案外ボックスの中は快適である   作:喬喬

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ひ、人って何時もそうですよね!私たちのことを何だと思っているんですか!?邪神邪神って、都合が良い時は崇めたりする癖に─────

 

 

 朝を迎え、カルムは己の過ちを悔い改めていた。

 

 床で寝ようとしていたが、コギトに「一人は嫌じゃ」と泣き付かれそのまま共にベッドで就寝したことはまだいい。歳上なのにも関わらず、子供のように抱き付いてしまうのも仕方がない……のかもしれない。

 

 だが、今はどうだ。

 

 普通に寝ていただけ、ならば何故コギトは産まれたままの姿なのか。そしてそれは己も同様。カルムは「あ、これが朝チュンってものなのか」と現実逃避して客観的にそう感想を述べたが、そうはいかない。

 

 

 「(………やらかした)」

 

 

 そう、ヤらかしたのである。

 恐らく見た目は20代半ばから後半の美女だが、実際はそれ以上。そしてカルムのカルムは彼女からの誘惑に何故か(・・・)抗えずに致してしまった。

 

 ヤってしまったのは仕方がない、というよりその事実は変わらない為、彼女を起こさぬ様にベッドから出ようとする─────。

 

 

 「……むぅ。む、おはよう」

 

 「お、はようございます。コギトさん」

 

 「う、うむ」

 

 

 身体を布団で隠し、頬を染めるコギトに「まー、そういう反応になりますよね!知ってました!」とカルムは血の涙が出そう、いや吐血しそうな勢いである。

 

 

 「よもや、この年で生娘みたいになるとはの。世の中どうなるかわからないものじゃな」

 

 「は、はぁ」

 

 「……抱いた女を一人にさせる気か?」

 

 「いや、その」

 

 「一人に、する気かの」

 

 

 容姿相応の甘え方をするコギトはカルムの手を握る。しかし、コギト自身も顔を真っ赤にしながらだ。初々しくあるものの、カルムは謎の引力によって大人しくベッドの中に潜る。

 

 右肩から左脇腹まで、痛々しい傷跡があるカルムの身体に指をなぞった後、コギトは彼の胸板に凭れる様に。いや、心臓の音を聴くように片耳を押し当てながら囁く。

 

 

 「……あたしは考えた。お主の目的に、どの様にして協力するかを。じゃが、その目的は穏便にするにはちと難しい。コトブキむらだけではなく、コンゴウ団・シンジュ団という二つの組織があるのじゃ。その三つとも、余所者をあまり歓迎せぬ。むしろ排他的であるじゃろうな。今では少し和らいでおるかもしれぬが………やはり、お主らでは容易に入れるものではないと考えておる」

 

 「なるほど」

 

 「じゃが、ある手段を使えば幾分かはマシになる。これはわらわじゃからこそ、出来る手段ではあるが……」

 

 「その手段、とは」

 

 

 その問いに待っていました、と言わんばかりの少女

が悪戯に成功したかの様な無邪気な笑みでカルムにこう答えた。

 

 

 「カルム。お前の目的を果たすまで……あたしと夫婦になるのじゃ」

 

 「……は?」

 

 「わらわはそれなりにコトブキむらにいるギンガ団からは信頼されておる。コンゴウ団、シンジュ団共にな。双方の長とも面識もある。そんなわらわの夫、となれば警戒はされるじゃろうが余所者扱いよりかは幾分かマシになるじゃろう」

 

 「それって、バレませんか?」

 

 「まあそこはなんとかなる。今までは離れて暮らしていたとか。或いは他の地方へ長い間旅をしていたと言えば問題ないじゃろ。そうなると、カルムも素直に年齢はバラすでないぞ。あたしと共に長い悠久を生きている、という設定というやつじゃ」

 

 「む、無理があるような───」

 

 「どうした旦那様(・・・)。あたしは久々に会えてとても嬉しいぞ。どれ、夫婦としてシンジュ団の長に挨拶するかの」

 

 

 カルムの意見を悉く却下し、コギトは自分と偽造夫婦として暫く生活し、ゆくゆくはコトブキむらへスムーズに入れるようにする計画となった。色々と無視できない問題がある筈なのだが、コギトはその点はスルーするつもりらしい。

 

 

 「服はあたしが選ぼうぞ。昔、このドレスを手に入れた際に貰ったものもあるからな。喜べ、お揃いというものじゃ」

 

 

 そう着せられたのはタキシード。しかも真っ黒くろすけの、だ。話を聞くにコギトは何処からか色んなものを仕入れているんだとか。

 

 

 「うむっ!似合っておるな。流石はあたしの旦那様じゃ」

 

 「あ、あははは……ありがとう、ございます」

 

 「では、早速向かうとするか。シンジュ団の集落へ」

 

 「そうです………え?もう?」

 

 「善は急げとは言うだろう。ほら旦那様、支度を。そしてそこのケモノ(・・・)。旦那様の相棒なればその振る舞いに気を付けるのだな」

 

 

 コギトの指摘に外から盗み聞きしていたのであろうトパーズが少しビビりながら入る。コギトの精神が安定しているのか、昨日の様にはならない─────と、見えたが全力でカルムを抱き締め、身体を震わせている為、精一杯の痩せ我慢をしているらしい。

 

 

 『き、昨日はおたのしみでしたね』

 

