案外ボックスの中は快適である   作:喬喬

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強いからって理由で何時までも手持ちにいる訳ではありません。弱いのであれば日々精進あるのみです。それはそれとして、海の王子っているじゃないですか。彼らが王子なら王様と王妃は───────

 

 

 新たな【冠位(クラウン)】、名称【“女神”テティス】の報告が完了した後、カルムは彼女を手持ちに加わった。無論テティスの我が儘によって押し切られてしまった訳ではあるが、それは協会も受諾している。が、幾つかの制限と特権が設けられた。

 

 【冠位(クラウン)】を公式戦などで使用する事を禁ずる。チャンピオンでもあり、国際警察(・・・・)として本来六体までのところを特別枠2体目【冠位(クラウン)】、【トパーズ】と【テティス】の所有を認める、ということであった。

 

 が、早速カルムは合計八体を手持ちに入れる前に連絡が入り、一旦【トパーズ】と【テティス】はボックスに移動することとなったのである。

 

 

 《へぇ~!ボックスの中って質素なものなんだと思ってたけど、非常に良い場所じゃない♪》

 

 『ますたーが博士と一緒にわざわざお金をかけて作った場所なんだよ。私達ポケモンが過ごしやすいようにって』

 

 《あの人間さんを褒めてあげるわ!あ、どこかにお酒はないの?木の実ばっかりで堪らないわ》

 

 『あまりますたーを困らせないでよ。そもそもますたーはお酒呑めないし』

 

 《そんなの関係ないわ!わたしはお酒が呑みたいの!呑みたいのぉ!だから人間さんにお酒買ってくるように言ってきなさいよ》

 

 

 お酒お酒と駄々を捏ねるテティスにトパーズは心底ダメなポケモン。いや駄女神だ、と再認識してしまう。

 

 

 『あとね。ますたーは今仕事(・・・)なんだよ』

 

 《しごと?あの人間さん、確かチャンピオンとかポケモン協会とかなんか言ってたわね。そこの人なの?》

 

 『ますたーはカロス地方チャンピオンとしてポケモン協会と国際警察(・・・・)もやってるんだ』

 

 《こくさいけいさつぅ?中々凄そうな響きね!》

 

 『だから、ますたーの邪魔はダメなの』

 

 《でもお酒ぇ………》

 

 『……はぁ、博士にお願いするから駄々捏ねないで』

 

 《ほんとぉ!じゃ、はやくはやく!!!》

 

 

 プラターヌ博士がいる研究所へ突撃していくテティスに溜め息を着きながらトパーズは後を追って止めにはいるのであった。

 

 

 

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 ホウエン地方にある大都市“カナズミシティ”。

 デボンコーポレーションという大企業の本社があり、更にはトレーナースクールもあり学生も多い。ホウエン地方の中では学園都市でもあるだろう。

 

 

 〖国際警察、コードネーム“エトワール(・・・・・)”。協会の任務、ご苦労様です〗

 

 「いえ、まだ二体の【冠位(クラウン)】の探索が未完了です。それで、何かご用でしょうか」

 

 〖ええ。ポケモン協会統括副理事(・・・・・)───いいえ、国際警察総局長(・・・)から連絡がありました。近年“UB(・・)”の目撃例が多くなっていること、知っていますね〗

 

 「はい。マチe………“エスプリ(・・・・)”からも報告を受けています」

 

 〖彼女は非常に優秀ですね。カロス支部の所長として、申し分無い働き。流石はあの“ハンサム”さんが二代目所長として認めた方です〗

 

 「ええ。彼女は既にカロスの四天王として候補が上がっている程ですから。それで、“UB”に何かあったんですか」

 

 〖“UB”、“ウルトラビースト”は現在、アローラ地方にて“ハンサム”と“No.000(・・・・・)”二名が調査に向かっています。アローラには元ではありますが、国際警察もいます。恐らく彼にも協力を仰ぐでしょうね〗

 

 「待ってください。彼女は確か」

 

 〖貴方が言わんとすることはわかります。彼女は【Fall (・・・・)】。UBの標的にされるのは間違いでしょう。我々としても心苦しいですが……〗

 

 「……あの人が決めた、事なんですね。わかりました。応援が必要であれば急行いたします」

 

 〖ありがとうございます、エトワール〗

 

 「………それだけ、ではありませんよね?」

 

 〖勿論。エトワールには別の指令が下されましたのでその件について、です〗

 

 

 モニターには創造神の黄金の飾りが映っているだけであり、相手が男性女性かはわからない。しかし、確かにその画面の向こうはカルム(エトワール)の上司なのは間違いない。そして、その人物はこの国際警察の総局長の部下。つまり局長辺りなのだろう。

 

 

 「それは」

 

 〖これは総局長からの指令です。シンオウ地方(・・・・・・)へ向かえ(・・・・)。そして【ロゴス神殿(・・・・・)】へ辿り着け、と〗

 

 「【ロゴス神殿(・・・・・)】………?そんな神殿は無い筈では」

 

