副局長の陰謀?により生活安全局の中務 キリノと合歓垣 フブキ達と共にウォーターパークでライフセイバーをする事になった尾刃 カンナ。
乞われてカンナの様子を見に来た先生と休暇で偶然ウォーターパークを訪れていたエリカ。
そんなカンナ達の前にワニ型ロボットが突如出現、先生とエリカはカンナとキリノ、フブキ達と協力して駆除に入る。
意外な助っ人も加わった騒動の顛末は。
プールに様々な色の水着姿の人々が水と戯れている。
「なぜこんな事になっているんだろうな。」
ヴァルキューレ警察学校公安局尾刃 カンナ局長は白の競泳水着姿でウォーターパークのプールサイドに立ちながらそうぼやいていた。
何故自分がウォーターパークでライフセーバーを、こんな布面積の少ない服を着てやらなければならないのかと。
いや分かっている、これはあの副局長であるコノカの所為だと。
だが既に決済がおり決定事項となっている以上カンナには従うしかなかった。
我ながら生真面目な性分がこの時ほど恨めしいと思ったことは無いカンナだった。
「カンナ局長、大丈夫ですか?」
「もう諦めたらどうですかカンナ局長、楽しんだ方がよっぽどいいですよ。」
同様に水着姿の生活安全局の中務 キリノと合歓垣 フブキはカンナにそう声を掛ける。
「そう簡単に割り切れば苦労はしない。」
不機嫌さを隠そうともせずカンナは答える。
「まあカンナ機嫌を直して、私に免じてね。」
「ここで先生まで出てくるとは・・・あいつはろくでもない事しか考えつかないのか。」
ぼやいているカンナにそう声を掛けてきた先生にカンナは深い溜息を付きながらコノカを呪った。
コノカが心配して先生に頼んだというが絶対面白がっているなとカンナは確信している。
「命じられた以上職務は果たす、キリノ、フブキ行くぞ。」
意識を切り替えカンナはライフセーバーとしての任務を始める、不本意ながらも任務を真面目に果たそうとするのはカンナらしいと先生は微笑む。
「おい!ここで騒ぐな周りに迷惑になる。」
「へっ煩いこと言うなっ・・・てすいません静かにします。」
騒いでいた不良グループはカンナの注意と睨みで慌てて逃げ出してゆく。
「流石は局長ですね、不良連中も一発です。」
「・・・それを褒めていないんじゃないのかな。」
キリノが尊敬の目で見るのを、フブキはやや引いた声で呟く。
「やっぱりカンナは頼りになるな。」
「先生、取って付けた賛辞は止めて下さい・・・虚しくなりますから。」
自分の人相の悪さは自覚しているカンナはそう言って眉を顰める、狂犬の二つ名と共に何処へ行っても付いて回るのかと嘆きながら。
だがカンナを更に困惑させる出会いが待っていた。
「カンナ局長?どうされたのですか?」
カンナにとっては事件が有った時は頼りになるが、今は会いたくない相手であるエリカとの出会いが。
「エ、エリカ、何故ここにいるんだ!?」
常に冷静が基本のカンナが思いっきり動揺していることに先生とキリノ、フブキは驚いた表情を浮かべ見ている。
「えっと休暇を貰ったので来たのですが。」
動揺するカンナに戸惑いつつエリカが答える。
「君1人だけか?」
「はい、まあ本当はミーナ班長と来る予定だったのですが、班長に急に予定が入ったので私1人だけになってしまって。」
確かにカンナと同じデザインの黒い競泳水着を着たエリカの他に誰もいなかった。
なおせっかくのデート(?)が潰れてしまいミーナ班長が激怒していたのは言うまでもない。
「そうか・・・ちなみにこれは公安局の案件ではないので誤解の無い様に頼むエリカ。」
気を取り直しカンナはエリカにそう言うと状況を説明する。
「ええ分かりましたカンナ局長。」
エリカはカンナは相変わらず苦労人だなと今更ながら思って苦笑していたが。
2人はこれまでも何度か公安局の作戦で相棒を組んだ事がありエリカはカンナが様々な場面での苦労を見てきたから同情的だった。
「そうか良かった、それではエリカは休暇を楽しんでくれ・・・」
そう言い掛けたカンナの言葉は突然響いてきた爆発音と悲鳴によって遮られた。
「何あれ?」
「こっちへ来るぞ!」
「た、助けて!」
「ちっ、キリノ、フブキ行くぞ!」
聞こえた来た爆発音と悲鳴に反応しカンナはキリノとフブキに声を掛けて現場へ走り出す。
「で、でも銃が・・・」
キリノが慌てた声で言う、通常の任務ではなくライフセーバーとして来ていたので銃はロッカーに置いてきてしまっていたのだ。
