雪が積もる純白の凍土は、まさしく極寒であった。
酷く吹雪いており、景色は日が昇っているにも関わらずその日光を曇らせる程の天候。ポケモンであっても、容易には前進することを憚られる程の猛吹雪の中、三つの影があった。
「流石に寒いな」
『けど前の砂嵐よりかはマシじゃない?砂より雪の方がずーっといいし!』
「そういえばトパーズの故郷、雪山だっけ?」
『うーん……吹雪いてたけど、雪は積もる前に灼熱の干ばつもあったかね。雪山でいいのかな?』
「……難しいな。とりあえず山?」
『うん。山』
「そこのケモノは兎も角!旦那様!こんな猛吹雪に呑気に会話をしながら進でない!」
まるで散歩しながら他愛ない会話を交えるトパーズとカルムに思わずコギトは叫んでしまう。
現在、カルム達は猛吹雪にも関わらず無謀にもシンジュ団の集落へ向かっていた。カルムはトパーズに乗り、その後ろにコギトが彼の腰に手を回している状態。上着をカルムから貰い、それを着ているがそれだけでは寒く感じる筈と思うだろう。が、トパーズは自ら“せいなるまもり”という“しんぴのまもり”の上位互換を発動している。一言で説明するなら、あらゆる攻撃やきりばらい、フェイントなども受け付けない。勿論メロメロもだ。それをトパーズが纏っている間はこの猛吹雪や寒さまでもを遮断してしまう。
では何故、コギトはカルムに抱き付くようにしつつ絶叫マシーンに乗っているかの様に怖がっているのか。
トパーズの移動速度の速さと崖やら奈落など踏み外せば命はない場所をピョンピョン飛んだり、急落下を何度も繰り返しているからである。かつてはラブトロスと移動していたが彼女がどれ程人の身を気を遣っていたのか今では感謝しかない。
『ねー、ますたー?』
「どうした」
『なんか…………落ちてくるよ』
「なにが?」
『
トパーズの言葉に柔らかな目のカルムは即座に己の五感を研ぎ澄まし──────そして、見つけたのだ。
現在進行形で、落下してくる人の気配を。猛吹雪にも関わらず、カルムの視力は落下している人の容姿までは分からないが全体像は視えている。
「人が落ちてくるじゃと!?そんな、いや、まさか──────」
「トパーズ!尻尾!」
『はいなーっ⭐』
「な、なにを!?!?」
カルムがスルリとコギトの腕の中から抜けると、トパーズが己の尻尾の上に着地したかと思えば、ズォンツ!!!と弾丸の如く前へと飛躍したのだ。支えが無くなってしまったコギトはあわあわとするが、トパーズが尻尾で彼女が落ちぬ様にふんわりと巻き付いて事なきを得ていた。
さて、明らかにポケモンの“とびはねる”やら“そらおとぶ”レベルの飛躍をしたカルムは落下している人の姿と気配を追いながら、空中で蹴りながら近づいていく。落下している人は身動きをしないことから、気を失っているのだろう。
「───────っ」
そして漸く、落下している人の身体を抱えたカルムだがあと数十秒で地面に墜落してしまう。が、そんな絶体絶命である筈なのだが、カルムは抱えた人を庇う様にして告げたのだ。
「着地、任せた」
『まかされたーっ♪』
地面に着く直前に、ふんわりとした浮遊感によって墜落は免れる。そして陶器が割れない様に優雅に、そして優しく着地したのだ。
「ナイスだ、トパーズ」
『えへへーっ♪』
本来であればカルムはあの瞬間、着地は余裕で出来ていた。が、問題は抱えていた人だ。怪我をしているか分からない為、下手な刺激は不味いと判断し、最良の手段としてトパーズに着地を任せたのである。
抱えていた人を確認すると、白いバンダナと赤いマフラーが特徴的な忍者の様な服装をした少女であった。掠り傷などがあるものの、決定的な外傷はない。恐らく何かしらの要因で気絶していたのだろう。
「!こやつは」
「コギトさん。彼女のお知り合いで」
「…………案外、早く見つかったようじゃな。彼女こそが、お主らが探していた者。このヒスイ地方の窮地を救った英雄、ショウじゃ」
別段、それ程驚きはしなかった。
彼女の姿を見て、もしかして……という直感はあったのだ。だが、予想よりも早く遭遇したのだが、何がどうして彼女がこの吹雪いたこの土地の空から落ちてきたのだろうか。
「……ぅ………ぅぅん……ぁれ、わた、し……」
うつらうつらと意識を取り戻した彼女は瞼をゆっくりと開ける。瞼を開けるのがこれ程辛いのか、と思いながらうっすらと映るカルムの顔をぼんやりと眺めていた。
