『武蔵ちゃんを助けたい』   作:みたらしうどん

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 最初に言っておきます。
 ベリルファンの方すみません……。
 


マシュから見た『スミレ』

 

 話の流れで、改めて『彼』について話すことになった。

 

 ──(はざま)(すみれ)

 男性。現時点で二十一歳。出身地は日本。丑三村。

 

「──え? 待って、()()()?」

 

「……? はい。データにはそうありますね」

 

「丑三村って、きさらぎ駅とかと同じで……『存在しない場所』として有名な、()()()()の筈なんだけど……」

 

「……偽造という可能性は、ありますね。

 ただし『実在した』 或いはその都市伝説によって生じた『どこか』で産まれた……なんてことも、あり得ない話ではありません」

 

「そうなの?」

 

「はい。何らかの『物証』が発掘されて、歴史が変わる。そういったことは、魔術師界隈でもよくある話なので」

 

 一応『偽造』の線も考慮し、この件は後ほどダ・ヴィンチちゃんに報告するとして……話を戻そう。

 

「レイシフト適性と戦闘訓練の成績は、Aチームの中でもトップクラス。主に使用していたのは結界術ですが……この辺りはカドックさんの方が詳しいので、ご興味があれば、彼に話を聞くのがいいでしょう。

 ……プロフィールはこんなところですね。以降は、私の主観になりますが……あくまで『()()()()()()』ということを、念押しさせてください」

 

「……? うん、分かった」

 

「──……私は彼が、()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 *

 

 

 

 私が彼と出会ったのは、三年と少し前のこと。……らしい。

 『らしい』というのは、私に当時の記憶が無いからだ。その頃はまだ、前所長が存命中で……定期的に、記憶を消されていたから。

 

 つまり彼は、私の覚えている範囲で『最も付き合いが長い人物の一人』になるワケだが……。

 

 私の中で、彼の記憶は『もう一人の男性』と深く結びついている。

 問題は件のもう一人。同じくAチームメンバーである『ベリル・ガット』の方にある。

 

 

「ベリルさんは…………その、端的に言って……()()()()()()()

 

「……へん、たい???」

 

「かなり特殊な性的嗜好をお持ちの方でして……」

 

「Oh……」

 

「菫さんは、ベリルさんの親しい友人だったんですけど……私の部屋に来る時は、必ずと言っていいほど……お二人は一緒でした」

 

「それ大丈夫だったの??」

 

「えぇ、まぁ。ドクターの監視もありましたし、何も酷いことはされませんでしたよ」

 

 ──()()()()()()()()()、だが。

 私に当時の記憶は無いけれど、ベリルさんは私の指を折ったことがあるらしい。

 

 彼が、菫さんがカルデアに『現れた』のは、その直後とのこと。

 

 悲鳴をあげている私を見て、彼はベリルさんを制圧。事情を聞き出し……それがベリルさんの『愛情表現』であった、ということを知ったのだという。

 

 『美しいものを傷つけた時だけ、それを美しいと感じることができる』

 

 それがベリル・ガットという人物の(さが)らしい。

 つまり彼は、理解しがたいことではあるが……曲がりなりにも、私を『好意的』に見てくれていたのだ。

 

 菫さんはそれを『救いようがない(度し難いな)』と言いつつ……ベリルさんの理解者として、進んでドクターや私との仲介役を行っていた。

 私の前で、彼が常にベリルさんと一緒に居たのは……そういうワケだ。何せベリルさんに出された『医務室への立ち入り禁止』を取り下げる条件の一つが、『間菫()とドクターロマニ両名の監視下にあること』なのだから。

 

「……じゃあ、その二人が何をしにマシュのところへ来てたのかは……聞いても大丈夫?」

 

「えぇ。

 読んだ本の感想についてお話したり、一緒にガーデニングをすることが多かったですね」

 

「あ、もしかしてこの部屋のお花って……」

 

「はい。お二人と育てたものです」

 

「…………ここまでは、特に問題ないような気がするけど……?」

 

「そうですね。ただ……私、散髪はベリルさんに任せていたんですよ」

 

「うん。それで?」

 

「……すごくきもちわるいんです」

 

「???」

 

「本人曰く、『マシュ(わたし)の髪を切ること』で興奮するらしく……」

 

「……ん??」

 

「仕上がり自体は普通なんですよ。ちゃんと要望通りに切ってくれるので、別にいいんですけど……。

 切ってる間の『気配』というか、視線や息遣いが……身の危険を感じるレベルで、その、すごくきもちわるいんですよね……」

 

「うわぁ……」

 

 ついでに、『嫌悪感を示すマシュ(わたし)』の姿にも興奮している節があった。

 これは本人が口に出していない部分なので、一応彼の名誉のために伏せておくが……やっぱり思い出しただけでもきもちわるい。

 

「なので、菫さん単体なら特に思うところはないんですけど……やたらベリルさんと絡ませようとしてくるところを加味すると、どうしても『苦手』に感じてしまうんですよね……」

 

「な、なるほど……」

 

 ……なんというか、先輩の中で菫さんの評価が『カドックさんの恩人』から『ヘンタイの仲間』に変化した気配がするものの……私は先輩に聞かれたことに答えただけなので、見逃してほしい。私がいままで受けた精神的疲労と差し引きにすれば、許されるハズだ。

 

 …………あとでカドックさんにフォローを頼むのと、コフィン解凍・蘇生の目処が立つ前にお詫びの品を用意しておくのを忘れないようにしよう……と、私は密かに誓うのだった。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

『……大令呪(シリウスライト)のこと、あの娘に伝えなくていいのか? ベリル』

 

『マシュに余計なコト言いやがったら両眼くり抜くからな? スミレ』

 

『ハイハイ。……損な性格してるよ、ほんと』

 

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