はい!こちら『愛に溢れる探偵事務所』です!   作:枯華院 清日

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遅刻です、許して…。


リゾートバイト

 

 

 

 

 

 奇天烈極まるサメ騒動は呆気なく幕を閉じた。

 空を埋め尽くす浮遊サメどもは、反物質が齎す莫大なエネルギーの奔流に呑まれ、大半が塵も残さず、まるで最初から有りもしなかったかのように失せた。

 

 灰燼になる事を逃れた敗残サメは、民間協力者の体で千々石に同行していた太陽に殴られてかき消えるか、はたまた服部という機関員の忍術により血煙と化した。あな恐ろしや、忍者は実在するのだ!! 

 

 そして湘南の浜辺は、夏らしい活気と嫌気がさす程の人混みを取り戻し…。

 

「結局、人は戻らないなぁ…」

 

 いや、全く取り戻さなかった。

 

「しょうがねーよ。サメをぶっ飛ばしたのも昨日今日の事なんだ、サメの死骸が浮いてそうな海に来たがる人も、そんなに居ないだろうよ」

「そ、そんな…それでは某は…某は一体何の為に、働いているんだァー!! 

 …ええいおのれ、本当に何を希望にして働けば良いのでござろう…あいや待たれよ。もしかするとサメ映画スキーの美女が来るやもしれぬでござるな…ッ! ここは一先ずシャークネードを崇めるが吉!!」

「そんなにサメ映画が好きな人っているかな?」

「いる…! B級映画が好きな美人も実在するのでござる…ッ! 何故なら某が、そう信じているから…!」

「それは妄言だろ。ていうかそもそもの話、サメ映画って何だ? ジョーズとかか?」

「ジョーズはサメ映画だけど、サメ映画じゃないらしい」

「どういう意味?? じゃあステイサムの出てる…」

「それはステイサム映画だよ」

「んんん?」

 

 湘南のリゾートに住み込みで働きに来ていた三人。風間、森山、土屋。それぞれ高校の同級生であり友人、労働の目的は違えども談笑する程度に、何より同一の働き口に参加する程度には仲が良い。

 

「淋代も来れば良かったのになぁ」

「モデルはモデルで気苦労もあるんじゃないかな?」

「その息抜きにでもなればって事だよ」

「詮無き事やもしれぬとも、やはりナンパの成功率を考えると是非もなくいて欲しい存在でござったァ…ッ!」

「そういうゲスい話じゃあ無くってよぉ、わかる? どうせなら頭数多い方がワイワイ出来たって事な」

 

 野球部のピッチャーであり、いわゆるホビットの土屋が呆れつつ述べた。同級生のクラスメイトであれば、見た目云々は関係なく。更なる大勢であれば労働も愉快になったであろうと思っての事、彼は根明なのだ。

 

「学生の本分は学業だってのは當真もアイ先生も言うけど、思い出だって必要だと思う。そういう事が言いたいんだろ?」

「そーそー、それ。當真は別の用でこっちに来てるけど、淋代はずっとモデル仕事なんてのは健全な高校生の夏休みじゃあねーよ。そんでせっかくなら…って話だ」

 

 また気心知れた友人達を慮っているのも事実。話に上がった二人は、長期休暇中も通常授業期間も変わらず働いている。

 

「でもなァー! 淋代殿は言わずもがな御モテになりやがるでござるからなァー! 當真殿もなァー! カァーッヤダヤダ! 何だっていうのでござろうなぁ!?」

「顔とスタイルが飛び抜けて良いうえに運動神経も成績も良い淋代、しかも物腰は柔らかくて生徒会副会長までやってるモデル。こう挙げてくと理不尽だよな、しかも美人な姉もいる…デッドボール喰らわせても許されるんじゃね? 体育の授業で当ててやろうかな」

「顔にボールが当たると痛いからダメだろ」

「お前ほど頻繁に当たる奴もいねーよ?」

 

