暗い路地裏を古関 ウイが何かに追われる様に必死に走っていた。
既に体力的に限界なのか足元はおぼつかず激しく息を切らしている。
「何だっていうんですか・・・あぁぁ!」
遂に限界に達したのかウイは足をもつれせて倒れてしまう。
「いたた・・・って!?」
顔を上げたウイは目の前に誰かが立っている事に気付き悲鳴を出しそうになるが。
「どうかしましたか?」
掛けられた声が自分と同じ少女だったのでウイは悲鳴を何とか抑え込んで目の前の彼女を見る。
「えっと誰かに追いかけられている様で・・・」
「分かりました、立てますか?」
少女に手を引かれウイは何とか立ち上がる。
「助かった・・・ってああ!」
ウイが暗闇から手にサブマシンガンを持った3人の男達が現れるの見て悲鳴を上げてしまう。
「もう逃げられんぞ、大人しくすればってお前は?」
武装した男達はウイの前に立つ少女に気付きサブマシンガンを向けながら問いかけて来る。
「見られた以上お前も・・・」
「生徒をそんな目に遭わす訳にはいかないんだけど。」
少女の後ろから現れた男性がそう言って男達を見る。
「誰だお前は?」
先生とエリカはそれに答えず武装した男達を微笑んで見ておりまったく動じた様子は無かった。
それに困惑しつつもこれを見られた以上この男と少女をそのままに出来ないと男達は銃を向け来る。
「ど、どうするの!?」
ウイが男と少女に震えながら尋ねる。
「大丈夫だよ、エリカ。」
「はい先生。」
言われたエリカが頷いて男達の方を向いた瞬間白兵戦用ナイフをスカートの後ろから抜いて彼らの中に飛び込む。
「うぉぉ!?」
乱入された男達が慌てるが既に遅くエリカはナイフで1人のサブマシンガンをはたき落とすと足払いをしてもう1人の方に倒す。
2人が絡まる様に倒れ悲鳴を上げる、残った1人がサブマシンガンをエリカに向けて撃とうしたが。
「がぁぁ・・・」
先生が後ろから落ちていた鉄パイプで男の後頭部に殴り昏倒させる。
「君逃げるよ!、エリカも急いで。」
3人が倒れた隙に先生はウイの手を引き走り出しながらエリカに声を掛ける。
先生とウイが先頭に走りその後をエリカが追う。
「こっちです先生。」
エリカが先生とウイを追い越して道路の脇に止められていたシャーレのハンヴィーにたどり着くとドアを開け運転席に乗り込む。
「君も乗って!」
先生もたどり着くとドアを開けウイを先に乗せると自分も乗り込んでドアを閉める。
「エリカいいよ出して!」
既にエンジンを掛けていたエリカは先生の声に頷きギアを入れアクセルを踏み込む。
ハンヴィーは急加速して発進する、その後ろから追いついた男達がサブマシンガンを発砲する。
しかし装甲と防弾ガラスに阻まれ止める事は出来ず瞬く間に男達の視界から消えて行く。
「ちぇっ、ボスに連絡を入れろ。」
腹立たしげに舌打ちした男が指示を出すともう1人が慌ててスマホを取り出して連絡を取り始めるのだった。
1時間後3人はシャーレ本部の先生の執務室に居た。
「災難だったね、私はシャーレで先生やっている者だよ、そして彼女は第1ヘリコプター班の佐々木 エリカ。」
「ご無事で何よりでした、佐々木 エリカです、エリカと呼んで下さいね。」
執務室に疲れ切った状態で連れてこられたウイにそう言って先生が話しかける。
エリカは挨拶した後お茶を入れる為給湯室に向かった。
「えっと・・・トリニティ総合学園図書委員会の古関 ウイです、その助かりました先生。」
驚きの連続で混乱状態のウイは何とかそう答える。
襲撃もそうだが、噂のシャーレの先生と第1ヘリコプター班に助けられたのだから当然だったが。
「礼には及ばないよ、先生として当然の事だからね、それで何故襲われたの話してもらってもいいかい?」
「そ、それがまったく分からなくて・・・突然追いかけられて、持ってるものを渡せと言われて拒否したら。」
連れて行かれそうになったとウイは答えると先生は腕を組んで考え込む。
そこに戻って来たエリカがウイの前にお茶を置くと質問する。
「ウイさんはどうしてこちらに?」
「そうだねトリニティ総合学園から何故ここに来たのか聞いても?」
