魔法少女リリカルなのは 全てを幸せにする為に   作:レゾナ

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第九話

ドクンッ……。

 

「……………」

 

『カノン。ジュエルシードが発動したぜ?』

 

「ああ、わかってる」

 

デバイスをいつ渡そうかと思案している時に、カノンはジュエルシードが発動する感覚を感じた。

 

しかしカノンは動こうとしない。

 

「今回が初の戦闘じゃないんだ。それなりにやってくれるさ」

 

『確かにそうだけどさ……リッカの方は、無理があるんじゃねぇか?彼女はデバイスを持ってねぇんだし……』

 

確かにその通りだ。彼女はデバイスを持っていない。持っていなくとも支援などは出来るだろうが本格的な戦闘は出来ないだろう。

 

「それでも……私は……」

 

しかし、それでもカノンは動かない。

 

カノンは戦いという言葉及び行為をひどく嫌っている。それはカノンの過去に関係があるのだがここでは言及しないでおこう。

 

「カノン」

 

と、ヴィヴィアがカノンの部屋の入り口に立っていた。

 

「どうした、ヴィヴィ」

 

「わかっているんでしょう?私がここに来た理由は」

 

カノン自身もそれをわかっていてそれでも聞いたのだから押し黙る。

 

つまり、ヴィヴィアはこう言いたいのだ。なのは達を助けに行って欲しい……と。

 

「ヴィヴィまで……私に戦いを強いるのか?」

 

「強いてはいません。ですが……それで、後悔をした人達を私たちはたくさん見てきたでしょう?」

 

カノン達の脳裏によぎるのは今まで出会ってきた人達。

 

そして……その中には大切な人を助けられなくて後悔をした人達もいた。

 

「カノンには後悔をしてほしくはない。だから」

 

「だから……彼女達のような何も汚れていない少女達よりも、()()()で汚れた私が汚れればいい、と……?」

 

カノンのその言い方からして……カノンは、恐らく人を自らの手で殺した事があるのだろう。

 

「そうは言ってません。カノンはその痛みを知っています。だからこそ……彼女達が壊れないように、傍で見守って欲しいのです」

 

「見守る……?」

 

「はい……なのは達はまだ、人を傷つける覚悟がないと思います。なのは達だけだったらいつかその重荷に耐えきれなくなるかもしれません……だからこそ、カノンに彼女達を支えてあげてほしいのです……私には、何も出来ないから……」

 

ヴィヴィアは俯きながらそう言う。

 

カノンはそんなヴィヴィアの姿を見て何も言えなくなってしまう。

 

ヴィヴィアは聖王だ。そしてその聖王を象徴する物が二つある。

 

一つは聖王の鎧……これは自身の魔力を使って聖王を自動的に守る障壁の事だ。聖王の意志に関わらず勝手に守ってくれる為に、ヴィヴィアは攻撃に専念出来る。

 

しかし、この聖王の鎧は名前のとおり聖王しか会得できないレアスキルのような物。魔法関係者がそれを見れば一目でヴィヴィアが聖王だとわかるだろう。

 

もう一つは……虹色の魔力光である。聖王の血を持つ物は皆例外なく虹色の魔力光を持っている。ヴィヴィアもである。そうなれば聖王だという事が丸わかりだ。

 

今はそれらは幻覚魔法で何とか誤魔化してはいるが、戦闘になればそんな物に気を取られる隙はないだろう。

 

それ故に、ヴィヴィアには何も出来ないのだ。

 

しかし、カノンには出来る。カノンの事はあまり伝承などには伝わってはおらず、抽象的な事しか記されていない。故にバレる可能性が低いのだ。

 

「……………………」

 

ヴィヴィアの言葉が胸に突き刺さる。

 

───私は何をしているのだ……守るべき女の子に悲しそうな顔をさせて……!

 

そして、カノンは決意する。

 

もう…………逃げるのは止めようと。

 

そう、決意したカノンは簡単な身支度と立夏の為に作ったデバイスを持って家を飛び出した。

 

その顔には……もう、迷いはなかった。

 

 

 

 

 

立夏SIDE

 

私となのはは神社までやってきた。先ほど、ジュエルシードが発動し感覚が私たちを襲ったのだ。

 

そして神社にやってくると……そこには実体化したジュエルシードがいた。

 

「いけない。生物に取り付いて発動したんだ!」

 

一緒に来ていたユーノがそう焦るように言った。

 

「なのは、レイジングハートの起動を!」

 

「へっ?起動って何だっけ?」

 

ダメだ!アニメでも見てたけど焦ってる!

 

「『我は使命を』から始まる起動パスワードよ!」

 

「ふえぇっ!?あ、あんな長いの覚えてないよ!」

 

すると、実体を持ったジュエルシードの思念体が突進をかけてくる。

 

「きゃあっ!?」

 

私たちは何とか間一髪で突進を躱す。

 

「なのは!急いで!」

 

「え、えっと……レイジングハート?」

 

なのははレイジングハートに呼びかけた。

 

すると、

 

『Stand by, Ready. Set Up.』

 

レイジングハートが起動する。

 

「起動パスワードも言わずにレイジングハートが起動した!?」

 

ユーノが驚いているけど、そんなのに関心している場合じゃない。

 

敵はまだ、私たちを倒す事を諦めてはいないのだ。

 

と、その時

 

「立夏!」

 

聞きなれた、声が神社の入り口の方からした。

 

そこには……息を整えているカノンの姿があった。

 

「カノンッ!?」

 

私は思わずカノンの名前を呼ぶ。

 

だって……カノンは言っていたではないか。もう、私が支援する事はないだろうって……。

 

「私は……もう、逃げるのは止めたのだ……立夏、受け取れ!」

 

そう言ってカノンは私に何かを投げ渡してくる。

 

私はそれを何とか受け取ってそれが何なのかを確かめる。

 

それはネックレスであり、小さな剣が特徴的なその他には何も装飾などはない質素とした物だった。

 

でも、これをカノンが作ってくれたんだと思うと胸が高鳴ってくる。

 

カノンが私の為に作ってくれた……!