 しかし、労働を善としようとも、それ以外の点で嫉妬の炎が燃え盛るのは止めようが無い。

 男子高校生。それはあと数年で二十歳になるとはいえ、心の中はいつだって少年である。社会人でも似たようなものだが。

 

 如何に気取って、俺は恋愛なんて興味無いとアピールした所で、内心は興味津々。身近な所に恋の炎が着きそうな人間を見れば、どうやって消化してやろうかと躍起になるのが性である。

 

「野上さんは淋代が好き…なんだっけ?」

「どうやら幼馴染らしいぜ」

「キェー! お、幼馴染! 幼馴染ですってよ奥さん!」

「声でっか…」

「これが騒がずにいられようか、いやいられまい! まぁまぁ聞いてくださいよ旦那ぁ…昨今幼馴染イコール負けヒロインなんて根も葉もない中傷で揶揄されるでござるが。現実的に考えてもみてほしいでござる」

「誰だよ旦那」

「普段人前では素直になれぬが故他者に少し…結構…いや大分厳しく当たる。これぞ正しく、古き良き幼馴染のツンデレヒロイン! 某は野上殿の恋を応援して……いるか戯けぇ!! どうせだったら皆に優しく、人にやさしくしなさいよ! 某が喚いてたらガンガンガンガン蹴っちゃってさぁ! ツンデレ暴力系ヒロインなんて今日日流行らんでござる! 何かじっとりした感情をお持ちの会長殿に、意中の人のハァトたるモノ、鳶に油揚げをかっさらわれればよろしい!」

「騒ぐ風間が悪いんじゃないかな?」

「色々言ってるけど、ただのやっかみだよな」

「イグザクトリィー!」

 

 火を絶やせ、なんかもう恋の全部の。

 

「人の事には異様に首突っ込むけど、お前だって異性と普通に関わってるよな? あのお姫様とか」

「いや一寸…それは…土屋殿、それは良くない…」

「急に日和りだしたな」

「受けに回ると弱いんだ」

「防御な?」

「あれ…?」

 

 矛先を向けられた途端にしどろもどろになる風間、目は口程に物を言う、というが。面包と髪の間に覗く瞳の泳ぎ方はその言葉を超えてまさに雄弁が過ぎるという他ない。

 

「姫様はほら…仕事上の付き合いという面もあると申しましょうか。某程度じゃ駄目でござるよ、だって高嶺の花だもん」

「だもん、じゃねーよ…人の事だけペラペラ饒舌に喋るのはフェアじゃねーだろ。ナンパだってどこまで本気なんだか…」

「そ、それを言うならぁ! お二方だって如何なものでござろうかぁー! 昼間の休憩時間なのに、気分はまるで修学旅行の夜、十五歳じゃないから盗んだバイクで走りません! 親御さんも安心でござるよ! ねぇねぇ気になる子とか居ないのぉ〜!?」

「コイツ誤魔化しやがった」

「勢いだけは凄い」

「某は甘酸っぱい味に飢えてるのでござる! さぁ、何かしらの甘酸っぱエピソードは!?」

 

 風間が自身に向かう矛先を全力で逸らそうと躍起になった。その時、三人が駄弁っていた部屋の襖が開く。スパッという快音と共に、恰幅の良い女性が姿を表した。

 

「バイトの三人組、そろそろ休憩終わりだよ!」

「ぬ、女将殿」

「もうそんな時間ですか」

 

 現在三人が働く旅館、そこの女将。はしゃぐ高校生3人組の部屋に来て、開口一番に休憩の終わりを告げる様子からは、内気とは正反対な快活さを醸し出す。

 

 一人で切り盛りしている訳ではないが、一つの宿をまとめる仕事も担っているのだろう。三人からの印象は、これぞ元気なおばちゃんといったもの。

 

「んじゃあ切り替えて行くか…」

「その前に…!」

「何です?」

「コイバナならあたしも混ぜな!」

「えっ」

 

 歳の頃は誰も聞いていないが、ほうれい線等から察するに四・五十代は迎えているだろう。

 しかし年齢など関係ない。色恋の話は老若男女問わず首を突っ込みたくなるものである。

 