 〖総局長曰く、トパーズさんに聞けばすぐ分かるかと。或いは最近確保した女神テティスの方が詳しいかもしれないとも仰っていました〗

 

 「……なるほど」

 

 〖また総局長からは、【冠位(クラウン)】二体の探索の期限を設けない為、ロゴス神殿へ向かうことを優先せよとのことです〗

 

 「承知しました」

 

 

 本部との連絡が終わり、本来ならこのまま連絡は切るであろう筈だがカルムは少し躊躇いはしたものの意を決して画面の向こう側の人物に問い質した。

 

 

 「ひとつ質問が」

 

 〖はい、何でしょう〗

 

 

 

 「ハンサムさんは、【Fall (・・・・)ではあり(・・・・)ませんよね(・・・・・)?」

 

 〖──────〗

 

 

 カルムの発言に時が止まったかの様に沈黙が生まれる。カルムの表情に焦りも恐怖などは一切無い。ただ鋭く射抜く眼光は画面の向こう側でも感じ取ったのだろう。

 

 

 〖突然何を……なぜ、そうお思いに〗

 

 「【Fall】のことは俺自身、調べはついています。“ウルトラホール”から抜けてきた並行世界の(・・・・・)迷い人(・・・)。ウルトラホールのエネルギーを浴びた者、【Fall】は“UB”に狙われる。ですよね」

 

 〖えぇ、その通りです〗

 

 「なら、何故ハンサムさんは過去に記憶喪失で発見されたのですか。当時の資料を漁りましたが、状況は【Fall】のそれと同じ。ですが【Fall】ではない。これは何故か…………それが俺には分からない」

 

 

 カルムは国際警察になる前からハンサムと関わってきた。そしてカルムが正式に国際警察になった際にバディを組んだのがハンサムである。しかし、ハンサムは己が何者かが分からないという話を聞いたことがあったのだ。そしてその時にハンサムについて調べた結果、不可解な事が幾つかあったのである。

 

 

 〖なるほど。普通の国際警察であれば、この件は只事では済まされませんよエトワール。全く、どうやって機密資料を───〗

 

 「どうなんです。アローラ地方の件も、彼女を撒き餌にして“UB”を誘い出そうとしているのではないんですか」

 

 〖…………〗

 

 

 沈黙、ということは肯定ということなのだろう。ギリッと怒りを感じながらも軽く息を吐いて冷静さを保つ。

 暫くの沈黙の中、その静寂を介入する者が現れた。

 

 

 《エトワールくん、かな》

 

 「!(介入だと!?)」

 

 〖総局長(・・・)!?〗

 

 「な!?」

 

 

 この会話に介入してきたのは姿の見えない第三者。しかもこの介入は予想外らしく、しかも、相手は総局長(・・・)である。つまり、国際警察のトップだ。

 

 

 〖そ、総局長。どうして〗

 

 《ここは私に任して貰おうかな。前々から一度話してみたかったんだよ。【煌天“トパーズ”】のマスター君にね。どうしてもポケモン協会(・・・・・・)統括副理事(・・・・・)として、ね》

 

 「!」

 

 

 改めてこの会話の人物が、ポケモン協会統括副理事兼国際警察総局長。そしてトパーズが時折話している相手でもある。

 

 

 〖し、しかし〗

 

 《大丈夫。君は退席してね。あとは私が対応しておくから》

 

 〖ですが!〗

 

 

 

 《諄い。さっさと去ね》

 

 

 

 恐ろしく重く、そして身の毛もよだつ感情が籠っていない異質な言葉に画面の向こう側にいる相手は言葉を詰まらせてしまう。カルムも冷や汗をかきながら、震える手を握り締めて何とか押さえるしかない。

 

 退席したことを確認すると、画面の向こうにいるポケモン協会統括副理事兼国際警察総局長【シオン(・・・)】は言う。

 

 

 《組織としては、君のしたことは到底許されないものだ。しかし、それは君が仲間の為に行ったこと。この組織のトップとしては社員同士が助け合う様を愚弄するつもりは毛頭無い》

 

 「それは、つまり?」

 

 《不問にする、ということだよ。だが、安易に機密資料を閲覧する際は上司に確認を取るべきだ。が、その内容を上司に許可を取るのはチャンピオンと言えど憚れてしまう……か。難しいのであれば次回から私に言うといい》

 

 

 ヤバい、とカルムは瞬時に察した。

 人と話している筈なのに、人ではないナニカと話している感覚に反射的に臨戦態勢に入ってしまう。

 

 

 《やはり、君は単なるチャンピオンとは異なるね。流石はハヅチが唯一認めたトレーナーかな。ああ、警戒する必要はない。それに彼らを撒き餌にするつもりは毛頭無い。しかし、この件は実にややこしくてね。リラくん(・・・・)のことも、ハンサムくん(・・・・・・)のことも………》

 

 「………何れ話してはくれますか」

 

 《無論だ。必ずその件に関しては説明しよう。もしかすると私が説明する前に分かってしまう(・・・・・・・)かもだけど》

 

 

