葬送のレビュアーズ飯   作:三柱 努

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各組それぞれにダンジョンを巡り、どうにか魔法陣を見つけ3度目の転移となった。
うまく元のパーティーに戻れますように。
だがその祈りはあと一歩届かず・・・


3回目シャッフル
フリーレン×ゼル×マルシル(葬送世界)


部屋にたたずむ3人のエルフ。

そのうち2人はつい先ほど、光の中から姿を現した新顔だ。

「エルフだね」

「ん? エルフか」

「エルフだ。あとゼルさん・・・ってセンシがいない!? 手繋いでいたのに!?」

初対面ながらも三者三様の驚きをみせるエルフたち。

 

「魔法使いが3人揃ったのはありがたいね」

「まぁそうだな。一応、俺の方で術式の解析も終わったから。あとはそいつを教える」

「話が早くて助かるね」

「わ、私はゼルさんから教わったから大丈夫です」

今までの経緯から協力することは一瞬で決まったものの、どこかよそよそしい3人。

異世界同士とはいえ、エルフといえばどの世界でも何かしら厄介な種族なのだろうと3人ともが考えていた。

といってもそれぞれの思惑としては、距離感よりも方向性の違いがあるだけ。

『マルシルは私よりお姉さんなんだよね。ゼーリエみたいな人だったら嫌だなぁ。ゼルと2人、仲良さそうにしてるから、私だけハブられてる気がするなぁ。なんだか疎外感』

『マジかよフリーレン。マナが腐りすぎてやべぇ。1000歳はいってるな。スタンクが手を出してねぇってことは、さすがにアイツも1000歳は守備範囲外か。マルシルなんかはミツエさんと同じくらいだろ? なのに手を出してねぇってことは相当やべぇ性格隠してやがったか。これだからエルフってやつは』

『うわぁ、どっちも魔法使いとして凄すぎる。そりゃ世界が違うし、遠慮なんてしちゃいけないんだろうけど。なんか気後れしちゃう。シュタルクくんとかクリムくんみたいに楽に話せる相手ならいいけど。やっぱり長寿のエルフって話を合わせるのにハードル高いよぉ。センシはいいなぁ、今ごろチルチャックと合流できてるんだろうなぁ』

 

協力して魔法陣の解析をしている間も、どうにも沈黙の時間ばかりが長くなる3人。

そんな中、ふと話題を切り出したのはゼルだった。

「なぁ、お前ら短命種とつるんで何か周りから言われないのか?」

ゼルの鉄則。とまではいかないが。

会話に困った時、同族同士なら天気みたいなどうでもいい話題を切り出すと良い。

異種族・異文化同士なら種族差やそれぞれの文化や価値観の話題から入ると良い。

日頃、ゼル自身が周りから言われている『短命種と仲の良い』という点は、文化の違う異世界でどうなのか。そこから切り出してどうにか沈黙状態を回避しようと彼は画策した。

「俺は単純に他のエルフと俺自身の時間間隔の違いだな。短命種族のほうが話したり関わったほうが楽しい」

「他のエルフは違うのかい?」

フリーレンの問いにゼルは「そういうこと」と答えた。

「エルフみたく長命になるほど、いちいち自分を成長させようなんて思わねぇ。その点、ほんの短い時間会わなかっただけで見違えるみてぇに自信にも実力にも満ちる人間ってのは最高だと思うぜ」

ゼルの言葉にマルシルは「確かに。なるほど」と呟いていた。

 

それを受け、次に口を開いたのはフリーレンだった。

「たしかに人によっては野心が無いって存在はつまらないことかもね。私も自分自身を変えようって思うようになったのは最近だよ。1000年くらいのほとんどは自分一人で勝手にやっていたからね」

「え!? 1000年!」

驚きの声をあげたマルシル。ゼルの狙いの話題としてはズレていたが、彼女としてはフリーレンに対して一番の関心が向いた瞬間であった。

「気に障っちまったか?」

ゼルはゼルで、成長しようとしない存在がつまらないと言ったことを謝った。だがフリーレンは気にしてないどころか晴れやかな顔で答えた。

「気にしなくていいよ。私はこの31年、人のことをもっと知りたいって思うようになった。だからずっと一緒にいるようにしている。そうすると日々が楽しいって思えるようになったから。やっぱり良いものだね」

いやに具体的に年数を言うようになったフリーレンだが、その顔はその数字を言った瞬間に今までで一番の笑顔になっていた。

 

次はマルシルの番。そういうゼルとフリーレンの視線にマルシルは少し視線をそらして

「私は・・・楽しいっていうのとは少し違うけど。一緒にいたいって思うのが大きいかな。ファリンって子なんだけど。その子を助けるためなら何でもしなきゃって思ってる。将来のこととか不安が多いけど、今はそれが私の原動力」

力説するマルシルにフリーレンもゼルも「大切な人か」と呟いて思いにふけった。

「他のみんなも大切なもののために冒険しているんだろうね。何としても私たちで解析して元の冒険に戻れるようにしよう」

「そうだな。俺も帰ったらミツエさんに会いたいぜ」

「ゼルさんにも会いたい人がいるんだね。フリーレンさんは?」

「? 私は・・・ヒンメルの像を見たいなって思ったかな」

それぞれに想う者を思い浮かべる3人。

だがその中でフリーレンはマルシルが急に敬語になったことに『少しは距離が縮んだと思ったけど。何か踏んじゃいけないこと言っちゃったのかな?』と思い、少ししょんぼりしたのだった。

 

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