 

 

 

 それからしばらくして。

 

「いやぁ〜拾いモンだわ!」

「へへぇ…これくらい朝飯前どころか寝起きでござる」

「風間、途中で複数になってなかった?」

「そこを気にするとキリがねーぞ」

 

 何故か異常に仕事のできる謎の高校生の働きに感心しきりの女将。それもそのはず、広く長い廊下であろうが一人で雑巾がけの水拭きから乾拭きまでを、一人三役で同時に行う分身の術が風間にはある。

 宿に付き物の大浴場であろうと、お茶の子さいさい。風間の一人が鏡を磨き、風間の一人が床を掃除し、風間の一人が備品の補充をこなす。一人二役どころの騒ぎではない。赤子の手をひねるが如しだ。

 

「しっかし、意外と旅館ってのも仕事があるんですね。草むしりだの部屋に布団の清掃、洋室のベッドメイキングとか」

「受付に売店周りの仕事もあったり、大変なんですね。ボクらはあんまりやる機会が無いから…」

「そうそう、俺らホビットとかエルフにはあんまり縁が無い仕事なんですよ。楽しいっちゃ楽しいっすけどね。風間より役に立てないのが申し訳ないっつーか…」

 

 観光地から少し離れた旅館であるが、それでも広く、客入りの多い時期のこと。臨時でバイトを雇う程には繁忙期まっしぐら。

 その仕事の中でも、出来るだけ怪我のリスクが少ない仕事を森山が、それ以外は他の二人と役割分担も済んでいる。

 

「できる事をやってんだからいいんだよ! 去年の立神ちゃんだって分身しなくても働けてたんだから」

「まぁ普通は分身しないですよね」

「最後の日には、来年もって言ってたんだけどねぇ…他の用事があるから今年はダメだっていうじゃないの。でも今年も大当たりさね!」

「そんな女将殿…もっと褒めても良いのでござるよ!」

「あんま褒めないでください、すぐ調子に乗るんで」

 

 人数分の労力はやはり有り難いのだろう、一名人数の範疇超えているが。それはともかく。旅館の女将の発言、そして三人の目に映る表情は喜色満面そのものだった。

 

「じゃあ明日も頼んだよ!」

「承知!」

「はい」

「おっす」

 

 本日の業務終了を告げる声と共に、三人が宿泊する一室から女将が退出した。

 

「よーし…コイバナしちゃうでござるか!?」

「しねーよ!」

「それよりも、さ。気になることがあるんだ」

「そ、それより…!? 何か森山殿ってば青春濃度低くなかろうかと某としては危惧する所存…!」

 

 普段はどこかぽやぽやとした、不注意さもありなんといった様相の森山。それが今、何か考え事があるように表情を引き締めている。

 

「気になるって…何がだ?」

「この旅館、二階建てだろ?」

「ま、ちんまりしてる方っちゃ方だわな」

 

 土屋の言としては肯定の色がある。そして言外には、観光地であればそれは珍しくないという意も含んでおり、何を当然のことをと表情の一片も変わらない。

 

「うん…そう、そうなんだよ。

 それなのに、使ってない部屋がある」

「うむ…?」

「あぁっと…なんだっけ、204号室だったか? でもそれってよくあるんじゃねーの?」

「四は死を連想させるが故、その番号だけは欠番とする等の措置を取る旅籠も多いというでござるな」

 

 そう。発音・表記上、その数字は死に近しい。これは自動車のナンバー部分のひらがなに“し”が無いことも同じである。言霊を信じる・信じないに限らず、旅館やホテルの宿泊業ではありふれた忌避に過ぎない。

 

「確かにそう、で、この旅館は欠番にはしてない。それだけだと思ったんだ。女将さんが言うには、良くない数字だから端っこにして、物置にしてるらしいから。普通に使わないようにしてるんだなって」

「じゃあ何が気になってんだ?」

「今日さ、窓拭きをしてる時、たまたまその近くを通ったんだ、物置でもついでにドアノブくらいは拭いておこうって、そうしたら。

 腐った食べ物の臭いがしたんだよ」

「……」

「…うむ?」

 

