古代ベルカ……その時代には争いなど日常茶飯事。
そんな中で争いを続けてきた者達がいた……後に聖王や覇王、冥王と呼ばれる存在となる、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトとクラウス・G・S・イングヴァルト、そしてイクスヴェリアである。
そしてそんな彼らと一緒に平和の為に拳と剣だけで戦い抜いた男がいた。
その男はただ一つの信条だけを信じ抜き、戦った。
その信条とは……「1を捨て100を救うのではなく、100を捨て1を救うのでもない。101を救って、皆が笑顔になる世界……ハッピーエンドを目指す」というものであった。
しかしそんな彼はオリヴィエと共に、歴史の中に消えていった。
数多くの学者達によって様々な仮説が浮かび上がってきた。
その中でも一番有力とされてきているのが……最後の最後になって一緒に戦ってきた聖王達を裏切り、聖王達によって討たれたという説である。
しかし、この話は偽りである。
真実は……そう、これから紡がれていくだろう。
彼……カノン・ハイウェルトは
ここは魔法の存在しない世界……地球……その地球の小さな島国、日本……またまたその日本の中の小さな街……海鳴市……その海鳴市の一角にある小さな一軒家。
「ふっ…………はっ…………」
その家の庭では上半身裸で下半身はジャージを着ている少年が何やら型を取っている。
両手のひらを開き、右手の先を自身の目線の先に置き、左手は頭の上で固定させている。
そして両手を巧みに使い何らかの攻撃を次々といなしていき、最後には右手で相手を反対方向へと押し出している。
これは彼にとっての日課。一日十キロ走り込んだ後の確認である。
「ふぅ……今日も問題無しと……この体格にもそろそろ慣れてきたな……」
少年はそう言うと脱ぎ捨てていた上着を乱暴に掴むと洗面台まで向かい、洗濯機の中に無造作に放り込む。
と
「カノン~そろそろ朝食が出来ますよ~」
「ああ、わかった」
少年……カノンと呼ばれた少年はリビングへと向かう。
リビングと併設している台所では茶髪の少女がお立ち台を使って料理を作っている。
しかし、その手際には一切の躊躇いがない。
「相も変わらず、手際はいいな」
「それもそうでしょう。ずっと続けてきたことですから……まあ、今になってもカノンに勝てないのはちょっと、あれですけど……」
少女は最後にそうボソボソと呟く。
彼女にとってカノンは料理の先生なのだろう。
「はっはっは。まだまだ先は越されんよ」
カノンはそう言うとリビングに置いてあるテーブルへと完成された料理を運んでいく。
そしてテーブルの上に料理が並べられ、二人は椅子に座る。
しかし、彼らがいるテーブルには二人が座る椅子以外には椅子がない。
それもそうだろう。この家にはこの二人しかいないからである。
「それにしても……カノン、どうやってこのような?」
「簡単な事さ。本当の自分の姿で戸籍を偽造して購入しただけさ」
「カノン、それはいわゆる犯罪というのでは……?」
「そんな事でもしないと家には住めないからな」
彼はそう言いながらも使い慣れた箸で料理を口の中へと運んでいく。
「カノン、学校の方はどうなんですか?」
「順調だと思うが?というか、一緒の学校に通っているのだから近況を聞かなくてもわかると思うが……」
「カノンと私とでは違うクラスではないですか」
「わかったわかった、ヴィヴィ。そんなの目くじらを立てるな。折角の美貌が台無しだぞ?」
「び、美貌って……//////か、カノンは卑怯です……」
突然褒められて狼狽えるヴィヴィと呼ばれた少女。
「ん?何か言ったか?」
「い、いえいえ!何でもありません!」
ヴィヴィはそう言うと大急ぎで料理を口に運んでいく。
「ご馳走様でしたっ!それでは、準備をしてきますので!」
そう言って大慌てで自分の部屋へと走り去るヴィヴィ。
「?何を慌てていたんだ……?」
カノンはそう疑問に思いながらも朝食を食べつづけた。
「ほら、カノンっ。遅いですよ」
「いや、ヴィヴィが早すぎるんだって」
カノンはそう言いながら急いで靴を履く。
彼らは同じ小学校に通っている。学校の名前は……私立聖祥大付属小学校。
物語は……今、ここから再開するのだ。
古代ベルカ時代に活躍した伝説の王、茶髪の少女の名前はオリヴィエ・ゼーゲブレヒト。
少年の名前は……カノン・ハイウェルト。剣王とも拳王とも賢王とも呼ばれる人物達の手によって。
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