ガメラ×エイト 神話の復活   作:ほろろぎ

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お待たせしました。再開します。


第五話 そら

 怪獣10号、ギャオスの一群を一掃した立川基地の防衛隊員たち。

 死闘を終え、みな一様に肩で息をしている。

 

 大怪獣クラスのフォルティチュードを持つ敵を相手にした結果はしかし、怪我を負った者こそいれど、死傷者は無かった。

 

「あっ、おい見ろ!」

 

 ヤンキー風の隊員、古橋イハルが声を上げる。

 彼の指さす先には、夜の闇を流れていく一筋の星の光が。それは戦いを終えて帰っていく、人類の味方──怪獣0号、ガメラの姿であった。

 

 直後、地上の方でもまた、激闘から帰って来た者が一人いた。

 

「おぉ~い、みんな~!」

「先輩!」

「オッサン!」

 

 日比野カフカもガメラと共にギャオスとの戦いを済ませて、仲間の元に駆けよる。

 大きく手を振って帰還した彼を出迎える仲間たちは

 

「コノヤロー! 俺らが必死で戦ってる時に、のんびりトイレなんて行ってんじゃねー!!」

「しかも長いんだよ! あのタイミングでウンコかこいつ!!」

「えっ、えっ、なに!? なんで俺怒られてんのー!?」

 

 彼が怪獣8号に変身出来るということを明かせないレノは、その場しのぎで「カフカはトイレで抜けた」と言ってしまったがため、当人は周囲から酷い誤解を受けていた。

 

「ちょっと市川さーん! 説明してぇー!?」

「すいません、先輩……あの時はああするしかなかったんです……」

 

 状況が分からずみんなからボッコボコにされるカフカに対して、レノはただそう言う他になかった。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 立川基地がギャオスの襲撃を退(しりぞ)けてから、一週間が過ぎた。

 

 基地の損害は軽微なもので、すでに復旧も完了。務める職員たちも、今は元通りの体制を取り戻している。

 

 基地のみならず周辺への被害もゼロで、特に一般市民の被害も無かったのは、まさに奇跡的な出来事だった。

 

「ガメラのおかげだな」

「ああ、まったくだぜ。ガメラ様様だ」

 

 と隊員たちは口々に言いあい、ミラクルな結果を出したこのケースを喜びあう。

 

 そして、彼らは共に戦ってくれた大怪獣0号を、討伐すべき存在──怪獣であるはずのガメラを、すでに仲間として認めていた。

 

「俺も頑張ったんだけどなぁ……」

「お前はウンコしてただけじゃねえか」

 

 怪獣8号として参戦したカフカは、もちろんその事実を誰にも知られず、故に彼の奮闘も誰も知る(よし)もなかった。

 

「おいそこぉ! 無駄口叩くヒマがあったら体動かせぇ!!」

 

 誰からともなく檄が飛ぶ。

 

 立川基地の新人隊員たちは、ギャオスの襲来に対して満足に動けなかったことを反省。

 その失態を挽回しようと、この一週間彼らは、これまで以上に訓練に熱を上げていた。

 

 トレーニングは一層激しさを増し、しかしそれでも音を上げる者は一人もいない。

 みんながみんな、自分たちの不甲斐なさに活を入れていた。

 

「おーおー、みんな頑張っとるなぁ~」

 

 そこに、副隊長の保科が様子を見にやってきた。

 相変わらずのゆったりした様子だが、彼もまた人目に付かない所では、過酷な訓練を自らに課している。

 

「そのままで聞いてくれ」

 

 保科は手にした書類を読み上げる。それは先の怪獣10号こと、ギャオスに関する調査の報告書であった。

 

「10号ギャオスのことなんやが、ウチの研究所のモンが調べた結果……色々と厄介なことが分かった」

「厄介なことって、なんですか?」

 

 周囲を代表して、年長のカフカがたずねる。

 

「ギャオスの亡骸から採取した細胞を機械にかけたんやが、この怪獣……これまで発生した奴らとは、まったく別の生体なんや」

「今までの怪獣と違うって……」

「ギャオスの遺伝子を解析したら、おどろきや。こいつのDNAは、他の地球上のあらゆる生物──怪獣も非怪獣も含めて、同一の型が無かったんや」

 

 保科は言葉を続ける。

 

「それだけやない。ギャオスのDNAは、あまりにも完璧すぎる構造をしとる、と解析班は言うとった。生物学的に、()()()()()()()やと」

「つまり……分かりやすく言うと?」

 

 この手の知識に明るくないカフカは、明確な説明を求めた。

 保科は思わせぶりに間を開けて、答える。

 

「ギャオスは、何者かの手によって人工的に生み出された生命体、っちゅーこっちゃ」

「何者かって……何者なんですか」

「それについては、見当はついとる」

 

 保科は持っていた書類から一枚の写真を取り出して、みんなの前にかざす。

 

「これは、古代の地層から発見されたもんや」

 

