすんなよ、この人とは職場での先輩後輩ってだけだからな」
「私とは職場の義務で付き合ってたんですか!?」
「オイオイオイ、義務だけだったらこんな事までやってねぇでしょ」
「へへへへへ…!」
「へへへへへ…!」
先輩後輩の割には随分仲が良いね、何これ。
私は何を見せられてるんだろう、漫才かな?
それよりも、握手をしたほんの数秒。たった十秒にも満たない時間、それなのに不思議な違和感が手から伝わった。
手が、異常なまでに冷たい。
皮膚の奥底に有るはずの血潮、その温もりが無かった。人の手を触ってぞっとしたのは初めての事で、この心境をどう形容したらいいものか。
「では挨拶も済みましたので行きましょう、入場料はこちらでよろしいですね?」
「あっ…はい…」
「では二人分…太陽くん、先に行って待っててください」
「良いっすけど、あんま変な事しないでくださいよ?」
「生まれてこの方変な事なんて微塵も関わったことがありませんが…」
「どの口が言ってんだよ…」
「モロ…もちろん、この顔の一部からです」
「確かに顔だけはいいっすね」
「性格も素敵でしょう?」
「いい性格してんな!」
やっぱり漫才を見せられてる可能性が高い、とりあえずさっさと入場してほしい。先程も思ったが客足が遠退いたらどうするんだ。
その意を汲んでか、メリーさんが手でしっしと太陽くんを追っ払った。結構扱いが雑ですね。
ゆっくりと近付いてくるメリーさんが耳打ちをするように囁く。そんな事を考えてる場合じゃないとはわかっているけれど、一つ、一つだけ言わせてほしい。
めちゃくちゃいい匂いするー!!
「ほんの一言、言っておかねばと思っただけですので、そう構えないでください。もしも、そうなったなら、結構大変だと思いますよ…ふふ…」
「…それは、どういう…」
「それでは失礼します」
…凄く意味深な言葉。私には今の言葉が何の話についてなのか心当たりはない。何かが起きるから注意しておくように、という忠告だったりするんだろうか。
カクつくようにゆっくりとお化け屋敷に入るメリーさんを目で追って、受付仕事を再開しようと思った。
ミステリアスでいい匂いのする人だったなぁ。人と会った時の感想がこれってダメな気がする。
…いい匂いのする人だったなぁ…!
「レーちゃん! やーっと見つけた!」
「お母さん?」
私の人には言えないタイプの感想はさておき。
足音と気配はないのに、声と仕草はうるさい人。これが私の母親です。
両親揃って来ると聞いていたのに、姿があるのは母親のみ。まさか迷子でもやらかしたんだろうか?
有り得る、大いに有り得る。やっと見つけたというのもそうだ、地図が読めないタイプの方向音痴なのに何か楽しそうな物でも見つけて、誘われるがままフラっと父と逸れたのだろう。
「会いたかったー!!」
「家で会ってるウッ…」
瞬きで視線を遮る程度の一瞬、私の後ろに音も無く移動して抱きしめられ…抱き上げられる。もう高校生だというのに、私の扱い方が昔と変わらない。
身長とかは関係無いので、この話はやめようか。
「馴染むわぁー」
「何の話…って痛たたた!?」
馴染むわぁじゃないよ、腋下に通された母の両腕が万力じみたパゥワーで締め付けてくる。主に肋骨の悲鳴が主旋律となってミシミシという不協和音を奏で…痛い痛い!
