葬送のレビュアーズ飯   作:三柱 努

14 / 14
シュタルク×ゼル×スタンク×ライオス(葬送世界)

「おっ、なんだスタンク。お前わざわざ飛んできたのかよ」

光の中から現れた旧知の友を前に、ゼルはニヤニヤしながらつぶやいた。

「ゼル。そりゃお前、こんな体験もう2度とないだろ? せっかくなら、飛ばなきゃ損に決まってるよな」

笑って握手を交わすゼルとスタンクを前に、シュタルクは「すごいな、余裕すぎる」と感心し、ライオスは「そ、そうだな」と視線をそらした。

 

「ところでライオスは、どうして罠を踏んだんだ?」

シュタルクの何気ない一言がライオスを傷つけた。

というより自業自得。自分の欲を優先して他人まかせで罠を踏んだ側として、スタンクのように悪びれる様子もなく過ごすつもりでもないなら、ちゃんと理由を述べるべき。

それなのにシレッと叱られないように黙っていていいわけがない。ライオスはちゃんと答えるべきだった。

(それでもフリーレンやフェルンがいたら、空気を読んで何も聞かないであげていただろう。そして無頓着なシュタルクを叱っていただろう)

「俺は・・・そっちの世界の魔物について知りたかったんだ。何かこう、カッコいいのとかいないか?」

目を輝かせるライオスに、スタンクは冷めた目で「いや、そんなのどこの世界も同じじゃねぇの?」と答え、シュタルクは「カッコいい魔物なんているのか?」と上の空。ゼルも「魔物とか面倒なやつばかりだからな」と即答した。

まさに無駄打ち。人に迷惑かけてまで得ようとした対価はゼロのまま終わった。

 

トーンの落ちたライオスをさておき、スタンクはフゥと一息ついた。

欲を言えば女子の一人でもいてくれればよかったが、彼も人に迷惑かけてまで得ようとした対価がゼロになりそうで少し残念だった。

「にしても男ばっかりか。色気のねぇパーティーが出来上がっちまったな」

「そうか? 俺はこのほうが落ち着くけど」

シュタルクの何気ない一言に「え…」と一歩引くスタンクとゼル。

「いや、女の子ばっかりだと居心地悪い時とかあるだろ」

シュタルクの何気ない一言に「ほぉ」と顎に手を当てるスタンクとゼル。

「そうか。お前らずっと3人組で行動してるって言ってたもんな」

「ああ」

「えっちな店に行く暇もないか、行く必要もないか」

シュタルクをグイと引き寄せ、スタンクはゼルと共に彼を挟んだ。

「ん? 店とかよく分からないけど。そういえばフリーレンがすごくえっちなことするな。たまに」

シュタルクの何気ない一言に「ほぉ」と関心を示すスタンクと、「うげぇ」と露骨に嫌な顔をするゼル。

「そうかぁフリーレン、そんな子だったのか。惜しい事をしたぜ。せっかくなら相手してほしかったな」

「やめといたほうがいいぞ。勇者ヒンメルもイチコロだったって聞くし」

「確かお前んとこの魔王を倒したって勇者か。それはそれですげぇな」

ゼルは「んー」と唸りながらも「やっぱ無理だな」と遠い目をした。

「ちなみにだが、フリーレンってのは“そっち方面”で、どのくらいの手練れなんだ?」

「そりゃ1000年を生きてる魔法使いだから」

「じゃなくて」

スタンクの即否定にシュタルクは「そっち方面って、そっちか」と意図を察した。

「聞かれてすぐに『男が喜ぶ物』をドヤ顔で教えてくれる、くらいかな。でもってフェルンに叱られる」

この答えにスタンクは「ほぉ、男が喜ぶ物」と食指をピクンとさせ、ゼルは半ば興味があるような、それでいて肩透かしを食らいそうな気配を感じながら「どんなんだ?」と尋ねた。

「えっと、何だったっけか。服だけを溶かす薬・・・とかだったような」

シュタルクの答えにスタンクとゼルはサムズアップした。

「ちなみにソイツを今持ってるか?」

「俺への誕生日プレゼントにするつもりだったらしいけど、フェルンが怒って全部フリーレンにぶっかけたらしい」

スタンクとゼルはこの答えに「お前らにサキュバス店のレビュー書かせたら面白そうだな」と口をそろえた。

 