 写真は、石板のような物体を映していた。

 板の表面には文字と思えるものが溝のように掘られているのだが、その字体は現存するあらゆるものとも異なっていた。

 

「なんて書いてあるんでしょうね?」

 

 レノは横にいるカフカに、なんの気なしに問いかけた。

 答えが返ってくるはずもない。それは、誰も見聞きすらしたことのない文字だったのだから。

 

 しかしカフカは

 

「『最後の希望、ガメラ。時の揺りかごに託す。災いの影を払わん』……」

「えっ?」

 

 横のレノにだけ、かろうじて聞こえるほどの小さな囁き。

 カフカは一目見ただけで、なぜか石板の文字が読み解けてしまった。

 

 驚きに目を開くレノ。直後に保科の口からも、同じ意味の内容が繰り返される。

 どうやらカフカが発した言葉は、ただのデタラメではないようだった。

 

「これはウチの解析班が数年かかって解読したもんなんやで~」

 

 なぜか自慢げな保科。

 

「この碑文(ひぶん)のおかげで僕ら防衛隊は、怪獣0号──つまりガメラを人間の味方やと判断できた、っちゅーわけや」

「もしかして、そこに書かれている『災いの影』というのが……」

「ギャオスのことやろう。つまりギャオスもまた、ガメラと同じく大昔に古代人が生み出し存在やというのが、研究所の面々の出した結論や」

 

 キコルに答えるように保科は言った。

 

「で、ここからが本題なんやが」

 

 保科の口調が、急に真剣味をおびる。

 

「ギャオスの遺伝子には、つい最近になって、新たに手を加えられた形跡があった」

 

 副隊長の説明を聞いていた隊員たちの間に、一斉に緊張が走る。

 彼の言葉の意味する所は、つまり

 

「上層部は、おそらくギャオスをいじった犯人は、怪獣9号やろうと見当をつけとる」

「9号が……!?」

「けど、なんでそんなことを」

 

 出現して以降、まったく動きを見せなかった怪獣9号が、今になって暗躍しはじめた。

 そのことに驚くイハルと、9号の行動に意味を見出せないキコル。

 

「目的はわからん」

「もしかして……」

 

 きっぱりと意図は不明と言いのけた保科に、カフカは独り言のように続ける。

 

「立川基地を潰すこと、そのものが目的だったんじゃ……」

「私たちが狙い? なにか根拠はあるの?」

「いや、これといった理由はないんだが……勘? みたいな?」

「オッサンの勘とか、当てにならねーんじゃねえか?」

 

 カフカの勘はしかし、まったくの見当外れでは無かった。

 それは、彼の体に取り込まれた古代の勾玉、そして……()()()()()の力が成せるものだったのだから。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 夜。人気どころか生物の気配すらない、静寂(せいじゃく)の森の中。怪獣9号は独り、どこかの山中に潜んでいた。

 別に、防衛隊に討伐されることを恐れての行動ではない。その気になれば、武装した人間など軽く蹴散らせる自信があった。

 

「まあ……確かに数ノ差は、厄介だけどネ」

 

 なにより、これは準備(・・)のために必要なことなのだ。

 

「ギャオスを使エば、楽に『ボーエータイ』とやらを駆除できるト思ったんだけどなぁ……まさか、アイツに邪魔されルとは」

 

 怪獣0号、ガメラ。()()()()()、かつて人の手によって生み出されし存在。

 

「ボクらの使命は、この星の生態系のバランスを守るコと。今の地球は、人間の数ガ多すぎる。だから人を減らして、怪獣の数を増やさナきゃいけないのになァ」

 

 そのために、人を守る存在である防衛隊を排除することが重要。なぜ、その役目を理解しないのか。

 9号は誰もいない空間に向かって、そこに居る誰かに愚痴るように言葉を発し続ける。

 

「まア、いい。ギャオスの卵は、まだ残っているからネ。さらなる改良ヲほどこして、次はモっと強い個体をつくろうジャないか」

 

 そして

 

「この星を、ボクたち怪獣の惑星へ、変えてしマおう」

 

 不意に、9号は空を見上げた。いくつか星がキラめいている。

 その中で一つだけ、他よりわずかに強く輝く星があった。その星の光は、なにか言葉に出来ない、底知れない不気味さをはらんでいた。

 

「ナんだ? なにカ……」

 

 星を見つめる9号は自らの中に、言い知れない不安な感覚が沸き上がるのを感じていた。

 

「バカな……怪獣であるボクが、なにより強大な存在デあるボクが、『恐れ』を感じている……?」

 

 大怪獣が恐れるモノ。そんなもの、あるはずがない。

 9号は自身の感じた「恐怖」という直感にフタをして、見ないフリをてしまった……。




プロット4回ほど作り直して全く別物になりつつ、一応納得いく形になったけど
話数を短縮するためにやったのに結局2話しか削れず、これ意味あったのか…?
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