「状況を確認する、それよっては銃を取りに戻る・・・先生、エリカ?」
何時の間にかカンナ達と一緒に先生とエリカも走っている事に気づきカンナが声を掛ける。
「私も行くよ、君達の先生だからね。」
「私もお手伝いさせて下さいカンナ局長。」
律儀なエリカと先生にカンナは苦笑を禁じ得ないが、高い指揮能力と自分に劣らない戦闘力を持つ2人なら足手まといにはならないだろう。
そう判断しカンナはエリカと先生の同行に異を挟まなかった。
破壊音や悲鳴が響く場所に着いたカンナ達はその原因になったものを見て固まってしまった。
そこには巨大な・・・鋼鉄のワニが居たからだ、驚くなと言うのが無理だろう。
「くっ!何なんだこいつは!?」
そしてそのワニの前で喚く1人の少女、ジャブジャブヘルメット団長の河駒風 ラブだった。
「お前確かジャブジャブヘルメット団の?」
「げっ公安局の尾刃 カンナ、何でここに!?」
ラブと団員達はカンナの姿を見て狼狽える。
「今回の騒ぎはお前達の仕業か!?」
カンナの問いにラブは両手と首を必死に振って否定する。
「いや俺達じゃねえよ、こいつが突然現れやがって。」
施設を破壊し動き回る鋼鉄のワニを指さしながらラブが叫ぶ。
「どうやら彼女達では無いみたいだね。」
ラブをはじめ傷だらけの団員達を見て先生が言う。
「・・・お前達下がれ、キリノとフブキは客達の避難誘導を行え、先生申し訳ないですが我々の武器を取って来て欲しい。」
状況から素早く判断したカンナがキリノとフブキそして先生に指示をだすと3人は頷き動き始める。
その後傍らに立つエリカに振り向き尋ねる。
「エリカ、ヘリで来てはいる訳は・・・無いか。」
「ええ、休暇中ですからね。」
カンナの問いにエリカは申し訳なそうな表情を浮かべ答える、流石に今回はヘリは置いて来てしまっていた。
「・・・アンチマテリアルライフルは?」
「それなら更衣室のロッカーに預けてあります。」
キヴォトス人として銃火器の携行は常識だった、まあ外から来た先生にすれば信じれない話しだったが。
「カンナ!銃を持ってきたよ。」
先生が銃を持って戻って来るとカンナと避難誘導を終えたキリノとフブキにそれぞれの銃を渡す。
「感謝する先生、では行くぞキリノ、フブキ、先生は下がっていてくれ。」
カンナは先生を下がらせるとキリノとフブキと共にメカワニに対して散開して射撃を加える。
だが思ったよりメカワニの装甲が厚かったのか3人の銃撃を受けてもまったく動きが鈍らない。
「局長、銃弾がぜんぜん効果ありません。」
「あ~これは思ったより厄介だ、めんどくさい。」
キリノは涙目でフブキはだるそうにカンナに訴える。
「くっ一体あれは何なんだ?テロリストの新たな兵器か・・・」
そんなカンナのセリフに反応した訳ではないだろうがメカワニは火を噴いてプールサイドに積み上げられていた浮き輪を消し炭にしてしまう。
「えぇぇ!火まで吹くんですか?」
キリノが悲鳴を上げる。
「これは厄介な相手だね、カンナ達の射撃の効果が薄い・・・どうすれば。」
先生は状況が最悪な事を改めて痛感する。
「いえまだだ、エリカの準備が整えば・・・」
カンナは近くの建物の屋上を見る、エリカなら狙撃に適した場所を的確に見つけてくれると信じていた。
過去何度も共に戦った事のあるカンナはエリカに対して絶大な信頼を持っているからだ。
もっとも最初カンナはヘリパイロットに何が出来るかと懐疑的で、先生からの推薦があって渋々組んだのだが。
それがカンナが思っていた以上にエリカはパイロットとしても兵士として優秀な事を知って考えが変わった。
以後公安局として支援が必要な時、カンナは必ずエリカを派遣す様にシャーレ要請する事になった。
当然だが支援要請の度にエリカを指名する事にミーナもリンも良い顔をしなかったのだが。
やがて屋上に人影が現れ手を振っている事にカンナは気づく。
「よしキリノ、フブキあいつを中央のプールに誘導するぞ、そこが狙撃に最も適しているからな。」
そう指示するとカンナは銃を持ってメカワニの前面に飛び出し一撃を加える。
たいして効果の無いものだったがメカワニは一瞬動きを止め何かに怯えるように進路を変えてプールへ向かって行く。
「あれずいぶん簡単に動いてくれましたね。」
メカワニの動きにキリノが首を傾げて呟く。
「そうだね、まるで何かに怯えた様に見えるね。」
先生もメカワニの動きに違和感を覚えて動きを見ながら言う。
「議論は後だ先生、キリノ、フブキ誘導を続けるぞ。」
「はい局長!」
