青き虹色に心惹かれた幻想   作:プレシアンスグレム

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魔法少女達の百年祭

青春紅魔

Sister of Scarlet

 


 

 

 

 

 

 レミリアとミネがお互いにその姿勢を崩し、空中から落下する。

 

「ミネ!」

「ミネ団長、ご無事ですか!?」

 

「ええ……かなり無茶をしてしまいました。救護騎士団の団長でありながら、これほどの深手を許すとは……まだまだ精進が足りませんね」

 

 ミネの身体はかなりのボロボロ具合になっていた。

 見てわかる骨折と、幾つもの傷痕がその無茶を、彼女の覚悟と信念を証明していた。

 

 またその姿はハスミとサクラコにも言い表せる。

 3人ともボロボロの姿で、もう戦う余力など存在しなかった。

 絶え絶えになる息を整えながら、神秘の解放により崩れかけの足腰を気力で支えて、ミネの下に寄り添った。

 

「ミネ。──感謝を。あなたのおかげで、私は正義を間違えずに済みました。ありがとう」

「あなたの見識がなければ、彼女のことをただの一吸血鬼と同様の処罰にしようとしてしまっていたかもしれません」

 

 二人は全ての妖怪、全ての吸血鬼を吸血鬼異変の時のような凶悪な存在ばかりなのではないか、と心の底では疑っていた。

 妖怪とは分かり合えないと、心のどこかで確信してしまっていた。

 それを真っ向から否定し、妖怪も人間同様に悩める存在なのだとミネは示してくれた。

 

 ハスミとサクラコはミネに感謝の気持ちを伝えた。

 

「皆さん……ええ、それが『救護』です。必要な場所に、迅速に、最善の救護を届ける。救護騎士団の本懐を、ご理解いただいて私は……嬉しいです」

 

 ミネが微笑みで二人の感謝に言葉を返す。

 そんな中、レミリアは空を眺めながら呟いていた。

 

「……全部、悪い夢だったのね。500年もの間の永い、永い夢だったわ」

 

 その言葉には先ほどまでの威圧感も、狂気も一切を感じない。

 まるで一人の、見た目相応の幼い少女のような目つきにレミリアは戻っていた。

 

「──レミリア・スカーレット」

「……」

「紅い霧の異変の現行犯として、その身柄を確保します。──あなたはこれから、聴聞会にて判決が下されるでしょうが……我々正義実現委員会はあなたに最大限の恩赦を約束します」

「え……いいの? ここに大分迷惑をかけたのでしょう?」

「シスターフッドも約束します。あなたもまた、悪い大人の餌食となっていた、一人の少女に過ぎないのだと、聴聞会にて弁護を約束します。それでも、多少の処罰はあるでしょうが……思うほど悪い処罰にはならないでしょう」

 

「それでも、ティーパーティが重い処罰を下そうとするなら……私たち救護騎士団は彼女たちに『救護』を下します。──ですから、安心してください。もう、あなたを縛る苦しみは消えたのですから」

「……青い翼の」

「ミネ。救護騎士団団長、蒼森ミネと」

 

 レミリアがそう呼ぶが、彼女の蒼い翼は弾幕のダメージによって焼け焦げている箇所が多く、もはや蒼とは言えない、黒ずんだ藍色になっていた。

 それでも、レミリアには──ミネの背中に今なお綺麗な、誇りと信念を胸に抱く、高潔な蒼き翼が広がっているように見えた。

 

「そう……ミネ。ありがとう」

「どういたしまして。『救護』が行き届いたようで、何よりです」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 紅魔館、図書館──

 

「ご気分はどうですか? 息苦しくはありませんか?」

「ええ……大分よくなったわ。セリナとハナエと言ったわね? ありがとう」

「えへへ、どういたしまして!」

「元気になったならなによりです!」

 

 ハナエとセリカの看病のおかげで、ソファで横たわるパチュリーの顔色はだいぶ良くなっていた。

 まだ呼吸器が弱っていて、万全とは言い難いが、それでも先ほどまでの大不調よりかはマシな状態へと向かっている。

 