そして、カルムは彼女に言ったのだ。
「はじめまして。ショウ─────いいえ、
「─────────ぁ、」
その言葉、己の真名の名を聴いた瞬間、彼女の中で何かがカチリ、と嵌まったのだ。そしてその妙に懐かしく、しかしそれは己自身を再確認するキーワード。彼女はずっと、待っていたのだ。自分の、本当の名を呼んでくれるその時を。
「………ぅ………ぁぁ…………」
「ヒカリさん?」
「ぁぁ…………ぅ゛っ、うわあああああ゛っ!!!」
それが彼女にとって、一つの救いだったのだろう。
自分の本当の名を呼んでくれる人に、今まで溜め込んでいたのだろう感情を爆発させたのだ。カルムに抱き付き、号泣する彼女は子供の様に泣きじゃくる。
見知らぬ土地で、記憶も混濁し、挙げ句の果てには自分の名が自分じゃない違和感があった。不安と、そして孤独と、そして静かな絶望が彼女の心の中にあったのだ。
それを今、この人が呼んでくれた。救ってくれた。
彼自身が、自分の故郷にも似た雰囲気と香りに酷く安堵したのだ。だからこそ、もう隠していたものを隠すことが出来なかった。
そんな彼女にカルムは、よしよしと子供をあやす様に頭を撫でる。端から見てみれば二人は兄妹の様にも見えるだろう。ただこの時はトパーズとコギトはその光景を静かに見守るのであった。
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「場所を考えぬか!場所を!」
烈火の如く怒るはコギト。そして正座しているのはカルムであった。
怒られる理由は至って単純。
ショウ───ヒカリをあやすのは良いが、こんな猛吹雪に5分も10分もいたら凍傷、最悪凍死してしまうだろうが!とそう彼女は怒っていたのだ。トパーズ曰く、『ますたーならこの猛吹雪の中でも普通に生活できるからね~』ととんでも発言に更にトパーズも
確かにカルムは普通じゃないのでどうでもよいが、ヒカリはカルム程の身体能力や頑丈でもない。いたって普通の人間なのだ。
「いや、自分基準で考えてしまい申し訳ない」
「全くじゃ!危うくあたしも風邪を引くところなのじゃぞ!?」
「ごめんなさい」
ぷりぷりと説教するコギトであったが、軽く咳払いをして
ここは、シンジュ団の集落。
吹雪は
「しかし驚いた!貴女に伴侶がいたとは」
「
「なる……ほど」
ジロジロと見るシンジュ団の長カイにカルムは苦笑いするしかない。恐らくだが彼女は怪しんでいるのだろう。しかし、コギトの伴侶であるなら無下にも出来ない。カイは考えても仕方がないと諦めたのか、カルムに改めてお礼を言った。
「ジロジロと見て失礼した。ショウを助けてくれてありがとう……彼女はわたしの、大切な友人なんだ。感謝してもし切れない」
「いえいえ」
カイ自身、改めて友達の命の恩人に対して失礼なことをした、と謝罪するがカルムからすれば仕方がないことだろうと思っていた。命の恩人とは言え、見知らぬ部外者が現れれば怪しんだりするものだろう。まだ警戒されていないだけマシである。
横から現れた女性の団員の話に彼女はグレイシアとブースター、そしてイーブイを連れ何やら深刻そうな表情をチラリと浮かべていた。それを察したカルムだがその前にコギトが話を割って入ってしまう。
「どうしたのじゃ」
「ショウが落ちたの、何者かによる襲撃かもしれない。さっき、ウォーグルが怪我をして降りてきていたみたい。大事には至らなかったみたいだけど……」
「ほぅ」
「わたしはシンジュ団の長として、ショウを襲撃した相手の調査に向かう」
ウォーグルが負傷したというのは彼らにとっても大事だ。他の団員達が慌ただしくする中、カイはそれぞれ指示を出す。
「コンゴウ団にも至急連絡を!ウォーグルを管理しているワサビに協力を仰げ!彼女の千里眼なら何か手懸かりを得られるかもしれない。他のキャプテン達にもこの件を伝達しそれぞれ警戒を!狙いは不明だが、キング・クイーンを狙っている可能性もゼロじゃない!」
カイの言葉にそれぞれの団員が動き出す。
彼女の言葉に異議を唱えず、信頼して行動しているのは長としての努力をしてきた賜物だろう。
「カイよ」
「ん、なんだ」
「お主、一人で行くつもりか?」
「当たり前────っ、いや。わたし一人じゃない。わたしにはこの子達もついている」
彼女の言葉に同意する様にグレイシア達がそうだ、と同意する様に鳴く。恐らく長というのは名ばかりではなく実力も相応にあるのだろう。が、コギトは少し考えた末にカルムへ声をかけた。
