ホウエン地方。
豊かな自然に恵まれた地方であり、更には隕石が多い地方としても有名だ。
数年前にある伝説のポケモン二体が衝突した過去があり、それを食い止めたのが現ホウエン地方チャンピオンである。
しかもそのチャンピオンはホウエン地方に衝突するとされていた巨大な隕石を第三の伝説ポケモンを手懐け、その隕石を破壊した英雄だ。無論、それは世間では知られていない極秘事項ではある為、ポケモンリーグと協会しか知らされていない情報である。
「すごいな。ホウエンのチャンピオン」
『ますたーもカロスを救った英雄でしょー?』
「
『んー、そーかな?私、ますたーが動かなかったら傍観してるつもりだったよ。ますたーだから力になったんだよ?』
「そう、か。ありがとう、トパーズ」
『どういたしまして~♪』
カルムとトパーズは現在、ホウエン地方のミナモシティに到着していた。本来であればトパーズの姿は一際目立つ為、注目の的になりかねない。が、それを察したトパーズは自ら普通のキュウコンに偽造している。つまり、へんしんだ。
『ますたぁっ、この“ミナモ焼き芋”美味しいよぉ!芋なのに甘い蜜がとろーりっ、としていて甘いのぉ~♪あと“パッチールあいす”も色んなきのみが混ざっていておいひぃ♪』
「一応言っておくけど、観光しに来たんじゃないからね?」
『けどホウエンなんて中々来ないよ。今の内に楽しんじゃおー!前に“フエン団子”食べたけど、懐かしい味でついつい食べちゃうんだよね♪………ぁ』
「トパーズ」
『ごめんちゃい。日頃から外出してました』
「あとでゆっくり話し合おっか」
天使のような彼の微笑みは、異性が目の当たりにすれば心を射止めていただろう。しかし、彼がその珍しい微笑みをする理由を知る者であれば顔面蒼白するのは間違いない。
「ミナモシティのポケモンコンテスト。凄い人集りだな」
『わぁー!アイドルのコンサートみたい!』
「や、そのアイドルがポケモンとしてやってるコンサートがポケモンコンテストだから」
『あ、そなの?』
「……実は興味無い?」
『実は無いんだよねぇ~』
ミナモシティに訪れたカルム達が何も理由もなくその場で観光をしている訳ではない。
ポケモン協会からの指令であるならば、他の地方にもそれぞれ協力者がいるということ。
「やっほー!君がカロスのチャンピオンかな」
ミナモシティの民宿“モナミ”の2Fにて、自身の故郷があるだろう水平線を眺めていたカルム達に声をかけたのは一人の少女。
頭にキレイハナの花飾りを付けたショートカットで、健康そうな褐色肌。そして青と黒のモンスターボールの柄が入ったパーカーを着た姿は本来の戦闘姿とは一風違うだろう。
「カルムです。貴女が協力者の」
「アタシはフヨウ。よろしくねー!」
『相変わらず元気な子だね、ますたー』
ポケモン協会ホウエン支部リーグ四天王が一人、ゴースト担当【フヨウ】その人である。
「アハハ!見覚えがある気配があるなーって思ったら君なんだ!久し振りだね、【
「……トパーズの知り合いですか?」
「知り合いもなにも、アタシのおばあちゃんと友達なんだー。この前もわざわざ会いに来てくれてさ。おばあちゃんも喜んでたよ。
「お供え物……?」
その言葉に違和感を覚えたカルムにトパーズは耳打ちする様に囁いた。
『数年前に老衰で亡くなったんだ』
「(そう、なんだ)」
『彼女は“オウカ”と仲が良くてね。彼、オウカは彼女がまだ若い頃……戦いで命を落としたんだ』
おくりびやま。
そこはかつてあるポケモンが神として崇められていた。“風”や“大地”を、“霧”や“空間”をも操る凄まじく厳ついダーテング、それが“オウカ”。
今は亡き、【
トパーズは続ける。
オウカは、無愛想なポケモンだったらしい。そして不器用ではあったものの、ホウエンの中では間違いなく最強の分類であった。
かつて、グラードンとカイオーガが衝突した際には【劫火“モリオン”】が封印し、【“疾風”オウカ】が両者の力を分断させて“べにいろのたま”・“あいいろのたま”という宝石と化した。そして二度目の衝突の際は、
『何でも自分一人で解決しようとするんだ、オウカは。素直に手伝えって言ってくれれば駆け付けたのに。その癖、私や他の誰かが困ってたら何も言わずに助けてくれたんだよ。全く、借りを返す前に死ぬなんて……』
「(トパーズ……)」
『けど、オウカは死んではいない。あの“おくりびやま”に力を残した。代々己に遣えてくれた者達が住まう場所を守る為に、濃い霧となって』