「ああめんどくさいなあ。」
キリノとフブキは指示に従って射撃を加えながらカンナと共にプールに向かう。
「きゃぁぁ、みゆちゃん!」
カンナ達がプールに向かって行く途中で突然女性の叫び声が響く。
メカワニの進路前方に逃げ遅れたのか幼女が1人取り残され泣いている。
母親が近寄ろうとしていたが周りの人々が危険だからと必死宥めていた。
「くっ!間に合わないか・・・」
距離がありカンナ達では間に合わないと絶望しかけた時だった。
メカワニの前方に強烈な光が現れカンナ達は目を奪われてしまう。
「閃光弾!?」
強烈な閃光弾を受け進路を変えたメカワニの周りに銃弾が撃ち込まれる。
「どうだ鋼鉄のワニ野郎!」
声の聞こえた方を振り向いたカンナは得意げにそう叫ぶジャブジャブヘルメットのラブが居た。
どうやらラブがあの閃光弾を投げつけ、部下の団員に射撃させ幼女に迫ったメカワニの進路を変えさせたとカンナには分かった。
「どうだ公安局の姉ちゃん、俺達の活躍を見たか?」
「・・・ふっ助かったよ、感謝する。」
カンナはラブに礼を言うと幼女を抱き上げ母親に渡して退避する様に言うと再び射撃を加えメカワニを誘導して行く。
もっとも射撃の結果と言うより彼女を見て進路を変えた様に見えカンナは違和感を感じたが兎に角メカワニの誘導を優先する。
こうしてカンナ達とラブ達によってメカワニは中央プールに追い込まれて行く。
「おい閃光弾貸せ。」
カンナはラブから閃光弾を受け取ると前面に立ち睨みつけるとメカワニは動きを止め別方向へ逃げようとする。
「逃がさん。」
そうカンナは叫ぶとメカワニの前面に閃光弾を投げつけるて完全に動きを封じ込める。
「今だエリカ!」
そのカンナの声に応える様にエリカはアンチマテリアルライフルの照準をメカワニの頭部に合わせ引金を引く。
発射された弾丸は頭部を貫通しメカワニの動きを完全に停止させ、騒ぎはようやく終焉を迎えたのだった。
事態が収束した後に現われたのはミレニアムサイエンススクールのヴェリタス部長代理の各務 チヒロだった。
エンジニア部の白石 ウタハを連れて・・・
この時点でエリカと先生は状況を察してしまった、今回もまたエンジニア部の暴走がこの事件の発端だったと。
キリノとフブキは事情をエリカから説明され呆れるしかなかった。
ただカンナはメカワニの異常が自分を上位の捕食者と見た為と言われ憮然とした表情を浮かべる。
エリカは過去に副局長のコノカからカンナが最初生活安全局を志していたがその風貌が仇になり断念していた事を思い出した。
「カンナ局長・・・」
だからどう声を掛けようと悩んでいたが、思わぬ救世主が現れた。
「お姉ちゃん達、助けてくれてありがとう。」
カンナとラブが助けた幼女がお礼を言いに来てくれたのだった。
「かっこ良かったなあお姉ちゃん達、渡しも将来公安局の人になるね。」
まあラブは公安局の人間と言われ、団員達が笑いを堪えているの見て憮然としていたが。
「将来の公安局員を獲得出来ましたね。」
「それは将来が楽しみだな。」
微笑みながらエリカが言うとカンナは照れ隠しにそう返すのだった。
その後ウタハはチヒロの監督の元ウォーターパークの修繕を行った、何故かラブ以下ジャブジャブヘルメット団も駆り出されいたが。
一方カンナはキリノとフブキと共に負傷者の確認や関係機関との連絡を行い先生とエリカは皆の補佐を行う事になった。
「先生、エリカ2人とも申し訳ないな。」
カンナは先生とエリカにそう言って頭を下げる。
「私は先生だからね。」
「相棒ですから。」
申し訳なそうに言うカンナに先生はどや顔でエリカは微笑みつつ答えるのだった。
余談だがカンナはエリカのセリフを聞いて益々彼女をヴァルキューレ警察学校に欲しいと考える様になった。
それがエリカを寵愛するミーナとリンの警戒心を上げる事になったのは当然だったがそれだけでは済まなかった。
「ヴァルキューレがエリカを欲しがっているの?それなら風紀員員会としても負けるわけにはいかないわ。」
その話を伝え聞いたゲヘナの風紀委員長ヒナがカンナに対抗してエリカを風紀委員会に招こうと動き強める事になったのだ。
こうしてエリカの知らない所で争奪戦が激しくなったが、これでもキヴォトスで起こる騒動としては平和な部類だなと先生は呑気に考えていたらしい。
「先生、キヴォトスに大分毒されてきましたね。」
まあアロナがそんな先生を見て呆れていたが、これもある意味平和な証拠なのかもしれない。