「のうカルム。お主もカイと共に行って参れ」
「む、それは無用だ。第一貴女の伴侶を危険な場所に──────」
「安心せい。あたしの旦那はそこらのポケモンよりも強いからのぅ」
「ぽ、ポケモンよりって流石に」
「御託はよい。ほらカルム!シンジュ団の長、カイのお供せよ」
「むしろこっちからお願いします」
「あ、あぁ。まあコギトさんが言うくらいならそれなりの実力者なのでしょう。わかりました」
こうしてカイとカルムは純白の凍土の調査に出ることとなる。
カルムは当然と思っているのだろうが、正直コギトとしては多少複雑ではあった。何せ自分より若い少女と一緒、二人っきりになる。年齢的には勝てないとは分かっていたが、それとは別にこの事態に王手を描けるにはカルムを出すのがもっとも効果的だとこの短い短期間で理解していた。
そもそも、あの距離でショウの落下を吹雪の中肉眼で捕らえた程だ。そして明らかに人外染みた身体能力。更には今はボールで大人しくしているトパーズという存在があらゆる場面でジョーカー的な存在。
ポケモンの、しかもキングの渾身の一撃を易々と受け止めるカルム。恐らく神話で語られるレベルと同等のポケモンが手を組んでいる時点で、その両者を相手をする襲撃者には哀れに思えてくるだろう。
「(何せ、
まだコギトがカイよりも少し幼い頃だ。
古代シンオウ人はアルセウスという存在を信仰し、崇めていた。だがその信仰心が暴走し、遠くの大国と手を結びかけたのが決め手だったのだろう。
嵐の様に現れたその【
だが、やはり同族が天罰を降された様に苦しみ息絶える姿は幼い頃の彼女にとってはトラウマでしかない。しかもその【
「(未来から来たカルムが、【
ふと、【
「(カルムは────あの薬師の子孫か。であれば辻褄は合う……ま、もうわたしには関係無いがな)」
そう言いながら二人を見送る背中に大人気ないと理解しつつもむっ!と少しジェラシーを感じながらもカルムの前へ進む少女にポツリと小さく口にしてしまう。
「わたしの旦那様に惚れるでないぞ、小娘」
「みゃぅ」
「全く、過保護じゃのう旦那様は。ふむ、随分愛らしいぼでぃーがーどじゃな。よろしく頼むぞ」
「みゃぁぅ!」
いつの間にか出していたのであろうカルムの
カイさんはどうなっちゃうのかな、、、?
(´-`).。oO(R-18版(シーン)とか必要かな?)
次回は、閑章を入れます。
予定では現代で、湿度増し増し重々のヤンヤンデレデレにしたいなーって……。
キャラクター?
ぜ、ゼイユとか???
LEGENDS Arceusのキャラで誰を積極的に登場して欲しいですか?また、カルムorトパーズとどうなって欲しいかは感想にてお願い致しますm(__)m
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カイ
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シマボシ
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ヨネ
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ヒナツ
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ワサビ
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キネ
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オタケ
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オマツ
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オウメ
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サザンカ
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ペリーラ
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※その他