力は弱々しくなってはいるものの、それでも確かに生きている。とトパーズはそう思っているのだ。
そしてテレパシー同士で会話をする中、蚊帳の外になっているフヨウはというと……。
「アハハ!相変わらず君の毛はもふもふだねー!」
『私のもふもふはますたーのなんだけどねー』
「トパーズって名前なんだね!ビックリしたよー!人と共に居るのを好んでなかったし、人に仕える気もないって言ってたからさー。アタシが誘っても振られちゃったし。ちょっと妬けちゃうなぁ~なんてね♪」
「あははは……」
若干ウザがっているトパーズはフヨウを引き離し、カルムに調査に訪れた目的である【霊竜“エステル”】について情報を確認する。
「【霊竜“エステル”】……ね。正直、その姿を確認したのは数千年前。おばあちゃんからの話と文献で照らし合わせると、“流星の民”・“ルネの民”と衝突があった頃みたい」
「“流星の民”と“ルネの民”が衝突………?どうして」
「知らないとは思うけど、このホウエン地方には守護神レックウザ。けれど、本来の守護神は“おくりびやま”の【
数年前、このホウエン地方に天変地異を引き起こしてしまったアクア団とマグマ団の様にね、と染々とフヨウはそう呟いた。
信仰は人の心の拠り所となる。
しかし、その信仰が強ければ強い程に恐ろしい力となり制御は出来ないバケモノと化す。
「“流星の民”は流星の滝周辺に住みながらも、131番道路に“空の柱”を建造をし、レックウザを降臨させる祭壇を。“ルネの民”は“おくりびやま”の【
「そんな歴史が………で、【霊竜“エステル”】はどういう関係が」
「……元を正せば、“流星の民”と“ルネの民”は一つの民だったの。そしてその民が信仰していたのが、【霊竜“エステル”】。“おくりびやま”の【
これ、おばちゃんから聞いた話だから詳しくは分からないの。ごめんね、とフヨウは情報の低さに謝罪するものの、その僅な情報にトパーズは電流が走ったかの様に。そして悪寒を感じた様に察したのだ。
『
「!何かわかったのか、トパーズ」
『神に忠実な奴と言えば心当たりがあったんだ。今まで生きてきた中で自ら神使を名乗った奴はアイツしかない』
「トパーズ、【霊竜“エステル”】はどんなポケモンなんだ?そして、どこにいるんだ?」
「え!わかったの!?」
二人の会話に入ってなかったフヨウだが、カルムの言葉にトパーズが手懸かりがあったと察するのは十分であった。
『【霊竜“エステル”】ね。アイツは、三対六翼の白き羽毛を生やした神秘の竜。分類としては、フライゴンに近い姿をしている。けど、普通のフライゴンの様に“じめん”だけじゃなくて“フェアリー”や“ひこう”を扱うんだ。あらゆる天候がアイツの味方をする……アイツには何度か苦汁を飲まされたよ』
「三対六翼の、フライゴン………」
『場所は、かつて海だったけれど今は砂漠になってるところにいるんじゃないかな。最後に会った時、“ここに住まう欲深い人々に天罰を下す為、海そのものを干上がらせた”と言ってたから』
「砂漠って、111番道路の……しかも元は海で、天罰の為に干上がらせて砂漠にしたなんて」
「“流星の民”と“ルネの民”のルーツが、111番道路の砂漠だなんて………。多分、“ルネの民”ミクリさんは知らないだろうね。“流星の民”のあの子は………行方不明だし」
「行方不明?」
フヨウから語られたのは、二度目のホウエンの危機。接近した巨大隕石からホウエンを守る為に“そらのはしら”でレックウザを降臨させた“流星の民”のこと。そしてホウエンのチャンピオンがレックウザと共にその隕石を破壊したことを。
『へぇ。レックウザ、そのホウエンチャンピオンの仲間になったんだ。“オウカ以外に仕えるつもりはない”って言ってた頑固者が』
「その“流星の民”って」
「“流星の民”、伝承者《ヒガナ》。ホウエンチャンピオン《ハルカ》と共に隕石からホウエンを守った英雄、だとアタシは思ってるよ」
『──────』
その“流星の民”伝承者の名を聴いたトパーズは毛を逆立てた。
「ヒガナ?知らな…………トパーズ?」
『ねぇますたー。今すぐポケモン協会に連絡してくれないかな』
「良いけど、どうして」
『ポケモン協会、
「………わかったよ」
もしアニポケに介入するなら何処がいいですか?
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