 「と、トパーズ」

 

 「夫婦の営みに茶々を入れなかっただけ評価してやろう。過去は過去、昔のことは水に流そうか。ケモノ……いや、トパーズと言ったか」

 

 『ち、因みにその件って具体的に』

 

 「……旦那様。このトパーズとやらが妾をいじめるのじゃ」

 

 『あ゛っ!ごめんっ!何も言わなくていいから!』

 

 「一体何やったんだよ………(想像は出来るけど)」

 

 

 実のところ、カルムにとってこの環境は居心地が良過ぎた。只でさえ身体能力がポケモン並み────厳密には、伝説ポケモンや幻ポケモンでさえも太刀打ちできる程のスペックは現代(元の世界)では窮屈過ぎたのだ。しかし、ここは弱肉強食。ポケモンも容赦なく牙を向ける殺伐とした環境にとってはカルムの能力を何の抑えもなく発揮できてしまう。

 

 

 「文献にはあったけど……彼がバサギリか。ストライクからハッサムとは異なって鋼ではなく岩を。うん、しかも中々の力を持ち主だ」

 

 「ぐっ、グラシャッ!?」

 

 「おっと」

 

 「???」

 

 

 バサギリというカルムからすれば絶滅種のポケモンをマジマジと観察しつつ、振り下ろされた鎌を片手で掴む。当然バサギリは人間が己の全力一刀両断を片手で止められたことに驚愕を。次は開いたもう片方の鎌で横凪ぎしようとするが、次にカルムは膝と肘で易々と受け止めたのである。もう意味わからん、と頭上にクエスチョンマークを浮かべながらバサギリはこの人間に、いやこいつ人間か?人間の皮を被った同族?ポケモン?ではと困惑するしかない。

 

 

 「すまない。いきなりで失礼だったが……君もいきなりその鎌を振り下ろすのにも要因があると理解して欲しい。しかし、ポケモンの顔や身体をマジマジと見るのは人であっても失礼なのは間違いないか。まずは謝罪を。お詫びと言っては何ですが……これを」

 

 「グラシャ……?」

 

 「それは俺の研究所に住んでいるビークインが作った特性超あまいみつだ。ミツハニーとアブリー、カミキリが一緒に作った濃厚で、けれどしつこくない甘さがあるもの。これを気に入ってくれるといいが」

 

 「グラシャ……っ!!!グラシャ!グラーシャ!」

 

 「はは。気に入ってくれてよかったよ。そう言えばこの“いきいきイナホ”とで作ったケーキがあるんだが」

 

 「グラッシャ!」

 

 「おぉ!?そんなに美味しそうに……作った甲斐があったよ」

 

 

 いつの間にかぶちギレで大暴れしていたバサギリを力で抑え、その上で餌付けをしてしまうカルムに遠くから見学していたコギトは目を点にしていた。

 

 

 「え?……ぇ?な、なんじゃ?旦那様が、キングを容易く」

 

 『へー?あれがキングなんだー!でもカルムならどうとでもなるよね。カルムを止めるなら最低でもボクと同格か、伝説ポケモンを連れてこないと』

 

 「……むしろこの掟破りな男が妾の夫であれば、説得感的なものがあるかもしれん。これは意外と早く」

 

 『それよりも、そんな離れなくても』

 

 「!近づくなよトパーズ。近付いても良い時は妾が旦那様の肌に触れている時だけじゃ!えんがちょ!えんがちょー、なのじゃー!」

 

 『わお、すっごい嫌われようだぁ』

 

 

 実は無断で【キング】のバサギリがいる場所に訪れていたカルム達。最初はバトルが始まるかと思いきやカルムの差し入れで機嫌を良くしたバサギリから様々なことを聞いたのであった──────。

 

 

 「────いやまて旦那様。ポケモンと話せるのか?」

 

 「話せはしないですけど、何となく?はわかりますよ」

 

 「グラシャ、グラーシャ!ラシャラシャ!」

 

 「え、君は英雄?の子孫なんですね。しかもその英雄様は人間に従って、暴れていた“しんおうさま”を倒した………すごいですね」

 

 「グラッシャ!シャーシャ!」

 

 「しかもつい最近、人間の女性が“シンオウ様”に挑んだ、と?その女性の名前は………【ショウ】」

 

 「え、妾必要ない感じ?ちょ、それは、」

 

 「グラッシャー!」

 

 「バサギリさんが『人の町はよくわからん。だから拙者の面倒を見ている小僧がよく知ってるだろうから、その小僧がいる町に案内する』ですって」

 

 「妾、要らないじゃん」

 

 『わかるよ~。ボクもカルムを助けようとしたら涼しい顔で対処するから役に立ってるかも不安なんだ~。あ、でもますたーの最初はボクだからネ!そこは譲れない!』

 

 「何意味不明なことを抜かすか、この阿呆が」

 

 『つらたん』

 

 

 

 バサギリと別れを惜しむカルムを引き摺り、シンジュ団の集落へと赴くコギトであった。

 まさかその道中で、運命的にもカルム達の探し人と出会うことになるのはこの時、誰も予想していなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

LEGENDS Arceusのキャラで誰を積極的に登場して欲しいですか?また、カルムorトパーズとどうなって欲しいかは感想にてお願い致しますm(__)m

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