このスキンシップ取りたがりの発する、迸るほど情熱的なアプローチは私と父に向けられます。私に対する扱いは多分乳幼児の頃と変わっていないと思う。よく今まで無事に生きてるな、私。
ちなみにお父さんは涼しい顔で受け止めるか、更にお母さんの背後に回って抱きしめ返すか、いつの間にかすり抜けて避けるかをするので被害者は私のみです。
「ンー…充電完了!」
「……ふー…それで、一人でどうしたの、お父さんは?」
ベアハッグあるいはお母さんブリーカーのせいで乱れた呼吸と服装を整えつつ疑問を投げかける。本当は聞くまでもないけれど、一応の確認ね。質問内容もさることながら、これではどちらが保護者なのかわかったもんじゃない。
「ちょっと用事を思い出して歩いてたら逸れちゃった…」
「………」
だと思ってました。
「でもね! 親切な人に助けてもらいながらなんとか文化祭をエンジョイしてたのよ!」
それは一般的に迷惑をかけていたと言うのでは?
「たぶん今なら取り返しがつくから、一緒に謝りに行こう? ね、大丈夫だから…」
「えー!? 大丈夫よ、お互い様って話だから!」
「いいから、ね? 私も謝るから…」
「お母さん信用無くない!?」
いい歳して迷子になる親を、どう信用しろというのか。家に鏡とか置いてないのかな?
いや、あるよ。洗面所にもあるし玄関に姿見もある、そもそも各自の部屋にも置いてあるよ。無いのはお母さんの常識で、信用しているとしたらそこから来る常軌を逸した行動をするだろうなって所だよ。
「ずいぶん短小でしたね、他意はありませんよ」
「短いだけでいいじゃん、一言余計じゃね? 作った側で道覚えてるヤツが、背負いながらさっさと歩いてたらこんなもんでしょ」
「お姉さんを楽しませようって気概は無いんですか!」
「じゃあ一人で行けば良かったじゃないっすか…」
「あっ!」
「ん?」
「おや」
「え?」
お帰りなさいお二方。出し物の作成に携わったからって手早く出るのはどうなんだろう。これは風情を無視したある種のチート的なものでは? うーん、良くないと思いますね。
しかも来た時と同様に平然とメリーさんをおんぶして出てきたよ。ひょっとしてその状態がデフォルトなの?
個人的な所感はさておき、お母さんと太陽くん達が目を合わせて驚いている。まるで知り合いに偶然会ったような反応。まさかお母さん、この二人に迷惑を掛けたんだろうか。
「探したよぉ! 二人とも、どこ行ってたの!?」
「…いや一人でどっか行ったのはヴァイスさんっすよね」
「そうだっけ? あっ私の旦那さん見つかった??」
「申し訳ありませんが、御尊顔を存じ上げませんので…」
「…そうだっけ!?」
もうやめてお母さん。ちょっと天然というかアホな所が漏れてるから、私の顔が火を吹きそうです。娘に恥をかかせていいんですか…その手の機微があんまりわかってなさそうですね、はい。
今の会話でわかったことは一つ。間違いなく、ほぼ確実に、お母さんが迷惑を掛けたのはこの二人だ。なんてことをしてくれたのでしょう。日和ってる場合じゃない、こういう時にするべき事といえば!
「メリーさん、太陽くん…ごめんなさい…!」
「あ? いや、謝ることなんてねぇよ。先に迷惑かけたのはこっち…っていうかフォンセルランドさんだから、怪我もしてないし、俺らとしてはむしろラッキーだぜ」
「熱々の缶が飛んでくるなんてビックリだよね、でも、私で良かったねぇ。他の人だったら怪我してたかもしれないもん、気をつけなきゃダメよ?」
「事の仔細は省きますが、私達が御母堂様を大変危険な目に遭わせてしまいましたので。レイリーさんが頭を下げるのは全くもってスジ…筋違いです、何卒お止めください」
「あ、はい…」
熱々の缶…?
