「スタンクさん!」
「よぉクリム。ってことは俺も戻ってこれたのか」
再会を喜ぶクリムと、状況をそこまで悲観していなかった通常運航のスタンク。
その姿を見て「よかったね」と微笑むマルシルと「そのようだな」と答えるセンシ。
だが状況としては完璧ではない。まだ彼らのシャッフルガチャの冒険は続くのだ。
「状況を整理しましょう」
そう言ってマルシルは地面に各パーティーの予想図を描いた。
チームチルチャック:チルチャック、シュタルク、ゼル、(ライオスかフェルン)
チームクリム:クリム、スタンク、マルシル、センシ
チームシュタルクがいた場所:フリーレン、(フェルンかライオス)
「運が良ければ次のシャッフルで終わりってこと。またうっかり魔法陣を踏んじゃわない限りね」
「そうか。クリム、気を付けろよ」
「僕は多分、魔法や呪いに耐性があるから大丈夫ですよ」
ちなみに実際、クリムもスタンクやゼルと共に魔法陣を踏んでいた。
「さて、そうと分かれば探索再開といったところか」
「そうだな。その前にクリム、お前何持ってんだ? さっきからイイ匂いがすんだが」
鼻孔をくすぐる香ばしい匂いに、クンクンと鼻が誘われるスタンク。
その言葉にマルシルも「ほんとだ。何か美味しそうな匂い」とクリムの荷物に視線を向けた。
「ああ、これですか。さっき移動販売のサラマンダーさんから頂いたんです」
出張販売のサラマンダーさん?という聞き慣れない言葉に首をかしげるセンシとマルシル。
「ダンジョンに入った冒険者相手に弁当売ってるのたまにいるな」
「はい。皆さんお腹空かしていましたら是非どうぞ」
そう言っていそいそと風呂敷を開けていくクリム。
出てきたお弁当箱を開けると、それは男の子が喜びそうな中身が入っていた。
おにぎりとウインナーである。
「普通だ」
異世界、異文化の食事。どんなものが飛び出してくるか一瞬身構えたマルシルであったが、その中身の普通さに驚きと安堵を覚えた。
「ほぉ、旨そうだ」
「よろしければセンシさんもマルシルさんもどうぞ」
ニコッと笑って弁当箱を差し出すクリム。その素直で純朴な笑顔に、センシもマルシルも癒されながら弁当に手を付けた。
「いただきます!」
「いただこう」
その時、マルシルはふと手を止めた。口元に寄せたウインナーだが、果たして大丈夫なものなのだろうか心配になったからだ。
「えっと、失礼かもしれないけど・・・このウインナーって何のお肉かな?」
「ん? 何だろうな。豚か? 牛か?」
「合い挽きじゃないですか?」
キョトンとした表情で答えたスタンクとクリム。その反応から、おそらく彼ら基準でも変な食べ物ではないのだろう。
「うむ。普通の肉のようだ」
先にウインナーを食べたセンシが呟いた言葉に、マルシルは胸をなでおろした。魔物や何かの類では無さそうだ。
「よかった。じゃあいただきます!」
プリッと頬張った瞬間、飛び散る肉汁。念願の普通のウインナーだ。
だがそれ以上にマルシルを歓喜させたのは、そのウインナーから感じられる芳醇な魔力だった。
「美味しい! 火の魔力かしら? なんて濃厚に染み込んでいるの!?」
マルシルは大喜びでウインナーを口の中に押し込んだ。
手が止められない。さらにもう一本。
「美味しい! これ好き!」
「喜んでもらえてよかったです」
そう言って笑顔でおにぎりを頬張るクリム。
センシは「それほどか?」と普通のおにぎりをかじった。
スタンクもまた「魔力厨のリアクションだな」と半ばあきれ顔になりながらも、マルシルの満足げな様子に安心を覚えた。
「特にこの2本、魔力が濃く強く絡んでいる感じ♪ 大好き♪」
大満足のマルシルは、吸い取るようにウインナーをくわえ、大満足で舐め、たっぷりと肉汁を味わった。
ちなみに余談だが
クリムにお弁当を売ったサラマンダー嬢は
出張販売だけでなく
サキュバス店でも働いている娘である。