案外ボックスの中は快適である   作:喬喬

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さて。
カルム君はポケモン調査やら交際警察として様々な地方に行ってます。勿論、その時に出会いと別れを繰り返していますが…………これは、ある一人の少女が密かに年上のカルム()に思いを抱き、徐々に湿度と病みををををを、、、。

カルムさん、いい加減にして下さい。※しかも主人公じゃない。

あとナンジャモが好きな方、、、ごめんなさい。先に謝っておきます。



閑章~ライバル~

 

 

 それは運命的な出会いだったと思う。

 

 あたしはまだ子供で、その人は年上の男の子。

 余所者ではあったけれど、不思議な人であたしの初恋でもあった。

 

 

 彼はよくカロス地方にいる博士に頼まれてフィールドワークをしており、キタカミの里のポケモン達の写真を撮ったり観察している姿を目の当たりにしていた。まだ好奇心が勝っていたあたしは毎回彼に声をかけ、色んな話をしてもらった記憶がある。

 

 

 カロス地方の旅、ジムリーダーとのバトル。カロス特有のポケモンのことや他の地方の話。更にはカロス地方を含めた伝説や神話で語られるポケモンの話もしてもらった。話の一つ一つが新鮮で、ワガママでもあったあたしに教えてくれる彼の事を兄の様な存在にも感じていた。もし、兄がいるならこんな人がいいなー、なんて我ながらお花畑だった自分に反吐が出る。

 

 

 『ねーっ!兄さんはどんな女の子が好きなの~?』

 

 

 今思い出すと過去の自分を張り倒したい気分になる。恋というのはいつの間にか芽生えていたのだろう。兄さんを見かけたら直ぐに話しかけ、一緒にいることが当たり前になっていた。それが2年も続けば自分の恋心を嫌でも自覚してしまう。

 だからこそ、なんだろう。そんなアホっぽい質問をしたのは。

 

 彼は────兄さんは、『うーん』と少し悩んだ後に答えた。多分、そこまで深い意味は無かったんだと思う。それでも兄さんの答えにあたしは真に受けてしまった。

 

 

 『……強い人が、好きかな』

 

 

 強い人。

 兄さんは強かった。

 ポケモン勝負も。そして人として凄い身体能力で、尚且つあたしが理想とする大人でもあった。

 兄さんに、相応しくなるには強くなるしかない!と思ったけど、子供のあたしにポケモンなんて持っていなかった。でも、何れは強いポケモントレーナーになって兄さんの隣に立っても恥ずかしくない存在になると息込んでいた。

 

 

 「……………」

 

 

 しかし、今はどうだろう。

 

 祖父母の家、あたしの部屋の窓から見える景色はしとしとと降る雨。天気は最悪───だけど、今はただこの曇った心には丁度いい。

 

 

 「(チャンピオン、か)」

 

 

 かつてあたしが目指したもの。

 けれど、今となっては目標でもなんでもない。

 確かにポケモントレーナーとしては(・・・・)強くなったと感じている。その気になればチャンピオンになれるかもしれない。でも、今のあたしにそれ程の熱量なんてなかった。

 

 弟のスグリは、色々あったけどブルーベリー学園を復学して楽しくやっている。今まで姉として干渉し過ぎていたとほんの少し反省しているけどスグリが良い方向に成長していることは素直に嬉しい。

 

 

 「(それに比べてあたしは)」

 

 

 別に焦っている訳じゃない……と思う。

 スグリが成長する姿を見て、あたしもいい加減吹っ切れなきゃいけないと頭では理解していた。

 もう5年も恋心を捨て切れないでいる。強くなろうとブルーベリー学園で四天王を蹴散らしていたけど、ふと兄さんの言っていた「強い人」とはなんだろうかと考えることがあった。

 それからだろうか。

 バトルに興味を持たなくなったのは。

 

 いや、そもそもだ。

 

 

 あたしは兄さんに──────兄さんに告白して、フラれている。

 

 

 『なんで………っ!』

 

 『まだ君は若い。これから色んな人と出会うんだ。その中に俺よりも─────』

 

 『もう12歳なんだよ!!!子供扱いしないでよ!!!あたし、兄さんじゃなきゃ嫌!!!』

 

 『ゼイユ』

 

 『もう、学園の四天王は倒したし。公式戦じゃないけど、チャンピオンも倒した。強く、強くなったでしょ?まだ足りないの?どうして─────どうしたら、兄さんのお嫁さんになれるの・・・?』

 

 