な、何があったんだろう、凄い気になる。
ともかく、お母さんが一方的にやらかした訳ではない様子。これは一安心ですね、良かったぁ。クラスメイト兼友人にダル絡みでもしていたのなら、明日からどんな顔で接すればいいのか考えてしまう所だった。
「じゃ! お母さん達、パパ探しに行くから! お仕事頑張ってね! 終わったら一緒に回りましょ!」
「あっ、そういう流れっすか?」
「…そのようですね」
「その…ごめんね…?」
「いいんだって、あんま気にすんなよ」
「出発ぅ!」
「速いっすよ!?」
「失礼いたします、レイリーさん。どうぞお仕事の程、無理なくこなせますよう」
我が母のことながら、まさしく嵐が通り過ぎた感じ。
どんな顛末があったのかは知らないけれど、彼には後日謝っておこう。恐らく凄まじい振り回され方をしてると思うから。
手持ちの時計を確認すると、私の労働時間は残り数十分程度だと針が克明に告げてくれる。
あと少し、頑張ろう。
───☆
目立つトラブルは特に無し。強いて言うならアトラクションから出てきた人が、数人半泣きになっていたくらいだろうか。
怖がらせる為のキャストの皆さんが本気を出し過ぎたみたいですね、お化け屋敷なんて怖くてナンボ、良い体験ができたということで。
「レイリー殿、お時間にござるよ」
「あぁ、スケベ忍者くん…」
「あいや待たれよ! 某が特別助平なのではござらぬ、一般的な男子はある種の旅人。自らを探すモラトリアム然り、日々にある幸運、あるいは瞬間の輝きを常に探し求める求道者が如き存在感!」
「平たく言うと?」
「某はパンチラ派でござる、そして男子は常にラッキースケベを求めているのでござる」
「遺言が長いの、くたばるのん」
「グワーッ!!」
「のんちゃん」
労働時間の終りと共にやって来たスケベ野郎と、それを蹴飛ばした数少ない友人、のんちゃん。守護騎士みたいでありがたいね、結婚する?
「クソバカスケベ忍者は捨て置いて。さ、遊びに行くの、時間だけは待ってはくれないのん」
「うん…風間くん、後はよろしく」
「承知!」
「コイツ復活して…まぁいいのん…」
どこからともなくリスポーンした風間くんに後を任せて、仕留めそこねたと鋭い目で睨むのんちゃんを連れて外へ。時間が勿体ないもんね。
「軽くご飯を食べてからフラフラ周るのん、音楽部と軽音楽部のステージも見に行くのも良いし、非公式系の部活を冷やかしに行くのも楽しいの。どーする?」
「…のんちゃんの所の鈴カステラ、食べたい」
「うぇ!?」
のんちゃんの提案も悪くない、むしろ良い。
だがしかし、ここは個人的な知的欲求を満たしたい。有り体に言えば、陸上部での彼女はどんな人として扱われているのかが気になるのだ。
独占欲とか、ちょっとメンタルがヘラっている的なタイプの話ではない。
どうしても、知りたい事。
何故私にこんなにも良くしてくれるのか。
私は普段から人付き合いのいい方ではない。それに度重なる転校に次ぐ転校の経験から、深い仲と言える友人なんてモノとは無縁を極めている。
当然だ、転校のスパンの問題ではなく、誰とも深い友誼は結べないと私はとうに諦めているのだから。元来明るい性格ではないのも手伝って、親友と呼べる人はできないだろうと、それでもいいし、そんなものだと思っていた。
そんな捻くれた私の異性の友人、それも下の名前で呼ぶような人は太陽くんが初めて。同性の友人、自分からあだ名で呼ぶような人はのんちゃんが初めて。つまり、この学校では初めてが沢山ある。
だから、わからない。
彼女はどうして私に付き合うのか。
「むぅ…しょうがないの…」
ほんのちょっと嫌そうな顔をした、私の友達。
彼女のことをあだ名で呼ぶよう様になったのは、私が転校してから割とすぐの事。
「距離感とか壁なんてくだらないのん、レイリーちゃんはいい子なの、しかもとびきりの。私のカンがそう告げていて、こういうカンは必ず当たるのん。だから他の皆みたいに、のんちゃんって呼んでほしいのん」
今にして思えばかなり唐突だったと思う。
特別な事の無い日常の、放課後の一幕。
速さを重視する彼女らしい言葉と動機、勘についてはわからないけれど、悪い気はしなかった。
「…じゃあ、のんちゃん…」
「うんうん…早速喫茶店に寄るの、あっ今日暇?」
「なにそれ…ふふ…」
聞く順番が逆だなんて些細なこと。火急の要件とは無縁の私は、この後誘われるがまま二人して喫茶店で喋ることになった。
喋った内容は取り立てて特殊な話はある訳も無し、あそこのお店がどうとか、他県の高校生の服装についてだとか、ありふれた、それでも特別な時間だった。
閑話休題。
のんちゃんこと野上さんが所属している部活動は陸上部。転校初日、淋代くんが安全な部活動だと言っていたが、そもそも危険な部活動って何事だと思う。
ほんの少しだけ張り詰めた気配を纏ったのんちゃんを連れて、いざ鈴カステラ購入へ。
…やっぱり自分の部活動の出店は嫌だったかな。
ごめんね…! 私ってば人付き合いが下手だから…!