 少なくてもあの時、パチュリーは死ぬかもしれないと本気で思っていた。

 それを救ってくれた二人には頭が上がらなかった。

 

「わ、パチュリー様が人に感謝を言うなんて、いったい何時ぶりなのか──ふゃっ!」

 

 そんな、人様に頭を下げる姿を久しく見ていなかった小悪魔は、びっくりして言葉を零す。

 それを恥ずかしがったのか、パチュリーは簡素な冷や水の魔法を小悪魔の背中で発動し、背中をヒンヤリとさせた。

 

「小悪魔……そんなことを言っている暇があるんだったら、早くこの図書館の掃除をして頂戴」

「ひいい……今までここまで大規模な掃除をしなかったのはパチュリー様のご命令があったからじゃないですかあ……」

 

 パチュリーは半目で小悪魔に命令を言い、小悪魔は涙目で図書館を掃除しに戻った。

 

「そういえば……先ほどまで上から聞こえていた激しい戦闘音、なくなりましたねえ……」

「そういわれてみれば……みなさん、大丈夫でしょうか……」

「(上から……屋上?)」

 

 パチュリーは、ようやく戻ってきた僅かな魔力を器用に制御して、探知の魔法を発動する。

 それによって、屋上に3人の存在とレミリアの妖力を確認。また時計塔の螺旋階段を降りている2人の姿も確認した。

 

 

「……大丈夫みたいね。3人は屋上に、2人は屋上から降りている状態みたい」

「見えるんですか?」

「ええ。魔法使いだから」

 

 探知の魔法を操作して、パチュリーは彼女たちと共にいるレミリアの容体を確認する。

 

 だいぶ弱ってはいたが、死ぬような状態ではなかった。

 パチュリーはホッとすると同時に、自分たちの敗北を悟った。

 

「──どうやら、レミィは負けたみたいね。あなたたちの隊長さんたちの勝利、といったところかしら」

「ミネ団長……!」

「やりましたね、セリカ先輩!」

「はい! よかったです……!」

 

 セリカとハナエが感極まりお互いを抱き合う。

 彼女たちは自分の治療に専念してくれたが、その実心の中では自らの団長であるミネのことが気がかりで仕方がなかったのだろう。

 

「あなた達には迷惑をかけたわね。何かお詫びをするべきなんでしょうけど……──」

 

 彼女たちのトップが大まかな判決を下すだろうが、何かしら自分から彼女たちに謝罪の気持ちを伝えたいとパチュリーは思った。

 こんな償いを考えることになるなんて。そしてそんな自分のことを許せてしまうとは。パチュリーはそんな自分を笑った。

 

「いえいえ、そんな!」

「私たちは救護騎士団。必要な時、必要な場所に即座に駆けつけて人々の傷を『救護』する組織の団員です。決して、褒美や名声のための行いではありませんから」「……そう。でも、困るわね。それだと何も償えないわ」

 

 

 

「別に償わなくていいよ、パチュリー?」

「!!?」

「まだ、私たちは負けてないんだから」

「フラン……!? なぜここに──」

 

 忘れていた。

 まだ、彼女が残っていた。

 パチュリーは横になっていた体を起こし、フランに対峙する。

 

 フランの瞳は深紅に染まり、あまりにもおどろおどろしい破壊のオーラがこれでもかというほどに図書館中に零れていた。

 

「……結界はどうしたの?」

「壊したわ。あんなので封じ込められるような奴じゃないのは知ってるでしょ」

「……何をしに来たの」

「お姉さまを守りに」

「もう、私たちは負けたわ。これ以上の戦いに意味はない」

「あるわ。だって……紅い悪魔(わたし)はまだ負けていないもの」

 

「(まずい……狂気が、破壊の衝動が抑えられていない……!)」

「い、いったい、これは……」

「ハナエちゃん、隠れてっ!」

「(私の魔力は戻り始めたばかり……あのスナイパーとの戦いでほとんど使ってしまったのが仇になってしまった! ……打つ手が、ない……!)」

 