 今となっては羞恥心で忘れてしまいたい黒歴史。でも、恥ずかしくはあってもあの時のあたしはよくやったと同時に思う。結局、やんわりと断られ振られたあたしは内心荒れに荒れていたと思う。しかも兄さんはあれからキタカミへ来る回数が減り、そして来ることはなくなった。

 

 だから、あたしはブライア先生のフィールドワークに着いていくことにしたのだ。

 

 ブライア先生はブルーベリー学園の教師だけど様々な博士と繋がりがある。たまに博士と共にフィールドワークをすることもあるのだ。そのフィールドワークの中で、もしかすると兄さんと会うことが出来るかもしれない……そう思って。

 

 意外にもその願いは早く叶った。

 

 カロス地方、プラターヌ博士の研究所でだ。

 

 その時は顔を合わせた訳じゃなくて、近くの研究室で作業をしていた姿を目の当たりにして。けど、兄さんは気付いていなくて。

 まあそうか。あれから身長も伸びたし、美人になったんだし。

 今見たら驚くんだろうな、なんて思いながら驚かしてやろうって足を運ぼうとしたけれど。

 

 

 『────ぇ』

 

 

 知らない女の人と、仲睦まじくしていた兄さんの姿だった。

 一瞬、頭の中が真っ白になったけど別におかしいことじゃないと気付いていた。いや気付いてしまった。凄く今更だけど、他の女から好意を寄せられていたとしても彼ならおかしくない。もしかするとあの女と恋人……いや、もう夫婦になっているかもしれないんだ。あたしが知らないだけで、彼には彼の生活がある。

 

 

 『あ、あの』

 

 『うん?あぁ、アズサ君か。彼女はやはり有名人だね。ポケモンの預かりシステム、そしてボックスのホウエン管理人だ────その横にいるのは、プラターヌ博士が言っていた助手のカルム君だね。前は彼に頼み込んでフィールドワークでよくついてきてもらったよ』

 

 『……は?』

 

 

 アズサというボックス管理人は如何にも大人な女性だ。兄さんと親密そうに話している光景に、正直イライラする。けどそのイライラは自分の問題な訳で彼にぶつけるわけにはいかない。だってあたし、分かる女だし。けど、ブライア先生も兄さんのことを前々から知っていたのは初耳だ。フィールドワークで、しかも彼をご指名で?どうやら一回二回とかじゃないらしく、必ず同行してもらっていたらしい。

 

 

 『……ふむぅ。もう少しアタックした(・・・・・・)方がいいか(・・・・・)?』

 

 『!?』

 

 

 ブライア先生がボソッと呟いた言葉に確信するしかない。あのアズサとかいうボックスの管理人も、そしてブライア先生も敵だ(・・)と。

 そんな思考を読んでかは知らないがブライア先生は少し焦ったように、頬を赤らめながらまるで子供に注意するようにあたしに言うのだ。

 

 

 『あはははっ!いやっ、すまないね。ただの独り言だよ』

 

 『あの人のこと、好きとかですか』

 

 『好意があるか無いかと問われれば“ある”だ。彼が居れば普通じゃ立ち入れられない場所も入れるからね』

 

 

 ダウト。

 顔が熱いのかパタパタ手で扇ぐのは何故か。そしてその理由は表向きの話なのは間違いない。嘘ではないけど、兄さんを利用するのを口実に……というやつだ。しかし、あのブライア先生を……多分、というか間違いなく兄さんは年上キラーなのかもしれない。

 

 

 他にもこんなことがあった。

 

 兄さんを驚かせようと探している最中、裏路地で変装なのかネイビーのハットを深々と被り、サングラスを掛けて入っていくところを目撃する。え、何故気付いたのかって?そりゃ、分かるし。貰った赤の帽子の匂いをグラエナに覚えさせてたから楽勝だったし。

 

 で、何をしているのかと覗いてみれば。

 

 

 『フゥーッ……………くそダル』

 

 

 黒いキャップと同じく黒いマスクをした女性が煙草を吹かしていた。遠目だけどピンクと水色の二色カラーで、まるでパルデアの、あの人気配信者に似ているけど……流石に違うか。余りにもイメージというか、何というか全く違う。

 

 

 『あんがとね。パルデアだとポケモン達も伸び伸び出来ないし』

 

 『いえ。人気者だと大変なのは分かりますから。ハラバリー達も元気に過ごしてますよ』

 

 『スゥ……………ふーっ。こんなの見られたら配信者としてのイメージガタ落ちだしね。あ、今日も家泊めてよ。やっぱホテルだとバレちゃうかもだから』

 