エリカの質問に頷きながら先生が促すとウイは戸惑いつつ答える。
「えっと、こちらの古本市で興味を引きそうな古本がないかと思って。」
普段は古書館に引きこもっているウイだったが、ここで開かれる古本市でレアな古本が手に入りそうだと情報を得てやって来たのだと説明する。
「これなら引き持っていた方が良かったです。」
そう言ってウイは疲れ切った表情を浮かべながらお茶を飲む。
「ウイはその古本市で何か購入をしたのかな?」
「はい、キヴォトスでは見た事の無い文字で書かれた本を見つけて購入しました。」
ウイの答えにエリカと先生は顔を見合わせる。
「可能性としてはその本が原因じゃないかと思いますが先生。」
エリカの指摘に先生も頷いて言う。
「可能性は確かにありそうだね、ウイはどう思う?」
先生の言葉にウイは暫し考えてから答える。
「書かれている内容が確認出来ていないので何とも言えません。」
見た事の無い文字の所為でウイも何が書かれているか分からなかった。
「その本を見せてもらってもいいかな?」
「あっ・・どうぞ・・・」
恐る恐る本を差し出すウイから受け取った先生がページを捲ってみるが。
「・・・確かに何が書いてあるかさっぱりだね。」
そんな時だったページの間から何かが落ちた事にエリカが気づいてそれを手に取る。
「先生これを。」
落ちた紙片を開いたエリカはそこに書いてあるものを暫し見つめた後先生に渡す。
「地図かな・・・ウイこれは君のものかい、それとも本の?」
その地図を見たウイは首を捻りつ答える。
「違います、こんなの見た事ありません、あと買ってから詳しく目を通す暇なんて無かったのでこの本のものかも分かりません。」
購入後してから誰かに見られている気配がして急いでトリニティ帰ろうとしていたところ襲われ先生に助けられましたからとウイ。
「先生、彼女を襲った連中はこれを狙っていたのでしょうか、それとも本でしょうか?」
「それもまだ分からないね、カギはこの地図に記された場所だと思うけど、エリカはこの地図が何処のものか分かるかい?」
もう一度地図を見てエリカは記憶を探る、パイロットしてキヴォトス近辺の地理ついては先生や一般生徒に比べれば頭に入っている。
「キヴォトスの東にある空白地帯だと思います、実際に言った事は無いのではっきりとは言えませんが。」
空白地帯とはキヴォトス各勢力の政治的妥協から権利を放棄され連邦生徒会も把握できていない地域の事だ。
「ここにこの本の秘密が隠されている訳ですか、で先生これからどうされますか?」
エリカの問いに先生は腕を組み暫し考えた後エリカとウイを見て言う。
「生徒が襲撃された以上ほっては置けないさ、そこへ行ってみようと思う。」
先生の言葉にエリカはらしいと思って微笑む、一方ウイは心配そうな表情を浮かべる。
「その・・危険じゃないですか?、私なら正義実現委員会に頼んで守ってもらえば。」
ウイとしては先生に助けてもらえるのは非常に心苦しかった為そう言ったのだが。
「気にしなくてもいいよ、それが先生いや大人の務めだからね。」
その答えにウイは恐縮した表情を浮かべ、エリカは苦笑しながら先生はこの点では頑固だからと思いつつ言う。
「分かりました先生、なら私も同行します、生徒だから駄目と言うのは受け付ける気はありませんから。」
今度は先生がエリカも頑固だからなと苦笑しつつ答える。
「了承したよエリカ、頼むね。」
頷き合うエリカと先生を見ていたウイは俯き暫し考えた後勇気を振り絞って2人に言う。
「なら・・・先生、私も連れて行って下さい。」
普段のウイなら言い出さなかっただろう、だが関係のない2人が自分を守るために動こうとしているだ。
何もしなければ人として駄目だとウイは考えたのだ。
「無理に同行する必要は無いよウイ、まして君は狙われているかもしれないんだから。」
相手はウイが本の秘密を知っていると思っているかもしれず危険だと先生は判断したのだが。
「いえ・・・自分の事ですし、人任せにするのは気が引けて。」
狙われていると言われ引き気味になりながらもウイは知的好奇心が疼くのを感じていた。
そして古書館の魔術師として古書に関する知識と技術を役立たせたいと言う思いもあり同行を希望したのだった。