 フランは全てを破壊するつもりなのだろう。

 この紅魔館を……吸血鬼の城を打ち崩さんとする者たちの全てを。

 

 フランの手には曲がった時計の針のような杖があった。

 あれは──パチュリーの知識を元にフランが開発した魔道具。

 フランの魔力を効率的に使用するための杖型の魔導書。

 あの杖の中には何個かの魔法が記録されていて、フランが魔力を杖に流し込むだけで魔法が自動で発動される仕組みとなっている。

 

 あれにアクセスして、内部に記録してある魔法をこちら側から発動できれば──だが、それはかなりの無茶だ。不可能とも言っていい。

 自分の魔力が残りわずかな以上、遠隔でのアクセスは不可能。直接触れる必要があるし、

 

 そのうえ、強大なオーラに驚いてソファの後ろに隠れた二人を守ることも……今のパチュリーの魔力では、できるかどうかわからないと言ったところだった。

 

「……いいわ。あなた達には興味はないから」

「え?」

「私が殺すべきなのは……屋上にいる3人。もうボロボロだけど──いや、だから殺すわ」

「っ、それは──!」

「キッチリ殺しておかないと、私たちは勝ったことにならないからね?」

 

 そう言い残して、フランは先ほどまで自分がいた場所に大きな破壊の痕を残して、図書館を飛び去っていった。

 

「…………なんてこと。フランが──」

「あ、あの子は……吸血鬼、ですよね?」

「も、もも、もう一人いたんですか……!?」

「もう、屋上にいる3人は──あなたたちのトップたちは、もう満身創痍よ。──勝ち目が無い……!」

「そんな! どうすれば……」

 

「す、すいません! 誰かいませんか!」

「レイサを治してくれ! レイサを──!」

 

「え、この声は──」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「それじゃあ、この霧を消さないとね」

「はい。お願いします」

 

 レミリアは空を見上げる。

 そこは紅く染まった月の浮かぶ空。

 周囲を漂う、紅い霧。

 

「今にして思えば、この霧は私の歪んだ誇りそのものだったのね」

 

 吸血鬼の王として、産まれながらに教え込まれた歪なプライドの塊。

 500年近くかけて練り込まれ、固まった邪悪な誇りの塊だった。

 

「そういえば、あなたにその誇りを教えた者は──」

「死んだわ。頑固な妹の我儘で」

「……妹ですって?」

「ええ。妹がいるのよ。フランっていう、かわいい妹が」

 

 レミリアは思う。

 フランなら、きっと私のようにプライドに狂ってはいないから、みんなと仲良くできるだろう、と。

 

 運命は形こそ変わってしまったが、それでも、ある程度は望んだ運命になっただろうと。

 

 そうだ。

 フランとの約束も解消しておかないと。

 もうフランは自由の身。私のような罪の償いを求められる者ではないから。

 この屋敷で、自由に羽を伸ばしてほしい。その綺麗な宝石の翼を、輝かせてほしい。

 

 ……もう、プライドなんて必要ないから。

 

「とても頑固者なのよ。プライドなんて知らん顔で、まるで見た目通りの子供。──きっと、あなた達も仲良くできると思うわ」

「……そう、ですか?」

「ええ。きっと、私みたいなことにはならない──」

 

 その言葉は、突如として聞こえた轟音にかき消されてしまった。

 

「今の音は!?」

「向こう側から聞こえました。私たちのいる場所とは反対の方向です」

「……図書館……?」

 

 図書館から屋上に届くほどの爆発?

 一体なぜ今になって……?