 ネズミの一匹が室内で死に、そのまま野ざらしとなった死骸が夏の陽気に腐敗したのかもしれない。それであれば、不衛生ながらも珍しくはないだろう。

 だが森山は腐った食べ物の臭いと断定した。

 

「腐った果物の臭いがしたんだ。ボクらはよく果物を食べるからわかる、あれはたぶん桃が放置され過ぎてダメになった臭いだ。それが倉庫替わりの部屋からって、気になるし、変だろ?」

「たしかに変だけどよ…」

「うーむ…うむ!」

 

 およそ開かれない室内から漂う腐敗臭。しかも食べ慣れている者からすれば、判別も容易い程度に甘ったるい桃の臭気。人が入って食事する訳もない倉庫代わりの部屋から漂うそれは、不思議に思うも当然の、謎という雰囲気そのものの気配となっていた。

 先程からうんうんとだけ唸る風間が、しっかりと意味のある言葉を発した。

 

「業務は終了、熱い出会いは無し。されど夏の風物詩は恋愛の一つでも無し!」

「お前まさか…」

「ドキッ、深夜の肝試しと洒落込みましょうぞ! やだ、某ってば動悸がしてきた…これが…恋!?」

「な訳ねーだろ」

「うん、行こう」

「お前も乗り気なのかよ!?」

「気になるからね」

 

 唐突に決まりかけている肝試しに、それに繋がる話を切り出した森山は乗り気。発案者の風間は当然やる気十分。一方の土屋は…。

 

「お、俺は行きたくねーぞ!? 腐った臭いだの知ったこっちゃねーし、女将さんに見つかってもみろよ泥棒と勘違いされて通報されたら終わりだぞ!」

 

 全く乗り気ではなかった。それどころか全力で拒否をする構えを見せる。そう、土屋は怖がりであった。

 

 

 

 

 

 暗がりの廊下、足音は三つ。時刻は草木も眠る丑三つ時、旅館の働き手もまた眠りについている。そして宿泊客もおよそ夢の中。

 隠れて何かをするにうってつけの時間。

 

「火遁、鬼火の術」

 

 面包を着けた者、風間の囁く声が旅館の静けさを細かく破る。続くように中空から、どこからともなくぼうっと火が広がる音と共に、火の玉が揺らめき廊下の闇を柔らかく払う。

 

「やっぱり風間って忍者…」

「森山殿、ニンジャなぞ居ない、いいね?」

「そっか…」

 

 ニンジャは居ない、本人の弁としてそう言っているのだから間違いない。ニンジャは居ないのだ。

 

「ボクは明かりがなくても見えるけど、あった方がいいよね。転んだら危ないし」

「森山殿が居るからには万全を期するは当然でござる。ところで土屋殿は…土屋殿…?」

 

 森山の自宅は突如として都内に現れた森の中。無闇に大きい猪やアグレッシブな人食い植物に彩られた森に居を構えている。

 灯りもまた延焼を起こさないように最低限の場所で育ったが故か、夜目が効くようだ。風間も純人間ではあるが、どうやら同じように暗がりを物ともしない。

 一方の土屋は。

 

「………」

「土屋殿?」

「えあ!? な、なんだよ! 別にビビってねーし!!」

「声が大きいよ…」

 

 先んじて歩く二人からは少し距離のある場所で、辛うじて歩きつつ、まるで生まれたての子鹿のような足取りで付いて行っていた。ビビりである。

 

「ふむ…ここが件の」

「うん、でも…」

 

 障害物も無いので早々に到着した場所。何の変哲もない扉に204とだけ刻印された表札が付いている。

 森山が集中して呼吸をした。

 

「臭いが…薄くなってる…?」

「中から音もするし。ね、ネズミが食っちまったんじゃねーの。ほれ、終わりだ終わり。さっさと戻って寝ようぜ!」

 