ウイの言葉に先生は頷き同行を許可するのだった。
翌日先生はトリニティ総合学園の生徒会であるティーパーティーの桐藤 ナギサに連絡を取り、事情を説明しウイの調査への参加を要請。
『分かりましたわ先生、我が学園の生徒が狙われたとすれば由々しき事態です、対応を感謝しますわ。』
一方エリカは連邦生徒会のリン首席行政官と第1ヘリコプター班長のミーナに経過説明と出動の許可を取ろうとしたが。
まあリンとミーナが何時ものごとくエリカの事を心配し色々ごねたのは言うまでもない、結局は先生が説得で何とか許可を得る事が出来たのだった。
「先生、そろそろ目標地点です。」
キャビンに居る先生に操縦席のエリカから報告が入る。
その報告にウイはキャビンの窓から地上を見る。
「えっ!?」
視界に何かが地上からこちらに向かってくる事に気づきウイが声を上げる。
次の瞬間コクピットにアラーム音が響き、エリカがディスプレーに目を向けると何の警告もなくブラックホークを降下させる。
「うぉぉ!」
「きゃぁぁ!」
突然の降下に先生とウイが悲鳴を上げる。
「何が・・・エリカ?」
先生の問いにエリカは答えられなかった、ミサイル接近の対応の所為で。
ブラックホークを降下せながらエリカはコレクティブレバーに有るボタンを押しフレアを機体前面に放つ。
飛んできた赤外線ミサイルはフレアに突っ込んで爆発しその衝撃にブラックホークは激しく揺さぶられる。
計器盤に赤ランプが点灯し再度アラーム音がコクピット内に響く中エリカが先生とウイに叫ぶ。
「緊急着陸します、2人とも備えて下さい。」
ブラックホークを降下させながらエリカはミサイルの放たれた地点を確認していた。
咄嗟に山陰にブラックホークを入れたお陰で次のミサイルは飛んでこなかった。
エリカは衝撃でふらつくブラックホークを何とか開けた空き地を見つけ降下させて行く。
「耐えて下さいね・・・ブラックホーク。」
出来るだけ機体に負荷を与えない様に慎重にブラックホークを着地させるエリカ。
接地した事を確認しエリカはエンジンを切りベルトを外し後部キャビンに居る先生とウイの所に行く。
「お二人とも大丈夫ですか?」
目を回しているウイを介抱しながら先生が答える。
「ああ私は大丈夫だよ、ウイ君は?」
「はい・・・大丈夫・・です・・・」
そう答えるもウイはショックが抜け切れていない様だった。
「無理しないでウイ、エリカ状況は?」
起き上がろうとするウイを押し留めながら先生がエリカに状況を尋ねる。
「ミサイルの攻撃を受けました、機体には酷い損傷は無いようですが、詳しくは点検してみないと分かりません。」
エリカの答えに先生は眉を顰めつつ指示を出す。
「分かったエリカ、攻撃してきた連中がこちらに来るかな?」
「そこは何とも言えません、ただ連中は山を越えた位置に居るようなので時間は掛かるかもしれません。」
エリカの答えに先生は溜息を付きつつ次の指示を出す。
「それじゃヘリの点検を終えたら例の地図に書かれた場所に行ってみよう。」
「はい先生。」
頷いたエリカはブラックホークを降りて点検を開始し、先生とウイは調査の準備を始める
「幸い、目的地はここからそんなに距離は無いね。」
「はい、攻撃を受けながらも目的地への最短距離に降りるなんて流石ワルキューレですね。」
シッテムの箱に搭載されたGPSで現在位置と地図を照合した先生の言葉にウイは感嘆の声で答える。
「そこはワルキューレだからね。」
ドヤ顔で答える先生にエリカが困った様な表情で話しかける。
「あのお二人とも恥ずかしいのですが、一応点検は完了しました、大きな問題は無いので出発出来ます。」
自分はまだまだ第1ヘリコプター班パイロットとして班長達に敵わないと思っているのだから、褒められると嬉しさにより困惑が強いエリカだった。
「分かったよエリカ、ウイ準備はいいかい?」
そんなエリカに微笑みながら先生はウイに声を掛ける。
「はい、何とか回復しましたので行けます。」
ウイの返事を聞いた先生は頷き、3人は目的地へ出発したのだった。
森を抜けちょっとした谷を越え3人は目的地に到着する。