 意外にも隠す気サラサラ無さそうなシオンにカルムは若干拍子抜けをしてしまう。が、何処か“今話すべきではない”と言いたげでもあった。

 

 

 《それではエトワール。恐らく先に彼女(・・)から伝えられたかと思うが、シンオウ地方のロゴス神殿に向かってほしい》

 

 「具体的な内容は」

 

 《それは着いてからわかるさ。さて、私はこれで失礼するよ。今から各リーグからの報告があってね。何れ君とは直接話したいものだよ》

 

 

 そう言って連絡は切れてしまう。

 カルムは緊張感が解かれたのか、へなへなとその場で座り込んでしまうが、それを支えるのは左右に居た彼のポケモンであった。

 

 

 「ありがとう【クロガネ】、【フェナ】」

 

 

 カルムを支えたのはルカリオの【クロガネ】とサーナイトの【フェナ】であった。

 クロガネはカロス地方ジムリーダー“コルニ”から譲渡されたルカリオであり、フェナは前チャンピオンのカルネから託されたラルトスである。両者共にメガストーンを所有しており、クロガネは腰に着けており、フェナはネックレスとして装着されている。

 

 クロガネとフェナもシオンの気配を感じ取っていたのか、少し気が立っている様にも感じるが、それをどうにか耐えているみたいだ。

 

 覚悟を決めて確認した内容がまさか、組織のトップが出てくるとは予想外にしても程がある。

 緊張の糸が切れてしまったカルムであったが、懐にあったポケナビが鳴り響く。直ぐ様フェナがカルムの服からそのポケナビを取り出した。そしてその着信名に疑問を抱く。

 

 

 《おぉ!やっと出てくれたか!》

 

 「どうしたんですか、プラターヌ博士」

 

 

 着信相手はかつて、二番目の相棒をくれた相手であるプラターヌ博士であった。カルムは現在、プラターヌ博士の助手として働いてもいる。カルムはリーグ職員や国際警察として他の地方へ行く際に、ついでにフィールドワークの調査も行ってもいるのだ。

 

 

 《実は、カルム君が預けてくれた話せるアシレーヌが!わたしの秘蔵のお酒を飲み干してしまったんだっ!》

 

 「………は?」

 

 《まあ呑んでしまったことは仕方がないんだけどね。いやぁ!このアシレーヌさん、いやテティスさんは実にイケる口(・・・・)でね!しかも水を使っての宴会芸が、これがもう素晴らしく!面白くて!》

 

 「……さいですか」

 

 《今、ホウエン地方にいるんだろう?テティスさんと話していたが、ホウエン地方には美味しいお酒がある筈なんだ!なので!カルム君には是非に!購入して欲しいんだ!》

  

 「……わ、わかりました」

 

 

 画面の向こうで《花鳥風月~♪》と何やら上機嫌なテティスのテレパシーとポケモン達が賑わっている声が聴こえてくる。恐らくそういうことなのだろう。

 

 

 『ごめんねぇ、ますたー。この駄女神止められなかったよぉ~~~』

 

 

 善戦はしたんだろうなぁ、と軽くトパーズに同情するカルムは連絡後にこの大都市“カナズミシティ”にある安酒でも送りつけようと決めるのであった。

 

 

 




名前:カルム
性別:男
年齢:18
職業:ポケモンリーグ職員(※チャンピオン)・国際警察(※コードネーム:エトワール)・ポケモン研究所職員(プラターヌ博士の助手※修士)・グランデューク(※バトルシャトー)

趣味:フィールドワーク・料理・ポケモンの環境作り


冠位(クラウン)】の【煌天“トパーズ”※希少種キュウコン】・【女神“テティス”※希少種アシレーヌ】を唯一二体を所有するトレーナー。チャンピオンとして防衛戦は無敗であり、これまで一体も倒された事がない(※基本四天王最後の砦であるカルネで殆どの挑戦者は脱落している)。服に無頓着であり、基本仕事ではダークスーツな為、私服は殆ど無いに等しい。(※本人曰く、一々服を選ぶのが面倒臭い。しかもどうせ汚れるからのとこと。)その為、カルネからチャンピオンとして服装に無頓着は困るからと色々と服を送ってるらしい。しかもカルネの推薦もあり、モデルもチラホラしている。長めの髪型(※切るのが面倒臭がっている為、肩まで伸びて後ろに束ねている)と中性的な顔立ちが女性達に受けてカロスでは意外とファンが多い。
 立場上、様々な仕事のストレスで休日で何もする事が無い時はトパーズと共に一日中グータラしている。本人は休日は一人でのんびり、又はボーッとしていたい、とのこと。


●手持ち
 ルカリオ(クロガネ)
 サーナイト(フェナ)
 ?????(???)
 ?????(???)
 ?????(???)
 ?????(???)

⭐特権所有【冠位(クラウン)
 【煌天“トパーズ”】
 【女神“テティス”】

カルムのヒロインは誰がいいと思いますか?

  • セレナ
  • サナ
  • コルニ
  • カルネ
  • ハルカ
  • フヨウ
  • メイ
  • その他(感想欄にて記載を!)
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