ポケモン協会。
本部はジョウト地方のコガネシティにあるのだが、支部は各地方に存在している。
ポケモン協会本部は統括理事がトップとしているが、他の地方の支部では理事がトップ。統括副理事という立場の人物は本部や支部を行き来する存在。云わば、己の城を持たぬ人物達だ。
「統括副理事、【ハヅチ】という方がいらっしゃったのですが……」
「通してください。彼とは二人で話し合う事があるので、他の者達は席を外してください」
ポケモン協会カロス支部。
その天に聳え立つ摩天楼の中で唯一飛び抜けて頭が出ている頂上に一人の人物が外の景色を眺めながら湯呑みに口を付けた。
その人物は、綺麗で端正な顔立ちであり非常に麗しき人であった。浮世離れした程、美しい容姿は人だけではなくポケモンまでもが見とれてしまう程だ。長い金髪を腰よりも下まで伸ばしており、そしてその容姿とは不釣り合いな鋭い目付き。その声色とは異なる仏頂面は、相手を黙らせる威圧感があった。
「まさか、
「今の私は【トパーズ】だよ。私のますたーがくれた、大事な名前なんだ」
音もなく現れたのは、ローブを纏った一人の人。
その者は自らを【トパーズ】と名乗った。
ローブを纏った人、その者こそが
「ふん。ならばトパーズと伝えればいいだろう。何をヌケヌケと過去の名を。しかも俺に名指しで……何かの嫌みか貴様は」
「わかってるんでしょ。私が昔の名で貴方を名指ししたのは只事ではないってことを」
「…………それで。何様だ」
ギロリ、と相手が【
「“ヒガナ”………この名に覚えは」
「知らんな」
「そんな訳ないでしょ。君、我が子の様に話してたじゃない」
「知らんと言っておろうが」
「……【
「私の名は【シオン】だ。
「おあいこってことで」
忌々しい、と心底嫌そうな表情のままため息をつく【
「……ヒガナがどうした」
「彼女、ホウエン地方を隕石から守った英雄だってさ」
「ハッ!英雄だと?バカを抜かせ。余計な事をしただけだろう。そして協会にも報告せず、勝手な判断をしたデボンとソライシもだ」
「けど、実際に隕石からホウエンを守ったんじゃ?」
「
「その代は何前年君が担ってたのかな」
「仕方があるまい。“ルネの民”は神話を伝えるだけにしたが、“流星の民”はそれを良しとしない。レックウザの狂信者共だったからな。ふむ、その結果があのヒガナというわけ、か。全く……しかし、これで奴らも懲りたことだろう」
「シオンが直接出向けば全て解決してたんじゃない?」
「今の時代を生きる者達が解決すべきだ。老い耄れが余計な事をするものじゃない。することは失敗した時の尻拭いくらいだ」
自らを老い耄れと言うシオンは、それなりに年齢を重ねた見た目に見合わない存在なのは察する事が出来るだろう。しかも太古の時代を知るトパーズが、まるで幼馴染みの様に接することからトパーズと同じ年齢という常人とは掛け離れた生命力。或いは不老不死に近い存在。
「話はそれだけか、トパーズ。お前達は三体の【
「その一体があの
「……あぁ、あの創造神の従者か。話が通じん奴だ。捕獲も不可能だろう。例えマスターボールでもな」
「だろうね。仮に捕獲でもしたら、ボール越しから厄災を振り撒くよ。アレは」
「過去に巨人共を殲滅しかけた奴だ。創造神の命令なら何でもするバカ」
「君が出向いたら解決するんじゃないかな」
「創造神を刺激させる気は無い。後々が面倒だ」
「私からすれば、シオン程の適任は居ないと思うよ。出向けば
「それが嫌なんだがなぁ……。あぁ、わかった。貴様、俺の名を」
「じゃないと戦いになっちゃうじゃん」
何言ってんのこの人みたいに小馬鹿にするトパーズに若干イラつきながらもため息をつくシオン。あぁ、コイツはそういう奴だったなと再認識したのだろう。
「わかった。あいつに遭遇したら俺の名を使え。悪いようにはしないだろう…………いや、お前面識あるから問題ないんじゃ」
「アイツとは前に喧嘩してさ。あと名前だけじゃなくて」
「なら………これを付けとけ。かつて俺が身に付けていた“耳飾り”だ」
「これなら……うん!ありがとうシガナ!」
「シオンだって言っているだろうが戯け!」
その耳飾りは、銀色のプレートに翡翠の宝石を鏤められたもの。そしてそのプレートには金色の、
トパーズは耳飾りを受け取ると、それを左耳に付けたのだ。が、そのフードを脱いでその素顔を晒した刹那、シオンから乾いた笑い声が漏れてしまう。
「……なんだ貴様、
「あぁこれね。悪いね。人の姿になるのは
そう言いながら、シオンは翡翠の瞳を。そしてトパーズは紅色の瞳を宿していた。
そしてトパーズの容姿は、
「その姿、他には見せるなよ。後々面倒になりそうだ」
「え、ますたーにはもう見せてるよ?」
「……お前の主以外は見せるな」
「ますたーの手持ちにも見せてるけど?」
「お前な」
「ますたーとますたーの手持ち以外には見せてないよ!人前に出る時は眼以外は布で隠してるし。安心してよ!」
「安心できねぇんだよなぁ」
これが
「まだ何か用なのか」
「シオン。君は今何をしてるのさ。
「………貴様ならいいか。かつての相棒のよしみだ。各地方で、
「!」
「用心しろよトパーズ。
「最悪の知らせだね、ホント」
「奴等の狙いがわからない以上、俺も表に出るのは難しい。そして十中八九【
「なるほどね。だから今になって、えっと……なんだっけ?あ、私の様な特殊なポケモンを探してるってことだよね?戦力を集めるため?」
「そういうことだ」
シオンは来るべき時の為に様々な手段や布石を打っているのだろう。それが確実に証明することは出来ないが、トパーズはそれは間違いないと判断する理由があった。
「
「……さあ、な」
「貴方の眼は未来を見通す千里眼。そして
「良し悪しはあるさ。未来には、な。ほらさっさと帰れ。愛しのご主人様が待ってるだろう」
「はっ!そうだった!そんじゃ、シガ───じゃなくて、シオンの名前とこの耳飾りを借りるよー」
「さっさと行け、バカタレ」
トパーズはフードを被り、その部屋から去る際に横目で疑問を感じていた。
「(創造神は、創造神であって
それはシオンに対しての疑問だ。
しかし、元は前世人としての期間が短くポケモンとしての生が長い為か純粋に人の価値観というのが薄れに薄れてしまっているトパーズ。
「(前世で例えるなら、
その内容はあまりに不可解だ。
普通なら意味不明なことを言っているしか思えない狂言者。あまりにもその内容は、シオンを単なる人間として考えていない。
「(あの王国の陰。用心はするしかないよね)」
トンっ、とトパーズが一歩歩いた瞬間にその姿は消える。統括副理事の来客をお送りしようとした職員達は忽然と姿を消したトパーズに困惑するしかなかった。
もしアニポケに介入するなら何処がいいですか?
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