「此処のようですね。」
箱のGPSと地図を見比べながら先生が言うと、エリカとウイは周りを見渡す。
「・・・先生あれって。」
そしてウイが何かを見つけて先生に声を掛ける。
視線を向けた先生は丘の麓に洞窟の入り口らしいものが有るのを見て近づいて行く。
「先生。」
覗き込むとする先生を制してエリカが前に出て目を凝らす。
一般人の先生に比べエリカは暗闇を見通せる能力は高い、まあ完全な暗闇ではやはり駄目だが。
「大丈夫のようですが、注意して進みましょう。」
「うん、ウイは私の後ろに、エリカ先頭を頼めるかい?」
「ええ任せて下さい。」
エリカは頷きアンチマテリアルライフルを構えて洞窟へ入って行き、その後を懐中電灯を持った先生と古本を持ったウイが続く。
やがて3人は広い空間に出る。
「ここは?」
先生が周りを見渡しながら呟く。
「ここが目的地のようですね。」
地図を見てウイは呟くと壁際にある祭壇らしきにものに気づき近寄って行く。
その祭壇らしきものには何も置かれておらず埃だけが積もっていた。
「これは・・・」
ウイは奥に細い溝らしきものを見つけ首を捻る。
「何か見つけたのかいウイ?」
先生に振り向いたウイが答える。
「ここに何かを入れる溝みたいなものがあります。」
「何かを入れる溝?何を入れれば・・・」
先生とエリカは顔を見合わせて困惑の表情を浮かべる。
「・・・この本に何か・・・」
持っている古本を開きページを捲るウイはふと手を止めて凝視する。
とあるページを撫でると長方形の形に盛り上がった事にウイは気づく。
「先生、これを見て下さい。」
本を覗き込んだ先生もそれに気づき答える。
「これが?」
ウイは頷き丁重にページを切り開ていく、本の修理を行う事の多い彼女にしてみれば容易い事だった。
そこから出てきたのは石で出来た長方形の物体をウイは先生に見せる。
「先生、これを・・・」
見せられたその物体と壁の溝を見て先生はウイの言いたいことを理解した。
「なりほどね・・・兎に角試してみようか。」
頷いたウイはその物体を溝に差し込んでみようとする。
「・・・・・」
先生とウイの予想通りそれは溝の中にぴったりとはまると何かが作動する音が聞こえ祭壇らしきものが地面に吸い込まれて行く。
そして空洞が現れそこに一冊の本が置かれていた。
「これが・・・?」
「はい、そうだと思います。」
先生と顔を見合わせたウイは手を振るわせながら伸ばしその本を取ると引き寄せてページを捲る。
「やはり読めないな・・・ウイは分かるかい?」
じっとページの文字を追っていたウイは顔を上げて先生を見て答える。
「いえ私にも読めない・・・」
そこで言葉を切りウイは座り込むと持ってきた本を取り出しもう一つの本と並べて双方のページを指でなぞり始める。
「ウイ?」
「確定ではないのですが・・・2冊合わせて意味を成すみたいです。」
2冊の本から顔を上げたウイが先生の問いに答える。
「それは・・・」
だが先生が問おうとした時、エリカが緊迫した声で話しかけてくる。
「先生、ウイさん、どうやらお客さんが来たみたいです。」
顔を見わせた先生とウイは洞窟の出入り口で監視していたエリカの元に駆け寄る。
先生を見たエリカは指を口に添え静かにと身振りで示すと視線を外に向ける。
視線を追った先生は崖や大木の陰に潜む人影に気づく。
先生は声を出さずハンドサインでどうするかエリカに尋ねる。
エリカはハンドサインでここで待機、私が行きますと返す。
一瞬眉を先生を顰めながらも溜息を付くと気を付けてと伝えるとウイの手を引くと奥に退避する。
それを確認するとエリカは目を一旦閉じ開いた瞬間洞窟を飛び出す。
洞窟を飛び出したエリカに対して物陰に居る男達が射撃を開始する。
エリカは一切避けようとせず一直線に向かいながらアンチマテリアルライフルは打ち始める。
但し男達でなく彼らが隠れている大木や崖に対してだった。
「「「うぉぉ!!」」」
飛び散った木片や崖の欠片が男達を直撃し悲鳴を上げる。
その隙を逃さずエリカは男の1人に接近するとライフルで持っていたカービン銃を弾き飛ばし蹴りを入れて転倒させる。