 

 いや、待って。

 

 図書館の地下には、フランの部屋が──

 

 そう思った瞬間、時計塔のてっぺんが、大きな時計を飾った紅魔館の最上部が『破壊』された。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 紅魔館、門付近。

 

「な、なんだ! 今の音は──!?」

「見ろ! 館の時計が……」

「壊れてる!? 一体どうなったんだ……!?」

「サクラコ様は!? サクラコ様は無事なのですか……!?」

 

「う、ううっ……」

「よ、妖怪が目覚めたぞ!」

「この気は……まさか、妹様……!?」

 

「……き、きええ……?」

「ツ、ツルギさん! まだ安静にしていないと」

「……もう治った。事情は分かってる。──あいつらが危険だ。私は向かう」

「ああっ!? ツ、ツルギ先輩!!?」

 

「こらっ、動くな! 妖怪!」

「……お前」

「私も行きます。──状況は理解しましたから」

「そんなこと、許されるわけないだろ! おとなしく捕まっていろ!」

「……分かった」

「ツルギ様!?」

「拘束を解いてやれ。私は先に行く」

「……ありがとうございます」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「よかった。無事だったんだね、お姉さま」

「フラン……」

 

 時計塔を壊して現れたのは、間違いなく、私の妹であるフランだった。

 でも、様子がおかしい。思っていた状態じゃない。

 狂気とも違う、破壊の衝動に突き動かされているわけでもない。

 その瞳はまっすぐで──それでいて、何かがおかしいほどに紅くぎらついている。

 

「彼女があなたの妹ですか?」

「とてもじゃありませんが、仲良くなれそうな雰囲気をしていないようですが……」

「……レミリアさん」

 

「……黒い翼の天使に、修道女に、青い鳥。こいつらにやられちゃったの、お姉さま?」

「……ええ、そうよ。強敵だったわ」

「……そう」

 

 フランの感情が読めない。

 こんなことは今までなかった。

 何を考えているの……フラン……!

 

「……」

「っ、ダメ!」

 

「どかーん」

 

 ──瞬間、私は持ちうる最大の速度でフランが掌を向けた彼女たちの目の前に立ち、フランの『破壊』から庇った。

 

 その結果、背中から尋常じゃない程の激痛が迸った。

 直感で、背中の羽が『破壊』されたのだろうと理解する。

 

「レミリアさん!?」

「あなた、いったい何を──!」

 

「どうして庇うの? 紅い悪魔(お姉さま)らしくない」

「フラン……私たちは負けたの、もう、戦う意味はないわ……」

「まだ負けてないわ。紅い悪魔は滅んでいない」

 

 フランはそう言って、杖を3人に向ける。

 まずい、私はともかく、ミネたちはもう戦う力が残っては──

 

「その誇りのままに、人間を糧にして生きる吸血鬼であれと──そう、お姉さまから教わった」

「……フラン、あなた……!?」

「ごめんね、要領の悪い妹で。でも、ようやくわかったの。私たちはこういう種族だったんだね」

「なんで……分からず屋だと……ずっと……!」

「……本当は、分かりたくなかった。吸血鬼と人間は、互いに手と手を取り合えると、そう信じたかった──ってほどじゃないけど、ちょっとは笑い合えるぐらいの間柄にはなれるかなーなんて、思っていた」

「……」

「でも、お前たちとは無理よ。だって、お姉さまを傷つけたんだもの」

 

「──!」

「『約束』は履行されるわ。『私が危機に陥ったとき、その時は、あなたが紅魔館を──紅い悪魔(誇り)を受け継いで』……今この時を以て、私は紅い悪魔になる。紅い悪魔──フランドール・スカーレットとして」

 

 まさか……そんなことがあるなんて。

 あの我儘な表情の裏で、フランはずっと誇りを抱いていた──違う。

『約束』を守っていたの……?

 

 歪んだ誇りを貫いていた頃の、歪んだ『約束』を──!

 

「フラン、その『約束』は、もう……!」

「お姉さま、安心して。……お姉さまが誇りを失っても、フランが受け継ぐから」

「フラン……!」

「だから、誰も庇わずにそこで見てて。──私が、紅魔館を支えていくから」

 

 私に向けられたその目には、優しさしかなかった。

 

 ──ああ、フラン。あなたは……昔の私が大好きだったのね。

 

 自らは誇りを抱ききれず、しかしその誇りを胸に日々を生きていた、私に──紅い悪魔の、レミリアに……

 

