葬送のレビュアーズ飯   作:三柱 努

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1回目シャッフル
フリーレン×スタンク×チルチャック(飯世界)


とあるダンジョンにて

「え? スタンクさん? ゼルさん!?」

 

また別のとあるダンジョンにて

「えええ! フリーレン! フェルン!?」

 

 

 

「おい! 迂闊に動くなっていつも言って・・・」

ダンジョン内に響き渡るチルチャックの叫び声は、目の前で起こった“不可思議”により一瞬にして静まり返った。

それは彼の身に起こったものではない。彼の目の前にいたはずの3人の仲間に起こった不可思議だった。

いつものようにダンジョンを潜り、とある1つの部屋に入った。床に魔法陣が描かれた部屋だった。

仲間の3人が入った瞬間、チルチャックの目の前で3人は光に包まれた。

『爆発の罠じゃなかっただけマシか』

光に包まれた仲間達は、一瞬にしてその姿を変えてしまった。

否、別人と入れ替わってしまった。

「ん? 何だお前は?」

「ふむ。転移魔法の類かな?」

一人は剣を携えた男の剣士。一人は杖を持った女のエルフ。チルチャックの仲間と同じ装備の面々だが別人。そして人数も1人減っている。

『いや、ツッコむべき点はそこじゃない。絶対厄介な予感しかしないぞコレ』

 

チルチャックの予感は後に的中することとなる。

 

「これはシャッフルの罠だね。ダンジョンに入った複数のパーティーのメンバーを入れ替えて分断する罠だよ」

チルチャックにとって聞いたことのない罠だが、幸いにもエルフの魔法使いはこの罠について詳しいようだ。

「多分、2人もそれぞれパーティーでダンジョンに潜ったんじゃない?」

見た目は幼そうで、その割に少し偉そうなエルフだったがチルチャックは気にしなかった。

エルフのような長寿の種族は見た目以上に年を取って、チルチャックより年上なことが多い。

ただそれでも初対面の相手にはある程度は敬語で話して欲しいなとは思った。

「あ、ああ。俺はハーフフットのチルチャック。トールマンとエルフ、ドワーフの4人組だった」

礼節を語るなら自分から手本を見せるべき。という小さな反抗心から自己紹介を混ぜて状況を説明したチルチャック。

このイライラ感をエルフは特に気にした様子もなく、続いて口を開いた。

「私はフリーレン。もう1人の魔法使いと戦士と3人組だったよ」

フリーレンと名乗ったエルフの言葉に、もう1人の男も「おっ」と気付いたように口を開いた。

「俺はスタンク。離れちまったメンツはエルフと天使だ」

年の頃はライオスよりも上だろう男・スタンクが自己紹介を終えた頃、3人は気付いたように口をそろえた。

「天使?」「天使?」「ハーフフット?」

失礼。揃わなかった。

 

 

「この罠の対処法は2つ。地道に歩いて仲間と合流するか、もう一度罠を踏むか。でも一度消えた魔法陣はダンジョンの別の場所にランダムで出現するから、それを探すためにもとりあえず移動するしかないね」

「だけどよぉ、もう一回罠踏んでもシャッフルしなおしなんだろ? 結局ギャンブルか」

「集結できなかったメンバーだけ罠を踏めばいいんだよ。あとはこの対処法を知っている私たちが各パーティーに伝えないと、何回やっても二の舞さ」

フリーレンとスタンクの話し合いにチルチャックは同意しながらも、もっと大事なことを指摘せずにはいられなかった。

「いや天使! 天使がメンバーってどういう冗談だよ!」

冗談にしては滑っているし意味も不明。チルチャックの理解とツッコミが追い付かないうちにも関わらず、そんなこと小事とばかりにフリーレンとスタンクはさっさと歩いて行ってしまった。

そして2人がようやく歩みを止めたのは、2人が転送されてきた元・罠の部屋の隣の部屋。

「おや? 宝箱」

そこにあったのは部屋の中央に置かれた、いかにも怪しい1つの宝箱。

「これ、絶対ミミックだろ」

厄介なお荷物2人を抱える羽目になり、息も絶え絶えのチルチャック。

そこに来てのミミック率90%予報。

頼むから2人には大人しくしていて欲しい。

だが叶わぬ願い。

「この中身が魔導書の可能性も」

「無いから! ミミックだから!」

「ミミックなのか? まぁ開けてみる価値もあるだろ。メスのミミックかもしれねぇし」

「メスだろうがオスだろうが開ける価値無いから!」

必死に止めようというチルチャックの熱意が何故か伝わらないまま、フリーレンとスタンクは宝箱に手を出そうとする。

「やめろ! 俺、昔ミミックのせいで酷い目に遭ったことあるから!」

「まぁ私もミミックのせいで酷い髪になったことあるけど」

「なんだよ酷い髪って!」

「俺もミミックとエロい目に遭ったことはあるけど」

「なんだよエロい目って!」

 

 

本当であれば、この時彼らは気付くべきだった。

互いに聞いたことのない名前の種族が存在することに。つまりそれぞれが異世界のダンジョンに転送されてしまっていることに。

だがそんなことを考える暇のなかったチルチャックは、後にこの時の気持ちについてこう語った。

『ダメだ、コイツら、疲れる』と。

 

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