 

「名前を付けてやってくれ、そいつはまだ何もない真っ白な状態だ!」

 

カノンはそう叫ぶと右手中指に嵌めていた指輪を顔の所まで持ってくる。

 

「ムーン、セットアップ。フォームはいつも通りルナで」

 

『オーライ、マスター!セットアップ!』

 

そしてこの間の夜の時の姿に一瞬で変化する。

 

と、見惚れてる場合じゃなかった。

 

「これが、私のデバイス……」

 

名前はまだない。真っ白なデバイス……これで、戦える。

 

なのはと……彼と一緒に戦う事が出来る……!

 

その時……ふと、頭の中に声が響いてくる。

 

───フューチャー・ノヴァ!

 

何でだろう……私の言葉じゃないのに……妙にしっくりくる。

 

「……未来を知る者……その運命はこの手にのみあり……」

 

気がつけば私は詠唱をしていた。

 

「我が手に掴み取るは……幸福の運命のみなり!フューチャー・ノヴァ!セットアップ!」

 

『設定完了しました。セットアップ!』

 

そして私はバリアジャケットを想像する。

 

なぜかこれがしっくりくると思った。

 

腕を覆うのは無骨な白いガントレット。そして体を包むのは白いジャケットの所々に赤と青を散りばめた物。

 

なのはのようにスカートじゃなくて動きやすい半ズボンにした。

 

結構スースーして落ち着かないけど……でも、しっくりくる。

 

「いこっか、フューチャー・ノヴァ!私とあなたの初陣だよ!」

 

SIDE OUT

 

立夏のセットアップした姿を見てカノンは思わず固まってしまう。

 

『おいおい……何であいつと同じような姿をあいつがしてんだ……?』

 

これにはムーンも驚いているようだ。

 

「どういう事だ……単なる偶然……?」

 

カノンは思案する。いや、思案しなければいけない問題だったのだろう。

 

「なのは!私があいつをひるませるから、その間に封印して!」

 

「わかった!」

 

と、もう既に封印するようだった。

 

「光の元に、穢れを祓い賜え!フラッシュインパクト!」

 

立夏はそう技名を叫ぶと腕のガントレットを光が覆う。

 

そしてその光をジュエルシードに叩きつけると……取り憑いていた犬だろう、がジュエルシードと離れる。

 

「今よ!」

 

「うん、ジュエルシードシリアルⅩⅥ!封印!!」

 

ジュエルシードは封印されようとするが……最後の抵抗とばかりに魔力を辺りにまき散らそうとする。

 

「いけない!このままじゃこの近くにあるかもしれないジュエルシードが一斉に発動してしまう!」

 

ユーノが叫ぶがその前にカノンは動いていた。

 

腰に差している短剣……小太刀を抜き放つと、それを封印されているジュエルシードに突き刺す。

 

「ダメだ、カノン!封印の間にジュエルシードに触ったりしたら!」

 

しかし、ユーノの危惧したような状態にはならなかった。

 

なんと、カノンは自身の魔力をジュエルシードに注ぎ始めたのだ。

 

「魔力が放たれようとしているのなら違う同量の魔力を放てば相殺出来る!高町、急げ!」

 

「う、うん!」

 

そして……ジュエルシードは大人しくなった。封印されたのだ。

 

 

 

「それで何だが……前に手伝わないと言っておいておかしいと思うが……お前たちに協力したいんだ」

 

カノンはなのはと立夏、ユーノに頭を下げていた。

 

「協力?でも、今までは戦いが嫌いだからもう支援はしないって……」

 

「……私は、逃げていたのだ……自分の過去と力から……」

 

カノンはそう言った後、顔をあげる。

 

「だが……逃げてばかりでは何も意味はないと教えてくれた……ヴィヴィが教えてくれた……逃げてばかりいたから、あいつに……」

 

「カノン……」

 

「カノン君……」

 

なのはと立夏がカノンの名前を呼ぶ。

 

「だから、もう逃げてはいけないとわかったのだ。だからお前達を助けたい……迷惑にはならない。だから……頼む」

 

そう言ってカノンは再び頭を下げる。

 

その言葉に

 

「ありがとう、カノン。私たちを助けてくれて……むしろ、こっちが頼みたい位よ」

 

と、立夏は右手を差し出していた。

 

「私も!カノン君が加わってくれたらもの凄く嬉しいの!」

 

どうやら、なのはも賛成のようだ。

 

「僕もです。すいません、これは僕の問題なのに……」

 

ユーノも概ね賛成のようだ。

 

「ありがとう、皆……それと、君は……」

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。僕はユーノと言います」

 

「そうか、よろしくユーノ。知っているかもしれないが結城カノンだ……それとこれはもう君一人の問題じゃない。私達の問題だ……だから、君のその重荷も一緒に背負わせてくれ」

 

「カノンさん……わかりました、これからも協力をよろしくお願いします」

 

「ああ、不肖この結城カノン。皆を守る盾となり槍となろう」

 

こうして、カノンは再び戦いの場に立った。

 

しかし、今までとは違う守る為の戦いをする為に……。

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