『武蔵ちゃんを助けたい』 作:みたらしうどん
今回からFGO本編に入ります。
「──ぃ、────ミレ──……!」
「……ん」
身体に、魔術行使がされる感覚。回復術式。
意識が戻ると……間近に狼を連想させる、白い髪と鋭い目。
……夢を、見ていたらしい。想い人に出会った、あの日の夢を。
いま現実で、対面しているのは……。
「カドック……元気そうで、良かった……」
「……良くない。何も良くなんてないだろう……! どうして、僕を助けた!?」
……おかしなコトを聞く。
「カドックが、一番……
「……なんの冗談だ、それは。僕に、キリシュタリアやデイビットを上回る『何か』があるとでも……?」
「……さぁ……。
でも、いつだって……客観的な、カドックが……そう思うなら……敵だって、そう思う……。どう細工しても……キリシュタリアと、デイビットは……必ず、殺される」
「……ッ! なら──」
「オフェリア? それとも……ぺぺ?
……あの二人は……余計なモノまで、見えてるせいで……諦め癖が、ついてるし……。
芥さんと、ベリルは……そもそもの、立ち位置が……違う」
「…………お前は、」
「……?」
「お前自身はどうなんだ、スミレ。お前だって、僕からすれば……」
「…………いい加減、自覚しなよ。『カドック・ゼムルプス』は、キミが思っているほど……『Aチーム』の面子として、劣ってない。
──断言するよ。
「…………最後に一つ、聞かせろ」
「……何?」
「僕一人で、できると思うか?」
「…………」
「……あぁ、よく分かった。
『見え過ぎる』ってのは、たしかに残酷だ」
……時間が来た。
崩壊した中央管制室に、ドクターと『最後のマスター』が現れる。
「「────」」
「……ドクター。見ての通り、Aチームは……僕以外全滅だ」
息を呑む二人に対し、カドックは淡々と情報を共有した。
「スミレに助けられた。コフィンも、比較的損傷が少ない。まだ使える筈だ。僕は中に戻って、レイシフトに備える」
「……そうか。分かった」
「えッ──『全滅』って、そんな……じゃあ、
「……マシュなら、あっち」
言葉と共に、視線で位置を伝えると……彼の顔が、絶望に染まる瞬間が眼に入る。
「…………ぁ」
「用が済んだなら……避難を、するといい……」
しかし彼は、マシュの元へ歩み寄った。
「オイお前、何を……?」
「……
「だからって────いや、まさか」
『ハッ』とした顔でこちらを見た彼に、笑いかける。
「先、輩……どうして……障壁が……これじゃ、もう……外には……」
「……うん。だから、一緒に居るよ」
「…………あの」
「なに?」
「手を……握って、くれますか?」
「うん」
────レイシフトまで、あと三十秒。
「……ド素人だ。あんな躊躇なく、『魔術師の手』を握るなんて……」
「うん……だから、助けがいる……」
「…………」
「……頼むよ、カドック」
「…………あぁ」
──ファーストオーダー、開始。