「どうやら、交渉は不可能なようですが……っ」

「ハスミさん、あなたはもう戦えない身体でしょう──っ!」

「それはあなたもでしょう、ミネ団長。……まあ、私もではありますが──」

 

 状況は最悪。

 みんなはもう戦えない。神秘を使いすぎて今動けているのもやっとな状態だろう。

 戦えるのは……なら。

 

 私はかすむ視界を激痛を負いながらも、立ち上がって、紅い槍を生成する。

 

「……みんな、ここは私に任せて、みんなは早く紅魔館から脱出を」

「レミリアさん!?」

「これは、私が作ってしまった罪。私が──どんなことよりも先に、償わなければならない大罪だった」

 

 誇りを──スカーレット家の先祖たちから代々受け継がれていた憎悪を受け取ってしまった私の最初で最大の罪。

 人にその誇りを植え付けてしまった、妹にその影を追わせてしまった、あなたに、その罪を作らせようとしてしまった。

 

 500年──いや、495年もの間の長い年月をかけて形成された呪いを打ち消せるのは、もう私しかいない。

 

「大丈夫よ、私はフランの姉だから。妹に負けるほどヤワな身体をしていないわ」

「ですが──」

 

「どうして、お姉さまがそこにいるの? さっさとどいてよ」

「どくわけにはいかないわ。フラン、あなたを私は──『救護』しなくちゃいけないから」

「『救護』……? 私、何もおかしくないよ? どこも悪くないよ?」

「ええ。フランは何も悪くない。悪いのは全て私にあった。だから──フラン、あなたに取り憑く悪意を取り除く。それは──私の、最初の正義なのよ」

 

 さっきの破壊でもはや私も満身創痍ではあるが、それでも戦わなくてはならない。

 

 視界はぼやけてしまっているが、妹の姿ははっきりと見える。

 音も聞こえづらいけど、妹の声はとても鮮明で、綺麗だ。

 全身の感覚は消えかけてるけど、妹のためなら立ち上がれる。

 

 私が、誇りをかけて守ろうとしていたものは──たとえ誇りを捨ててでも、守るから。

 

「……わかんないなあ。お姉さま、きっとおかしくなっちゃったんだよ。あとでパチュリーに診てもらお?」

「……ええ。その時は二人で一緒に診てもらいましょう?」

「うん? まあいっか。でも、今のお姉さまは邪魔だからどいててね!」

 

 来る。

 フランの攻撃が私に迫ってくる。

 躱すつもりはない。すべて甘んじて受け止める。

 動かない身体でも、耐えることはできる。

 今からくる痛みは全て、私の作り出したモノだから──私なら、背負いきれる。

 

 槍でフランの攻撃を防ぎ受け止める。

 そうしようとした──

 

 その時だった。

 

「ザ・ワールド!」

 

「お嬢様!」

「──咲夜!? なぜ──」

「今です!」

 

 咲夜が時を止めて私の下へと駆けつけて、フランの攻撃から私を守った……?

 

「うおおおおおりゃああああっ!!」

「きひゃひゃひゃひゃひゃあっ!!」

「っ!?」

 

 それに続くように、天井の下から美鈴と、化け物のような形相をした生徒が、フランを強襲した。

 あの生徒は、美鈴と戦っていた──

 

「「「ツルギ(委員長)(さん)!」」」

「遅くなった……が、約束は守れるみたいだ」

 

「美鈴、咲夜……なんで」

「お嬢様を守りに来ました。あと、妹様を止めに」

「私がいる場所は、お嬢様のいる場所……紅魔館は、お嬢様のいるべき場所ですから」

「……まったく、もう……」

 

 ……でも、よかった。

 咲夜の力なら、みんなをここから安全に逃がせる……

 

 そう思いながら、私はここから先の運命を見ようとする。

 

 そうして見えた運命は──先ほどから変わらず、私たちと学園の生徒たちとが仲良く笑顔で写真を撮っている、そんな一枚絵だった。

 

「(まだ……この運命は微笑んでいるのね……)」

 

 安心した私は、そのまま意識を失っていくのだった。

 

 

 

 

 

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