「邪魔するのん」
「あッ…姐さん…ッ!! お客としてですかい!?」
「そうなの、十個入りを二つ頼むの。光速くしてね」
「押忍ッ!」
「早く用意しろ!姐さんを待たせるな!」
「声がでかいの、レイリーちゃんが怯えたらどうするの」
「押忍…」
「はい…」
姐さん…?
何その…えっ?
のんちゃんが店先に立った瞬間、カラフルなリーゼントの方々だったり剃り込みの入った短髪青年だったり、サラシを巻いた女子生徒だったりが背筋を正す。
ここって陸上部のお店ですよね?
決して、何か…こう…ヤバめの組織がやってるシノギとかじゃないですよね??
「…あんまり気にしないでほしいのん」
「…うん」
…これを気にするなというのは無茶では?
「ご用意しましたッ! 一個おまけしときやした! お代は結構ですッ!!」
「いや普通に払うのん、真っ当に頑張ってね」
「押忍!!」
「レイリーさんッ! 姐さんと楽しんでくださいッ!」
「余計なことは言わなくていいのん、じゃあね」
「押忍ッ!!」
「…….」
「おまけ付きはラッキーなの。行こ、レイリーちゃん」
「う、うん…」
なるほど、今の光景を見せたくなかったのかな。
私の脳も拒否反応を示しています。
「…悪い奴らじゃないのん、寂しがり屋で甘えベタで、ツッパる事しか知らないだけなの。あんまり怖がらないであげてね」
「うん」
そういうことにしておきます。はい。
いやぁのんちゃんの意外な一面を見ちゃったなぁ。
ははは、はは…。
いや普通に怖いよ、完全にヤンキー集団だったよ。太陽くんが金髪っぽいからヤンキーなんて軽く思ってたけど本物を見ちゃったよ。
えっ、しかも姐さんってどういうこと? のんちゃんってば実は兄弟姉妹が沢山の大家族だったりする? それだったら十人以上の大家族だね、そんなわけ無いじゃん!?
「…ハッ!?」
「どうしたのん?」
衝撃が遅れてやってきたようですね、ええぇー…何か凄い光景だったんですけど。
そういえば、サラッと陸上部員の一人が私の名前を言っていたけれど、普段から話題に上げているのだろうか。気恥ずかしいね。
「…やっぱり怖かった?」
「少し…でも、のんちゃんが怖くない人たちって言うなら、そうなんでしょ?」
内心のパニック具合はおくびにも出さないようにしつつ、普通に振る舞った。自分の鉄面皮に助けられたね、まったく人生何が役に立つかわからないものだ。
「やっぱりレイリーちゃんは良い子なのん」
「そうかな」
「そうなの」
買いかぶり過ぎじゃないかなぁ、見た目以外はノーマル女子高生ですし。それでも悪い気はしない、彼女も人に言う以上に、たぶん良い子なんだと思うから。そんな人に褒められるのは存外嬉しいものです。
合計すると少々長くなるので分割させていただきます。