その後、各世界でゼル・フリーレン・マルシルは解析した魔法陣により、それぞれの正しい世界で正しいパーティーと合流。
彼らが再び互いに出会うことは無かった。


余談だが、それからしばらくして大陸魔法協会にとある風の噂が届いた。
周辺の町を犯していた魔物の大軍を忽然と消滅させ、数多の人々の命を救った2人の英雄が風のように現れた。妙な若いエルフと人間の男だというその2人。
後に伝説として語られるであろう2人の英雄は、その功績によって得た多額の報酬を全て拒否し、『服が透けて見える魔法』の魔導書だけを所望して忽然と姿を消したのだと。
それを聞いた長は「そんな無駄をやらかすエルフは1人しかいるまい。だが2人組なのか? フェルンは風邪でも引いて休んでいたのか?」とつぶやいたそうな。







~完~
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

大魔族の彼は人生を謳歌する(作者:HIIRAGISHIYU)(原作:葬送のフリーレン)

現代の日本を生きていた男が通り魔に刺されて死んでしまう。そして気がつくとそこは見知らぬ場所だったのだが────空を見れば見覚えのある流星群。▼「もしかしてここ、葬送のフリーレンの世界?」▼現代を生きた男が魔族として転生し、魔法を学び、魔法をつくり、古の偉人や激つよエルフと出会う物語。▼「あれ、フリーレン?」「まさかフランメ?!」「なんでここにゼーリエがいるん…


総合評価:13169/評価:8.12/連載:44話/更新日時:2026年01月18日(日) 22:39 小説情報

ダイクン家の二女はアホの子(作者:アキ山)(原作:ガンダム)

 側室に三人目の子供を仕込んだままくたばったジオン・ダイクンのやらかしによって大きく変わる宇宙世紀。▼ サイド7で暮らすマリー・マス、通称マチュはアルマリア・リム・ダイクンという自身の本名も綺麗に忘れた、趣味はなんちゃってジークンドーとロボゲーに格ゲーというアホの子である。▼ そんな日々の奇行の数々で姉を泣かせている小学生が、地獄の一年戦争を如何にして生き残…


総合評価:13599/評価:8.72/連載:64話/更新日時:2026年05月14日(木) 17:32 小説情報

マリーの中の寄生虫(作者:ややや)(原作:Fate/)

オルガマリーの頭の中には厄介な寄生虫がいる。▼喧しく、無能で、無脳で、偶に役に立つ。▼株価も災害も判らない癖に、未来を知ってると嘘をつく。▼何でも、コイツは私は地球大統領になるのを乗っ取りたいらしいのだ。▼だったら歴代大統領の名前くらい嘯きなさい。▼…戻って来たら、選挙くらいは出てあげる。▼追記▼本作にはFate/Grand Orderのネタバレが含まれてい…


総合評価:12209/評価:8.7/連載:47話/更新日時:2026年05月21日(木) 00:00 小説情報

ギルド長が過保護すぎる(作者:ピロリ菌ex)(原作:オーバーロード)

主人公は会社の先輩でありギルド長でもある鈴木悟(モモンガ)と共にユグドラシル最後の時間を過ごす。しかし彼らを待ち受けていたのはサービス終了なんてものではなく、ユグドラシルのアバターでの異世界転移だった。▼『支援職』いわゆる回復やバフ・デバフを扱う主人公は直接戦闘能力がほとんどないためモモンガは彼の身の安全を確保するために、彼の外出や自由行動をとても嫌がり禁止…


総合評価:3199/評価:8.58/連載:11話/更新日時:2026年05月19日(火) 17:19 小説情報

ワイ「やろうと思えば何でもできる不思議パワーが使える種族に転生したから色んなモノ模倣してみるわ」(作者:rikka)(原作:葬送のフリーレン)

目が覚めたら身体が小さくなっていた▼目が覚めたら頭に角が生えていた▼目が覚めたら『魔法』が使えるようになっていた


総合評価:34350/評価:8.78/連載:31話/更新日時:2026年05月27日(水) 19:14 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>