 臭いが薄くなったという違和感。土屋の言うとおりの可能性もあれば、他の従業員が片付ける等をした可能性もある。そう考えれば珍しくもない出来事で、土屋の希望通り部屋に戻って眠る方が生産的だろう。

 しかし、一点、未だ奇妙な事がある。

 

「確かに…部屋の中より、カリカリと鼠が動くかの如き音が聞こえるでござるな…?」

「でも何十匹といないと、果物を全部食べるなんてしないんじゃないかな。他の従業員さんが片付けたのなら、臭いもしないだろうし…」

「か、帰ろうぜ。大したことじゃねーよ」

 

 部屋の中から、何かが聞こえる。

 それは硬質な何かが床、あるいは壁面を叩く音。

 

「…壁から音がしない?」

「うむ? たしかに…?」

 

 ネズミであれば、壁面をかけ巡るだろうか? 

 重力に逆らって? 

 

「な、なんかヤバくね? も、戻ろうぜ」

「業者さんを呼んだほうがいいかもしれないね」

「いやそういう事じゃなくてよ…」

「たしかに奇っ怪な気配がするでござ…。

 森山殿、下がれ!!」

 

 小声から一点、闇を裂くような忠言が廊下に行き届く。あまりの緊急性を孕んだそれは最早怒声に近い。

 

「え、なん…」

「糞…っ!」

「何か、何か動いてねーか!?」

「鬼火を出していて良かった、二人は某の後ろに!」

 

 影。

 

 影そのものが、囓るように。舐め剥がすように。

 かりかりと音を立て、歯と爪のみを闇から覗かせて這うように動き、向かってくる。

 闇夜の中であれば気付かずにいたかもしれない、不可解な暗闇が、何かの意思を持って蠢く。

 

「影縫い!」

 

 風間は影を目掛けて、クナイと呼ばれる投擲物を投射する。懐から取り出したそれは、音も無く、鬼火の明かりを反射する事もなく飛び行く。

 

「なんと…!」

 

 しかしクナイは泥中に放たれたかのように沈んで行った。直後、影の中から金属が削れる音がけたたましく鳴った。もしも影に入ったが最後、どうなるかを見ずとも察するに余りある。

 

「万事休す…こうなれば全力で逃げるしかあるまい…!」

「だから嫌だってんだよ!」

「ど、どうしよっか」

「まぁ、あんまはしゃいで肝試しなんてしてもロクな事にはならねぇって事だな」

「今言う事かよ!! って、お前…!?」

「破ッ!!」

 

 いつの間にか居た誰か。鬼火が照らす頭髪の色は金を混ぜた茶色。ここにはいない筈で、別の目的があった筈の高校生。それが、掛け声とともに振るった腕で。近寄ってくる影の数個を文字通り消し飛ばした。

 

「下がってろよ、巻き込まれたら吹っ飛ぶぜ」

「當真!」

「あれ、當真?」

「當真殿!?」

「おう。千々石さーん! ここ! 二階の角!! 小さいのは片付けたから、やっちまって!」

 

 まるで何事も無いかのように平然と、何やら携帯電話に向かって叫んでいる。そして無理やり三人を問答無用で下がらせた、次の瞬間。

 

 轟音。

 

 夜に似つかわしくない一条の光。

 静けさが崩壊する音。

 それはつまり。

 

「やっぱ反物質ってとんでもねぇよな…ってか、俺やる事ほとんど無いじゃん」

 

 反物質からの莫大なエネルギーが、夜に潜む恐怖を薙ぎ払い、福音となった事を表している。ともかく。

 

「はー終わり終わり。事情はそのうち説明するから、お前らはとっとと寝ろよ」

「當真殿…これはこの間の…?」

「そういう事、あのサメが吹っ飛んだのと同じだぜ」

「じゃあやっぱり…」

「ん?」

「もうあの御仁だけで良いのでは?」

「…強く否定出来ねぇんだよ! やめろや!!」

 

 リゾート・バイトにはご注意を。

 

 

 

 

 




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や、優しくしてね…!
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