「このっ!」
近くに居た男2人のうち1人ががカービン銃を向けるがエリカは振り向きライフルを発射、怯んだ隙にダッシュしてライフルのストックを腹に打ち込む。
倒れた相棒に焦った男は逃げようとしたが、エリカが咄嗟に投げたライフルを素直に受け取ってしまい動きが止まる。
エリカはそれを見逃さずタクティカルベストからナイフを抜いて柄で男の顎を強打し昏倒させる。
「凄い・・・」
瞬く間に男達を倒したエリカを洞窟から出てきたウイは呆然と見つめながら呟く。
「そうだね流石はワルキューレだね。」
先生もそう言って感嘆の声を上げる、ヘリの操縦だけでなく白兵戦でも強いのがワルキューレ達だ。
その中でエリカは班長の外海 ミーナも将来有望と認める逸材だった。
まあそのお陰でヴァルキューレ警察学校の公安局長である尾刃 カンナに引き抜かれそうになっていたりするのだが。
「お二人ともそれくらいで・・・ヘリへ急いで下さい。」
2人の声が聞こえたのかエリカはライフルを回収しつつ恥ずかしそうな表情を浮かべながら促して来る。
その姿を見てウイはきりっとした容姿に似合わず可愛いなと思ってしまった
洞窟から出た先生とウイはエリカと共にヘリの着陸している場所に急いだ。
到着後先生とウイをキャビンに乗せ扉を閉じると機体周りを簡単に目視点検しエリカはコクピットに乗り込む。
ベルトを締めエンジンをスタートさせるとコレクティブレバーを引きブラックホークを上昇させると山肌にそって低空飛行させるエリカ。
「このまま脱出するのかいエリカ?」
キャビンの先生からの質問にエリカは航法ディスプレーを見ながら答える。
「いえ、このままではまた攻撃を受ける恐れがありますのでここを離れる前に連中を叩きます。」
このままではミサイルの集中攻撃を受けるのは避けられないとエリカは予想したからだ。
超低空で山肌を飛び目標手前で高度を上げエリカはブラックホークを突っ込ませる。
襲撃犯達との連絡が途絶え混乱していた彼らはそれに対応できなかった。
エリカは素早くマスターアームのスイッチを入れディスプレイに搭載武装を表示させるとコレクティブレバーに有るスイッチを操作してロケット弾を選択する。
そして風圧で男達を吹き飛ばしつつ設置されているミサイルランチャーに接近サイクリックレバーのボタンを押してロケット弾を発射する。
発射されたロケット弾は正確にランチャーに着弾し破壊する。
それを確認したエリカは機関砲モードに切り替えると止められていた車両群に一撃を食らわせてそのままブラックホークを離脱させる。
「これで連中は暫く動けないね、ご苦労様エリカ、ウイ大丈夫かい?」
座席でまた目を回していたウイは先生の問い掛けに何とか意識を取り戻し答える。
「はい何とか・・・でももう2度と御免です。」
そう言ってウイは深い溜息を付き先生はそれを見て苦笑するのだった。
その後ブラックホークはトリニティ総合学園へ向かいウイを降ろし先生とエリカの任務は終わったのだった。
1週間後シャーレに戻った先生はティーパーティーのナギサに連絡を取っていた。
『それで先生達を襲った連中の正体は分かったのですか?』
ナギサが優雅に紅茶を飲みながら先生に尋ねてくる。
「まだはっきりとは分かってないね、我々が脱出して暫くたった後第1ヘリコプター班のヘリが調査に向かったんだけど。」
島には誰もおらず何の痕跡も残っていなかったと先生は肩を竦めながら答える。
『そうですか・・・持ち帰った本ですが、ウイさんを中心に解読作業を進めてはいるのですがまだ確実な事は分かってませんね。』
同じ様に肩を竦めながらも自分とは違い優雅だとナギサを見ながら先生は思う。
『念のため正義実現委員会がウイさんの護衛に当たると共に調査しています、もしシャーレで何か分かったらご連絡をお待ちしております。』
「うん何か分かったら連絡するよナギサ。」
通信を終わった先生は冷めてしまったコーヒーを飲むと溜息を付き窓から外の街並みを見ながら呟く。
「出来ればこの後何も起こらないといいんだけどな。」
残念ながらここキヴォトスではその手の期待は叶わないのが常識だったなと思い先生は肩を落とすのだった。