 『男の部屋に転がり込む方が問題では』

 

 『いいじゃん。バレたらバレたらでそれでもいいし』

 

 『炎上商法ですか』

 

 『やーもうそうなったら引退だよ引退。何時までも配信者としてやっていける訳じゃないしさ。それに………ふーっ。ストレスが溜まるんだな、これが。配信者ってやつはさ。あのテンション続けていくの、メンタルごりごり削られるし』

 

 

 何を喋ってるか分からないけどあのヤニカス女、兄さんの肩に頭を乗せてやがる。まるで二人だけの世界にいるみたいだけど………けど、指に指輪とかペアルックのとかそういうのは無い。苦笑いしている彼のことだ。恋人とかそういう相手じゃない、と思いたい。恐らく友達以上恋人未満的なあれだ。

 

 

 『煙草を嫌うポケモン達もいるんで』

 

 『そっか、ごめん。なら家に着いたらお風呂借りるよ。あと洗濯も』

 

 『またですか。もう流石に─────』

 

 『あと、相談したいんだ。今度配信でカロスの有名人とコラボしたいなーって、さ。カロスリーグの職員さん、協力よろ』

 

 『そこで仕事を入れるのはズルいですよ』

 

 

 何やら会話を続けていたけど、その路地裏から出てしまいあっという間に二人の姿を見失ってしまう。と、思えばあのヤニカス女は懐のボールからトゲキッスを連れ出して何処かへ行ってしまう。一人だったし、多分兄さんは研究所に戻ったのだろうか。

 

 結局、その日は会うことも叶わずブライア先生の用事を終えてそのままブルーベリー学園へ戻ることになった。

 

 運が悪かった、と一言で片付けられるのだが……このもやもや感は次第に募っていく。

 

 あたしの周りにいる恋敵が多過ぎる。多分、知らないだけで何処かの女も惚れ落としていたりするのだろう。全く持って罪な男だ。

 

 

 「(もう一度、ぶつけてやる────この想いを)」

 

 

 スマホロトムを起動させ、あたしは久々に送るメッセージに緊張を走らせながら、送信ボタンを────押した。

 もっとはやくこうすればよかったかもしれない。けれど、その手段はあたしにとって本来無かったもの。けれども、これ程の恋敵がいるなら話は別だ。

 

 

 

 「(はやく……はやく、返信しなさいよ、ばか)」

 

 

 もう一度、あたしは告白する。

 この想いは止まらない。

 多分、振られたとしても────あたしは執着深く、何度も何度も繰り返す。

 

 だから、覚悟しなさい……カルム。

 

 




 アズサ……ポケモンボックスに興味を持ってくれたカルムと意気投合。日頃から連絡を取り合う仲で、研究仲間として顔を合わせる頻度は非常に高い。距離感は普通にバグっているので、初対面では恋人か夫婦かと勘違いされている。※よく見たり話を聞くと彼女の距離感がおかしいことが判明する。


ブライア……ゼイユの前にカルムとよくフィールドワークの同行者として共に行動していた。結構危ない目に会っているが、その際に彼によく助けられている経験を持つ。彼を利用しようとしているつもりだが、本心は……。


 配信者……最初の頃に比べ、地元でポケモン達とキャンプで楽しめない位に人気になってしまった超有名人。日常生活でも配信の時と同じテンションだが、月二回はカロスに避難して完全オフモードになる。カルムにポケモン達を預け日頃のストレスの解消して貰っているのだが、彼女本人はヤニカスに……。過去にホテルで泊まっているとバレてしまい、それからカルムの家に転がり込んでいる。彼の家に女性物の化粧品などがあるのに気付くが、見て見ぬふり(現実を受け入れない)をしている。


ゼイユ……カルムを兄さんと呼ぶ病み堕ちしそうな子。恋心と言っているが、めちゃくちゃ重い愛に変貌している。他の女が一緒にいるだけで脳が破壊されているレベル(※本人は気にしていないつもり)の情緒だが、上手く自身でコントロール?している様子。雨の日に川で溺れかけたところをカルムに救われており、それからカナヅチに。雨の日に自室から助けられたことを思い出しながら暗い表情で景色を眺めている。

次の閑章、誰のが見たいですか?※細かい内容は感想で

  • ナンジャモ
  • ブライア先生
  • セレナ
  • アスナ
  • スモモ
  • サイトウ
  • ルリナ
  • ナタネ
  • ホミカ
  • ミモザ
  • その他(感想にて※マイナーでも可)
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